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更新日:2022.06.10 / 掲載日:2022.06.10
日産と三菱から電気軽自動車が登場【ニュースキャッチアップ】2台は何が違うのかを比較する
文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌 2022年6月発売号掲載の内容です)
電動化の流れが国民車ともいうべき軽自動車にもやってきた。5月20日に日産と三菱が発表した新型電気軽自動車はそれぞれどのような考えによって作られているのかを紹介する。
日産と三菱で共同開発だが2台の方向性は異なる
2019年の東京モーターショーで公開されたコンセプト「ニッサン IMk」の市販モデルがいよいよ現実の路上を走ろうとしている。
アライアンスを組む日産と三菱は、国内市場の4割を占める軽自動車分野での競争力を高めるべく共同開発に取り組み、2019年春に日産デイズ、三菱eKクロスを生み出した。「IMk」はその電気自動車(BEV)バージョンの予告編だった。
3年の時を経ていよいよ市販モデルが登場したわけだが、想像と違ったのが2台が異なる個性、考え方で作られていることである。まず日産版は車名が「サクラ」と新規で、デイズとは内外装を大幅に変えている。それに対して三菱版は、「eKクロスEV」と車名もデザインもeKクロスの延長線上にある。そして価格帯も日産版の方が三菱版よりも高価に設定されているのだ。三菱は、より多くの人に気軽にBEVのある暮らしを提供したいという考えで、日産は所有することを誇りに思えるような最先端のクルマを目指した。
一方で変わらないのがBEVとしての性能部分。搭載するバッテリー総容量は20kWhで航続距離は最大180km(WLTC)。調査によれば、94%のシーンがカバーできる航続距離で、たとえば通勤に使う場合、1日の走行距離が約30kmなら、週に1度の自宅充電でまかなえるという。
[日産 サクラ]手の届きやすいEVであり軽自動車のフラッグシップでもある
日産は、サクラを電気自動車の裾野を広げる存在であると同時に、軽自動車のフラッグシップでもあると考えている。軽自動車は最高出力が64馬力までに決まっているが、一方で最大トルクについては制限がない。そこで、195Nm(19.9kgm)というエンジン車の倍近い力を与え、あらゆるシーンでゆとりを感じる加速感を実現。高い静粛性と相まって、これまでの軽の常識を覆す走りを実現した。
[三菱 eKクロス EV]ユーザーの選択肢のひとつとしてエンジン車に近い手頃な価格で提供
車名が示すとおり、eKクロスのBEVバージョンであることを強調しているのが三菱の特徴。つまり、これまで慣れ親しんだ軽自動車の使い勝手はそのままに、BEVの世界をできるだけ手頃な価格で提供するというのがコンセプトになる。そのため内外装のあしらいはほぼエンジン版と同じ。バッテリーの関係で最低地上高が155mmから145mmに変更されているが、使い勝手についてはほぼ影響がないだろう。
異なるアプローチで電気自動車の普及を目指す両社
BEVの時代はまだこれから。だからこそ、軽自動車の常識を覆す性能と質感で、所有する喜びを与えたいという日産。それに対して、多くの軽自動車ユーザーに気軽に体験してもらいたいと考えた三菱。いずれもユーザーの気持ちを考えたコンセプトだ。