故障・修理
更新日:2019.04.08 / 掲載日:2019.04.08

ポンコツジムニーハコ替え計画 その8

JA22WのボディをJA71C用のオープンボディに載せ替えるこの計画。前回に引き続き、今回もリヤクォーターパネルの張り替えです。今度は左側。まぁ、いつものように、うまくはいきません。

1995年に発売されたJA22Wは、ジムニーシリーズで初めてコイルサスが採用されたモデル。ボディは1980年発売のSJ30から引き継がれている。


腐ったリヤピラーではパネルは支え切れない

 シャシーから取り外した状態でJA71Cのボディを補修している。ボディはあまりにも錆がひどく、特に前後のフェンダー周辺は腐食が進んで大きな穴が開いていたので、リヤのクォーターパネルは新品に交換することにした。前回は無事に右側のクォーターパネルの交換が終了したので、今回は左側のクォーターパネルを交換する。
 作業自体は前回の右側とほぼ同じなので、今回は撮影を行わず、一人で黙々と作業することにしていたのだが、古いパネルを剥がしてみると右側より腐食がひどく、パネルを支えているリヤの柱の部分(セダンでいうところのCピラー)も激しく錆びている。触ってみるとグラグラしていて、その柱の下の部分を見てみると、腐食が進んで下から数センチの部分が欠損していて、フロアから浮いてしまっていた。このままではクォーターパネルを装着することはできないので、パーツを用意して仕切り直すことにした。
 幸いパーツはメーカーから供給されていて無事に手に入ったので、作業は続行できそうだ。まずはこの腐食した柱の部分を取り除く。クォーターパネルはこのリヤピラーとセンターピラーの間に渡されているステーの上にのせられているので、このステーとリヤピラーを分離させ、あとはフロアとの接合部分を剥がせば取り除ける。フロアとの接合部分はすでに腐食が進んでいるので、思ったより簡単に剥がれてしまった。

左のリヤまわりは右側より錆がひどい

一見すると錆び具合は右側と大差ないように見えるのだが、分厚い塗装は浮き上がっていて、内部はぐずぐずに腐っているようだ。

フェンダーの後端部分は大きな穴が開いている。

右側と同じように、上部のステーやセンターピラー、リヤピラーに接合されているスポット溶接をスポットカッターで剥がし、パネルをめくった。

フェンダーの腐食がすごい。

リヤのピラーがグラグラしていたので、錆の状況を確認すると、フロアとの接点が激しく腐食していて、大きな穴が。

反対側を見てみるとピラーの下部分は欠損している。

作業を一旦中止してパーツを注文。リヤピラーはインナーとアウターに分かれていて、それぞれ価格は3600円と3100円(税別・当時)。

リヤのクォーターパネルはセンターピラーとリヤピラーの間に取り付けられているステーの上に固定されている。このステーを分離する。

分厚く塗られていた塗装を剥がし、スポット溶接されている部分を、スポットカッターを使って削り、剥がしていく。

スポット溶接部分を削ったら、隙間にタガネを入れてパネルを剥がす。ステーの後端はしっかり溶接されているので、ちぎれないように注意。

ステーはクォーターパネルとの間に水分が入り込んだようで上部が錆びている。小さな穴も開いているので、これも交換すればよかった。

リヤピラーのインナー側はフロアに溶接されているので、この溶接部をディスクサンダーで削り取る。

そしてタガネを入れて接合部を切り取るように剥がす。

リヤピラーはインナー、アウターと2つのパーツが組み合わされているが、今回は両方交換するので分離せず一緒に取り外した。


リヤまわりは錆がひどくフロアには大きな穴も

 リヤピラーを剥がした後のフロアを見ると激しく錆びている。ディスクサンダーに錆取りディスクを付け、錆を取り除いていると、センターピラーが取り付けられていた部分の内側に、大きな穴が開いていた。リヤピラーが接する部分で、ここにもピラーを溶接することになるので、まずはこの穴を塞ぐことにした。できる限り腐食した部分を取り除くためにベルトサンダーで削っていくと、穴はかなり大きくなってしまった。錆を削ったために鉄板が薄くなっているので、この部分には少し大きめのパネルを重ねるように貼り付けて修理することにした。亜鉛メッキ鋼板を適当なサイズに切り出し、形を調整する。この部分は平らではなく、緩やかな角度がついているのでフロアに合わせて曲げていく。このパッチを穴の上から溶接して補修は完了。
 この補修したフロアの上にリヤピラーを取り付ける。できる限り錆を取り除き、まずはパネルボンドを使って仮止めする。リヤピラーはバックドアの開閉口であり、ドアキャッチが取り付けられる場所でもあるので、インナーパネルをバイスグリップで固定したあと、バックドアを取り付けて左右の隙間を確認しながらピラーの位置を決めた。取り付け位置をマーキングし、リヤピラーのインナーをパネルボンドで貼り付け、さらにアウターパネルを貼り付けた。フロアとの接点、上部のステーとの接点を溶接。これでリヤクォーターパネルの取り付けができる。

腐ったピラーを新品パーツに交換する

リヤピラーを取り外すと、その下のフロアも激しく錆びている。右側はここまで錆がなかったのに。

このクルマ、左に傾いた場所に長期間駐車していたのだろうか?

ピラーを剥がした後の溶接や鉄板の残りをディスクサンダーで削り、錆や腐食部分はベルトサンダーで除去した。

腐食部分はかなり深く、鉄板が薄くなっているようだ。

錆や腐食をどんどん削っていると、フロアの内側パネルに大きな穴が開いてしまった。リヤピラーとの接点なのでなんとかしなくては。

フロアの穴には鉄板を貼り付けて補修することにする。亜鉛メッキ鋼板を少し大きめに切り出し、フロアの形状に合わせて曲げていく。

このパッチで穴を覆うように溶接する。

穴の付近は錆びていたために鉄板が薄くなっていたので、穴部分だけを塞ぐのではなく、少し大きめに周囲を覆うように鉄板を貼り付ける。

段差が出ないように周囲を削って補修完了。

取り付け位置はとっても重要だ

リヤピラーを取り付ける位置を決めるため、インナー、アウター、2枚のリヤピラーパネルをバイスグリップでフロアに固定して仮止めする。

位置を間違えたらパネルが正しく付けられない。

リヤピラーはバックドアが取り付けられる部分なので、一旦バックドアを仮付けして、正しく開閉できるのかを確認。左右の隙間であるチリを調整。

パネルボンドを使ってリヤピラーを固定する。まずはアウターパネルから。

リヤドア仮付けの時にマーキングした位置にアウターパネルをセットして、バイスグリップで固定する。

アウターパネル側にパネルボンドを塗布し、インナーパネルを取り付ける。

ボンドが乾く前にもう一度リヤドアを当ててみて、位置の微調整を行う。

パネルボンドが硬化するまで1日放置してから溶接を行う。

溶接する部分の周囲をベントサンダーで塗装を剥がす。パネルが浮いている部分をハンマーで叩いて修正。

リヤピラーとフロアの接点部分をしっかりと溶接する。ここ外れたら左のクォーターパネルが走行中に剥がれてしまう危険も。

相変わらず汚い溶接跡になってしまったが、コーキングで隠れてしまうのでヨシとしよう。ベルトサンダーでキレイに均した。

今度は上側のステーを溶接する。本来は軽く点付けで溶接されていたので、接点部分のパネルが小さい。キレイに溶接するのは難しい。

できる限りがっちり固定したかったので、たくさん溶接した。ステーのパネルが薄くなっているのもあり、あちこちに穴が開いてしまった。

クォーターパネルが歪まないように、2か所にステーが付いている。1か所はこのステーとフェンダーの間。フェンダー側は錆でボロボロ。

もう1か所はセンターピラーの中にある。今回の交換方法は製造時と手順が異なるため、両側を溶接することはできない。さてどうしたものか。

フェンダー後端部のパネルを取り付ける。

パネルボンドの塗布後に固定ができないので、穴を開けてからリベットで固定する。

ボンドだけで固定するより強度アップ、……するような気がする。

リヤフェンダーも同様にリベットで固定する。

まずは穴開けの時にドリルが入りやすいように、あらかじめフェンダーにポンチを使ってマーキングし、仮付けしてフロアとともに穴開けする。

仮付けしたフェンダーを外し、接合部分にはたっぷりとパネルボンドを塗布する。

フェンダーを取り付けたら、あらかじめ開けておいた穴にリベットを打ち込んで固定する。

本来はクォーターパネルを取り付けた後にサイドパネルを取り付けるので順番が逆。サイドパネルの歪みを補正して少し広げておく。

パネルの接着は前回同様ついでにフロアも修理した

 ようやくクォーターパネルの取り付けができるようになった。ここからは前回同様にインナーフェンダーから取り付ける。インナーフェンダーはパネルボンドを塗布した後にバイスグリップなどで固定することができないため、パネルボンドを塗布した後に、リベットで固定する。まずはあらかじめインナーフェンダーにポンチでマーキングをし、フロアに仮付けした状態で穴を開ける。パネルボンドを塗布し、リベットを打った。
 お次はいよいよクォーターパネルの取り付け。フェンダーアーチの中央部とセンターピラーの内部にはパネルを支えるステーが付いている。フェンダー側は挟んでスポット溶接されているので交換は簡単なのだが、センターピラー側は内側からスポット溶接されている。今回の交換方法では後から溶接するのは困難なので、今回はパネルボンドをたっぷり塗ってから取り付けるという方法で対処した。クォーターパネルの取り付け自体は前回レポートした通りなので、詳細は省略する。
 今回はさらに、気になっていた左側フロアの穴も補修した。穴自体はそれほど大きくないので、パネルを切り取って新しいパネルを溶接するだけなのだが、フロアの後端部で形状が複雑なので、継ぎ当てするためのパネル作りがたいへんだった。
 クォーターパネルのパネルボンドが乾いたら隙間をコーキングする。後から塗装ができるように、シリコン系ではなくウレタン系のコーキング剤を使用した。

両側クォーターパネルの交換完了!

センターピラー内部のステーは、ボディ側にリベットで取り付け、クォーターパネルの内側に接する部分にはたっぷりパネルボンドを塗布。

クォーターパネルと接する部分にたっぷりとパネルボンドを塗布する。

なるべく広い範囲が接しているほうが強度が上がるので、ヘラなどを使って少し広めにのばしておく。

パネルボンドを塗布したら、いよいよクォーターパネルを取り付け。パネルをのせただけではぴったりとは合わない。

押したり引いたり曲げたりしながら位置を合わせる。

センターピラー側を引っ張ってバイスグリップで固定し、後端部は木槌などで叩きながら位置を合わせた。どこかが歪んでいるのか?

気になっていた左フロアの穴も修正する。錆穴はフロアの後端部、メーターケーブルが通っている穴の周囲。エアソーで切り取る。

形がかなり複雑な部分。新しいパネルを切り出すために、厚紙などに形をマーキングしていく。ぐにゃぐにゃした形だな。

マーキングした型紙から亜鉛メッキ鋼板に形を写し取り、少し大きめにエアソーで切り出す。

メーターケーブルが通る穴があるので、ボール盤で穴を開け、リーマーで広げた。

錆びていた部分はフロアのマウントボルトを避けるために大きく曲がっているので、その形状に合わせて叩いて変形させる。即席の治具で形を作った。

少し形は異なるものの、切り取った部分に合わせることができたので、これを溶接して完了。サイドシル側は溶接せずに、コーキングして隙間を埋める。

パネルボンドが硬化したら、すべての隙間にコーキング剤を流し込む。後から塗装ができるように、シリコン系ではなくウレタン系のコーキング剤を使用した。



提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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