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更新日:2024.12.10 / 掲載日:2024.12.10
ニューモデルで振り返る2024年…自動車業界はどう動いた?最新トレンドを分析!
こんな傾向があった自動車業界 2024年今年のクルマたち
文●ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、スズキ
※ナンバープレートは、一部はめ込み合成です。※中古車参考価格はすべてグーネット2024年11月調べ。
(掲載されている内容はグー本誌2024年12月発売号「こんな傾向があった自動車業界 2024年今年のクルマたち」記事の内容です)
軽自動車から大型のピックアップトラックまで、2024年も多彩なニューモデルが登場した。ここでは、2024年の自動車業界がどのようなものだったのか。それらの動向を分析していく。
短期間開発の実現によってより世相を反映した内容に
クルマを見れば世の中がわかる。2024年に登場したニューモデルたちを見ていると、まさにそんな実感が湧いてくる。
かつて新型車を作るには、5年から、物によっては10年近い歳月がかかっていた。それが今や3年ほどの短期間でニューモデルが投入できるようになっている。
背景にあるのが、開発環境のデジタル化で、コンピューター上で多くの工程を進められるようになり、コミュニケーションツールが発達したことで短期間化が可能になったという。ほかにも、たくさんのボディバリエーションが作れるように、あらかじめ車体の骨格となるプラットフォームを設計しているなど設計の合理化も大きく影響している。
開発期間が短縮されたことのメリットはコスト削減だけではない。世の中の動きを敏感に察知して、いち早く反映させた商品が企画できるようになったのだ。
多種多様なSUVが発売されているのもそう。トレンドに沿った素早い商品開発がブームを生み出した。また、2024年の特徴としてはコロナ禍に企画・開発された新型車が登場したことも大きい。
巣ごもり需要はひと段落したが、人々の価値観が変化したことを受け、そうした需要に応えるモデルが登場してきている。たとえばアウトドア的なテイストを強めたものがそう。豊かなライフスタイルをイメージさせる提案型の商品だ。
より時代の変化を敏感に取り込み進化していくクルマたち。2025年にはどんなニューモデルが登場してヒット作になるのか楽しみだ。
盛り上がったのはどのカテゴリー?
日本カー・オブ・ザ・イヤー 2024-2025にノミネートされた国産のニューモデルは18台。それをカテゴリーごとに分析していく。
軽自動車
今や多くのユーザーが軽自動車をメインカーとして選ぶ時代となり、ただ便利なだけでは競争に勝てない時代に。そこで各社からアウトドア的なイメージを備えたスーパーハイトワゴンの派生モデルが登場している。
コンパクト
SUVタイプを採用したコンパクトカーが引き続き流行中。より大きなボディサイズのクルマに乗っていたユーザーからの乗り換えをねらった上質な質感を備えたラグジュアリータイプも生まれている。実力派が多く揃うカテゴリー。
セダン
カテゴリーを代表するクラウンがフルモデルチェンジ。さらにホンダからも上級セダンであるアコードが発売され、なかなかの盛り上がり。価値観が多様化するなか、セダンならではの上質感にこだわったモデルが登場している。
SUV
10モデル近く新型車が登場、今年も非常に盛り上がっていたSUVカテゴリー。コンパクトモデルから高価格モデルまで多彩な選択肢が登場した。また、本格的な悪路走破性能を持つクロスカントリー車も注目されている。
電気自動車
電気自動車は、市街地を中心に決まった距離を走るような使い方が向いている。そのため、2024年は配送業者などをターゲットにした商用の電気自動車が複数登場。モデルによっては、一般ユーザー向けのグレードも用意される。
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」とは?
一般社団法人 日本カー・オブ・ザ・イヤーが実施する「今年のクルマ」を選ぶイベントで、本誌グーも参加している。年間を通じて最も優秀なクルマを選定することで、自動車業界の健全な発展を目指す。本年の最終選考会は2024年12月5日に行われる。
定番になったアウトドア系モデル
今やブームというよりも、ライフスタイルとして定着しているアウトドアレジャー。そうした使い方にマッチするアウトドア系派生モデルがトレンドになっている。最低地上高をアップし、フェンダーやバンパー下部が樹脂になっている。
[ホンダ N-BOX JOY]まるでテラスのように使えるワザありラゲッジスペース
ついに登場したN-BOXベースのアウトドア仕様。本格的なキャンプというよりも、日常生活での自由が広がるというコンセプトで企画されている。防水加工を施した荷室は、テラスのように使えるよう床の高さを調整した。
[トヨタ クラウンクロスオーバー]SUVらしさを強調した特別仕様車が登場
クラウンがSUVスタイルを採用したのも驚きだったのに、特別仕様車「RS ランドスケープ」は思い切ったアウトドア仕様で登場した。オーバーフェンダーやマッドガードを採用し、最低地上高も25mmアップしている。
from USED CAR[三菱 デリカ D:5]本格SUV並みの悪路走破性能
ミニバンの居住性とSUVの多用途性能を兼ね備えているのがデリカD:5。唯一無二の個性が人気を集め、中古車市場でも高値で取り引きされている。
中古車参考価格帯:90万円~650万円(07年~24年 デリカD:5 全グレード)
存在感を発揮するビッグモデルたち
リアシートにゆとりを持たせたビッグモデルが増加傾向にある。たとえばレクサスLMの全長は約5.1mで、後席はファーストクラスレベル。マツダのフラッグシップモデルであるCX-80は3列目を備えるSUVで、ミニバン的な使い方にも対応する。
[マツダ CX-80]ミニバン的にも使える大型ラグジュアリーSUV
マツダのフラッグシップモデルとして登場したSUV。約5mの全長に3列シートをパッケージングすることで、ミニバン的な使い方もできるようになっている。エクステリアは重厚な雰囲気で、インテリアの品質感も高い。
[レクサス LM]ファーストクラスのようなレクサスのミニバン
全長5mを超えるビッグサイズを生かした2列目空間は、まさにファーストクラス。1列目と2列目の間には電動開閉式パーティションも用意される。3列シート仕様も追加された。存在感とゴージャスさは比べるものがない。
from USED CAR[トヨタ アルファード(先代)]高級セダンに匹敵するプレステージ
言わずと知れたミニバンの王様。大きな車体を生かしたゆとりの室内空間は質感も高く、まるでリビングルーム。高年式モデルはプレミア価格。
中古車参考価格帯:260万円~1150万円(15年~23年 アルファード 全グレード)
注目を集める海外生まれの日本車
運転支援装備の標準化や物価高を背景にクルマの価格が上がっている。そこで各社から、価格競争力と魅力を兼ね備えた海外生まれの日本車を投入するトレンドが生まれている。もちろん、価格だけでなくクルマとして強い個性を持つものもある。
[ホンダ WR-V]開発はタイ、生産するのはインドという国際派SUV
街中で扱いやすいサイズ、そして手頃な価格を両立させることで、SUVの魅力を多くのユーザーに体験してもらいたいと企画されたWR-V。製造はインドで装備もシンプル、しかしその素朴さがツールとしての魅力につながっている。
[三菱 トライトン]世界150カ国で販売される三菱自慢のピックアップ
主に未舗装路の多い地域向けの商品として企画されたトライトン。しかし、最新モデルはSUVと比較しても十分戦える快適性を備えているということで日本にも導入された。サイズを感じさせない運転しやすさが魅力だ。
from USED CAR[日産 キックス]コスパに優れ使いやすいHV車
ハイブリッド専用車でありながら新車価格200万円後半スタートとコスパのいいSUV。中古車は台数が非常に多く、好みの色や仕様から選べる。
中古車参考価格帯:190万円~330万円(20年~24年 キックス 全グレード)
次世代パワートレインの先進性
内燃機関から電気自動車へ一気に置き換えするのは現実的ではないというのが昨今の情勢。そこで、電気自動車の弱点であるバッテリーをサポートするハイブリッドタイプの次世代パワートレインが登場している。これからも注目のジャンルだ。
[ホンダ CR-V e:FCEV]脱専用モデルで低コストに未来の技術が身近になった
水素で発電する燃料電池システムをプラグインハイブリッド車に搭載。使い勝手を大幅に高めている。充電した電力で走ったり、水素で発電しながら走ったり、貯めた電力を外部に供給することも。走るモバイルバッテリー的存在。
[マツダ MX-30 ロータリーEV]ロータリーを発電機として電気自動車に搭載
マツダが大切に守り続けているロータリーエンジンを、電気自動車の発電用エンジンとして搭載したのがポイント。小さくて軽いロータリーの利点を生かし、電気自動車の弱点である航続距離の問題をカバーしている。
from USED CAR[トヨタ ミライ]高級セダンとしての実力はピカイチ
水素から電力を作り出してモーターで走行するFCEV。新車価格は700万円オーバーで、生活圏に水素スタンドがあれば、中古車価格はかなり割安。
中古車参考価格帯:250万円~600万円(20年~24年 MIRAI 全グレード)