車のエンタメ
更新日:2024.09.28 / 掲載日:2024.09.28
働くクルマ大図鑑「井関農機の世界」編 3
日本の食を支える農業。その過酷な作業を人の手に代わって行うのが農業機械だ。今回は、創立100年を目前とする総合農機メーカーであるヰセキの農機をピックアップした。コンバインと田植機の仕組みなどを紹介しよう!
●取材・文:鈴木ケンイチ●写真:鈴木ケンイチ/井関農機株式会社
脱穀装置「ツインエイトスレッシャー」の仕組み
日本のコンバインは穂先のみを脱穀する
日本における主食となる米。その収穫において大活躍する“はたらくくるま”がコンバインだ。
稲や麦などの穀物を「刈り取り」して、「脱穀」、そして「選別」までを1台でこなす。“統合(コンバイン)”という名称通りの役割を果たしており、正式名称は「コンバイン・ハーベスタ」となる。
現在、日本で普及しているタイプは自脱型と呼ばれるもので、稲や麦の穂先だけを脱穀し、籾とは別にわらを残せるのも特徴だ。
欧米で先に普及したコンバインは、穀物をまるごと脱穀する方式のため、大きな力が必要となり、大型エンジンが搭載されているものが大半。
そのため、日本の狭い水田には大きすぎ、重すぎ、さらには収穫ロスも多く不向きだった。
そういった諸問題を考慮し、日本においては1962年に農林省が自脱型コンバインの試作機を発表。
その後、日本メーカーから多くの自脱型コンバインが登場して、本格的な普及が進んでいった。
日本の市場では、4〜7条刈りのコンバインが中心で、8条以上は普通型コンバインが使われる。
ヰセキのコンバインは、高精度・高効率・高耐久を特徴としており、2条刈りから7条刈りまでの自脱型をラインナップする。
①刈り取られた稲は、穂先を運転席側に向けて、大径ロングこぎ胴の下を通過。大径ロングこぎ胴のこぎ歯によって穂先の籾が外れて、下の揺動棚へ落ちる。
②揺動棚の上で揺られながら移動し、唐箕(とうみ)ファンの風で実の入っていない軽いクズ籾などが飛ばされる。
③上下2段になった揺動棚にて籾を選別。選ばれた籾は下に落ちる。
④選別されて落ちた籾は、一番ラセンを経由して、上に送られ、保存用のグレンタンクへ運ばれる。
⑤最初の大径ロングこぎ胴で、処理されなかった籾は、わらクズなどと共に、こぎ胴の回転によって後方へ運ばれて、排塵処理胴へ送られる。
⑥排塵処理胴にて、籾とわらクズなどを分離する。
⑦分離した籾は下に落ちる。
⑧奥に運搬。
⑨二番ラセンに落ちた籾は、二番処理胴へ運ばれる。
⑩二番処理胴で分離された籾は、下にある揺動棚に落ちて、②と混ざって再選別される。