新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2017.07.07

新型BMW 5シリーズツーリングは大人のための快速ワゴン【試乗レポート】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 BMWの中核を担う5シリーズ。そのメインとなるセダンがフルモデルチェンジし、今年日本で発売を開始した。
 7世代目となる新型は、兄にあたる7シリーズの影響を強く受けている。影響というのは、プラットフォームから最新の運転支援装備、それとインターフェイスの多くを共有するということだ。サイズもちょっとばかり大きくなり、さらにラグジュアリー路線へと向かった。一見して大きな変化ではないコンサバティブなスタイリングではあるが、中身はかなり進化していると言えよう。

セダン同様スタイリッシュなエクステリア

540i xDrive ツーリング ラグジュアリー

 そんなセダンのバリエーションとして今回登場したのが、5シリーズツーリングである。これまで同様フロントまわりはセダンそのままに、リヤのバルクヘッドを取り払い、カーゴルームを備えて我々の目の前に現れた。もちろん、“スタイリッシュ”な出来栄えで。
 カーゴの容量は、これまでもよりも広がっている。従来型比較で、最大時に30リットル増量された。最大時とは、リヤシートを畳んだ状態でのことをいう。そのリヤシートは、40:20:40で分割可倒できるのだから都合がいい。しかも、いちいちリヤドアを開けて背もたれを倒すのではなく、カーゴ左右のスイッチで遠隔で操作できる。右のスイッチでリヤシート右側が、左のスイッチで左側とセンターがいっしょに倒れる。それもバタンと勢いよくロックが外れるのではなく電動でゆっくりと優雅に。
 小さな荷物はリヤゲートごとではなく、ガラスハッチだけ開けて荷物を取り出せるのもいい。3シリーズツーリングでも採用するが、後方にカーゴを跳ね上げるスペースがないときに便利だ。そのリヤゲートは手を使わずに開けられるのも追記しておこう。すでにいくつかのメーカーでSUVなどに採用する技術だが、両手が荷物でふさがっているときに役立つ。キーを身につけた状態で、リヤバンパーの下を足でサッと蹴り込むだけだ。

アイドリングストップ機能はよりインテリジェントになり、停車時間が長くなると判断したときのみエンジンを停止する。

 モデルバリエーションは、搭載するエンジンの違いで大きく4つに分けられる。そして各モデルに、スタンダード、ラグジュアリー、Mスポーツなどといったグレードが用意される。内訳は523i/523d/530i/540ixDrive。デリバリーは523iのみ9月で、その他は7月に開始された。
 注目はディーゼルエンジンの523dツーリングだろう。3シリーズでも話題になっているように、このところBMWのディーゼルは評価が高く、販売も絶好調と聞く。ある意味、輸入車はBMWによってディーゼルのイメージが変わったと言えるかもしれない。予想以上にスポーティで扱いやすいのだ。価格も700万円中盤からのプライスタグを付けるあたり、かなり戦略的である。ランニングコストを考えると、ヒットする可能性は高い。

質感の高い走りは5シリーズの変わらない伝統

運転支援技術「ドライビング・アシスト・プラス」の採用によって、渋滞や長距離走行時の運転操作をサポートする。

 今回ステアリングを握ったのはトップレンジに位置する540i xDriveツーリングだった。3リッター直6ターボユニットは340馬力を発揮。540iとなると価格はグレードを問わず1000万円を超えるが、その代わりとして装備も自然と充実する。4WDを表すxDriveは、メルセデス・ベンツでは4MATICと呼ばれるものだ。4WDといってもクロカンSUVのようなそれではなく、雨の日など路面が滑りやすいときに功を奏するものだ。
 540i xDriveツーリングはじつにBMWらしい走りを見せる。低回転から太いトルクを発生させながら高回転までキレイにまわるエンジンはさすがだ。ステアリング操作に対するクルマの反応はクイックで、このブランドの特徴がよく出ている。“駆け抜ける喜び”のキャッチフレーズのままだ。また、最近のBMWはステアリンググリップが太すぎるのが気になっていたが、このモデルではそれもしっくりくる。パワーでドーンと行くにはピッタリ。握り直した手のひらに頼もしさを感じる。その分、ここまでパワーのないモデルはもう少し細いグリップの方がいい。そうすれば、繊細なステアリングフィールを感じられ、さらに走りが楽しく感じられるであろう。
 相対的な走りにセダンと比べたネガティブさはなく、リヤにカーゴがあるのを感じさせないくらいスポーティな走りの5シリーズツーリング。この辺は歴代モデルがそうであったように、さすがである。ただ、このクルマのオーナーになるにはひとつの覚悟が必要である。それは先進のインターフェイスをしっかり理解し、付き合うこと。タッチパネル式ワイドコントロールデイスプレイもそうだし、ジェスチャーコントロールもそう。トンボの目をまわすように人差し指をクルクルしてオーディオのボリュームを調整する自分をイメージできれば、垣根はひとつ飛び越えられる。ぜひとも柔軟な頭でこのクルマに接してくださいませ。



【BMW 540i xDrive ツーリング ラグジュアリー(8速AT)】
全長         4950mm
全幅         1870mm
全高         1500mm
ホイールベース    2975mm
重量         1900kg
エンジン       直列6気筒DOHCターボ
総排気量       2997cc
最高出力       340ps/5500rpm
最大トルク      45.9kgm/1380-5200rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/インテグラルアーム
ブレーキ前後     Vディスク
タイヤ前/後     245/40R19・275/35R19
販売価格       650万円~1069万円(5シリーズ ツーリング全グレード)

  • ボディカラーはインペリアル・ブルー・ブリリアント・エフェクト。

  • 「ドライビング・アシスト・プラス」のステレオカメラ。

  • ミリ波レーダー・センサーはバンパー開口部中央に配置。

  • 荷室容量は570リットルから最大で1700リットル。

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グーネットマガジン編集部

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