車とお金
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2016.08.05

3年落ちか5年落ちか中古車購入時の年式選び

3年落ちか5年落ちか中古車購入時の年式選び

中古車を購入する際、気になるポイントは値段とクルマの程度だろう。
その指標となるのは、修復歴や走行距離、そして何年前のクルマか、といういわゆる年式だ。
今回は、現在からみて3年落ち(2013年車)、5年落ち(2011年車)のクルマを3ポイントで比較した。

経過年数の影響はどのくらい 3年落ちと5年落ちで考える

中古車を購入する際、ポイントとなる項目のひとつが年式。
この年式をどう考えるかが今回のテーマだ。普通に考えれば「新しいクルマのほうがいい」と思うかもしれない。だが、新車と中古車で考えればわかるとおり、稀少車などを除けば、当然新しいものが車両価格は高くなり、年数が経つに従って価格は下がっていくため購入を検討しやすいことになる。また、年数が経つことで、クルマとしてどのあたりにデメリットが生じてくるのか?
と問われると、具体的に答えられる人は少ないのではないだろうか。
この特集では、3年落ち(2013年車)と5年落ち(2011年車)を比較した。3年落ちと5年落ちを選択した理由として、まず自動車のモデルサイクルに、5~6年というものが多いため、これ以上の年数ではフルモデルチェンジを経て別のモデルになってしまうケースがあるためだ。また、モデルサイクルの半分にあたる3年くらいでマイナーチェンジをするクルマが多く、3年と5年では、クルマそのものに変化があるケースが間々あることも理由である。加えて乗用車の場合、3年で1回目、5年で2回目の車検を迎えるため、買い換えが起こりやすく、比較的タマ数が多く流通するため検討できる車種が豊富なことも理由として挙げられる。
では、3つのポイントで3年落ちと5年落ち車のメリット・デメリットを検討しよう。

  • 年式による進化は?

    年式による進化は?

  • 価格は?

    価格は?

  • 経年による劣化は?

    経年による劣化は?

価格相場

中古車購入時の年式選び「比較ポイント.1」
まずは購入ターゲット車の価格相場から比較しよう。
クルマを購入する際には必ず使える予算があるので、価格は重要な要素だ。
3年落ちと5年落ち車でどのぐらい差があるのだろうか?

icon トヨタ プリウス(先代型)

トヨタ プリウス(先代型) 中古車市場データ 相場価格:84.7~224.5万円

中古車市場データ 相場価格:84.7~224.5万円 

2009年に登場した3代目プリウスは、1.8Lエンジン+モーターのハイブリッド専用車。2015年に新型がデビューしているが、最高燃費グレードで38km/Lなど、現在の最新モデルと比較しても引けを取らないトップクラスの数値を誇る

icon ダイハツ ムーヴ(先代型)

ダイハツ ムーヴ(先代型) 中古車市場データ 相場価格:50.8~120.4万円

中古車市場データ 相場価格:50.8~120.4万円 

ダイハツのトール系ワゴン軽自動車。2010年に登場した5代目は、一部車種にアイドリングストップ機構を装備するなど、最高燃費グレードで27km/Lを達成。リヤゲートが横開きな点が2014年登場の現行型と異なる特徴のひとつ

icon ホンダ ステップワゴン(先代型)

ホンダ ステップワゴン(先代型) 中古車市場データ 相場価格:113.7~222.7万円

中古車市場データ 相場価格:113.7~222.7万円 

大人気のMクラスミニバンの4代目ステップワゴンは2009年にデビュー。ライバル車と異なり、3列目シートを跳ね上げでなく床下収納することができる。低床・低重心設計による走りのよさもウリのひとつ。5代目は2015年に登場

icon 日産 リーフ

日産 リーフ 中古車市場データ 相場価格:84~189.2万円

中古車市場データ 相場価格:84~189.2万円 

電気自動車の代名詞的存在となった日産リーフ。ボディは5ドアハッチバックで、環境性能だけでなく、普通にクルマとしての使い勝手も追求されている。また、リーフの電力を家庭用の電力として利用できるなど拡張性も話題となった

icon マツダ ロードスター(先代型)

マツダ ロードスター(先代型) 中古車市場データ 相場価格:94.7~255.5万円

中古車市場データ 相場価格:94.7~255.5万円 

2シーターオープンスポーツのロードスター3代目は、2LNAエンジンを搭載し2005年に登場。モデル途中で電動ハードルーフのRHTグレードも追加された。2015年に1.5Lエンジンの新型が登場したが、速さでいえば先代が圧倒する

icon スバル レガシィB4(先代型)

スバル レガシィB4(先代型) 中古車市場データ 相場価格:117.5~320.4万円

中古車市場データ 相場価格:117.5~320.4万円 

スバルのアッパーミドルクラスセダンの5代目レガシィB4。全グレードでスバルのアイデンティティである水平対向エンジンを搭載し、4WD駆動を採用する。2009年の登場当初は2.5LのNAとターボだったが、2012年2Lターボを追加

icon 日産 エクストレイル(先代型)

日産 エクストレイル(先代型) 中古車市場データ 相場価格:80.1~300.2万円

中古車市場データ 相場価格:80.1~300.2万円 

2007年にデビューした2代目エクストレイルは「タフギア」をキャッチフレーズに、本格的な4WD性能と、アウトドア志向の装備を充実。初代から踏襲するウォッシャブルラゲッジ、防水の室内などがウリだ。ディーゼルも選択可能

人気車と不人気車によって年式による差額は異なる!

全般的な傾向として、人気車では中古車も高値安定型になる。フルモデルチェンジを挟んでいなければ、3年落ちと5年落ちの差額は小さい。購入を希望するユーザーが多く、中古車だから当然に安さを求める。そうなると年式の古い初期型に人気が集まり、中古車価格を押し上げる。その結果、3年落ちと5年落ちの価格差が縮まるのだ。
逆に不人気車は需要が少なく、中古車価格も高まらない。低年式の車両を求めるユーザーも限られ、価格の落ち込みが大きい。その結果、3年落ちと5年落ちの価格差が拡大して、後者は大幅に安くなる。
この特集で取り上げた車種では、エクストレイルは人気が高く、3年落ちと5年落ちの差額が小さい。
プリウスも以前は差額が小さかったが、今では新型が登場して下取りされた先代型の流通量が増えた。高年式の先代型が選びやすくなり、差額が拡大しつつある。
リーフも同様。知名度の高いEVだが、日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住む。充電設備を設置しにくく、駆動用電池の耐久性に不安を感じるユーザーもいるため、注目車種の割に中古車の需要が少なく5年落ちが割安だ。
以上の傾向を踏まえると、人気車は3年落ちなどの高年式を選ぶ。5年落ちとの差額が小さく、その後2年間乗っても5年落ちだから価値はあまり下がらない。5年落ちを選ぶと、購入した翌年には減価償却期間の6年を経過して、購入価格が高くても価値が大きく下がりやすい。
一方、中古車価格の安さを重視するなら、5年落ちの不人気車で、ボディカラーなども売りにくい色彩を選ぶ。車種によっては格安で手に入り、故障が目立ち始める5年後(初度登録から10年後)くらいまで乗れば、クルマ関連の出費を大幅に節約できる。人気車は価値を温存できる高年式、不人気車は徹底的に安い低年式を選ぶのが得策だ。

中古車の平均価格の比較

COLUMN「クルマによる差は?同一車種でも差はある?」

中古価格が落ちにくいクルマ
中古車価格が下がりにくいクルマとは、中古車市場の人気車だ。基本的には新車時の人気と重複するが、ランドクルーザープラドのようなSUVは海外の需要が旺盛。輸出されるために国内の流通量が減り、中古車価格を高めている。
また今は動力性能よりも燃費が重視され、ヴェルファイアエルグランドのV型6気筒エンジン搭載車は、新車価格が高い割に中古車価格が下がる。比較的、高値を保ちやすいのは直列4気筒エンジン搭載車だ。ハイブリッドも全般的に高値安定型。これも新車時の人気動向と合致する。
グレードの選択では低価格車は不利。オプションを豊富に装着しても、査定額はグレード(正確には型式)で判断されるからだ。中級以上を選び、カーナビなどの人気オプションを加える。軽自動車やミニバンでは、エアロパーツを装着したグレードの中古車価格が高い。今では緊急自動ブレーキも価格を高める有力な装備になった。ボディカラーはホワイトとブラックが有利。

  • 「POINT」海外需要の多いクルマは高い

    海外需要の多いクルマは高い

  • 「POINT」海外需要の多いクルマは高い

    海外で人気の車種は必然的に国内の流通量、タマ数が減る。経済の基本原理として、需要に対して供給が少なければ価格が上がるので、流通量の少ないクルマは高い

  • 「POINT」時代的に燃費要件が重要

    時代的に燃費要件が重要

  • 「POINT」時代的に燃費要件が重要

    動力性能でいえば排気量が大きいエンジンが有利だが、エコロジー、エコノミーといったエコ性能が重要視される時代。燃費に優れるグレードのほうが価格は高めだ

※すべての価格は参考価格です。
※中古車市場データはGoo-net7月調べ

3年落ちか5年落ちか中古車購入時の年式選び

クルマの進化

中古車購入時の年式選び「比較ポイント.2」
今回セレクトした車種は3~5年落ちが同一車種、つまり間にフルモデルチェンジを挟んでいないクルマだ。しかしクルマは数年でマイナーチェンジなどと呼ばれる改良を行うこともある。その進化はいかなるものか?

icon トヨタ プリウス(先代型)

リヤコンビランプなどエクステリアでも違いがわかる

トヨタ プリウス(先代型)

トヨタ プリウス(先代型)

見た目の質感だけでなくボディ剛性まで進化した
プリウスは両年式ともに09年登場の先代となる3代目。11年11月に初のマイナーチェンジが行われ、外装のデザイン、内外装の質感、静粛性、一部装備を向上させ、ボディ剛性を高め乗り心地と安定性を高めた。同年式を狙うならこの仕様がいい。13年式といえる12年10月のマイナーチェンジ以降のモデルはスタイリッシュなセミオーダーのマイコーデ仕様が加わり、災害時などに威力を発揮するA C100 V/1500Wコンセントもオプションで設定。その装着車を狙いたい。

icon ダイハツ ムーヴ(先代型)

3年落ちのモデルには自動ブレーキ装着車もある

ダイハツ ムーヴ(先代型)

ダイハツ ムーヴ(先代型)

11年式のモデルを狙うなら燃費の向上した8月以降!
10年デビューの5代目ムーヴの11年式は、新エンジンを搭載し、全車CVT化された直後のモデル。カスタムRSなら8月の一部改良以降のモデルが燃費性能が向上し狙い目。NAモデルなら11月の一部改良でe:Sテクノロジーを新採用したモデルが燃費面でお薦め。13年式は12年12月のマイナーチェンジで自動ブレーキを含むスマートアシストが一部グレードに装備されたのがポイント。足回りも改良され、走り、乗り心地ともに向上。長く乗るならこちらを薦める。

icon ホンダ ステップワゴン(先代型)

12年のマイナーチェンジで新CVTやアイドルストップを装備

ホンダ ステップワゴン(先代型)

ホンダ ステップワゴン(先代型)

フロントグリルのデザインも異なる
09年デビューの先代ステップワゴンの11年式は販売台数が多く、タマ数豊富。8月の一部改良で装備充実のスマートエディションなど、中古車としても魅力的な3グレードを追加。このタイミングで純正ナビはフルセグ対応に。13年式は12年4月のマイナーチェンジで後期型となる新デザインのフロントグリル、新CVTなどを採用した以降のモデル。15年のフルモデルチェンジを控えた熟成モデルともいえる。13年の改良は12月だから実質14年式なので不問としたい。

icon 日産 リーフ

モーター改良や軽量化で航続距離が10%以上伸びた

日産 リーフ

13年車はシートヒーターを装備
リーフの11年式は初期型で、公称航続距離は200km。エアコンなどを使うと実質120km程度。しかし12年11月のマイナーチェンジ以降の13年式では軽量化やモーター特性変更などで電費を改善。公称航続距離は228km(現在は280km)だ。冬の電費改善に嬉しい全席シートヒーターも完備している。

icon マツダ ロードスター(先代型)

フロントマスクの変更とブレーキなども進化した

マツダ ロードスター(先代型)

スポーツカーは程度の方が重要
11、13年式はNC型と呼ばれる4代目。初のマイナーチェンジは08年12月。11年式は全長が4mを超え、内外装ともリフレッシュされた以降のモデルだ。13年式は12年7月の商品改良後のモデルで顔つき、走りに効く軽量化、ブレーキ性能の進化が目玉。ただしスポーツカーは年式より程度の見極めが肝心。

icon スバル レガシィB4(先代型)

新世代エンジン&CVTなど走りはまるで別物に進化

スバル レガシィB4(先代型)

2L直噴ターボモデルも追加した
11年式と13年式は12年のマイナーチェンジ前後のモデル。11年式は、デビュー直後でグレードが豊富で選びやすい。12年のマイナーチェンジではパワー、トルク、燃費で勝る新エンジンを搭載。足回りの改良もあり、走りは別物。価格優先か、よりスバルらしい走りを望むかで選択すればいいだろう。

icon 日産 エクストレイル(先代型)

11年式と13年式の間で大幅な変更はされず

日産 エクストレイル(先代型)

13年式は20GTに防水シート採用
今でも絶大なる人気なのがエクストレイルらしいタフネスさが強調されたボクシーな先代モデル。11年式は前年の改良直後で内外装、装備が新しく、性能、機能が向上。15年2月まで継続生産されたクリーンディーゼルの20GTに6ATが加わったのもそれ以降。13年型は2代目最終型で熟成された仕様だ。

3年落ちか5年落ちか中古車購入時の年式選び

同世代のクルマといっても重要な点に差があることも

この頃で取り上げた2011年/2013年式モデルは同じ世代の中古車だ。しかし偶然にも、エクストレイルを除く車種が2012年にマイナーチェンジを行っている。つまり年式の値落ち分、価格的に魅力な2011年型、値落ちは少ないけれど進化した2013年モデルということができる。もちろん、改良の範囲はそれぞれだが、注目したいのはまず現行型か否かとデビュー年次。2010年登場のリーフ以外は先代モデルで、プリウスが2009年、ムーヴ2010年、ステップワゴン2009年、ロードスター2005年、レガシィB4は2009年、エクストレイル2007年となり、基本設計の新しさ、古さがわかる。
そして2012年のマイナーチェンジの内容だ。改良が一部グレードに限られるエクストレイルなら年式による価格差を重視すればいい。が、新CVTやアイドリングストップの追加で燃費を向上させたステップワゴン、自動ブレーキなどの先進安全装備を追加したムーヴ(スマートアシスト)、新エンジンで走り、燃費ともに向上したレガシィB4、走りに特化した改良が施されたロードスターなど、一部ビッグチェンジとも呼べるものもある。リーフは2012年の改良で航続距離が伸びたのも極めて重要なポイントだ。
つまり価格対内容、クルマに何を求めるか(走り、燃費、安全性)、長く乗るか否かで両年式の選択によるメリットは変わってくるわけだ。

COLUMN「クルマの変更にも色々ある」

年次改良・一部改良・マイナーチェンジ・ビッグマイナーチェンジって何?
クルマのモデルライフ途中の改良にはさまざまな呼び方があるが、一部改良とマイナーチェンジはほぼ同義語。新車開発時に時間などの制約で果たせなかった機能や、商品力をより高めるための装備拡充、内外装の小変更、ライバルを見据えたエンジン、ミッション、足回りの改良による走りや燃費性能の向上、グレード追加などが含まれる。ただし、前型のオーナーが泣きをみるほどの大変更ではないことがほとんど。ただ、トヨタの例では一部改良よりマイナーチェンジのほうが変更点は大きいようだ。
一方ビッグチェンジとは、最近の例を挙げると2016年6月に新しくなったエスティマが好例。ボンネット、フロントフェンダー、2トーンルーフ、インパネ、足回りやパフォーマンスダンパーの追加など、内外装ともにかなり大がかりな変更だ。見た目はもちろん、走りの質にまで手が入った大改良なのである。輸入車だと紛らわしいが、“新型”を謳う場合もある。年次改良とは主にモデルライフが長く新型が出た後も開発が続けられる、主にスポーツカーでよく使われる呼び方。例えばGT-Rなどは毎年のように○○年モデルと呼ばれるように新しくなり、進化、改良幅は大きい。開発にコストをふんだんにかけられるスポーツカーならではの贅沢な世界ともいえるのだ。

  • エスティマはつい先日ビッグマイナーチェンジを実施。誰が見てもひと目でわかるほどにエクステリアが変更され、さらに足回りなど走りの面でも進化!

    エスティマはつい先日ビッグマイナーチェンジを実施。誰が見てもひと目でわかるほどにエクステリアが変更され、さらに足回りなど走りの面でも進化!

  • GT-Rは毎年進化を約束して登場したクルマ。その公約どおり、走りに関わる部分が年を追うごとに変わり、MY11(モデルイヤー11)のように呼ばれている

    GT-Rは毎年進化を約束して登場したクルマ。その公約どおり、走りに関わる部分が年を追うごとに変わり、MY11(モデルイヤー11)のように呼ばれている

クルマの劣化

中古車購入時の年式選び「比較ポイント.3」
高価なクルマといえども、使っていれば劣化は避けられない。
今回比較する11年式と13年式では大雑把にいって2年の開きがある。
ここでは年数に応じた劣化と、走行距離によるもの、2つの劣化を考えてみたい

3年落ちと5年落ち「経年による劣化」 2年の差はどこに違いが出るのか?

機械の劣化の差は極小だが内外装はかなり差が出る!
年式的な劣化。つまり乗らなくても劣化するという点では、内外装の劣化は避けられない。メカについては、飛躍的に品質が上がっているので2年での差はほとんどない。
内外装の劣化の原因はお馴染みの紫外線で、なかでも一番影響を受けやすいのが樹脂やゴムだ。グリルなどは今でも無塗装の樹脂だし、ゴムは窓枠などに使われている。これらは白くなってきたり、硬くなってきたりする。2年という差は大きく、劣化の度合いは比べてみると一目瞭然のことも多い。対策としては保護ツヤ出し剤でのケアが有効だ。
また今回取りあげているロードスターはソフトトップの劣化に注意したい。素材としては布を樹脂で固めたものだけに、劣化しやすいと言っていい。面積も大きいだけに、劣化すると目立つ部分でもある。
一方、塗装ももちろん劣化する。塗料自体の性能は飛躍的に上がってきているとはいえ、紫外線の影響をシャットアウトすることは無理で、どうしても劣化は避けられない。また「コーティングをかけてあるから大丈夫」と思うかもしれないが、じつは紫外線をカットできるボディコーティングはほとんどないのだ。
加えて、ボディの場合は細かいすり傷も劣化の原因となる。「なんだか、最近見た目がシャキッとしないなぁ」というのは、細かいすり傷が原因だったりすることが多い。駐車場で横を通ったときに荷物などで付くキズや、洗車によるキズ(ワックスがけや拭き上げ時のこすり過ぎ)だけでなく、じつは走行時にボディに当たる細かいゴミなどでもキズは付く。極端なことを言うと自動車として存在している以上、キズは増えていくわけで、2年間での差はかなり大きなモノになるだろう。
その対策として、エクストレイルなどにはスクラッチガードという細かいキズに対しての自己修復機能がある塗装が採用されている。

ヘッドライトカバーも濁ったり黄変したりするため劣化がわかりやすい場所だ。劣化の主な原因は紫外線。年数もだが、前オーナーの保管状況にもよるので現車を要チェック

ヘッドライトカバーも濁ったり黄変したりするため劣化がわかりやすい場所だ。劣化の主な原因は紫外線。年数もだが、前オーナーの保管状況にもよるので現車を要チェック

一方、内装の劣化も日差しが入り込むことで進んでしまう。最近のクルマはUVカットガラスの普及が進んでいて、今回取りあげている車種の多くにも採用されているが盲点はある。まず99%カットでも、1%は入ってくるわけで、日々当たり続けるとけっこうな量になるし、2年の差もかなり大きい。またサイドなどはUVカット率の低いものが使われていることも多いし、高くても効果が次第に薄れていくタイプも・・・。具体的な劣化としてはインパネやコンソール、シート表皮の色あせやパネルの反りなどが考えられる。

ウインドウ部に使われているゴムなどは11年式と13年式、2年で結構差が出る部分だ。ただし保護ツヤ出し材によってケアすることができるため11年式を諦める必要はない

ウインドウ部に使われているゴムなどは11年式と13年式、2年で結構差が出る部分だ。ただし保護ツヤ出し材によってケアすることができるため11年式を諦める必要はない

人気のエコカーで気になる点

ハイブリッドや電気自動車のバッテリーは劣化しないのか?
従来からの補機用バッテリーと同様に、ハイブリッドなどのバッテリーも劣化する。バッテリーが劣化する最大の要因は充放電回数と温度だ。つまり使っている以上、劣化は避けられない。ちなみにアメリカなどではプリウス用の社外バッテリーが売られていて、交換するのが当たり前の時代になってきていることがわかる。では、どれぐらいの割合で劣化するかというと、早い場合だと10万kmを超えて70%ぐらいになってしまう。そこから段階的に劣化して、問題なく乗れるのは20万kmぐらい。ただ、あまりに劣化が早いとメーカー保証で、バッテリー交換してくれる。

EVやHVに使われるニッケル水素やリチウムイオンなどのバッテリーは使用度合いによって劣化する。あまり走行距離が多いクルマはパフォーマンスが落ちている可能性も

EVやHVに使われるニッケル水素やリチウムイオンなどのバッテリーは使用度合いによって劣化する。あまり走行距離が多いクルマはパフォーマンスが落ちている可能性も

3年落ちと5年落ち「走行距離による劣化」 距離は短いほどいいのか?

適度に走行している方がクルマの調子を維持できる
クルマは走るとストレスが各部にかかるため、劣化は進んでしまう。とはいえ、乗ってこその自動車なので、乗らないわけにはいかないのだが・・・。そもそも距離、つまり走ることで劣化する部分は、クルマを構成するすべてといっていい。
まずエンジンやミッション、足回りなどは確実に劣化していく。最近ではしなくなったが、以前であればオーバーホールしていたのは、劣化が進む場所の代表的な部位だ。
そのほか、あまり意識されないのがボディそのもの。現在のクルマはモノコックといって、ボディ骨格自体でクルマを形作っている。タマゴの殻を思い浮かべてもらうとわかりやすいが、うまく計算して作れば、大がかりなフレームを必要とせずに形を維持できる。ただ、それゆえ走行時のストレスがボディに溜まりやすく、劣化の原因にもなる。もちろんクルマの寿命以上に問題がないようにつくられてはいるが、「最近、ミシミシとするようになった」などはボディに疲労が蓄積してきていることが原因であることもある。
ただし冒頭でも紹介したように、走ることがクルマに与えられた使命なので、劣化を恐れて乗らないわけにもいかない。また、乗らなければいいというものでもないのがクルマでもある。人間も同じで、毎日なにもせずにジッと寝ていたら健康かというとそうでもなく、適度に運動したり、仕事でストレスが少しあったほうが健康で長生きできると言われているのと一緒。クルマも止めっぱなしでなく、適度かつ定期的に乗ったほうが調子を維持でき、結果として長く乗り続けることができる。
適度の目安として年間走行距離というものをよく耳にするが、だいたい1年で1万kmぐらい。つまり1カ月あたり800kmぐらいがちょうどいいだろう。仕事にでも使わない限りは届かない距離ではある。
もちろん各部に大きなストレスがかかるような乗り方は厳禁で、丁寧な運転を心がける。これも人間と同じで、激しい運動はときに逆効果となることがある。スムーズな運転といっても決してゆっくり走るというわけではなく、急が付くような操作をしないということ。そうすれば、エンジン内部の急激な摩耗は避けられ、足回りにもジンワリとかかって、ブッシュなどの負担も最小限に抑えられる。

  • 走行距離に比例して劣化しがちな場所が足回り。ただし、走り方によって大きく差が出るので、現車をじっくり見て確認してほしい

    走行距離に比例して劣化しがちな場所が足回り。ただし、走り方によって大きく差が出るので、現車をじっくり見て確認してほしい

  • エンジンなどの機関部は外見からは劣化度合いはわかりにくい。エンジンオイルのチェックやエンジン始動時の音や振動を確認しよう

    エンジンなどの機関部は外見からは劣化度合いはわかりにくい。エンジンオイルのチェックやエンジン始動時の音や振動を確認しよう

7車種とも適正距離の中古車は十分なタマ数だといえる

7車種とも適正距離の中古車は十分なタマ数だといえる

上のグラフは11年式、13年式、それぞれの総中古車台数がどの距離帯に分布しているかを表したもの。ページ内の本文に記載があるとおり、適度な走行距離は1年で1万km程度となる。つまり、11年式であれば5万km以内、13年式であれば3万km以内がひとつの目安というわけだ。中古車を選ぶ際には、さまざまな指標があり、距離はそのひとつ。今回、紹介している7車種はグラフから、11年式で5万km以内、13年式で3万km以内にかなりのタマ数が揃っていることがわかる。市場に多くの数が揃っていれば、自分が望む個体に出会える可能性は大きくなる。新しさだけで13年式を選ぶのではなく、11年式も含めてじっくり選んで欲しい

まとめ

自分がクルマに求めるポイントを見極めて価格と相談して選択
3年落ちと5年落ちでは同世代モデルであっても、新車時から大きく異なる可能性がある。では5年落ちがダメか?といえばNOだ。大切なことは自分が重要視する部分を念頭に置いてクルマを探すこと。例えば街乗り中心なら足回りやエンジンパワーの進化などが3年落ち車にあっても無視して構わないし、自動ブレーキがどうしても欲しいなら3年落ち車一択になることもある、ということだ。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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