中古車購入
更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.04

宇宙から舞い降りた!! かのようなスタイルの NEWムラーノ初試乗

【本記事は2008年11月にベストカーに掲載された記事となります。】最初は北米専用のつもりだったけれど、ほかの地域にも持っていったら意外に売れたというのが初代ムラーノ。’02年北米デビュー以降販売地域を拡大しつつ、最終的には累計50万台を突破したというんだからけっこうなヒットで、世界80カ国で販売されていた。だから、今度のムラーノは「最初から世界中で売るぞ!」がテーマだ。なんと、この2代目は世界170カ国で販売するという。好評だった未来的スタイリングはそのまま踏襲し、足まわりはティアナで導入した新型Dプラットフォームを採用。エンジンはキャリーオーバーだがミッションは新しい制御を入れたエクストロニックCVTに進化させ、動力性能と燃費を同時に向上させる……。こういう“理詰め”の進化は日本の自動車メーカーが最も得意とするところだけに、実際キッチリといい仕事をしてきている。

内装の品質が飛躍的に向上!

内装のクォリティアップは顕著。高級車としても充分に通用する

内装のクォリティアップは顕著。高級車としても充分に通用する

実車に接してみると、スタイリングは初代ムラーノの未来的なイメージを受け継ぎつつ、全体的により洗練されたカタチに進化しているのがわかる。個性的なスタイリングはこのクルマの大きなセールスポイントだけに、ここが平凡だとムラーノじゃない。キャラクターの強さはそのままに、贅肉を削ってシェイプアップし、ディテールの品質感を向上させたという印象。先代ムラーノを好ましく思っていた人には間違いなくストライクなデザインだ。また、弱点といわれてきた内装品質が長足の進歩を果たしている。先代ムラーノは北米向け企画だったため、インパネやドアトリムの形状や質感がやたらチープ。ライバルのハリアーに大きく見劣りしていた。新型は逆にインテリアのクォリティを誇れるクルマになったといっても過言じゃない。ソフトパッドを多用した手触りのよさ、樹脂成型パーツの精度・建てつけ、金属ヘアライン仕上げのトリムを上手に使ったハイテクイメージの演出など、最近の日産はインテリア作りが巧み。ゆったりしたシートの座り心地とあいまって、乗る人にプレミアムカーらしい満足感を提供することに成功している。

V6は◎、直4は△

しっとりした乗り心地が印象的なニュームラーノの走り。この点では先代型を大きくリード

しっとりした乗り心地が印象的なニュームラーノの走り。この点では先代型を大きくリード

走りについては、エンジンが基本的に先代と共通だからそれほどビックリするような差はないが、CVTとの協調制御をより高度化したことでドライバビリティがよくなっている。それを具体的に感じるのは、飛ばしている時よりもむしろアクセル開度の小さい市街地走行。CVTをあまりビジーに変速させず、エンジンの“素のトルク感”でスーッと加速する気持ちよさなど、思わず「VQ35頑張ってるじゃん!」って誉めてあげたい気持ちになる。そういえば、新型のVQ35DEはカタログ値で旧型から29psアップの260psなのだが、トップエンドだけじゃなく中速域のトルクがとってもリッチ。ハリアーの2GR-FEと比べると速さよりドライバビリティを重視したコンセプトが明確で、SUVという性格や燃費性能のことを考えると、これはなかなかクレバーなセッティングといえる。いっぽう、QR25DEに関してはドライバビリティ面の不満はないものの、高回転まで回すと直4っぽいサウンドが高まってちょっと高級感を欠く。2.5Lも全車4WD化されたにもかかわらず、旧型の2WDより燃費が向上してるのは立派なんだけれど、やはりQRはエンジン自体がちょっと古い感じ。少なくともエンジンの“音質”の改善だけでも早急に手を打ってほしいところだ。足まわりについては、新型ティアナで乗り心地が高く評価されたFFのDプラットフォームが使われている。前ストラット/後マルチリンクのサスペンションはアルミ鍛造パーツを多用するなどなかなかに贅沢な構成。「走りのイイ日産車」というブランドイメージを確立するうえで、このへんは譲れない部分という意気込みがうかがえる。

乗り心地はSUVナンバーワン

主要諸元

主要諸元

この上等なシャシー素材から導き出された乗り味は、まず第一に静粛で快適な乗り心地だ。ムラーノの乗り心地は、ともするとドタドタしがちなSUVとしては異例なほどしっとりしていて、235/65R18のでっかいタイヤがバネ下で動いているとは思えないほど路面からの入力が滑らか。欲をいえばバネ上の細かい動きをもっと抑制できればベストだが、それでも文句なしにSUVでは乗り心地ナンバーワンといえる。そのいっぽうで、ワインディングをビュンビュン飛ばすような走りはさほど重視していない。操舵フィールはマイルドで、攻め込んでゆくと早めにフロントが逃げるハッキリしたアンダーステア。全車VDCが標準だからそれ以上何も起こらないんだけれど、まぁ峠を攻めて面白いクルマじゃない。おそらく、オールモード4×4iと組み合わせて雪道ではかなりバランスのいいハンドリングが楽しめるんじゃないかと思うけれど、ドライの舗装路では運動性より快適な高速ツアラーというキャラクターを重視した足まわり設定といえる。いまの日本は315万~404万円の高級SUVがそんなにたくさん売れる社会情勢ではないけれど、それでもこのセグメントにおけるムラーノの競争力はかなり高い。900台という月販目標台数程度は、充分こなせそうなよくできたクルマだと思います。しかし、今回のモデルは4駆のみで、買うには少々勇気のいる価格設定になっている。旧型の場合、販売の8割がFFだったのだから、スタイルとインテリアを楽しむという観点で、安価なFFをラインアップに加えてもらいたいものだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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