【アウディ】アウディが世界に誇る4WD技術「クワトロシステム」の特徴とは

アウディが開発した4WD機構であるクワトロシステムは、従来の4WD車の概念を覆すものでした。
当時、4WDといえばタフなオフロード車用に搭載される、悪路走行のために開発された4輪駆動技術でした。

アウディは、これを雨や雪などのオールマイティな走破性能、高速道路での走行安定性能、パワーをより効率的に4輪へ駆動を配分（伝達効率の向上）できることから、日常の市街地走行からスポーツ走行の可能性に着目して4WD＝クワトロの開発を行い、今日に至るまで確固たるポジショニングを築いてきました。

【アウディクワトロの主な歴史】
1980年：スポーツクーペ「アウディクワトロ」の誕生
1981年：「アウディ クワトロ」でWRC（世界ラリー選手権）に参戦し、2戦目で初優勝
1982年：クワトロシステムを搭載する量産車80 クワトロの生産を開始
1986年：センターデフに前後のトルク配分を最適化するセルフロッキング機能を持つトルセンデフを採用
2001年：クワトロモデルが累計100万台を突破
2012年：ハイブリッドシステム+クワトロシステムを搭載するAudi R18 e-tronクワトロがル・マン24時間レースでハイブリッド車として初優勝
2014年：クワトロシステム搭載車がル・マン24時間レースで通算13回目の優勝

クワトロ（quattro）とは、イタリア語で数字の「4」を意味し、現在のアウディが採用する、「セルフロッキングディファレンシャル」という4WD機構を搭載しています。
電子制御を用いないメカニカル構造で、アウディの理想とするクワトロシステムの根幹をなす4WD技術です。

通常走行時は前輪50：後輪50（車種によって40：60）のトルク配分をしており、タイヤのグリップ状況に応じて1000分の数秒以内にトルクを最適な駆動輪へ瞬時に振り分けします。

走行中に雪道やアイスバーン、滑りやすいマンホールなどでグリップ力が低下すると、グリップ力の高い方のタイヤへ最大75％のトルクを瞬時に配分します。
同様に発進加速など後輪に大きな荷重がかかる場合も、後輪へ最大75％トルクを配分し、タイヤのグリップ性能を高めます。

さらに「セルフロッキングディファレンシャル」として特徴的なのは、コーナーリングでは前後のトルク配分だけではなく、左右のトルク配分を可変（非対称トルク配分）し、スムースで安定したコーナーリングを実現します。


アウディのクワトロシステムは、あらゆる天候や路面状況の下、市街地走行から高速走行まで総合的に安全性を高めてくれるデバイスですが、それ以外にも4輪にかかるトルクを非対称に最適に配分することで、コーナーリング性能やタイヤの寿命の向上、優れた直進性による疲労の軽減など、数値には表せないドライバビリティの向上が大きな特徴です。

アウディの「クワトロシステム」は、今後も乗客やドライバーを安全で快適に目的地へ運んでくれる、重要なデバイス、アウディの安全の取り組みの象徴としても、進化を続けることでしょう。