新車試乗レポート
更新日:2018.11.18 / 掲載日:2016.04.21
フォルクスワーゲン クロスアップ! 試乗レポート(2016年04月)
作りのよさが魅力の小さなクロスオーバー
「クロス」の名は、VWがハッチバックやMPVベースのクロスオーバーモデルに用いるもの。よく知られた存在はポロのクロスポロだ。VWの末っ子、Aセグメントのup!に加わったクロスup!も、レシピは同じだ。FFの駆動方式をそのままに地上高を拡大し、独自のエクステリアパーツを装着することでクロスオーバーテイストを演出している。ホイールハウスエクステンションと大径16インチタイヤ、そして専用バンパーやルーフレールが目を引く。
気になるのは走り味だが、185/55R15から185/50R16にタイヤを大径化することで、10mmの地上高を稼いだ悪影響は感じられない。ばね下の重さ、タイヤの硬さ、重心高の上昇といったネガを意識させないしつけのよさで、むしろ乗り心地にしっとり感が加わった印象すらある。動き出しから素直で、高速や峠道でもリニアな反応を示す操縦安定性もほめられる点で、ベース車と同様に小さなボディからは想像しにくい安心感ある走りを持ち味とする。
なら、加速フィールはどうだろう?5速AGSは改善が認められるが、いまだシフトアップ時のつんのめり感は残り、早めに上のギヤに入れたがるクセも気になるところ。発進&微速の半クラッチ操作は以前より上手くなったが、DSGのような洗練度は望めない。シンプルな機構ゆえの悩みどころだ。
とはいえAGSは、クセさえ飲み込めばけっこうスムーズな自動変速がこなせる。さらに適時適応の手動変速を組み合わせれば、走りはよりリズミカルになる。うれしいのは、ベース車から30kg増えた車重の影響が感じられず、右足に力を込めれば意外なほど元気な走りを提供してくれる点。3気筒1Lの素性はよく、高回転まで引っ張っても不快な振動や騒音に悩まされることはないから、「ここぞ」の場面では積極的に回すべきだ。それが、欧州の小さなクルマと楽しくつきあう作法だと言っていい。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合わせ フォルクスワーゲン・カスタマーセンター TEL:0120-993-199
Detail Check
コックピット
コックピット
基本デザインはシンプルだが、ボディ色がレッドの場合、ダッシュボードやシートがカラーコーディネートされ、鮮やかな印象となる。中央の液晶画面はオプションのカーナビ。シティエマージェンシーブレーキは標準だ。
インテリア
インテリア
後席足元空間は広くないが、大人4人が乗車できる空間を有する。ドアも4枚あるから実用性は高い。ただし、リヤドアのガラスは昇降式ではなく、スイング開閉式となる。
エンジン
エンジン
心臓はベース車と同じポート噴射採用の3気筒1Lで、ミッションはシングルクラッチ式AMTの5速AGSを採用する。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
全長3.6mを切る小柄なボディを考えれば、約251Lの荷室容量は立派。6対4分割可倒の後席を倒せば約951Lにまで拡大可能。
主要諸元:フォルクスワーゲン クロスup!(5速AGS)
全長×全幅×全高 | 3570×1650×1520mm |
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ホイールベース | 2420mm |
トレッド前/後 | 1415/1415mm |
車両重量 | 950kg |
エンジン | 直3DOHC |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 75ps/6200rpm |
最大トルク | 9.7kg m/3000-4300rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/トレーリングアーム |
ブレーキ前/後 | Vディスク/ドラム |
タイヤサイズ前後 | 185/50R16 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2015年8月)
フォルクスワーゲン クロスup!(5速AGS) | 194万円 |
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Body Color
■トルネードレッド □キャンディホワイト ■ブルーベリーメタリック ■ディープブラックパールエフェクト ■リフレックスシルバーメタリック |