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更新日:2021.11.10 / 掲載日:2021.11.10
欧州でテスラ モデル3が首位 2021年9月の新車販売台数ランキング
自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Japan Limitedは11月10日、欧州の自動車市場についての最新レポートを公開した。2021年9月の欧州新車販売台数は、世界的な半導体不足の影響もあり、前年同月比で25%減の96万4,800台となっている。
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半導体不足で新車販売は苦境、消費者の視線は中古車に?
JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munozは「ディーラーは、半導体不足のため販売車両が入手困難であるという問題に引き続き直面している。その結果、新車を1年以上待つことを嫌って、多くの消費者が中古車市場に目を向けているのだ」と述べた。
欧州26カ国の年初来累計販売台数は2020年より増えているが、その差は縮まっている。上半期までの累計台数は、2020年上半期に比べて27%増加していたが、9月までの結果では、この差はわずか7%にまで縮まった。Munozは「今年、業界は蔓延する感染症にうまく対応したが、現在は新たなサプライチェーンの問題に直面している。EVの人気が高まっていることは心強いが、他のセグメントで見られる大きな落ち込みを相殺するほどの販売力はまだない」と述べた。
EV、ハイブリッド車ブームが本格化
半導体不足と気候変動問題の深刻化により、ディーゼル車の販売台数は激減しているという。当月、低公害車の販売台数が前年同月比44%増の221,500台となったのに対し、ディーゼル車の販売台数は51%減の167,000台となった。コロナ禍以前は、低公害車1台に対して、ディーゼル車の販売台数は10.3台であったが、現在ではこの比率は1.3台にまで減少している。
ピュアEV(BEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を数多く提供している自動車メーカーは、今回の危機による影響をあまり受けていないという。Munozは「このような規模の変化はまれであり、さまざまな要因が重なって現在の状況に至っている。インセンティブに加えて、自動車メーカーはモデル数を増やしたり、キャンペーンを用意して提供内容を充実させており、多くのメーカーは限られた半導体の供給を内燃機関(ICE)車ではなくEVの生産にシフトさせている」と説明する。
「テスラ モデル3」EVとして初の販売ランキング1位
EVブームの結果、9月のモデル別販売ランキングでは、テスラ モデル3が24,600台の販売台数(マーケットシェア2.6%)で首位となった。EVが首位となったのは初めてであり、欧州以外で製造された車両が首位となったのも初めてのことである。
モデル3が好調なのは、テスラが各四半期の終わりに集中的な販売を行うことも要因のひとつ。9月は歴史的に、米国メーカーの欧州での実績が好調で、2018年以降の第3四半期の販売台数のうち、平均して68%を占めている。当月は、第3四半期の台数の74%を占めた。また、テスラ モデルYも欧州市場へ参入して以来順調で、BEVランキングで2位を確保している。
この2つのモデルの成功により、テスラはBEV市場で24%のシェアを獲得し、フォルクスワーゲングループ(22%)、ステランティス(13%)、ヒュンダイ・キア(ほぼ11%)を抑えて首位に立った。また、テスラは、フィアット、日産、セアト(Seat)などの歴史あるブランドよりも多くの台数を販売している。
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SUVのマーケットシェアが50%に達する勢い
当月、欧州で販売された乗用車のうち46.5%がSUVであり、SUVの月次マーケットシェアは過去最高となった。自動車メーカーが危機的状況に直面しているにもかかわらず、テスラ モデルYに代表されるBEVやプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)のおかげで、SUV人気は衰えることを知らないようだ。Munozは「この傾向が続けば、欧州の道路は、新車販売台数の半分以上がSUVである米国と同じような状況になるかもしれない」と述べた。
このセグメントは、フォルクスワーゲングループ、ステランティス、ヒュンダイ・キアがリードしており、当月に大きなシェアを獲得したのは、ヒュンダイ・キア、テスラ、フォルクスワーゲングループであった。
その他の主役たち マツダ MX-30も好調
現代自動車の小型クロスオーバーSUV、ヒュンダイ ツーソン(Hyundai Tucson)は前年同月比40%増加し、再びトップ10入りを果たした。BMW 3シリーズは、モデル3と直接競合するにもかかわらず、24%の増加。新型となったオペル/ボクスホール モッカ(Opel/Vauxhall Mokka)は、9,700台を売り上げて22位となり、順位を上げ続けている。28位のテスラ モデルYは、消費者に人気のあるフィアット パンダ、プジョー 3008、フォルクスワーゲン ID.3などの販売台数を上回った。
また、キア シード(Kia Ceed)、BMW 4シリーズ、DS 7 クロスバック、マツダ MX-30、フォルクスワーゲン アルテオン、ポルシェ タイカンも好調な伸びを示した。新しく投入されたモデルでは、ルノー アルカナ(Arkana)が約7,000台を販売し、ルノーとして3番目に多く販売されたモデルとなっている。シトロエン C4とシュコダ エンヤック(Skoda Enyaq)も好調で、それぞれのブランドで2番目に多く売れたモデルとなった。