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故障・修理
更新日:2019.08.15 / 掲載日:2019.08.15

スバルサンバーを懐走仕様!

SUBARU Sambar  V-KV3[1995]SUBARU Sambar V-KV3[1995]

前回予告でキャブレターと書いたが、現状問題なく動いていることと、キャブレター本体は洗浄とOHが目的。ただ調整するとなるとエンジン本体の基準が必要になるので、先にEN07エンジンの狂いやすいバルブクリアランスと点火タイミングを合わせてからキャブレターに向かうことにした。

 サンバーに搭載されているEN07エンジンは赤帽にも使われるほどの耐久性だが、それなりのメンテをしなければ性能維持がしにくいエンジンである。特にT#系のエンジンはバルブクリアランスが広がりやすいという話も聞いていて、今回KVのキャブレターOHを考えていたが、キャブレターを外して分解洗浄の後に組み付け調整となると、エンジンが完調でなければ調整の基準が出ないということになる。
 というわけで、エンジン本体の完調を目指すために、バルブクリアランスの調整をしてみた。サンバーのEN07は横倒しに搭載されているので、熱やオイルポンプからの影響でバルブクリアランスが開く傾向。点火時期を調整してもバルブの開きが正常でなければ完調には程遠い。
 T#系はディーラーでもバルブクリアランスが狂いやすいということもあり、頻繁にメンテ作業があるそうで、かなりエンジンのコンディションが変わるという。荷車のトルク不足は積載量が多くなればなるほど、ドライバーストレスとなるからだ。
 OHC4気筒という部分はEN07搭載車であれば共通なので、バルブクリアランスはK#/T#すべて共通となる。慣れてくれば1時間ほどの作業だ。
 バルブステム先端とロッカーアームのクリアランスの調整だが、挟み込むシックネスゲージの動きによってクリアランスが正確かどうか決まってしまう。
 ロックナットを緩めて、基準シックネスゲージを挟み込み、マイナスドライバーでネジを当たるまで軽く回すと、シックネスゲージはピクリともしない位置で固定されるはず。そこからほんのわずかに緩めた位置にすると、かなりの抵抗感を伴ってシックネスゲージが動くようになる。力一杯ゲージを引いて抜けるよりは緩いはず。その位置がほぼ正確といえる基準値。 ドライバーを緩め方向に力を入れておきながらロックナットで固定。数回繰り返すと、ロックナットを締め込んだ時にネジ山の隙間分だけクリアランスが広がるので、数回やってコツを掴んでおく。その動きの感覚を各気筒に当てはめればいいことになる。

バルブクリアランス調整はエンジンのヘッドカバーを外すことから始まる。完全にエンジンが冷えている状態で計測するのが前提。

スパークプラグを抜き、クランクを回せるように右側インナーフェンダーを外す。

クランクに工具が入ればいいので、慣れるとジャッキアップをしなくても作業は可能だ。

ブローバイホース、ヘッドカバーアース、オイルフィラーキャップを外し、ヘッドカバーの6本のボルトを抜き軽く叩くとカバーは外れる。

初めての場合はカバーを外したらパッキンを取り除く。基本パッキンは再使用不可。溝のシール材などを取り除いておく。

快走仕様No26で行ったSUNOCOの洗浄剤を入れて走行してたので、17万キロ超えの割にはエンジン内部はきれいでスラッジも見当たらず。

クランクシャフトには17ミリのソケットを差し込んで、向かって時計回りになるようにしておく、基本逆回転はさせない。

ヘッド側からクランクプーリーを見ると、カバーに突起があるので、プーリーを回して突起部分に圧縮上死点の刻印を合わせる。

計測ポイントは1番・4番ピストンの上死点でどちらも4か所が調整できる。つまりクランクは1回転だけすれば済むことになる。調整自体はIN側からでもEX側からでも可能だからシックネスゲージを間違える心配はほぼないだろう。1/2IN、2/3EXとやって2/4EXから始めると0.20mmシックネスがそのまま使える。

クランクTDC刻印合致後、どちらが調整できるかはロッカーアームを手で動かすと分かる。1TDCなら1/2INがカタカタと隙間がある。

調整前にアジャストボルトとバルブステムの間に規定のシックネスゲージを入れてみるとスカスカで、EX用の0.20mmも入った!

アジャストロックナットを1/4回転も緩めれば調整ネジはフリーになる。トルクはほとんどかかっていないので簡単に緩むはずだ。

IN側に0.15mmのシックネスゲージを挟み込んで先端ネジを回し、ゲージをスライドさせた時にかなり渋く動く位置がほぼ正解。

EX側も0.20mmのシックネスゲージを差し込んで同様に計測。あまり締め込むとバルブが動いてしまうので、ネジはコツッと止まるまで。

規定値が出たら、ゲージをそのままにしてまずはロックナットだけを締め込んでみる。ゲージの動きが変わらなければそのままでも構わないが、ゲージの動きが緩くなるようならドライバーでわずかに締め方向を維持しながらロックナットを締める。数回やってみて、ゲージの動きが同じようになるコツを掴むといいだろう。

点火時期はK#はBTDC6°、T#は10°(刻印は1か所のみ)。見にくい場所なので、ついでに清掃しておくといいだろう。

ヘッドカバーパッキンは必ず用意しておく。メーカー純正品でも構わないし社外OEM(製造元)でも構わない。これは大野ゴム製。

サンバーユーザーを自負するならタイミングライトは持っていたい。これは古いが、最新式は電池駆動だったり多機能だったりと便利だ。

点火タイミングは1番のプラグコードからとる。エンジンを始動して、完全暖機後(冷却ファン2回作動)以降にタイミングを測定。

ヘッドカバー左にあるディストリビューターの固定ボルトを緩める。ハイテンションコード側から見て反時計回りが遅角になる。調整角はほんのわずか。タイミングがTDC寄りなら反時計方向に回す。

完全暖機後にそのまま測定してみると、BTDC6°よりわずかに早めに点火しているのが分かった。どちらかといえばトルク重視のセッティングといえるが高回転域の伸びは期待できない。

いちど正規の6°に合わせて試走してみたところ、大きな変化はないがいくらか高回転の伸びは分かったので、さらに調整(BTDC7~8°くらい)にしてみたら全体のトルクの出方がフラットになって、高速道路の合流加速などが楽になった。あまり早めるとノッキングが出てエンジンを壊すのでこのままで完了。

点火タイミングを基準にすることで、エンジンは完調

 初めてバルブクリアランスを調整した時は必ずヘッドカバーパッキンは新品にして、フタのエッジの部分は多めに液体パッキンを塗っておく。しばらく走行した後、必ずオイル漏れチェックをしよう。
 バルブクリアランスが基準値になったら、次は点火タイミング調整。現代のクルマはECU制御されているので狂いようがないが、ディストリビューターを持ったクルマは調整で追い込まなくてはならない。今や持っているショップすら少なくなったタイミングライトなるものを使うのだ。最近販売されているものは電池駆動やドエル角、エンジン回転数が表示されるものまであり、サンバーユーザーには必須アイテムとなる。
 点火タイミングはTDC(上死点)前のクランク角で表す。BTDC(上死点前)の角度表示がクランクプーリーに刻まれているので、完全暖機後(マニュアルでは冷却ファン2回作動)に調整する。
 タイミングライトのセンサーを1番プラグのハイテンションコードに接続して、ストロボフラッシュをクランクプーリーに当てると表示される。KVはBTDC6°で、調整前はそれよりも上死点側に位置していた。それを適正な6°に合わせて試験走行。さらに早めて(たぶん8°あたり)試験走行を行ったら、随分フィーリングがよくなり、多用する40~80km/hが気持ちよくなった。
 T#は10°だが、狂いがあればオプションの抵抗を追加して合わせ込んでいく。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
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