中古車購入チェックポイント
更新日:2021.09.10 / 掲載日:2021.09.10

ホンダ オデッセイ/2013年~ 【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

オデッセイの外観

工藤’sコメント「ハンドリングがいいから、運転好きの人のミニバン選びにもオススメ。」

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、ホンダ
(掲載されている内容はグー本誌 2021年9月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年8月調べ。

日本におけるミニバンのパイオニアともいえるオデッセイ。今回紹介するのは、居住空間を広げてスライドドアを組み合わせるなど使い勝手が大きく高まった5代目だ。

ラグジュアリーな雰囲気と走りを兼ね備えた上級ミニバン

  • オデッセイのフロントカット

  • オデッセイのリアカット

  • オデッセイの真横カット

2016年式 ホンダ オデッセイ ハイブリッド アブソルート ホンダセンシング(CVT) ●全長×全幅×全高:4830×1820×1685mm ●ホイールベース:2900mm ●トレッド前/後:1560/1560mm ●車両重量:1880kg ●排気量:1993cc ●エンジン:直4DOHC ●エンジン最高出力:145ps/6200rpm ●エンジン最大トルク:17.8kgm/4000rpm ●モーター最高出力:184ps/5000-6000rpm ●モーター最大トルク:32.1kgm/0-2000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/車軸式 ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:215/55R17 ●中古車参考価格帯:90万円~400万円(13年~21年 ※オデッセイ全グレード)

オデッセイの立ち位置はライバルとは異なる

編集部●オデッセイといえば、かつて大ヒットしたモデルですね。このところはちょっと元気がないように感じていますが……。
工藤●初代や2代目は爆発的にヒットしたけど、その時はミニバン黎明期でオデッセイのように背が低いタイプのミニバンに人気があったんだ。3代目のオデッセイは思いきり背を低くしたけれど、それも市場には受け入れられた。トヨタ「ウィッシュ」やホンダ「ストリーム」もたくさん売れたし。
編集部●その後、ミニバンのトレンドが変わりましたよね。
工藤●そう、2005年くらいからミニバンの売れ筋がトヨタ「アルファード」や日産「セレナ」のように背の高いモデルとなり、オデッセイのように背の低いモデルは人気が落ちてしまった。
編集部●そんななか、方向性を変えてきたのが今回紹介する5代目です。2013年デビューですね。そして現行モデルです。
工藤●特徴は、なんといってもパッケージングが大きく変わったこと。この前とさらにその前、つまり3代目と4代目のオデッセイはとにかく背が低いことが個性だったけど、5代目は背を高くしたんだ。
編集部●ドアも変わりましたよね。
工藤●4代目まで一貫してスイングドアだったのに対し、5代目は後席がスライドドアになっている。
編集部●なぜ変わったんでしょう?
工藤●世の中のミニバンに対するニーズが、背が高くてスライドドア付きに集中するようになったから!
編集部●ですよね。
工藤●とはいえ、いわゆる“箱型ミニバン”ほどは背が高くないのはオデッセイの個性。室内が広くなり、乗降性や利便性を高めながらも、高い走行性能は継承したんだ。

Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

2度目のマイナーチェンジで大きく変わったエクステリア

オデッセイの走行シーン

 2020年11月の意匠変更は、ヘッドライトを薄くするとともにグリルを大型化。またボンネットが厚みを増したこともあって堂々とした雰囲気になっているのが特徴だ。リアはテールランプがひときわ立体的な形状となり、ウインカーは前後とも“光が流れるタイプ”に進化。

[モデルヒストリー]

2013年10月:フルモデルチェンジ

2013年10月にフルモデルチェンジしたオデッセイ

 プラットフォームを刷新するとともに、パッケージングを再構築。パワートレインはガソリン車のみで、全車とも排気量2.4L。スポーティ仕様の「アブソルート」は高出力190馬力仕様を搭載する。

2014年5月:「G・エアロパッケージ」を追加

2014年5月に「G・エアロパッケージ」を追加したオデッセイ

 エアロタイプのスタイリングをはじめ、見える部分を「アブソルート」と同じ雰囲気に仕立てた仕様。インテリアも黒基調としている。ただしエンジンは「G」と同様で高出力タイプではない。

2015年1月:一部改良

2015年1月に一部改良したオデッセイ

 従来は一部モデルだけにメーカーオプション設定としていた衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全機能を、性能を引き上げたうえで一部グレードに標準装備化。オプションで装着できるグレードも拡大。

2016年2月:ハイブリッドを追加

2016年2月にハイブリッドを追加したオデッセイ

 オデッセイ初となるハイブリッド仕様を追加。標準タイプだけでなくアブソルートでも展開。ガソリン車は、運転席の大型アームレストやプラズマクラスター付きのオートエアコンなどが新設定された。

2017年11月:マイナーチェンジ

2017年11月にマイナーチェンジしたオデッセイ

 標準車、アブソルートともに外観をリフレッシュ。グリルやバンパーの形状がリファインされた。また先進安全機能は歩行者事故低減ステアリングなどを追加し機能強化したうえで全車標準装備化。

2020年11月:マイナーチェンジ

2020年11月にマイナーチェンジしたオデッセイ

 仕様をアブソルートに統一。外観の意匠を変更したほか、手の動きを検知して実際に触れることなくスライドドアを開閉操作できる機能や、足の動きで電動テールゲートを開閉できる仕掛けなどを搭載。

[インテリア]2列目が特等席だが、ドライバーズカーでもある

オデッセイのインテリア

2列目は「7人乗り」と「8人乗り」で形状がまったく異なるが、快適性を求めるなら写真のような7人乗りがいい。8人乗りよりも後方までスライドできるから足もとスペースが広くなるし、背もたれは中折れ機能付きでより快適な状態に調整できる。そのうえ、シートの下に柔らかいウレタン層が追加されているから柔らかく包み込んでくれる座り心地が極上だ。

 箱型ミニバンとの大きな違いは、なんといっても運転感覚。着座位置が高すぎないので、セダンに近い運転姿勢となるのだ。これは運転を楽しむドライバーにとっては朗報。2列目は、「アルファード」など大型の箱型ミニバン程の大空間はないものの、その広さは驚きのレベル。セダンに比べたらゆったりで快適だ。3列目まで大人も無理なく座れる。

オデッセイのメーターやアームレスト、ラゲッジルーム

メーターは大きな速度計が特徴的で、仕様により運転席にもアームレストが備わる。そしてオデッセイの魅力は、たたむと床下に沈み込む3列目。ステーションワゴンのような荷室になるのも注目のポイントだ。

[メカニズム]走りがいい低床シャシー ハイブリッドは燃費が魅力

 メカニズムにおけるオデッセイの特徴であり魅力は、なんといっても超低床のプラットフォーム。重心が低く、ミニバンとは思えない気持ちのいいドライバビリティを提供してくれる。もうひとつのハイライトが2016年2月に加わったハイブリッド。モーターが主体となり駆動力を作るシステムで、燃費がいいのはもちろんのこと滑らかな加速感も大きな魅力だ。

HYBRID

オデッセイのハイブリッドシステムのイメージ

基本的に2Lエンジンを発電機として使い、その電気でモーターを回して走るシステム。エンジンのパワーをそのまま駆動力として使うのは高速領域の一部に限られ、走行感覚はEV(電気自動車)に近い。

CHASSIS

オデッセイのシャーシイメージ

オデッセイが誇る低床設計プラットフォームは、薄く設計したリアサスペンションとガソリンタンクにより実現。そのメリットはふたつあり、ひとつは広い室内、もうひとつは優れた運転感覚だ。

ENGINE

オデッセイのエンジン

 エンジンは全車が排気量2.4Lの自然吸気4気筒。仕様は2タイプあり、標準仕様は最高出力175馬力。アブソルートは190馬力を発揮する。

SAFETY

オデッセイの衝突被害軽減ブレーキのイメージ

 デビュー当初の衝突被害軽減ブレーキは完全停止まで行うのが低速域だけ(高速域は減速のみ)に留まり、採用も一部仕様だけに限られた。しかし徐々に機能を向上し、2017年以降は全車に標準採用された。

中古車相場は年式相応に動いている

編集部●「走り」はオデッセイの魅力なんですか?
工藤●まるでスポーツカーみたいにスポーティな走りが楽しめ、運転して気持ちよい。スライドドア付きのクルマのなかではマツダ「プレマシー」と並んで頂点だと断言できる。
編集部●運転好きには魅力ですね。ところで、5代目は歴代オデッセイのなかで最も居住空間が広いわけですが、7人乗りと8人乗りはどこが違うんでしょう?
工藤●2列目シートのタイプ。7人乗りは左右が独立して広々としている。8人乗りは一般的な、左右がつながったベンチシートだ。
編集部●オススメはどちらですか。
工藤●断然7人乗り。2列目にゆったり感があるし、スライド量が多いから1列目との間隔を広げられるし、シートそのものも8人乗りより座り心地がよく作られている。
編集部●そんな5代目オデッセイですが、グーネットを見ると流通しているのは約1200台。現時点だと、2013年式なら100万円台前半が中心で、2015年までの車両は200万円未満、それ以降は200万円オーバーという感じです。
工藤●もともとの新車価格が安くないから気軽にという価格ではないけれど、順当に中古車価格は下がりつつある……だね。
編集部●予算に合わせて選びやすいので、安心して買えますね。

大開口スライドドアの使い勝手は?

オデッセイのスライドドアが開いたイメージ

工藤’sコメント「スライドドアは電動式だから開閉も楽々。」

 スライドドアの最大の美点は、左右にクルマが止まっている駐車場など狭い場所でもドアを全開にできること。ドア開口部を広く確保できるから、乗り降りが抜群に楽になるのだ。赤ちゃんを抱きかかえているとき、子供の乗り降り、そして雨で傘をさす状況などでメリットを実感できる。

[インプレッション]見どころは居住性と走りのハイバランス

 オデッセイの最大の魅力は、快適性と走りの高いバランスだ。室内の広さや快適性だけを求めればさらにハイレベルなミニバンも存在するけれど、運転感覚がここまで優れているミニバンはなかなかない。スライドドア付きのミニバンに限っていえば、文句なしに世界最高峰のドライバビリティを持っている。家庭の事情などで3列シートミニバンが必要だけど、峠道を楽しく走れる爽快な運転感覚を望むユーザーとのマッチングは最高と断言できる。ただし、日常的に3列目まで使うようなユーザーにはより背の高いミニバンを推奨。

[マーケットデータ]

オデッセイのグレード・年式、走行距離・年式の中古車平均価格

  • オデッセイ中古車の年式データ

    年式
     物件の大半は2017年式以前の前期型。特にデビュー翌年の2014年式が豊富で、2016年式がそれに続く。

  • オデッセイ中古車のグレードデータ

    グレード
     ハイブリッドは全体の4割未満と、少なめ。非ハイブリッドの「アブソルート」が最も豊富で6割を占める。

  • オデッセイ中古車の走行距離データ

    走行距離
     走行距離が極端に多いものは少ないが、全体的に多走行車が増えつつある。3万km未満が全体の26%。

工藤貴宏が注目するオデッセイの「ココが○」

その1:意外に広い室内。特に7人乗り仕様の2列目が快適
その2:乗り降りしやすいスライドドア 床が低いのもうれしい
その3:運転が楽しくなるハンドリング ミニバンで世界最高峰だ

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ