車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.08 / 掲載日:2015.01.29

【徹底紹介】ポルシェ パナメーラ

PORSCHE PANAMERA

市場ニーズを捉えた大胆な4ドアポルシェ

ポルシェ パナメーラ(後面)

ビッグマイナーの見どころはやはり、精悍イメージを高めた前後スタイル。スポーティさやポルシェらしさをより強くアピールするポイントは、デザインを一新したランプ類やバンパーにある。

 356でブランドを立ち上げ、911とともに発展してきたのがポルシェ。だから、昔気質のファンのなかには、いまもSUVのカイエンや、4ドア・4シーターのパナメーラを異端児扱いする人もいる。

 しかし、じつはかなり前から、ポルシェはピュアスポーツ以外のモデルに興味を示していたフシがある。その証明は、フェリー・ポルシェの生誕75周年を記念して、御大への贈り物として製作された928ベースのロングホイールベース・フル4シーターモデル。その後には、発展版といえる4ドア仕様の「スタディH50」も生み出していたのだ。

 話は80年代のことだが、20有余年が経って、これらのプロジェクトが「パナメーラ」として実を結んだ、と考えることもできるだろう。

ポルシェ パナメーラ(側面)

 ポルシェの新境地を先に切り開いたのは、02年デビューのカイエン。このモデルのために、ポルシェは旧東独圏のライプツィヒに新たな生産拠点を立ち上げた。だが、新工場だけでなく、新世代のV8ユニットの開発も、その先を見越してのアクションだったことは明らか。カイエンで新鉱脈を掘り当てたポルシェは、パナメーラの投入でより力強い成長路線を突き進むことになったというわけだ。では、パナメーラのヒットの要因はどこに?

 これまでになかった本格4ドアスポーツ、という点に尽きる。パナメーラの全長・全幅は5015×1931mmと、メルセデスSクラスに匹敵するビッグなもの。でも、全高は1418mmと低めで、この車格では異例なハッチバックを備えるファストバックスタイルを採用する。

 そう、スポーツカーと高級サルーンを、ポルシェの流儀で融合させたモデルがパナメーラ。そうしたコンセプトに、新鮮な魅力を感じるファンが数多く存在したからこそ、ヒットにつながったわけだ。発展は今も続き、13年のビッグマイナーでは、プラグイン機構採用の「S E‐ハイブリッド」やロングホイールベース仕様をラインアップに加えている。

文●森野恭行 写真●GooWORLD 
●ポルシェ カスタマーケアセンター TEL:0120-846-911

Detail

  • ポルシェ パナメーラ(正面)

  • ポルシェ パナメーラ(背面)

ポルシェ パナメーラ S E-ハイブリッド(8速AT)

全長×全幅×全高5015×1931×1418mm
ホイールベース2920mm
車両重量2095kg
トレッド前/後1658/1662mm
エンジンV6DOHC+モーター
総排気量2995cc
最高出力(エンジン)333ps/5500-6500rpm
最大トルク(エンジン)44.9kg m/3000-5250rpm
最高出力(モーター)95ps/2200-2600rpm
最大トルク(モーター)31.6kg m/0-1700rpm
サスペンション前/後ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
タイヤサイズ前245/50R18
タイヤサイズ後275/45R18

新車価格

パナメーラ(7速AT・PDK)1022万円
パナメーラ 4(7速AT・PDK)1122万円
パナメーラ S(7速AT・PDK)1463万円
パナメーラ S E-ハイブリッド(8速AT)1463万円
パナメーラ 4S(7速AT・PDK)1522万円
パナメーラ 4S エグゼクティブ(7速AT・PDK)1798万円
パナメーラ GTS(7速AT・PDK)1658万円
パナメーラ ターボ(7速AT・PDK)2234万円
パナメーラ ターボ エグゼクティブ(7速AT・PDK)2484万円
パナメーラ ターボS(7速AT・PDK)2736万円
パナメーラ ターボS エグゼクティブ(7速AT・PDK)2981万円
発表:2009年3月

モデル主要変遷

2009.03パナメーラを発表
 パナメーラ「S」、「4S」、「ターボ」の3ラインアップからスタートしたパナメーラ。4.8L V8+7速PDKが搭載される。
2010.072011年モデルを発表
 300馬力の3.6L V6エンジンを搭載するベーシックな「パナメーラ」と、4WDを搭載する「パナメーラ4」が加わった。
2011.062012年モデルを発表
 トップモデルの「ターボS」を追加設定。4.8L V8ターボを搭載し、素の「ターボ」よりも50馬力アップの550馬力を発揮。
2012.062013年モデルを発表
 カイエン「S」をベースに走行性能を強化した「GTS」が登場。4.8L V8の最高出力は430馬力。0-100km/加速4.5秒を実現。
2013.04マイナーチェンジ
 エクステリアの変更と新世代V6ツインターボを新採用。さらにロングホイールベース仕様とプラグインハイブリッドも設定。
2013.10「ターボSエグゼクティブ」を発表
 最高出力570馬力の「ターボS」に20インチホイールなどのラグジュアリーな装備を充実させたグレードが登場。

ビッグサルーンでも失われていないポルシェの精神

ポルシェ パナメーラ(コックピット)

 後席空間まで連続するセンターコンソールや、リヤもヘッドレスト一体のバケットタイプとしたシートを見れば、パナメーラが高級サルーンとは一線を画す存在であることがわかる。ヒップ&アイポイント設定もクーペと同等の低さで、コクピットに身を沈めた瞬間に「ポルシェ」であることをアピールしてくる。

 さらに、911譲りの5連ダイヤルメーターや、センターコンソールとオーバーヘッドコンソールにズラリとならぶスイッチ類も、走りのムードを高めるカギ。各所にポルシェならではの演出が光っている。

 では、サルーンとしての実力は?2920mmのロングホイールベースを活用して、後席は長身のひとでも足を伸ばせるフットスペースを確保している。ヘッドルームの余裕も、ルックスからイメージするよりはるかに大きなものだ。しかし、着座高は後席も低めの設定。加えてドアは小さめで、サイドシルが高いため、乗降性は優秀とは言い難い。

 中国市場からの熱烈なラブコールにより、新型パナメーラにはホイールベースを150mm延長したロングモデルが追加されたが、大きく向上したのは足元空間の余裕。「低いヒップポイント」という点には、なんら変わりはない。つまり、パナメーラはあくまでも4ドアのグランツーリスモで、特等席と言えるのはドライバーズシートなのだ。後席も十分快適だが、やはり自分でステアリングを握りたくなる種類のクルマだ。

  • ポルシェ パナメーラ(室内1)

  • ポルシェ パナメーラ(室内2)

  • ポルシェ パナメーラ(ラゲッジスペース)

    実用的なハッチバックを備える。荷室容量は445~1263L(ハイブリッド車は335~1153L)。

  • ポルシェ パナメーラ(メーター)

    911を思わせる5連ダイヤルのメーター。

  • ポルシェ パナメーラ(センターコンソール)

    カレラGTの流れを汲む造形のセンターコンソールには各種スイッチがズラリと並ぶ。

  • ポルシェ パナメーラ(8速ティプトロニックS)

    ハイブリッド車は8速ティプトロニックS、ほかのモデルは7速PDKを搭載する。

  • ポルシェ パナメーラ(ブレーキキャリパー)

    アシットグリーンのブレーキキャリパーは「S E-ハイブリッド」の証。

  • ポルシェ パナメーラ(エンブレム)

    フロントドアに「e-hybrid」のエンブレムを装着。

  • ポルシェ パナメーラ(エキゾーストエンド)

    パワフルな心臓を連想させる4本出しエキゾーストエンド。バンパー下部はディフューザー風のデザインだ。

ダウンサイジングを率先して行う

 自然吸気&ツインターボの4.8L V8を積んで登場したが、普及版の3.6L V6をすぐに追加。これが、ユーザー層拡大に結びつく。そして、13年モデルで登場のGTSには、ハイチューンを施した自然吸気V8を搭載した。で、マイチェン後の新型は、すべての心臓のパワーと環境性能を改善。「S」の心臓はここで、自然吸気V8からV6ツインターボへとスイッチした。

  • ポルシェ パナメーラ(駆動用バッテリー)

    駆動用バッテリーはリヤに配置。プラグイン化でリチウムイオン式に変更され、容量を従来型(ニッケル水素式)の1.7kWhから9.4kWhへと高めた。フル充電に要するのは200Vで約4.5時間。

  • ポルシェ パナメーラ(モーター)

    モーターの性能は従来型の「S ハイブリッド」が46.2馬力/30.6kg m、「S E-ハイブリッド」が95.2馬力/31.6kg m。高回転・高トルク化を図り、パワーを2倍以上に強化したのがポイントだ。

  • ポルシェ パナメーラ(8速AT)

    モーター内蔵型の8速ATは、欧州の他ブランドのハイブリッド車にも採用されるタイプ。カイエンのハイブリッド車もこのユニットを使うが、SUVらしく常時4駆としているのが明確な違いだ。

オンオフを変幻自在に切り替える懐の深さ

ポルシェ パナメーラ

 街乗りはむろん、高速クルーズの場面でも、日常のパナメーラは「快適な高級サルーン」として存在する。上下動のゆったりしたたおやかな動きは、大柄なボディを持つ重量級サルーンならではの特性で、しかも静粛性もハイレベル。リラックスした運転を満喫させてくれる。とくに、アダプティブエアサスペンション装着車で、「コンフォート」を選択したときの乗り心地は極上のものだ。

 でも、そこで終わらないのがパナメーラ。鞭を入れれば、サラブレッドの本性が露わになる。抜群の高速スタビリティは当たり前のこととして、サプライズをもたらすのはワインディングにおける身のこなし。

 コーナリングの正確性は「さすがポルシェ」と唸る領域にあり、とくに電制可変ダンパーの「PASM」やアクティブスタビライザーの「PDCC」を搭載するモデルは、「スポーツ」および「スポーツプラス」の選択で、冴えた走りを楽しめる。こうした場面においては、低いヒップ&アイポイントが存分に活きる。

 そしてハイブリッド。パラレル式を採用するが、モーター走行の範囲はかなり広く、プラグインに発展した「S E‐ハイブリッド」なら短距離移動はEV走行で十分まかなえる。航続距離は36kmで、135km/hまでの能力を持つのだから納得だろう。

乗り方や求めるものによって豊富に選べる多彩な設定

 ポルシェのモデルらしく車種構成は極めて豊富。エンジンを絞り込むだけでもひと苦労だが、3.6L V6の「素」のモデルや3L・V6ツインターボの「S」では、2駆と4駆のチョイスも可能なのだから悩みは深い(ちなみにターボやGTSは4駆)。たしかなのは、「素」のパナメーラを選んでも、走りのテイストに代表される「ポルシェらしさ」の本質には変わりはないということ。強化したい魅力が、速さや刺激性ならば「ターボ」や「GTS」、環境性能ならば「S E-ハイブリッド」が最適な選択となる。

  • 中古車市場データ

    中古車市場データ

  • 中古車市場データ

    パナメーラの中古車は幅広い年式で存在。価格帯は、おおよそ700万円から1600万円あたりが中心。もっとも多いのが「S」で、次がベース車。ターボはやや少ない印象である。

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グーネットマガジン編集部

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