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更新日:2018.11.14 / 掲載日:2014.05.29

【徹底紹介】ポルシェ ケイマン

ポルシェ ケイマン

走りをさらに磨いたピュアスポーツモデル

ポルシェ ケイマン(側面)

ポルシェが、第3のスポーツカーラインとなるケイマンを投入したのは、ボクスターが第2世代の987型へと移行するタイミング。具体的には06年モデルにおいてのことだ。

 ご存じのように、ロードスターのボクスターとクーペのケイマンは、ベースを共有する兄弟の関係。ミッドシップ2シーターのレイアウトを特徴とし、リヤエンジンと2+2の伝統を継承する911よりも、スポーツカーとしての純度はより高い。なら、そのクーペ版の存在意義は?

 競合関係にある日産「370Z(国内名フェアレディZ)」やBMW「Z3」が、クーペとロードスターの2本立てで好評を博していたことを考えれば、ポルシェがクーペ版を追加した理由も納得できるだろう。

 クローズドボディがもたらすものは、大きく分けてふたつ。ひとつは、ボディ剛性の向上がもたらす走りの能力アップ。もうひとつはクローズドトップならではの安全性やセキュリティのレベルアップや、ハッチバックが生む実用性の向上で、クーペは日常生活への適応力がより高い。

ポルシェ ケイマン(側面)


 そんな優れた資質を持つポルシェの新作は、世界のファンに大歓迎された。走りの才能や操る喜びに関して、兄貴の911カレラを脅かす潜在能力を実証したのだから当然だろう。で、13年モデルにおいては、満を持して第2世代モデルを投入した。

 その見どころは、ミッドシップスポーツらしい迫力を増した容姿だけではない。なにしろ、987型から981型の変身では、プラットフォームやボディ構造からの大改革を実践している。約44%にアルミを使用するボディはその代表で、飛躍的な剛性向上や安全性強化を図りながら、約20kgの減量を成功させた。

 60mm拡大したホイールベースや、前を40mm、後ろを10mm拡幅したトレッド、そして10mm低くなった全高、1インチの大径化を図ったホイールも注目のカギで、スポーツカーとしての資質は一段と向上。さらには内装の質感向上も光る点で、全身に行き渡る魅力強化を図っている。

文●森野恭行 写真●GooWORLD
お問い合わせ●ポルシェ カスタマーケアセンター TEL:0120-846-911

DETAIL

  • ポルシェ ケイマン(正面)

  • ポルシェ ケイマン(背面)

ポルシェ ケイマンS(6速AT)

全長×全幅×全高4380×1800×1295mm
ホイールベース2475mm
トレッド前/後1526/1540mm
エンジン直4DOHCターボ
総排気量3436cc
最高出力325ps/7400rpm
最大トルク37.7kg m/4500-5800rpm
サスペンション前/後ストラット/ストラット
タイヤサイズ前後235/40ZR19・265/40ZR19

新車価格

ザ・ビートル デザイン(7速AT・DSG)264万9000円
ザ・ビートル デザイン レザーパッケージ(7速AT・DSG)343万9000円
ザ・ビートル デザイン ターボ(7速AT・DSG)361万5000円
ザ・ビートルカブリオレ(6速AT・DSG)395万8000円
発売:2012年6月

HISTORY

2012.06ザ・ビートルを発売
大人気だったニュービートルの後継モデルとして、ザ・ビートルが登場。エンジンは105馬力の1.2Lターボを搭載する。
2013.03ザ・ビートルカブリオレを発売
6層構造のソフトトップを備えたカブリオレが設定された。開閉時間はわずか10秒。50km/h以下なら走行中でも作動可能。
2013.05「フェンダーエディション」を限定発売
ギターやアンプメーカーとして有名な米フェンダー社と共同開発したオーディオシステムを搭載する600台の限定車が登場。
2013.10「デザイン レザーパッケージ」を仕様変更
上級グレード「デザイン レザーパッケージ」に純正ナビ「712SDCW」とパークディスタンスコントロールを標準装備。
2013.11「レーサー」を限定発売
刺激的なデザインと走りを持つ限定車。専用エクステリア、スポーツシート、19インチホイールを装備。
2014.05「ジャーニー」を限定発売
純正ナビ「522SDCW」やETCユニット、LEDポジションランプ付きバイキセノンヘッドライトなどを装備した限定車が登場。

全体にみなぎるプレミアムたるクオリティ

新世代の水冷ポルシェのトップバッターとなったのは、986型のボクスター。正直言って、内装の質感に対する評価は芳しいものではなかったが、987型では大きな改善が見られ、続く981型では一段のクオリティアップが図られている。 低くセットされたシートに身を収めれば、プレミアムスポーツカーの代表格であるポルシェを操る喜びに浸ることができるだろう。基本デザインは991型911と同じだが、5眼式の911に対して3眼式となるメーターが象徴するように、ミッドシップ系のコックピットはシンプルデザインを持ち味とする。なお、パーキングブレーキはMT車を含めて電気式を採用。センターコンソールの造形の洗練に一役買っている。

ホイールベース延長に伴い、Aピラー立ち上げ位置が100mmほど前方に移動したが、視界に与える悪影響はほとんどなし。左右フェンダーの峰が強調されたことで、ムード面ではミッドシップスポーツらしさがより高まった。また、テレスコピックに加えてチルト調整も可能としたことで、ドラポジ設定の自由度が向上したのも見逃せない進化だ。

 ちなみに、撮影車のレザーシートはオプション設定のもの。レザー張りダッシュボードやBOSEサウンドシステムなどのゴージャス感を高めるオプションや、カーボン製バケットシートなどの走りのアイテムが豊富に用意されるから、好みのケイマンに仕立てることができる。

  • 918スパイダーや60年代のレーシングマシンとイメージが重なる精悍なヘッドライト。

  • 先代と同様にリヤスポイラーは格納式。

  • センター出しエグゾーストがレーシーなムードを演出。

  • 標準サイズは2.7Lが18インチ、3.4LのSが19インチだが、撮影車はオプションの20インチタイヤを履く。

  • 中央にタコメーターを置く3眼式メーター。

  • 実用的なハッチバックを採用。荷室容量は約275Lを確保する。

  • スイッチがズラリと並ぶセンターコンソール。現行のポルシェに共通する造形だ。

パワーアップとエコを進める新世代スポーツカー

 DFI(直噴)採用の新世代水冷6気筒ボクサーや、6速MT&7速PDKの構成のミッションは、基本を987後期型から引き継いだもの。だが、ベースエンジンは2.9Lから2.7Lへと排気量を縮小。スタート/ストップシステムやエネルギー回生の採用からもわかるように、環境に配慮した設計を特徴とする。その上で、先代2.9Lと同等の275馬力/29.6kgmを確保したのは立派だ。そして、3.4Lを踏襲するSの心臓は、先代比5馬力アップの325馬力/37.7kgmの高性能を誇る。

  • オプション設定のPTVは、左右個別の後輪ブレーキ制御によりトルクベクトリング効果を生み出し、回頭性を向上させるもの。リミテッドスリップデフとの連携も行う。

  • ポルシェ伝統のフラット6を、ミッドに縦置きでマウントする。イラストを見ただけでも、優れた前後バランスやヨー慣性の小ささ、低い重心高をイメージできる。

  • Cd値は先代と同等の0.30。120km/h以上で自動的に上昇するリヤスポイラーが、リヤの揚力を低減させて高速スタビリティを確保する役目を果たす。造形は理詰め。

高次元のボディが生む爽快なドライブフィール

 ミッドシップ+クーペボディのケイマンは、そもそもポルシェ随一と言える走りの資質を備える。ボクスターと比べれば、高剛性ボディがもたらす、よりソリッド感の強い走り味や正確なハンドリングが光るところ。そして比較対象を911とすれば、身のこなしの軽快感や限界域の高いコントロール性などを、優位点として挙げることができる。 そんなケイマンの走りの才能は、981型への進化で一段とレベルアップが図られた。ハードに攻めるほど明確になるのは、ボディバランスの改善。ホイールベースやトレッドの拡大は、上屋のムダな動きを抑える効果を生み、応答の鋭さや正確性がさらに際立つようになった。コーナリングはまさしく意のままだ。 加えて、高速スタビリティもひとつ上のレベルに高められ、乗り心地の快適度も明らかに向上しているのだから、だれもが歓迎する進化の方向といえるだろう。そこで、操縦安定性と快適性のバランス点のアップをねらうなら、電制ダンパーのPASMはぜひ選びたいオプション。 で、刺激的な走りを存分に楽しみたいという猛者には、ダイナミックトランスミッションマウントを含むスポーツクロノパッケージをお薦めする。走りのソリッド感が高まり、一段と操る喜びの質を高めてくれる。

標準モデルからGTSまで好みに応じて選べるケイマン

 “素”の2.7L、S用の3.4Lとも、ボクスターより10馬力&10Nm強力なチューンということから、ケイマンが性能に根ざしたモデルであることがわかるはず。そんな本質に目を向ければ、より「らしさ」が味わえるのはSだ。でも、15馬力強力な心臓を積むGTSも上陸間近ということで、大いに迷うことになる。逆に、軽やかさや能力を使い切る楽しさを重視するなら、“素”のモデルが適している。“素”でも性能は十二分なものだ。そしてミッション。PDKの出来のよさは十分理解した上で、MTで操るケイマンの特別な楽しさもお伝えしておきたい。

  • 中古車市場データ

  • 中古車市場データ

    2012年12月に国内発表となったケイマン。登場から1年ほどなので、中古車はまだほとんど流通していない。新車とほぼ変わらないような状態の車両が数台存在するのみだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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