車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.07.04 / 掲載日:2018.07.04

安全性向上計画Part.1 最新の安全向上用品を取り付ける

安全装備の進化から取り残された古いクルマでも市販のアフターパーツを利用すれば安全性の向上が図れる。しかも、先進装備の後付けモデルも続々と登場しており、物によってはDIY取り付けも可能なのだ。

 センサーといった安全装備は今や一般的となり、近年さらに進化した安全装備の数々が純正投入されている。
 1台のクルマを大切に長く乗っていると、そのような安全装備の進化から取り残されてしまう。が、最新のアフターパーツを利用すれば安全性の向上は図れる。要はやる気があるかないかの問題。衝突事故軽減を目的とした自動ブレーキの後付けはさすがに無理がある(外国製パーツで後付けキットも実在するが、信頼性や耐久性に不安が……)ものの、バックミラーでは確認することができない車両後方に存在する死角の解消ならすぐにでも実現可能なのだ。
 まずは、その後方死角の解消を目的とした先進装備の取り付けをリポートする。

ITEM.01 ドアミラーの死角となる左後方を幅広くカバーする! DataSystemブラインドサイドカメラ(ドルフィン・アイ)を取り付ける

ドアミラーの死角となる斜め後方を幅広くカバーする
 ブラインドサイドカメラはドアミラーの死角となる斜め後方を幅広くカバーし、ミラーには映らない、並走車両を容易に確認できる新設計のカメラシステムで、車線変更時に威力を発揮する。
 流麗なフィン型フレームにカメラ本体がスッポリと収まる構造で、ドアの隙間やエンブレム取り付け穴等を利用することでスマートに装着できる。そして、フレーム高が異なる2タイプをラインナップしているため、ほとんどの車種に対応。
 また、カメラ設置時、必然的に車内へのカメラケーブルの引き込みが必要となるが、極細コネクター採用で既存グロメット等の狭い隙間にも無理なく通すことができ、ボディへの穴開け加工をすることなく設置可能。このため、DIYでも無理なく取り付けることができる。

BSC261-S

BSC262-M

フィン型フレームにカメラ本体がスッポリと収まる構造で、カメラ角度固定タイプの「BSC261-S」、カメラ角度調整タイプの「BSC262-M」の2タイプがラインナップされている。

左・BSC262-M/右・BSC261-S

左・BSC262-M/右・BSC261-S

カメラ角度調整可能な「BSC262-M」のフレーム高は44mm、設置可能な車両はある程度限られる。「BSC261-S」は角度固定ゆえにコンパクト。フレーム高37mmとクリアランスの少ないクルマにも対応する。

使用した用品
ブラインドサイドカメラBSC261-S●価格19,224円(税込)

水平画角100°/垂直画角80°の角度固定タイプのカメラを入組みしたキットで、取り付けに必要なケーブル類も一式同梱されている。

ブラインドサイドカメラBSC262-M●価格21,384円(税込)

水平画角110°/垂直画角80°の上下・左右に角度調整が可能なカメラを入組みしたキット。同梱品はBSC261-Sと基本的に同じだ。

スーパースリムモニターSSM-W5.0・2●価格13,824円(税込)

水平画角110°/垂直画角80°の上下・左右に角度調整が可能なカメラを入組みしたキット。同梱品はBSC261-Sと基本的に同じだ。

■問い合わせ先:データシステム

取り付け・配線イメージ

最外部からはみ出ると全幅が変わってしまうので注意!
 配線接続は電源を接続してモニターに接続するだけ、カメラ本体は両面テープによる貼り付け固定と基本的に簡単だ。
 ただし、カメラの設置場所には注意が必要。なにがあろうともボディ最外部からはみ出さない位置を選定する。ボディ最外部からはみ出ると全幅が変わるため、構造等変更や車検証の記載事項の変更手続きが必要となるので要注意だ。

[1]車体最外部からはみ出さずに設置できる位置を確認する

1

1.フロントフェンダーの後端、ドアミラー前方下部付近で、車体の最外部(前後フェンダーの最外部を繋いだ線の内側)からはみ出さずに設置できる位置を選定する。

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2.モデル車の場合、45mmのクリアランスが。

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3.BSC261-Sは余裕。BSC262-Mも取り付け可能だ。

[2]カメラカバーに付属両面テープを貼り付ける

1

1.付属の幅の細い両面テープを1本切り離し、カメラフレームの下面端に貼り付けていく。

2

2.そして、このように全周にムラなく貼り付ける。

3

3.付属脱脂クリーナーのパッケージを切ってクリーナーシートを取り出す。

4

4.選定したカメラ取り付け面を拭いて脱脂する。

[3]カメラによって設置手順や画角調整が微妙に異なる

BSC261-Sの場合
1

1.カメラケーブルをカメラ取り付け穴からケース内に引き込む。

2

2.カメラ側のケーブル端はケースから20~30mmほど残った状態となるよう、ケース内で弛ませておく。

3

3.選定した位置にガムテープでカメラを仮止めし、モニターを接続して写り具合を確認。取り付け位置・角度をマーキングする。

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4.両面テープの剥離紙を剥がし、カメラケーブルをUターンさせてカメラ本体下端に取り回す。

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5.ケース端からカメラケーブルを引き出し、フェンダーとドアの隙間に押し込む。

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6.マーキングに慎重に位置合わせして貼り付ける。

BSC262-Mの場合
1

1.カメラケーブルをケース内に引き込み、20~30mmほど余った状態となるようケース内で弛ませておく。

2

2.カメラの窪みが外側を向くよう軽くはめ込む。

3

3.カメラケーブルをUターンさせてカメラ本体下端に取り回し、両面テープの剥離紙を剥がす。

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4.ケース端からカメラケーブルを引き出してフェンダーとドアの隙間に押し込み、慎重に位置合わせして貼り付ける。

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5/6.カメラ本体は上下左右に自由に動く球体構造で、本体カバーを捻って緩めることで調整できる。

6

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7.モニターを接続し、画角を調整する。

[4]パネル裏にカメラハーネスを這わせる

1

1.フェンダーとドアの隙間に押し込んだカメラケーブルをフェンダー裏端を引き回してドア下部に取り回す。

2

2.クリーナーシートでフェンダー裏端をよく拭いて溜まった砂ボコリを落とし、キッチリ脱脂する。

3

3.配線留め金具を用意し、フェンダー裏端に2~3個、等間隔で貼り付ける。

4

4.カメラハーネスが弛まないようフェンダー裏に密着させつつ配線留め金具でキッチリ押さえ込む。

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5.そして、純正ハーネス引き込み位置より下方に取り回す。

[5]既存グロメットから車内に引き込む

1

1.助手席側のフロントサイドガーニッシュを取り外し、サイドカウルを取り外す。

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2.車内側の純正ハーネスの引き込み位置を確認する。

3

3.純正ハーネスの引き込み口にセットされているダストブーツ端のはめ込み部を車内側から押し出す。

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4.それと同時に表側からダストブーツ端をめくり上げて隙間をつくる。

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5.下方に取り回したカメラケーブルをUターン(雨水溜め)させ、ダストブーツ端の隙間から車内に引き込む。

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6.取り回しを整えつつ弛みを取り、ダストブーツを元通りはめ込む。

映像確認用の小型モニターをAピラー横に設置する
 カメラ映像はナビや既存のモニター等に表示させてもよい。
 しかし、既存モニターでの切り替え表示では「ドアミラーの死角に存在する車両の確認」という機能を最大限発揮させることができない。後方確認時にいちいちモニター表示を切り替えるという運用では、肝心な時に確認しそびれる可能性があるからだ。
 このため、ドアミラーで後方確認する際、同時にもしくは最小限の視線移動でモニター画像を視認ができる状態にするのがベスト。それゆえ、同社スーパースリムモニターの利用が推奨されている。そこで、サイドカメラ専用の小型モニター(スーパースリムモニター)をドアミラーを見通せるAピラー横に設置する。

[1]Aピラー脇にモニターを設置する

1

1.付属の両面テープの片面の剥離紙を剥がし、モニタースタンドの底面に貼り付ける。

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2.スタンド取り付け面の4つの突起をモニター裏面の組み付け穴位置に合わせてまっすぐはめ込む。

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3.モニター裏面に隙間なく密着させたら、上部方向にスライドさせて固定する。

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4.付属脱脂クリーナーのパッケージを切ってクリーナーシートを取り出し、Aピラー横のダッシュボード面を拭いて脱脂する。

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5/6.底面の両面テープの剥離紙を剥がし、Aピラー横に貼り付ける。

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[2]ダッシュボード端にハーネスを取り回す

1

1.Aピラー面にはめ込まれているフロントドアインナーシールをまっすぐ引き抜く。

2

2.モニターハーネスをAピラー端まで取り回し、ダッシュボード前端に生じた隙間からダッシュボード裏に引き込む。

3

3.残りを隙間に押し込みつつサイドカウル位置まで取り回していく。

[3]モニターに電源ハーネスを接続し整える

1

1.リバース連動線(紫)とイルミ連動線(橙)は接続しないため束ねてテープを巻いてハーネスに固定。

2

2/3.電源ケーブルを接続し、テープを巻いて抜け止めする。

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4/5.入力端子(IN1)にブラインドサイドカメラ付属のピン端子ケーブルを接続。テープを巻いて抜け止めする。

[4]電源線を1本にまとめてしまう

1

1.ピン端子ケーブルの反対端をカメラハーネスの映像出力端子に接続。テープを巻いて抜け止めする。

2

2.モニター電源線の分岐端子にカメラの電源端子を接続する。

3

3.カメラハーネスとモニターハーネスのアース線に取り付けられているクワ型端子をカット。

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4.1本にまとめてクワ型端子を取り付ける。

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5.電源接続に必要な長さを残してハーネスの余りを束ね、ばらけないようタイラップを巻いてまとめる。

[5]カメラを接続し、電源を接続する

1

1.カメラケーブルをカメラハーネスに接続。テープを巻いて抜け止めする。

2

2.ヒューズ電源を利用してACC線を分岐し、グローブボックス下部まで取り回してくる。その取り回してきた電源線にモニター電源線を接続。

3

3.ボディ金属面に締め込まれている既存のナットにアース線を共締めする。

斜め後方にクルマ一台分まるまる見えない範囲がある
 ドアミラーで確認できる後方視界は思いの外狭く、死角となる範囲がかなり存在する。左右ともボディの斜め後方に、ほぼクルマ一台分がまるまる見えない範囲があるのだ。
 そのドアミラーでは確認できない死角の端にポールを設置。「ブラインドサイドカメラ」にどのように映るのか確認してみた。そのポール設置風景が下の写真で、ドアミラーに映るのは車両後方の末端から車両幅の半分ほどの範囲。このように実際に確認してみると死角は予想以上に広範囲に及び、今さらながら驚いた。
 また、同条件でBSC261-S、BSC262-Mそれぞれの映像も確認してみた。調整角が微妙に異なるため、画角が若干異なるもののほぼ同様の広範囲を、視線を軽く横にズラすだけで確認することができた。

BSC261-Sの場合

ドアミラーでは見えない広い範囲を確認することができる。が、カメラ角が固定ゆえ画角調整はフレームごと上下させる必要があり、取材車では画角調整後のフレーム取り付け角は下を向いた状態となる。直近のプレスラインと平行にできず、浮いて見えてしまう。

BSC262-Mの場合

スペック的にはBSC261-Sより水平画角が10度広いが、モニターで確認できるほどの差はなくほぼ同様の範囲が映し出されている。一方、フレームはプレスラインに沿うよう設置できるため、サイズ的には大柄ながらモデルSより自然な仕上がりとなる。

斜め後方から近づいてくる車両の様子がバッチリ!
 死角の存在を確認したところで高速道路を実走したみたところ、ミラー内に存在しない車両が斜め後方から近づいてくるさまがバッチリ!これなら車線変更も安全に行うことができる。
 車線変更する時は後方を振り返っての目視による安全確認が必須。とはいえ、後方確認時、一瞬とはいえ前方を見ていない状態となるため前を走るクルマにブレーキを踏まれたりすると危ない状況となる。そんな危険を回避できるぞ!

クルマ電装の基礎知識

1.電源の種類と役割
 クルマの電装には直流の「12V電装」が採用されている。この直流電気、+から-に流れるという通電回路を形成することで初めてエネルギーとして作用する。
 このため、電装品の動作には+線と-線の2本の電源線の接続が必須。で、電装品の数だけ取り回すと膨大な長さとなる。そこで、電気を通す鉄板で構成された金属ボディを-線(アース)の代わりとすることで、配線の簡略化が図られている。このため、ボディ金属面ならどこでもアースを取ること(-接続)ができる。

ST(スターター)
このポジションに回している時のみスターターモーターに12Vが流れる電源線。
IG(イグニッション)
エンジンを始動したり回し続けるために必要となる補機への電気の供給を目的とした電源線。
ACC(アクセサリー)
キーが抜ける位置から一段階回したところから12Vが流れだすアクセサリー機器の動作を目的とした電源線。
+B(常時電源)
イグニッションキーを抜いた状態から他のポジションまで常に12Vが流れ続ける電源線。

ヒューズボックス

2.電源の分岐・接続/ヒューズ電源の使い方

 イグニッションキーで使用条件に応じて割り振られた電気は「ヒューズボックス」を経由し各電装品へ供給。このため、「ヒューズボックス」に組み込まれている各ヒューズには様々な電源が流れている。既存のヒューズと差し替えるだけで配線を分岐できる「ヒューズ電源」を利用すれば、その各種電源を容易に分岐することができる。分岐線にはヒューズやギボシ端子も組み付けられているため電源コードを接続するだけ。手軽で便利!

電源取り出し線が取り付けられている側の端子は上流の「出力側」に合わせてはめ込むのが原則。逆にするとヒューズが切れやすくなるので、利用時は組み付け方向に注意!

通電なし/下流側

電気はヒューズを経由して流れるため、ヒューズを抜いた状態ではキーをどの位置に回しても下流側には通電しない。

通電あり/上流側

常時電源系なら常に、ACCやIG系ならキーをそれぞれの通電位置まで回した時に検電テスターが点灯する。




提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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