新車試乗レポート
更新日:2020.04.08 / 掲載日:2015.08.20

フォルクスワーゲン パサート 試乗レポート(2015年08月)

フォルクスワーゲン パサート

折り目正しい正統派セダンとして愛されてきたパサートが新しく生まれ変わった。走りや快適性を大きくレベルアップした新型は、デザインからも高いクオリティが伝わってくる会心の出来栄えだ。

VWの実力を示すフラッグシップモデル

 VWグループが推進する壮大な規模のクルマづくり改革は、いよいよDセグメントにも波及。そう、新型となったパサートはゴルフシリーズのゴルフVIIと同様に新世代プラットフォームの「MQB」を採用するモデルなのだ。

 見える成果のひとつは、セダン・ハイラインで30kg軽くなった車重。安全&快適装備の充実や、より高剛性になったボディを考えれば数字以上の進化で、本国仕様では最大85kgの減量を達成しているという。

 だが、よりわかりやすいのはプロポーションバランスの修正だろう。スリーサイズは先代とほぼ変わらないがグッと安定して見えるようになったのは、80mm延長したホイールベースの効果だ。「MQB」はそうした面の設計自由度が大きい。

 BMW3シリーズやメルセデスCクラス、アウディA4に本気で挑戦状を叩きつける新型だけに、ルックスはプレミアム感を明確に表現したもの。セダンのCピラー周辺の造形がBMW5シリーズに似ている点は褒められないが、ワゴンを含めてデザインの完成度は文句なしに高い。

 インテリアの造形の洗練度、仕立ての上質さもVWの上級モデルへの期待を裏切らないもので、プレミアムDセグメントで戦う十分な素養と魅力を備えている。一段と広さと快適性を高めたキャビンとさらに使い勝手を向上させたラゲッジが、ライバルを引き離すポイントだ。

 なら、走りはどうだろう?心臓が1.4L TSIと聞いて少し落胆するファンもいるかもしれない。でも、CAX型から最新のCZE型に変更することでパワーは122馬力から150馬力(ゴルフ用1.4Lの10馬力増し)、トルクは20.4から25.5kg mへと大幅に強化された。

フォルクスワーゲン パサート

 その効果は走ればすぐにわかるほど。1000回転台後半からのトルクの盛り上がりはグッとたくましい印象となり、スロットルを大きく開いたときの力感と速さはワンランク以上レベルアップしている。体験すればほとんどのひとが「これで1.4L !?」と本気で驚くに違いない。

 また、ロードノイズや風切り音を含めて騒音対策が進歩したのも見逃せない点。動力性能のゆとり向上との相乗効果で、走りの質を高級方向にシフトさせることに成功している。しかも、自慢の燃費(JC08モード値)も17.6から20.4km/Lに改善したのだから立派。燃費節減に貢献する新兵器が気筒休止のACTだが、その作動は感知できないレベル。エコなメカのなかにはありがた迷惑のものも存在するが、ACTの出来はとても優秀なのだ。

 ハンドリングについては、VW車らしく優等生的なまとめ方。17インチ55タイヤを履くヴァリアントTSIハイラインは落ち着いた身のこなしと快適な乗り心地、19インチ40タイヤ(オプション)を履くセダンTSI Rラインは正確なハンドリングと高い旋回限界が深く印象に残った。ボディ形状の違いは走りにも影響しており、リラックスした乗り味を好むひとにはヴァリアント、軽快でスポーティな味わいを求めるひとにはセダンが向いているだろう。

 なお、「クラストップ」を謳う充実のハイテク安全メカも新型のウリだが、レーンキープメカが操舵フィールに若干の負の影響を及ぼすのは気になる点。アイドリングストップ後のDSGのクラッチミートももう少しの洗練を望みたい。優等生だって、はじめから完璧ではない。

 そんな新型パサートの今後の楽しみは、クリーンディーゼルとプラグインハイブリッドの投入。駒が揃った暁には、プレミアムDセグメント市場をかきまわす存在となるだろう。

文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合わせ フォルクスワーゲン カスタマーセンター TEL:0120-993-199

Detail Check

フォルクスワーゲン パサート

ホイールベースを80mm延ばし、オーバーハングを詰めることでプロポーションバランスを整えた。ワイド感が際立つマスクも印象的だ。

  • コックピット

    フォルクスワーゲン パサート(コックピット)

  • コックピット

    一文字に配したエアベントが広がり感を強調。Rラインはスポーティ、ハイラインはシックな演出だ。内装の質感は一級品。

  • インテリア

    フォルクスワーゲン パサート(インテリア)

  • インテリア

    定評ある広さと快適性をよりレベルアップ。後席空間は足元、頭上ともに大きな余裕を持つ。Rラインは電動調整のスポーツシートを標準装備する。

  • ラゲッジスペース

    フォルクスワーゲン パサート(ラゲッジスペース)

  • ラゲッジスペース

    先代比21L増の586Lの大容量を誇る。トランク側からレバーで操作できる分割可倒シートバックを採用し、使い勝手は抜群だ。

  • エンジン

    フォルクスワーゲン パサート(エンジン)

  • エンジン

    1.4L TSIユニットは性能と燃費効率をともに強化。低負荷時に2気筒を休止するACTを採用し、20.4km/Lの燃費値を達成した。

  • タイヤ

    フォルクスワーゲン パサート(タイヤ)

  • タイヤ

    Rラインの標準設定は18インチだが、試乗車はオプションの235/40R19サイズのミシュラン製スポーツタイヤを履いていた。

主要諸元:フォルクスワーゲン パサート TSI Rライン(7速AT・DSG)

全長×全幅×全高4785×1830×1470mm
ホイールベース2790mm
トレッド前/後1580/1560mm
車両重量1460kg
エンジン直4DOHCターボ
総排気量1394cc
最高出力150ps/5000-6000rpm
最大トルク25.5kg m/1500-3500rpm
サスペンション前/後ストラット/4リンク
ブレーキ前/後Vディスク/ディスク
タイヤサイズ前後235/45R18

全国メーカー希望小売価格(発売 2015年7月16日)

セダン パサート TSI トレンドライン329万円
パサート TSI コンフォートライン359万円
パサート TSI ハイライン414万円
パサート TSI Rライン460万9800円
ヴァリアント パサートヴァリアント TSI トレンドライン348万9900円
パサートヴァリアント TSI コンフォートライン378万9900円
パサートヴァリアント TSI ハイライン433万9900円
パサートヴァリアント TSI Rライン480万9700円

Body Color

 □ピュアホワイト ディープブラックPE リフレックスシルバーME ナイトブルーME
 タングステンシルバーME ブラックオークブラウンME ※ほか3色。

使い勝手に優れる魅力的なヴァリアント

  • フォルクスワーゲン パサート

  •  歴代モデルの傾向からして、日本での主力はワゴンのヴァリアント。セダンと同様にハイバランスな外観の仕上がりで、荷室容量は先代の603Lを大きく上まわる650Lを誇る。フラットな床面や張り出しの小さいホイールハウス、4対2対4分割の後席を備えるなど、高度なユーティリティを実現する。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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