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故障・修理
更新日:2019.09.09 / 掲載日:2019.09.09

大人の電子工作入門PART1 ハンダ付けの基礎をおさらいする

「ハンダ付け」は整備においても電装系修理で必要となる、電子パーツの組み立てや配線接続における必須テクニック。基本を念頭に数をこなすことでキッチリマスターしたい。

 2つの金属間に、それらより融点の低い金属を溶かし込むことで接合する作業。それが「ハンダ付け」で、整備作業でも電装系の修理で必要となるテクニックだが、作業頻度はそれほど多くないため、苦手としている人も多い。しかし、マスターすれば作業範囲が確実に広がるので、キッチリ身に付けておきたい。

 さて、近年、環境への関心の高まりから電子部品、電子製品の鉛フリー化への取り組みが半導体業界および電子機器業界で広まっている。そんな背景から「鉛フリーハンダ」が登場、一般にも広がりつつある。しかし、「鉛フリーハンダ」は融点が高いため従来のハンダコテでは熱量が足りなかったり、コテ先が劣化しやすいなどの問題があり対応品が必須。溶融温度が数十度上昇するため、素子の熱破壊や劣化の危険性が高まり、適切にハンダ付けしても表面に艶がなく不良との区別が付きにくいという難点がある。

 このため、ハンダ付けに慣れている人でも最初は戸惑う。それだけに、ビギナーにはハードルが高い。入門はもちろんのことDIYでは入手できる環境がある限り、従来の鉛混入品の利用が無難でベスト。本企画もこれをベースに話を進める。

 どうせ購入するなら長く使える物を個別にチョイスしたい。

 「ハンダ付け」を行うためには、「ハンダコテ」に「糸ハンダ」。加熱したハンダコテを安定して置ける「ハンダコテ台」の3つが最低限必要となる。

 初めてなら、これらの他に糸ハンダなどの消耗品やあると便利な用具類が一通り入組された「セット品」を手に入れるという選択肢もある。しかし、消耗品の糸ハンダやハンダ吸い取り線などを除けば、ほとんどのツールが一度買ったら一生物。どうせ購入するなら多少高くても、長く使える物を個別にチョイスしたい。

 たとえば、「ハンダコテ」。安い物なら1000円前後で購入できるが、近年、温度調整機能付きが5000~6000円で入手できるようになった。これならコテ先温度が安定するため、慣れていない初心者ほど有用で仕上がりも安定する。どうせ購入するならこのタイプを手に入れたい。

■ 必須用具/【1】ハンダコテ

これから購入するなら「ニクロムヒーター(上段の2本)」か「セラミックヒーター(下段)」のどちらか。「ニクロムヒーター」は比較的安価だが、電子パーツ用に30W、配線接続用に40~60Wの2本は必要。しかも、コテ先温度がハンダ付けに適する温度に達するまで、「セラミックヒーター」に比べて時間がかかる。このため、実用性を考えれば「セラミックヒーター」がベストで、このタイプの温度調整機能付きが一押しだ。

★goot
温調はんだこて
PX-201
価格:6,048円(税込)

コテ先温度を正確にコントロールできる温度調整機能付きのはんだコテ。70Wハイパワーヒーターの採用で鉛フリーハンダにも対応する。

■ 必須用具/【2】ハンダコテ台

ハンダコテのコテ先は300度前後の高温となるため、コテ先がむきだしで通電した状態で作業台の上に放置したりするのは厳禁! 安全に作業するために安定して置いておくことができる「コテ台」が必須。どうせ買うなら、ガッチリした作りで安定感のある製品を選択したい。

★goot
はんだこて台
ST-27
価格:2,916円(税込)

セラミックはんだこてにジャストフィットする台で、スポンジクリーナーと温度が下がりにくい金属製クリーナーの2種類を搭載。

■ 必須用具/【3】糸ハンダ

★goot
リール巻鉛入りはんだ
模型工作用 直径1mm
 SE-05010
価格:オープン

電子工作向けの60%(H60/JIS規格表記)ヤニ入りのリール巻鉛入りハンダ。太さ直径1mmで、電装系の配線接続にも扱いやすい。

電気系のハンダ付け作業時に使用する糸状のハンダで、「ヤニ入りハンダ」とも呼ばれている。おでん種のゴボウ天のゴボウのようにヤニ(フラックス:接合させる金属表面の異物や酸化膜を取り除いてくれる促進剤)がチューブ状に内蔵されていて、ハンダが溶け出すと同時に溶け出て接合面に広がる構造になっている。このため、電気系のハンダ付けは通常、別途「フラックス」を塗布する必要はない。利用するにしても接点の面積が広くて熱が伝わりにくいなど、ハンダの広がりが悪い時に限定的な使用に留まる。さて、その糸ハンダには「すずと鉛」の配合比率や「太さ(直径0.1~3.0mm)」が異なる種類がある。電子工作にはすず60%、太さ直径1mmが扱いやすくおすすめだ。

■ 必須用具/【4】ハンダ吸い取り線

ハンダ付けした電子パーツの取り外しや盛りすぎて端子が短絡してしまった時に使用する、銅線を平織りした特殊編線にフラックスを染み込ませてあるハンダの吸い取り作業専用の幅広の銅線。線幅が異なる種類があり、除去したい「ハンダ」より一回り大きめを選定し、ハンダを除去したい面にのせてハンダコテで熱することでハンダを吸い取ることができる。なお、もしも古くなって酸化し、艶がなくなって黒く変色していた場合、吸い取り能力が落ちるため酸化部分をカットする必要があるので、利用する際は注意!

★goot
はんだ吸取線
価格:281円(税込)~

どのサイズが必要かは、その場になってみなければ分からないため、2mm/2.5mm/3mmの3タイプを用意しておきたい。

■ 用意しておくと重宝する用具

★goot/ヒートクリップ H-2SL
 価格:302円(税込)

細かなパーツの保持にも有用な、熱に弱い電子パーツに挟み込むことで放熱を促して熱から守るアルミ製のクリップ。電子工作するなら持っていたい。

★goot/逆作用ピンセット TS-16
 価格:360円(税込)

握ると閉まる一般的なピンセットとは異なり、握ると開き、離すとバネ作用でつかんだまま保持できるハンダ付け作業時の部品保持に最適な逆作用ピンセット。

★goot/ソルダーアシスト SA-10
 価格:2,848円(税込)

電子パーツを脱着したり保持する時に便利なアシストツール。プリント基板の補修・組み立て時、ぜひ持っていたい一品だ。

★goot/ワイヤーストリッパー
 価格:3,672円(税込)

ストリップの長さを固定できるストッパー付き(2~20mmの範囲)で、挟んだらハンドルを握るだけのワンアクションで被覆がむける便利なワイヤーストリッパー。

★goot/精密ニッパー YN-20
 価格:2,700円(税込)

切断面が水平な状態でカット(フラットカット)される、基板に取り付けたパーツのリード線カットに最適なハンダ付け作業に特化した精密ニッパー。

★hakko/ハッコースッポン 18G ガード付き

 価格:2160円(税込)溶解したハンダを強力な吸い取り力で吸い取る。手動式の簡易ハンダ吸い取り具。ハンダ吸い取り線では取りきれないランドの穴に詰まったハンダの除去に威力を発揮する。

【基本ステップを1つずつ確実に踏んでいく】ハンダ付けの基本をマスターする

最も基本となる配線コードの接続手順を追ってみる

 ハンダ付けに精通した人の作業を端から見てると、なにげなくハンダを溶かし込んでいるように見える。

 ところが、ハンダを流し込む時にはハンダ付け面をピンポイントで素早く的確に加熱。接続する両金属の加熱温度が同じになったことを見極めたところで、その加熱面でハンダを溶かしつつ流し込んでいる。つまり、目には見えない基本的なステップを1つずつ確実に踏んでいるわけで、数をこなすことで身に付けた勘所や観察眼があるからこそ、流れるような一連の動作で完結できるのだ。

 このため、上手くなろうと思ったなら、基本をキッチリマスターすることが大切。そして、理屈ではなく、数をこなして慣れる。これがなによりも重要となる。

 そこで、最も基本となる配線コードの接続を題材に「ハンダ付け」の手順を追ってみることにした。そこらに転がっている配線の切れ端で練習したい。

ハンダコテを準備する

写真は温度調整機能付きのPX-201でグリップ部に「ヒーター通電ランプ」と「温度調整ボリューム」が設置されている。

温度設定ボリュームを回してコテ先温度を設定する。

ハンダ付けに最適な温度は250度だが、母材へ熱が逃げるため300度くらいが使いやすい。

コードをコンセントに繋ぎヒーター通電ランプが消えたら準備完了だ。

クリーニングスポンジを準備する

金属タワシ状の「金属製クリーナー」はそのまま使うことができるが、黄色い「スポンジクリーナー」は利用する時に水を含ませる必要がある。

水に浸してたっぷり吸わせる。

軽く絞ってからホルダー部にはめ込んで準備完了だ。

焼けてしまったコテ先をリフレッシュ!

★goot
Tipリフレッサー9g入 BS-2
価格:648円(税込)

コテ先が焼けてクリーニングだけでは復活しなくなった時は「チップリフレッサー」が役立つ。

黒くなったコテ先を活性剤の働きで還元した後、すずで再コーティングすることでハンダののりを復活させてくれる。

コテ先に異物が溜まったらクリーニングする
作業時間が長引くとコテ先が酸化皮膜に覆われて、ハンダが熔けにくくなってくる。

コテ先の艶がなくなって異物が堆積してきたら「スポンジクリーナー」にムラなく擦りつける。

これで異物が落ちて機能が復活する。

熱に敏感な上唇に近づけると温度変化を判断しやすい
加熱の目安となる「ヒーター通電ランプ」がない一般的なハンダコテで加熱具合を確認する時は熱に敏感な上唇に近づけてみる(ただし、火傷に注意!)。

モワッとした熱気を感じたらコテ先にハンダを接触させてみる。スッと溶ければ準備OKだ。

被覆を10mmほどむく

接続する配線コードの被膜を端から10mmほどむく。ニッパーなら刃先を皮膜に軽く食い込ませる。電工ペンチなら配線サイズに合致するむき穴に挟み込む。

そして、コード端を持って電工ペンチを引っぱる。

ワイヤーストリッパーならストッパーをセット後、挟み込んでハンドルを握るだけのワンアクションで完了。おすすめだ。

熱収縮チューブをはめ込む

配線コードの太さに適合した熱収縮チューブを選択し、絶縁する面の長さの約3倍の長さにカットする。

コード端からはめ込み、ハンダ付けによる熱が加わらないよう可能な限り奥(離れた位置)に移動させる。

裏から染み出すまでハンダを浸透させる

繋ぎ合わせる配線コードの被覆も同様に10mmほどむき、芯線を重ね合わせる。

芯線がばらけて飛び出さないよう指先で押さえ込みながらねじり合わせ、むき出しにした芯線より若干、長い程度の幅でまとまるよう仕上げる。

芯線の中央付近にコテ先を接触させてしっかり加熱。

コテ先の横から芯線に糸ハンダを押し付けるようにして芯線内部に溶かし込んでいく。

裏側に溶けたハンダが染み出し、ムラなく覆われたら完成!

サイズ違いを数種類、用意しておきたい

★エーモン/収縮チューブ
 価格:オープン

配線コードの絶縁・結束に最適な加熱することで収縮(60度~100度の熱を加えることで50%収縮する)し、段差がある箇所でもフィットする難燃性のチューブ。様々なサイズが市販されているが、エーモンでは電装修理に適する直径3mm/直径4mm/直径6mm/直径8mmの4種類をラインナップしている。

多少でも突起した面は平らに均しておく

芯線端に1本でもヒゲ線が立っていると、ハンダ付け後に小さな突起となりやすい。これを放っておくと絶縁用の収縮チューブやテープを突き破ってショートする危険があるので要注意!

ペンチで潰して平らに均しておく。

芯線の跳ね、ハンダの浸透不足はNG!
芯線が長すぎたり、詰めすぎて端が飛び出したらNG。

そのままハンダを流し込むと角が生え、絶縁用に巻いたテープから突き出てショートする危険があるからだ。

また、芯線への溶かし込みが不十分で表面側のみハンダで覆われているという状態もNG。やり直す。

熱を加えて収縮させる

コード奥に避難させておいた熱収縮チューブをハンダ付け面まで引き出す。

絶縁面を中心に左右均等に納まるよう組み付け位置を調整。

熱収縮チューブの全周をムラなく均等に加熱する。ヒーターガンによる熱風での加熱が理想だが、ライターでも可能。その場合、炎を近づけすぎて焦がさないよう注意!

ムラなく収縮して絶縁面の形状が分かるくらいピッタリ密着したら完成だ。

分岐配線を製作する時も、熱収縮チューブによる絶縁処理を行えば1ランク上の仕上がりが得られる。

この場合、コードが2本無理なく収まるサイズを選択。

テープは引っ張りながら巻き付ける

被膜が切れた端から5mmくらいのところにテープ端の隅を合わせる。

配線コードに対し約30度の角度にテープをあてがう。

テープ端を折り込むように巻き付け、テープを引っ張って軽く伸ばしつつ巻き付けていく。この際テープ幅の2/3くらいを重ねるようにらせん状に巻く。

巻き終わりもテープを引き伸ばしつつ撫でつけて密着させ完成だ。

基本はねじらずにまっすぐ絡み合わせる!?
芯線のねじれを取ってまっすぐな状態に形を整え、芯線同士をまっすぐ押し当てる。

そして、両者の芯線が直線的に、かつ均等に絡まり合うようまっすぐ平行に押し込んでいく。

先端部が被膜端に達したら軽くねじって形を整える。

これが配線コードの接続方法の基本となる。

基本の接続
ところが、芯線が細めで柔らかければそこそこ上手く絡まるものの、芯線が太くて硬かったり、異なるサイズのコードを接続する。

こんな場合、芯線同士をまっすぐ均等に絡ませるのが至難の業。

このようなゴツゴツとして仕上がりになりがち。処理に時間がかかるため、本数が多い場合にはより難しくなる。

捻り合わせなら短時間できれいにまとめることできる。

ハンダをムラなくきっちり流し込めば通電・強度的にも問題なし。実用ではこの方法だ。

2~3重に巻けば絶縁にも使える

★エーモン
【N855】結束テープ
価格:オープン

普通のビニールテープは厚みがあって伸びにくいため、巻き付けた面がゴテゴテになりがち。時間が経過すると粘着剤がベタ付いてはがれやすくもなる。このため、引き伸ばしながら巻き付けることでピッタリ密着する「結束テープ」の利用がおすすめ。薄めだが2~3重に巻けば絶縁用途でも問題なく使うことができるからだ。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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