中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.02 / 掲載日:2009.03.18
ダイハツ ミラ ジーノ 中古車購入チェックポイント(2009年03月)
ダイハツ ミラ ジーノ 中古車購入チェックポイント
参考車両:ジーノ L
初年度登録2005年9月
■全体のチェックポイント
軽自動車としては新車時の価格帯が高くて、レトロスタイル。日常の足にしているとはいっても、クルマに多少なりともこだわりを持っているユーザーが使っていることが多いといった点も、車両チェックのヒントになる。内外装ともにきれいで、全体に手入れが行き届いているように見えても、外見に惑わされずに、車体の内側や床下など、日頃見ることのない部分を細部までチェックしよう。記録簿とつき合わせながら整備状態を探るとともに、エンジンの調子やトランスミッションの具合なども、しっかり確かめよう。
1.全体の雰囲気を観察する
1.全体の雰囲気を観察する
車両から少し離れた位置から、立て付けをはじめ、塗装面の光沢や色むら、車体の傾きなど、外観に異常はないか、チェック。
前面は、バンパー(フロントグリルと一体)/ボンネット/ライトなどのバランスを見る。
後面も、バンパー/リアゲート/コンビネーションランプ(リアライト)がずれていないか、観察しよう。
前後とも、左右のライトを比べてみよう。片方だけ新しい場合は、ライトだけの交換以外に、車体部を修理している可能性も考えられる。
2.角度を変えると見える
2.角度を変えると見える
傷や凹みをはじめ、塗装の状態、プレスラインなどを探る時は、見る角度を変えてみよう。
斜めから透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち、塗装表面の荒れなどといった微妙な異常も確認できる。
しわが寄っている場合(波打ち)は、衝撃を受けているか、板金修理跡と判断できる。塗装表面の艶が周囲と違っていたり、肌荒れ状態になっている箇所も、補修跡、あるいは板金塗装した修理跡の疑いがある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
ゴムホースやベルトの劣化など、消耗部品の状態を確かめながら、エンジンまわりを点検。オイルのにじみや汚れ(漏れ)にも注意しよう。できれば、点検整備記録ともつき合わせて、冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキ液量なども、チェックしたい。
新しい部品が付いているのを見つけたら、故障や整備で交換したのか、車体部の修理に伴う処置なのか、確かめよう。
4.鉄板部の異常を探る
エンジンルーム内は、インナーパネル(車体内側の鉄板)が重要なチェックポイント。大きなダメージを受けると、走行機能面に重大な不具合を生じさせるので、修理跡、交換跡、塗装跡などはないか、念入りに調べよう。
サスペンションの付け根部分に異常がないかも、確認しよう。
また、部品やネジなどに塗装の飛沫が付着している場合は、周辺を詳しく探ってみよう。
5.交換は修理の可能性
5.交換は修理の可能性
ボンネットは、外観表面の傷や凹みの他に、裏側に修理跡などがないかもチェック。縁のシーラーにヒントがある。
ダメージを負うと、交換することも少なくない。ヒンジ(支えている金具)部の固定ネジをチェック。ボンネット交換の疑いがある場合は、車体前部を修理している可能性がある。隣接する周辺をさらに詳しく調べてみよう。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターコアサポートを、必ずチェック。車体前部をぶつけると、修整や交換修理する確率が高い。
左右フェンダーとの接合部をはじめ、ラジエター、ライト、フロントグリル(バンパー)など、関連する接続部品も、異常はないか、交換していないか、探ってみよう。
7.取り付け状態を調べる
7.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、ボンネットを開けて、固定しているネジをチェックしよう。脱着した形跡があれば、修理のためにフェンダーを交換している可能性がある。左右を比べて見れば、異常を判断しやすい。
フェンダーの交換は、他の部分にもダメージを受けている可能性がある。
8.隙間の幅と色を見る
8.隙間の幅と色を見る
車体前部では、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)、ボンネットなどが隣り合わせになっている。
それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けて部品がずれている、あるいは修理している可能性が高い。
また、修理や交換で塗装すると、仕上がった色が微妙に違うことがある。隙間を境に、隣り合うパネルの色調が合っているかどうかも、比べてみよう。
9.車体側面のチェック
ドアに大きな損傷を受けると、交換してしまうことも多い。交換では、ドアを支えている金具(ヒンジ)の固定ネジを脱着するので、ネジの状態を確認。ピラー(柱)部も調べてみよう。
ただし、新車組み立て時や、ドアの立て付け調整でもネジを回すことがあるので、ネジの脱着跡が、必ずしもドア交換の証拠とはいえない。周辺も探って、判断する必要がある。
10.修理跡の有無を確かめる
10.修理跡の有無を確かめる
後部ドアの開口部を見てみよう。リアフェンダー周辺を補修、あるいは修理した車両には、開口部などにマスキングした跡が残っていることもある。
また、下部にある鉄板の継ぎ目(直線状になった溝)にも注意。リアフェンダーを修理したり、交換する場合は、接合部を剥がして再溶接することがある。溶接、シーラー、塗装状態などに異常はないか、観察してみよう。
11.給油口の蓋にもヒント
11.給油口の蓋にもヒント
フューエルリッド(給油口の蓋)を開けて、内部にマスキング跡がないかチェックしよう。
板金修理するために、リッドを外すことがある。取り付け部分を調べてみよう。また、リッドを交換していれば、塗装の色艶が周囲と違って見えることがある。
いずれにしても、給油口まわりに手を加えている様子があれば、リアフェンダーを修理していることが疑える。
12.関連部分にも注意する
12.関連部分にも注意する
テールゲートは、閉めた時の立て付けを見て、全体に狂っていれば、ゲートのずれ、あるいは車体の歪みが疑える。
右左の片側だけに立て付けの異常があれば、車体部を修理していると判断できる。
また、開閉して、スムーズにロックできない場合も、ずれているか、車体が歪んでいることが考えられる。
後部から強い衝撃を受けると、キャビン(室内部)との接合部やルーフパネルの前部にまで波及することもある。
修理箇所を見つけた場合は、ピラー(リアゲート左右の柱)、フェンダー、バンパーなど、隣接部や関連する部分も詳しく調べる必要がある。
13.交換の痕跡を探る
13.交換の痕跡を探る
後部に大きな損傷を負うと、テールゲートを交換することもある。支えている金具(ヒンジ)ネジの脱着や周辺に手を加えた痕跡がないか、見てみよう。 また、車体側のヒンジ周囲に歪みや修理跡がある場合は、周辺部に異常がないか、探ってみよう。
14.左右の溶接状態を比べる
14.左右の溶接状態を比べる
テールゲートを開けると、左右両側共に鉄板が横から回り込んで、接合されているのが見える。
溶接やシーラー、塗装の状態などを調べてみよう。特にスポット溶接の状態に注意しよう。
異常があれば修理していると考えられるが、疑わしい場合は、車体の左右同じ場所を見比べると、判断しやすい。
15.床下を覗いてチェック
15.床下を覗いてチェック
ドアの下にあるサイドシル(車体左右の前後方向に通っている梁の部分)の下を覗いてみよう。凹みや傷、修理跡、交換跡がないか、チェック。特に、下端の接合部(溶接)に注意したいが、凹凸があって判断しにくい。異常を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べて、確かめよう。
また、さらに奥の床下の中央部まで覗いて、鉄板部の傷や凹み、各部支え金具類の歪みや変形などはないか、修理や交換の形跡などはないか、チェックしよう。
16.修理/交換の理由を推察
床下は、鉄板部を調べると同時に、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した様子がないかどうかも、探ろう。
外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分はそのまま手を付けていない(補修や修理をしない)ことがあるので、事故などで受けたダメージ跡を見つけることがある。
床下も、塗装、溶接、固定ネジなどの状態がヒントになるが、修理や交換していれば、その理由を推察し、確かめる必要がある。
17.不調の有無を調べる
17.不調の有無を調べる
エンジンをかけてみよう。かかり具合、アイドリング、異音、振動、回転の上下などをチェック。
容易にかからない場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。
実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽ってみて、スムーズに回転が上下するかどうかも、試してみよう。異音や、大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。
また、排気ガスの色も、調べてみよう。水蒸気が出るのは問題ないが、白煙や黒煙なら、エンジン不調の可能性がある。
18.異常な減り方に要注意
18.異常な減り方に要注意
タイヤは、減り具合(残り溝の深さ)を点検すると同時に、減り方(摩耗状態)も、調べよう。
外周の接地面を見て、一部が極端に減っている「偏摩耗」を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいはダメージを受けて車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
偏摩耗は、車体前部のインナーパネルが変形して生じることがあり、走行中にハンドルが片方に取られる場合も、その疑いがある。タイヤの摩耗状態も、車体の異常を推察する手がかりになる。
19.AT機構を探ってみる
19.AT機構を探ってみる
セレクトレバーを操作して、オートマチックの作動状態をチェックしよう。
エンジンをかけて、ブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへなど、各ポジションにレバーを動かして、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか、切り替え時にショックがあるなどの不具合はないか、試してみよう。
できれば試走して、ギヤが切り替わる時のショックが激しい、滑っている感じがするなどの異常がないか、確かめたい。
20.作動と機能を確かめる
20.作動と機能を確かめる
装備機器類は、保安関係(ヘッドライト、テールランプ/ブレーキ/バック、ウインカーなど)の作動を、まず確認。さらに、エアコンやオーディオなども、試してみよう。
電装機器や電動機構などは、電源を入れるだけでなく、操作して、正常に機能しているかを確かめることが大切。ドアロックをはじめ、パワーウインドウ開閉、座席ランプ点灯などを忘れる例が多いので、スイッチ、ダイヤル、レバーなど、操作部品は残らず触ってみる心構えが必要だ。
また、知識があれば、イグニッションONで点灯する(数秒で消える)警告灯で、車両の状態を推察することもできるだろう。
21.異常の原因を探る
21.異常の原因を探る
参考車両は、リアフェンダーとコンビネーションランプ周辺の隙間が均等ではなく、リアバンパーの立て付けが狂っている。
修理後の組み付けが不完全な疑いもあるが、修理跡などはなく、取り付けにも異常がないことから、押されるなどしてずれてしまったと考えられる。このような異常を見つけた場合は、原因と状態を見極めて判断することが大切だ。
■書類に車両の情報がある
車体まわりをチェックする前に、整備記録(メンテナンスノートなど)の内容をチェックしよう。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておくと、車両の状態を探る参考になる。車体各部に貼ってあるステッカー類の表記内容にも目を通そう。
また、車両や標準装備類はもちろん、後付けのオーディオやカーナビなどが付いている場合は、それぞれの取扱(使用)説明書が揃っていることを確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接されている(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性が高い。
●バンパーなどは、押されてずれることがある。たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●ミラをベースにした、レトロ仕立ての軽自動車。1993年3月発売時は、ミラと同じ車体で前部を変えていたが、2004年11月のフルモデルチェンジでは、専用設計の車体を使った独自のデザインになった。
エンジンは660ccで、トランスミッションは全車4速AT。駆動方式は、FFと4WDがある。参考車両と同時期の仕様グレードは、全車に照明付きバニティミラー(運転席/助手席)やUVカットガラス(前面)など、上質な装備を備えているが、ベーシックな「L」、MDステレオやスモークガラス、ドアミラーターンランプなどを備えた「X」と、ディスチャージヘッドランプや14インチアルミホイールも加えた「Xリミテッド」、15ンチアルミホイールや専用グリルデザインなどを組み込んだ最上級「ミニライト」の4タイプが設定されている。
2005月12月には、Xリミテッドに替えて上質感を高めた新グレード「プレミアムX」を設定。既存グレードについても、新色ボディカラーや新シート表皮を採用するなど、一部装備の充実を図っている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
ミニライト | DBA-L650S | 4AT | FF |
CBA-L660S | 4AT | 4WD | |
X リミテッド | DBA-L650S | 4AT | FF |
CBA-L660S | 4AT | 4WD | |
X | DBA-L650S | 4AT | FF |
CBA-L660S | 4AT | 4WD | |
L | DBA-L650S | 4AT | FF |
CBA-L660S | 4AT | 4WD |