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更新日:2021.06.03 / 掲載日:2021.04.01

EV専用SUV「C40」とボルボの電動化戦略

欧州各国を筆頭に、脱ガソリン車の流れが加速している。
そんな中、ボルボが2030年までにBEV(内燃機関を搭載しないバッテリーEV)のみのメーカーになると宣言し、初のEV専用車「C40」をお披露目した。

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ボルボがEV専用車をお披露目、2030年までにEVメーカーに

既にボルボはラインナップを見直し、ICE(内燃機関)のみの搭載車を廃止。販売全車がPHEV(プラグインハイブリッド)または48Vハイブリッドとなっている。

「安全」と同じ姿勢で「環境」にも取り組む

世界の流れに先駆けてボルボはEV化に集中

 クルマの未来は電気自動車。化石資源の枯渇問題もあるが、現在一番取り沙汰されているのは地球温暖化であり、大気中の二酸化炭素量の中立化(カーボンニュートラル)や製造から廃棄/再利用までの環境負荷の評価(LCA:ライフサイクルアセスメント)の視点からも電動化は不可避だ。

 そこは十分に理解していても3月2日のボルボ本社の発表には驚かされた。あと10年足らずで全モデルをBEV化するというのだ。EVメーカー・テスラの2020年における全世界の販売台数が約55万台、ボルボは約66万台。ボルボの販売力や生産規模を考慮するなら全車EVというのも納得できるのだが、今後のEVの車種増加やインフラ整備を思えば、必ず目論見通りに行く保証はない。

 ボルボでは今秋にも日本向けの純電動車第一弾としてBEV・C40の導入を予定している。海外ではすでに純電池駆動のXC40リチャージ ピュアエレクトリック(EV)を販売しているが、クラスやカテゴリーを見ればC40はXC40EVの4ドアクーペ仕様のようだ。ちなみにXC40EVのWLTP総合モードでの航続距離は418km。長距離用途向けには余裕はないが、EVの現状では標準的である。また、XC40EVも導入が予定され、来年以降も年に1モデル以上のBEVを導入し、2025年までにBEVの販売比率を35%以上にするとのこと。

 C40の販売計画についてはオンライン契約のみで、最初に導入される100台は新しい契約形態となる3か月経過後解約自由のサブスクリプション契約に限定される。生産現場の状況を考慮しても、PHEVも含めた内燃機車からの緩やかな移行は当然。短期間での解約が可能なサブスク契約の設定などを考えても、現状でBEVと内燃機車の完全代替が可能とは考えていないのだろう。付け加えるなら、補助金を期待しない限り実用ベースで車両価格に対するコスパが低すぎるのも問題だろう。

 EV時代の本格到来においては航続距離などの走行性能も課題のひとつだが、もうひとつ見逃せないのは充電インフラである。電力は最も進んだ生活インフラだが、多くの内燃機車がEVと代替すれば、現在の発電量では賄えない可能性が高い。例えば、リーフ+のバッテリー容量は2人世帯1名在宅での消費電力約8日分。1日分の世帯消費電力で走れるのは約57km(WLTC総合)。XC40EVで同様に計算すると約41km(WLTP総合)になる。発電量の大幅増加が見込めなければ電力インフラが破綻してしまう。さらに急速充電スタンドについても車載バッテリー容量の増加と充電時間短縮化が進めば、さらなる高出力化は必須。充電時間の短縮には急速充電器とバッテリーの両面から技術的ブレークスルーも必要だろう。

 車両単体での性能向上については短期間での進歩も可能だろうが、急速充電インフラやEV用電力の確保には電力行政も関わり、そう簡単に解決するとは思えない。海外では法的にEV推進を行う機運が高まっているが、皮肉な見方をすれば内燃機車へのペナルティ(課税)も透けて見えてくる。

 ボルボにとって10年以内は現実的でも、世界のEV標準化にはもっと長い時間が必要だろう。

icon VOLVO C40 リチャージ

●国内受注開始:2021年秋予定(100台限定)

EVボルボの新デザインをまとって新装備を搭載、販売方法も新機軸

ピュアEVメーカー化の宣言と同時に発表された、ボルボ初のBEV専用車となるクロスオーバーSUV。公開されたデザインプロトタイプ(写真)は既存モデルとは異なるクーペライクなフォルムを採用し、最先端の装備を満載。なお、諸元等の詳細は未定だ。

「リチャージ」とは

PHEVやBEVといった充電を行うモデルをボルボはリチャージと呼ぶ。40/60/90の全シリーズにリチャージモデルを配備済みだ。

  • ボルボのEVはオンライン販売のみ

    所有から利用への消費行動の変化も見据え、オンライン販売のみに。なおユーザー向けサービスの「Care by Volvo」は国内導入未定だ。

icon VOLVO XC40 リチャージ ピュア エレクトリック

ボルボ初のBEVモデル。インフォテイメントはアンドロイドOSだ

XC40ベースのBEVで、最高出力408hp、最大航続距離400km。複数のレーダー、カメラ、超音波センサーで構成される新開発のアクティブセーフティシステムを搭載し、インフォテイメントはグーグルのアンドロイドOSを採用。日本での受注開始は2022年から。

  • 電動化を視野に開発されたCMAプラットフォーム。各部の強化で安全性を確保した。

  • 大容量のバッテリーはアルミ製セーフティケージで保護され、ボディ中央の床下に搭載。

国内でBEVを販売中のメーカー/ブランドまとめ

現在、日本国内でBEVを販売するメーカーは13にのぼる。今年の秋には、ここにボルボが加わることになる。

  • icon NISSAN

    ●リーフ:WLTC走行距離322~458km。本体332万6400~418万9900円。

    世界初の量産EV・リーフは今や電気自動車の代名詞的存在になった。現在は第2世代となり、航続距離や使い勝手が大きく向上。コンパクトミニバンのe-NV200などもあった。

  • ●リーフ:WLTC走行距離322~458km。本体332万6400~418万9900円。

  • icon HONDA

    ●ホンダ e :WLTC走行距離259~283km。本体451万~495万円。

    車載IT満載のコンパクトEV。ホンダはクラリティシリーズのBEVが海外展開のみ、かつてのフィットEVはリース販売だったため、これが同社初の一般販売量産EVとなる。

  • ●ホンダ e :WLTC走行距離259~283km。本体451万~495万円。

  • icon MAZDA

    ●MX-30(EVモデル):WLTC走行距離256km。本体451万~495万円。

    内燃機関の燃焼効率を追求してきたマツダだが、電動化を見据えてMX-30にBEV仕様を開発。同車は電動化技術を投入した2LMハイブリッドとBEVのラインナップとなる。

  • ●MX-30(EVモデル):WLTC走行距離256km。本体451万~495万円。

  • icon TOYOTA

    ●シーポッド【法人専用】:WLTC走行距離150km。本体165万~171万6000円(法人専用)。

    HEV/PHEVで世界をリードするトヨタは、一般量産市販車にBEVのラインナップがない。唯一、超小型コミューターEVを発売しているものの、現在は法人向けのみとなっている。

  • ●シーポッド【法人専用】:WLTC走行距離150km。本体165万~171万6000円(法人専用)。

  • icon MITSUBISHI

    ●ミニキャブ・ミーブ【商用車】:JC08走行距離150km。本体243万1000~245万3000円。

    かつて軽自動車のアイミーブで国内の量販電気自動車市場を切り拓いたミツビシだが、現在はPHEVに注力していて、アイミーブの販売が終了し、BEVは軽商用車のみとなっている。

  • ●ミニキャブ・ミーブ【商用車】:JC08走行距離150km。本体243万1000~245万3000円。

  • icon MERCEDES-BENZ

    ●EQC:クロスオーバーEV。WLTC走行距離400km。本体1080万円。

    各モデルにPHEVをラインナップするほか、2018年に「EQ」の名でBEV専用車種をリリース開始。なお、小型モビリティブランドのスマートはEV専用となることが発表済みだ。

  • ●EQC:クロスオーバーEV。WLTC走行距離400km。本体1080万円。

  • icon BMW

    ●i3:エンジンなしWLTC走行距離360km。本体499万~608万円。

    「i」のシリーズ名で電動化技術をフィーチャーしたモデルを展開。現在のラインナップはPHEVスポーツカーのi8とBEVコミューターのi3。i3は発電用エンジン搭載仕様も設定する。

  • ●i3:エンジンなしWLTC走行距離360km。本体499万~608万円。

  • icon AUDI

    ●eトロン:WLTC走行距離316km。本体933万~1108万円。

    SUVスタイルのeトロンとクーペSUVのeトロンスポーツバックをラインナップ。国内導入は未定だが、スポーツカータイプのeトロンGTクワトロやRS eトロンも発表されている。

  • ●eトロン:WLTC走行距離316km。本体933万~1108万円。

  • icon PORSCHE

    ●タイカン:WLTP走行距離354~431km。本体1171万~2454万1000円。

    最高高速度230km/hを誇るハイパフォーマンス電動スポーツカー、タイカンがラインナップ。スポーツセダンに加え、3月にクロスオーバーワゴンのクロスツーリスモも追加された。

  • ●タイカン:WLTP走行距離354~431km。本体1171万~2454万1000円。

  • icon TESLA

    ●モデル3:WLTP走行距離448~580km。本体429万~717万3000円。

    ソーラーパネルやEVを扱うベンチャー企業で、普及価格の5人乗りセダン・モデル3がヒット作。ほかにスポーツタイプのモデルS、SUVタイプのモデルX、7人乗りSUVのモデルYがある。

  • ●モデル3:WLTP走行距離448~580km。本体429万~717万3000円。

  • icon PEUGEOT

    ●e-208:JC08走行距離403km。本体389万9000~426万円。

    ブランドを代表するコンパクトカー・208をベースとする電気自動車・e-208を皮切りに、SUV e-2008がラインナップ。プラットフォームはEVモデル用のe-CMPを採用している。

  • ●e-208:JC08走行距離403km。本体389万9000~426万円。

  • icon DS

    ●DS3クロスバック E-TENSE:JC08走行距離398km。モノグレード展開で本体534万円。

    PSAグループのラグジュアリーブランド・DSは、プジョーと同じくe-CMPプラットフォームを使い、コンパクトクロスオーバーSUVのDS3クロスバックのEV仕様をリリース。

  • ●DS3クロスバック E-TENSE:JC08走行距離398km。モノグレード展開で本体534万円。

  • icon JAGUAR

    ●Iペイス:WLTC走行距離438km。本体976~1183万円。

    英国の伝統ある高級スポーツカーブランドは、10年以内にBEVブランドとなることを表明している。同ブランド初にして現行唯一のBEVは、クロスオーバーSUVのIペイスだ。

  • ●Iペイス:WLTC走行距離438km。本体976~1183万円。

欧州勢を中心にEV志向が一気に進行中

 脱炭素化の政策が世界的に拡大中だ。欧州の一部や米・カリフォルニア州、中国、日本などが、ガソリン車/ディーゼル車の新車販売を2030年代に禁止すると表明。HVは禁止車に含まれないのが主流だが、イギリスは2035年までにPHEVまで禁止する方針だ。

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●文:川島茂夫

提供元:月刊自家用車

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