車種別仕様・中古車評価・まとめ
更新日:2018.11.23 / 掲載日:2008.10.24
日産 キューブ キュービック 中古車購入チェックポイント
日産 キューブ キュービック 中古車購入チェックポイント
参考車両:14S Vセレクション
初年度登録:2006年8月
■全体のチェックポイント
外観が個性的なだけでなく、背が高くて室内が広いので使い勝手もいいが、コンパクトカーは雑に扱われることも多い。外観の細かい傷や室内の状態などから車両がどのように使われていたかの見極めが必要だ。小傷やホイールの傷が多い車両は、あまり丁寧に扱っていなかったと考えられる。子供のいる家族に使われることも多いので、前席だけでなく後席もしっかりチェック。また、全体にきれいに見える車両でも整備状態をしっかり確認しよう。
1.全体の雰囲気から掴む
1.全体の雰囲気から掴む
やや離れた位置から全体の様子を観察しよう。外板パネルの立て付けや塗装の状態など、外観各部に異常がないかチェック。
前面は、バンパー/ボンネット/グリルなどが並んでいるバランスと、左右対称になっていることを確認。ボンネット先端部などの飛び石などによる傷などにも注意。ライトが片方だけ新しい場合は、車体側を修理していないか詳しく調べて確認しよう。
後部も前部と同様にバンパー/テールゲートなどのバランスをチェック。
前後ともナンバープレートの傷や修正跡なども車体部にダメージを受けているヒントになるが、後部は特に封印を剥がした傷に気をつけよう。
2.角度を変えると見える
立て付けやプレスライン、車体表面の状態をチェックする時は、見る角度を変えてみよう。
斜めから透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹みなども発見しやすい。波打っている(しわが寄っている)のを見つけたら、衝撃を受けているか板金修理あと判断できる。
艶や色調の違い、肌荒れ状態など、塗装面の部分的な異常箇所も修理している可能性がある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録簿とあわせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺をチェック。エンジンオイルのにじみや汚れ(オイル漏れの兆候)にも注意。冷却水やオイルの量および汚れ、ブレーキやウォシャーの液量なども点検したい。
周囲と比べて新しく見える部品は、交換していることが疑える。事故などでダメージを受けたのか、故障や不良などで交換したのか、整備記録も確かめよう。
4.車体内側の鉄板を調べる
左右フェンダー側のインナーパネル、室内側のダッシュパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板をチェックしよう。ダメージを負うと走行機能面に支障を及ぼす部分だ。溶接やシーラー、塗装の状態などから、修理/交換の形跡などはないか慎重に調べよう。
サスペンション上部取り付け部周辺の状態にも注意。ラバーが新しい場合は、足まわりを損傷して修理している疑いがある。
5.前部の要チェックポイント
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートと呼ぶ鉄板をチェック。車体前部に大きな衝撃を受けると、修正あるいは交換修理する確率が高い。外観をきれいに直してもラジエターサポートの修理跡でダメージを受けているのがわかることもある。
左右フェンダーとの接続部、フロントグリルやヘッドライトなど、周囲の状態に異常がないかも確かめよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
外面の傷や凹みの有無をチェックするだけでなく、裏面に修理の形跡などがないかも確かめよう。アウター(外)とインナー(内)の2枚のパネルを貼り合わせた構造になっている接合部の修理跡に注意。
また、損傷を負うと、外して修理したり、交換することもある。ボンネットヒンジのネジを脱着した形跡がないかも調べよう。
7.取り付け状態を確認
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーは、外して修理したり、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着した形跡がないかチェックしよう。
フロントフェンダーは車体の重要な補強部材にはなっていないので、修理しても修復歴にはならないが、外して修理/交換していれば、大きな衝撃を受けていると考えられる。インナーパネルなど、車体の骨格部分にもダメージが及んでいないかを詳しく調べる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
車体側面では、ドア、フェンダー、バンパーなどが隣り合っている。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれているか、あるいは修理している可能性が高い。
プレスラインやモールなどの横線のずれ、縦の隙間の狂いに注意しよう。
修理や交換で塗装すると、色調が微妙に違うことがある。隙間を境に、隣り合うパネルの色が合っているかもチェックしよう。
9.縁の部分にも注意
9.縁の部分にも注意
フェンダーは、膨らんでいる部分に傷を付けることも多い。傷を見つけたら、凹みを伴っていないか確かめよう。
ホイールアーチ(タイヤを囲んでいるフェンダーの縁)部の鉄板を内側に折り込んでいる部分に修理跡などがないかもチェック。
修理跡があれば、傷や凹みの補修か、板金修理か。受けたダメージの大きさと修理の範囲を確かめよう。
10.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することもある。取り付けネジを脱着していないかチェックしよう。
ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジ脱着の形跡だけではドアの修理/交換を判定できない。ドア本体をはじめ、周辺も調べて判断する必要がある。
ピラー(柱)部に修理跡がないかにも注意しよう。
11.リアフェンダーをチェック
11.リアフェンダーをチェック
後席ドアを開けて、開口部を見てみよう。リアフェンダー周辺を補修あるいは修理している車両には、マスキング跡(直線状の塗装の段差)が残っていることもあるので注意しよう。
乗員の乗り降りによって擦り傷や引っ掻きが付いたり、シートベルトの金具を挟み込んで傷を付けてしまうこともある。
12.蓋を開けて内部を確認
12.蓋を開けて内部を確認
フューエルリッド(給油口部の蓋)も開けて、内部にマスキング跡や修理跡がないかチェック。
リアフェンダーを板金修理するために外すことがあるので、フューエルリッドの取り付け状態も確認。また、フューエルリッドの色調がフェンダー部と違っていれば、リアフェンダーを修理していると考えて間違いない。
13.テールゲートをチェック
13.テールゲートをチェック
テールゲートを閉めた状態で立て付けを確認。全体に隙間が狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。左右の片方だけに隙間が狂っている部分があれば、その側の車体部を修理している可能性が高い。
テールゲートを開閉して、スムーズに閉まらない場合も、テールゲートのずれか、車体の歪が考えられる。
テールゲートのずれだけなら立て付け調整で直ることもあるが、車体の歪みには要注意だ。
14.開口部を慎重にチェック
横開き式テールゲートは、裏面に修理跡はないか。ネジ脱着など、交換の形跡がないかチェック。
開口部には鉄板の接合部がある。溶接やシーラー、塗装の状態などを手がかりに、修理/交換の形跡がないか調べよう。特にスポット溶接の乱れに注意。
後方から強い衝撃を受けると、キャビン(室内)との接合部やルーフの前部にまで波及することもある。修理/交換の形跡があれば、後部周辺だけでなく、ダメージが及んだ部位を広範囲に探る必要がある。
15.床下も覗いてみる
15.床下も覗いてみる
鉄板部に損傷や歪み、修理/交換の形跡などがないかチェック。車体側部は、特にサイドシル(左右ドア下にある車体前後方向に通っている梁)の下部に傷や凹み、修理跡などがないか調べよう。
サスペンションやマフラー、ステー、アームなど、部品や金具類に損傷や変形、交換の形跡などがないかも確認。
ゴム部品の劣化(ひび割れなど)、油脂汚れ(オイルやグリスの漏れの兆候)、錆の発生などにも注意しよう。
16.減り具合と減り方を見る
16.減り具合と減り方を見る
タイヤは、スリップサインを目安に残り溝の深さをまず点検。
溝が十分に残っていても、減り方も調べよう。接地面の内側や外側だけなど、一部が極端に減っている偏摩耗を見つけたら、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているだけか、あるいは車体が歪んでいるのかを確かめる必要がある。
偏摩耗は車体前部インナーパネルが変形して生じることもあるので、タイヤの減り方も車体の状態を推察するヒントになる。
17.エンジンをかけてみる
17.エンジンをかけてみる
始動状態やアイドリング回転などをチェック。エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く煽って、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
容易にエンジンがかからない場合は、バッテリーや充電系統が原因のことも多いが、他の部分に不具合があることも考えられる。
不安定なアイドリング回転や、エンジン回転中の異音や大きな振動などは、なんらかのトラブルを抱えている。また、排気ガスに煙が混ざっている場合もエンジンに問題がある可能性がある。
18.操作して機能を確認
18.操作して機能を確認
ウインカーやライト類など、保安機器類が正常に作動することをまず確認。さらに、オーディオやエアコンなど、電装機器や電動機構はすべて調整操作して、機能を確かめよう。
エアコンは必ず冷房も暖房も試してみる。パワーウインドウの開閉や室内灯の点灯なども忘れずにチェックしよう。
仕様グレードによる違いやオプション装着など、車両の装備は販売店で確認しておこう。
19.オートマチックをチェック
19.オートマチックをチェック
エンジンをかけてブレーキペダルを踏んだままセレクトレバーを操作して、引っかかりやゆるみ(ぐらつき)などはないか動きをチェック。
できれば試走して、走行時の変速を確認したい。ATは、ギヤが切り替わるタイミングが長過ぎる、大きな変速ショックがあるなどの症状に注意。CVTは、基本的に変速ショックが出ることはない。走行中に変速ショックを感じたら不具合が起っている。
20.室内の隅まで細かく確認
シートや内装材などに、汚れ、傷、穴などがないか。運転席周辺だけでなく、後席やラゲッジスペースまで調べよう。床や天井の状態にも注意。各所に設置されている樹脂製部品の傷や破損、取り付け状態もしっかり確認しよう。
子供を乗せていると、シートなどに染みが付いていることが多い。ラゲッジルームに傷が多い場合は、車両の扱いが荒いことが多いなどにも注意。
■備え付けの書類を確認
車両をチェックする際には「定期点検整備記録簿」の記載内容を必ずチェックしよう。新車時から車両がどのように使用され、整備されているかが記録されている。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、各部の状態を探る参考になる。
また、備え付け書類として「車検証」「保証書」「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付け装備機器類の説明書が揃っていることも確かめよう。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2003年9月から販売されている、キューブ(2代目)の3列シート7名乗車仕様コンパクトミニバン。参考車両は、2005年4月にマイナーチェンジした後のモデル。フロントのデザインを変更(グリルなどが変わっている)。内装はインパネのデザインを変更し、シルキースエードのシート表皮を設定している。
エンジンは、従来からある1.4(1386cc)に加えて1.5(1498cc)を新設定。基本的な駆動方式はFFだが、1.5には後輪をモーターで駆動するe-4WD(電気式4WD)を新設定している。トランスミッションは、1.4には4速ATを、1.5 FFにはCVT(無段階変速機)、1.5 4WDには4速ATを組み合わせている。
仕様グレードは、1.4にはベーシックな「14S」とエアロ仕立ての外装を組み合わせた「14RS」。1.5のFFはベーシックな「15M」とエアロスタイルの「15RX」。グレード名にFOURが付いているのは4WD車で、ベーシックな「15S FOUR」とスポーティな「15RS FOUR」の2タイプがある。
また、内外装をカスタマイズしたモデル「ライダー」「ライダーアルファ」も販売されている。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
1.4(1386cc)2WD
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
14S | DBA-BGZ11 | 4AT | FF |
14RS | DBA-BGZ11 | 4AT | FF |
1.5(1498cc)2WD
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
15M | DBA-YGZ11 | CVT | FF |
15RX | DBA-YGZ11 | CVT | FF |
特別仕様車
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
15M プレミアムインテリア | DBA-YGZ11 | CVT | FF |
1.5(1498cc)4WD
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
15S FOUR | DBA-YGNZ11 | 4AT | e-4WD |
15RS FOUR | DBA-YGNZ11 | 4AT | e-4WD |
特装車
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
ライダー(14S) | DBA-BGZ11 | 4AT | FF |
ライダー(15M) | DBA-YGZ11 | CVT | FF | ライダー(15S FOUR) | DBA-YGNZ11 | 4AT | e-4WD |
ライダーアルファ(14S) | DBA-BGZ11 | 4AT | FF |
ライダーアルファ(15M) | DBA-YGZ11 | CVT | FF | ライダーアルファ(15S FOUR) | DBA-YGNZ11 | 4AT | 4WD |