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更新日:2020.08.27 / 掲載日:2020.08.27

【ホンダ e】ついに価格が発表された小型EVは、先進性を突き詰めた「2030年のクルマ」

ホンダ e

ホンダ e

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 愛嬌たっぷりのスタイルと先進的な機能が話題となっているホンダの新型電気自動車「ホンダe」の日本での発売日と価格が、ついに明かされた。注目の価格だけでなく、数々の個性的な特徴などの最新情報をまとめてお伝えしよう。

注目の価格は!?

正式な発売は、2020年10月30日(金)から

正式な発売は、2020年10月30日(金)から

 今年4月より欧州で販売が開始された新型コンパクトEV「ホンダe」が、生まれ故郷である日本でもデビューを果たす。既に全国のホンダディーラーでは、顧客へのアピールも開始されているようだが、正式な発売は、2020年10月30日(金)からとなる。

 最大の関心事となる価格だが、ベースグレード「ホンダe」の451万円と上級グレード「ホンダe アドバンス」が495万円となる。これは補助金を含まない金額であり、CEV補助金がベースグレードで23万6000円、アドバンスで16万8000円が補助される見込み。また自治体によっては、独自の補助が受けられるケースもあるようだ。

 正直、コンパクトカーだけに、予想よりもずっと高いと感じる人も多いだろう。しかし、その内容は、EVとしての優れた基本性能に加え、周囲の状況を認識しドライバーをサポートする安全運転支援システムのホンダセンシングなどをはじめとする先進機能も満載。まさに、小さな高級車といって良い内容となっている。

未来を先取りしたクルマ

2017年に公開された「Honda urban EV concept」(写真:ホンダ)

2017年に公開された「Honda urban EV concept」(写真:ホンダ)

 開発主査である一瀬智史氏によれば、10年後の未来を見据えた2030年のクルマを今、送り出したのが、ホンダeだという。将来、常識となっていると思われる新機能の採用だけでなく、EVの在り方さえもホンダ独自に模索して生まれた提案型の新型車といえるのだ。もちろん、その中では、他とは似ていない個性的な商品であるというホンダイズムもしっかりと含まれている。

 そもそも開発は、2020年より導入されるCAFE規制(クルマの燃費規制で、車種ではなくメーカー全体の出荷台数を加味した平均燃費(過重調和平均燃費)を算出して規制する)をきっかけとしており、その中心である欧州を主戦場とするモデルだ。そこで開発の事前調査で、欧州の街中では、洒落たコンパクトカーの活躍が中心であることを目の当たりにする。そこで人が多い場所でこそ、活躍できる環境車を目指すことで、コンセプト段階からコンパクトカーであることは決定していたという。これが2017年9月のジュネーブショーで世界初公開されたEVコンセプトカー「Honda urban EV concept」で具現化され、ホンダeへと繋がっていった。

街乗りを重視したデザインとサイズ

シンプルかつ先進的なデザインは海外の権威あるデザイン賞も受賞した

シンプルかつ先進的なデザインは海外の権威あるデザイン賞も受賞した

 愛らしいスタイルのボディは、全長4m以下とコンパクト。これも街中での機動力を重視してのことだ。さらに開発当初は、前輪駆動車であったが、さらに取り回しを良くするために後輪駆動車に変更。最小回転半径を4.3mまで縮小。因みにフィットの最も小回りの利くグレードでも4.9mなので、かなり優秀であることが分かる。またドアミラーをカメラ式とすることで、車幅も小さくしているのも特徴だ。

 エクステリアは、愛嬌たっぷりだが、プレーンさを重視した「シンプルイズベスト」なデザイン。ただクルマの特徴となる丸目LEDランプ取り入れた前後マスク、ボンネット上に配置された充電口、カメラ式ドアミラーなどをブラック化することで、独自の世界観を主張する。またルーフ部もガラスルーフが備わるため、ブラック仕上げだ。ボディカラーは、新色チャージイエローをはじめ、元気な色からシックな色まで幅広い全7色を取りそろえる。またグレードによる外観上の大きな差は、標準車が16インチ、アドバンスが17インチ仕様となる程度の様だ。

まるで居心地は自宅のリビング!

ダッシュボードに合計5枚の液晶モニターが並ぶインパネ

ダッシュボードに合計5枚の液晶モニターが並ぶインパネ

 コンパクトなボディだが、大人4人が快適に移動できるスペースを確保。シートやインテリアの質感は、快適なソファを連想させる。インテリア全体のデザインでも、敢えて住宅のように直線的に仕上げることで、リビングのような快適空間を目指している。

 もちろん、最大の見せ場は、液晶スクリーンを5つ組み合わせたダッシュボードの存在だ。中央のインフォテイメントシステムのモニターは、2枚の12.3インチのタッチスクリーンを組み合わせた超ワイドなもの。左右独立した表示に加え、ワイド表示も可能。充電中は、車内で映画鑑賞も楽しめるほどの高画質な画面と迫力のサウンドシステムが備わるのも自慢。インフォテイメントシステムは、音声操作が可能な「Hondaパーソナルアシスト」を装備。対話式システムなので、キーワードではなく、話しかけるように検索をすることができるのも便利なところだ。さらに左右には、カメラ式ミラー用モニターと、運転席前にはフルデジタル表示のメーターパネルが備わる。ただエアコンは、別途ダイヤルとボタン式の専用スイッチが設けられているので、手探りで操作が出来るのも優れたところだ。

 細かい点では、シンプルかつスタイリッシュさを重視しており、必要な小物入れなどは配置されているものの、その数や配置を厳選しているという。

  • シートサイズは立派で表皮の質感も高い

    シートサイズは立派で表皮の質感も高い

  • ソファのような座り心地を大事にした後席

    ソファのような座り心地を大事にした後席

  • シティコミューターとして必要十分なラゲッジ空間を確保

    シティコミューターとして必要十分なラゲッジ空間を確保

  • スマートフォンによる解錠とスタートにも対応

    スマートフォンによる解錠とスタートにも対応

  • サイドミラーは全車標準でカメラ式を採用。全幅を抑え、狭い街中での取り回しを助ける

    サイドミラーは全車標準でカメラ式を採用。全幅を抑え、狭い街中での取り回しを助ける

街乗りと走りを意識したEV性能

専用開発されたプラットフォーム。空間効率と走行性能を両立させた

専用開発されたプラットフォーム。空間効率と走行性能を両立させた

 コンパクトなボディにEVシステムを収めるために、専用開発のプラットフォームを採用。キャビン下のフロアには、35.5kWhのリチウムイオン電池を搭載。航続距離は、WLTCモードで283km(JC08モードで308km)を実現。エンジン車の感覚では、少々物足りなさもあるが、これも街乗り中心の用途を意識し、実用的なコンパクトEVを仕立てる秘策でもある。最も充電にも配慮しており、充電効率に優れるバッテリーを採用。充電方法も、200Vno普通充電に加え、CHAdeMO規格の急速充電に対応する。その結果、30分の急速充電で202km分の電力を蓄えることが出来るので、急速充電の活用したロングドライブにも対応できる仕組みを備えているのが強みだ。

 モーターも強力なものを備えており、アコードハイブリッドのモーターを流用することで、最高出力113kW、最大トルク315Nmを発揮。3.0LのV6エンジン並みのトルクを備えているので、かなりスポーティな走りも楽しめるだろう。

 電動車らしく、回生ブレーキを活かしたワンペダルコントロール機能も備えるが、通常のAT車にように、クリープ付きの走行も可能。これならEVに不慣れな人でも、エンジン車感覚で操れる。また回生ブレーキの強さは、ワンペダルコントール時と通常時のいずれでも最大減速力こそ異なるが、パドルシフトにより段階的に調整することもできる。

  • 小回り性能にこだわり、最小回転半径は4.3mと優秀

    小回り性能にこだわり、最小回転半径は4.3mと優秀

  • パワートレインをリヤに搭載し後輪を駆動。走行性能の資質も高いとホンダは主張している

    パワートレインをリヤに搭載し後輪を駆動。走行性能の資質も高いとホンダは主張している

「ホンダ e」を今、送り出すことの意味

ホンダ eの年間販売目標は1000台

ホンダ eの年間販売目標は1000台

 まだまだ紹介しきれないほどの新規機能や充実装備を誇るホンダeだが、初年度の販売目標は1000台と控えめ。これは高価なコンパクトカーであることへの理解やEVシティコミューターがマッチする人などが、まだまだ限定的だとすることもあるようだ。確かに今は、高価なシティコミューターと見てしまう向きがあるが、ハイブリッドカーが主力となっている現状からも分かるように、日本市場は電動車に関心が薄いわけではない。爆発的人気とはいかないだろうが、10年先取りの機能を満載したホンダEVだけに、新たなホンダファンの構築や今後の電動化戦略における役目や知見など、ホンダeが果たす役目は、決して小さくないはずだ。またPHEVやFCVなど新たな電動車が、比較的大きなクルマばかりであることに対して、日本にも丁度良い小さな車を投入した意味は大きいだろう。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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