車の歴史
更新日:2020.03.10 / 掲載日:2020.03.10

SUZUKI MIGHTY BOY 【2】

しっかりメンテナンスされるような車種ではないので、リフレッシュ効果は高いが…

足回り ブッシュやショックなど経年劣化部は既に交換時期を過ぎているものばかり

FRONT

ブレーキやハブもO/H時期のもの多し

後期の最上級グレード、PS-Lに採用されたディスクブレーキ。それ以外はドラムブレーキとなる。メンテナンスされていない車両も多いようなので、ハブも含めキャリパーなどをしっかりリフレッシュしてやろう。

タイロッドの接続方向

フロントがドラムブレーキのグレードに乗っている人がディスク化する際、660世代のものをハブごと流用しようとしても、残念ながらタイロッドとハブの接続方向が逆ですんなりと流用できない。660世代のものはタイロッドが上からハブに接続されるのだ。

テンションロッドを兼ねる構造となるスタビライザーのブッシュ

  • マイティボーイのフロントサスペンションはストラット式。ロアアームはIアームで、テンションロッドを兼ねたスタビライザーで前後方向の動きを規制している。

  • そのためブッシュは摩耗しやすく、アーム側、ボディ側ともガタが発生していることが多いそうだ。

専用の社外ショックは存在しないのだが……

現在ではマー坊用の社外ショックは販売されていない。660世代のショックを流用できるが、ハブ側の取り付け部の幅が660世代用のハブよりも狭いため、ショック側の幅に合わせるためのスペーサーが必要となる。またブレーキホースの固定方法が異なるので、その固定方法も対策する必要がある。

ストラットのアッパーマウントは三点支持タイプ

ストラット式サスペンションはアッパーマウントが乗り味に大きく影響するが、この部分もこれまでにリフレッシュされたことのある車両は少ない。純正部品があるようであれば、是非とも交換しておきたい部分となる。

REAR

リーフスプリングのブッシュ

リヤはリーフリジッド式となる。板バネなので耐久性は高いが、さすがにブッシュはゴム製ということもありヘタっている場合が多いという。特にリヤ側は構造上へたりが大きいので、ブッシュ交換の効果は大きいそうだ。

ローダウンはブロックを使用

ノーマルの車高は、ホイールアーチとの隙間が大きくかなり高く見える。そのためローダウンしてドレスアップしたい人も多い。ローダウンする際はアクスルと板バネの間に市販のブロックを噛ませるのが一般的だ。

ホイールシリンダーからのフルード漏れ

リヤブレーキはドラム式。こちらもフロント同様にオーバーホールなどのメンテナンスが施されていない車両が多いようだ。安全のためにも一度しっかりとオーバーホールしておいた方がいいだろう。

リヤハブのガタも要チェックとなる

軽量な車体で、駆動力も掛からないリヤハブだが、長年メンテナンスされていなければ、ベアリングにガタが発生している可能性も高い。フロントのハブ同様にベアリング交換してしまうのがいい時期となっている。

icon リヤブレーキが片輪だけ先にロックしてしまうそんな構造上のトラブルあり

急制動させると直進状態にも関わらずスピンモードに陥る、そんな症状がマー坊には発生する場合がある。これはブレーキ排気管の構造が原因。マスターシリンダーからの油圧経路はリヤのドラムブレーキを直列に繋いでいるのだ。そのため左右で効き始めに僅かな差が生じ、片輪だけが先にロックしてしまうことがあるのだ。

駆動系 部品供給のない部品が多く錆や腐りの発生も多数

ひやひやのテールランプの電球交換

テールランプの玉切れ、その際の電球交換が今では緊張感を伴う作業となっているそうだ。その理由はランプに付く樹脂製のはめ込み式の枠を外さなくては交換できないから。経年劣化して割れやすなっており、しかも新品部品はもう手に入らないという。

キャビン部分フロアの再後端に錆が多発

  • マイティボーイの錆多発ポイントは多数あるようだが、フロア下から見ないと気付き辛い部分が、キャビンのフロア後端部分。この部分の室内側は袋に近い状態となっていて、室内側からでは錆に気付き辛いのだ。

  • それから荷台の床部分。こちらは錆はすぐ発見できるが、水が溜まりやすい部分だけに錆びてしまうようだ。

  • リヤウインドウのウエザーストリップ部も錆びている車両が多いという。マイティボーイのリヤウインドウは接着ではなくウエザーストリップを介してボディにガラスを固定。そこに水が溜まり錆が発生してしまうようだ

カウルトップの穴から侵入する雨水が抜けない

ボンネット後端とフロントウインドウの間のカウルトップ。旧車にはここに穴が開いているが、ここからは当然雨水が中に入る。その雨水はドレンを伝って排出される構造になっているのだが、ゴミや埃が流れてドレンを詰まらせて、常に水が溜まるようになってしまう。そんな理由もあり、カウルトップの下側も錆が発生しやすいポイントとなっている。またワイパーのリンク部やワイパーモーターも溜まった水の影響で動きが悪くなったり、不動になってしまうこともある。

ドアのアウターハンドル樹脂の経年劣化で……

ドアのアウターハンドルは樹脂製となる。当然30年もの歳月が流れれば樹脂は経年劣化を起こしてしまうので、ある日突然破損してドアの開閉が困難になってしまうこともある。新品部品は今春の時点では、まだ供給があったそう。

内装系 廉価車ならではの簡素な内装は大きな不具合はない

スイッチ類やハンドル類には特に不具合なし

  • 非常にシンプルなインパネまわり。空調レバーやライト、ワイパーのスイッチなどに特定のトラブルがあるかというと特にはないそうだ。

  • ドアのレギュレーターやオープナーハンドルも同様トラブルは少ないという。

シートはヤレと色褪せ

  • さすがにシートは、ノーマルを使い続けている場合は傷んでいるものが多い。写真はSP-L用のシートでファブリック部は赤い生地なので、褪色してしまっていることがほとんどだという。

駆動系 4速5速共にミッション関連の部品は供給難。調子が悪ければ中古部品を探すしかない

マウントが異なるため660世代のMT流用できず

マイティボーイのミッションは4速MT、5速MT、それから2速ATの3種の設定がある。人気が高いのはやはり5速となるのだが、部品供給にも不安があるのがネックとなる。ちなみに660世代になってからのMTは、エンジンに装着する事は可能だが、マウントが異なるため、流用するとなるとボディ側に大掛かりな加工が必要となる。

シフトリンケージのリンク部に現状大きな不具合はないが

シフトリンケージはロッド式となる。ロッドのリンク部のブッシュなどが摩耗するトラブルがありそうだが、今のところそういった不具合は少ないという。しかし樹脂製の部品もあるため、今後は経年劣化などで割れなどが発生する場合も予想される。部品供給は未確認だが、まだ部品があるようであれば交換しておくといいだろう。

ジョイントブーツが切れたら即修理するのが長持ちさせるための王道

ドライブシャフトはやはりブーツ切れが多いという。それを放置してしまうとジョイント部に水が混入してしまい、ドライブシャフトの寿命を大幅に短くしてしまう。マイティボーイに限ったことではないが、やはりブーツ切れを発見したらできるだけ速く修理してしまうのが、ドライブシャフトを長持ちさせるコツとなる。

icon ツインカムターボ化  チューニングではなく非力なマー坊では定番の改良と化している

80年代後半には既にアルトワークスのエンジンを移植したマイティボーイが存在したほどの定番仕様といえる。ノーマルのF5Aエンジンはあまりに非力で、多くのオーナーにとって不満となっている。しかしアルトワークスのエンジンに載せ替えてしまえば、倍以上のパワーアップとなり、そんな不満は一挙に解消できてしまうのだ。しかも現在の法解釈であれば同じF5A型なので合法。改造というよりも改良としてエンジンを載せ替え、走りを楽しめるマイティボーイに仕立てることが可能。しかしネックとなるのがドナーとなるアルトワークスがないということ。エンジンだけではなく、ハーネスやセンサー類も移植が必要で、車体丸ごとのドナーが不可欠なのだ。しかしマイティボーイよりは新しいとはいえ、同じく80年代の旧車。純正部品も供給がないものが多いという。定番とはいえ、今から新たにツインカムターボ仕様を作るのはかなり難しそうだ。

  • 初代アルトワークスのエンジンを移植したエンジンルーム。

  • この車両はミッションごとアルトワークス用に載せ換えられている。

  • ミッションごとの載せ換えの場合、エンジン&ミッションマウントのボディ側取付け位置を変更する必要がある。

  • 電子制御となるので、ワイヤーハーネスごとセンサー類を移植することとなる。

  • アルトワークスのミッションはリンケージがロッド式ではなくワイヤー式となる。ワイヤーの新設と共に取り去ったロッド部の処理も必須。

  • インジェクションとなるので、燃料ポンプもインジェクション用の電磁ポンプを新設する必要あり。

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グーネットマガジン編集部

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