新車試乗レポート
更新日:2021.03.02 / 掲載日:2021.02.26

【試乗レポート スバル レヴォーグ】雪を求めて長距離ドライブ! ツアラーとしての実力は?

スバル 新型レヴォーグ

スバル 新型レヴォーグ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 スバル レヴォーグと真剣に対峙するのはこれで4回目だと記憶する。1回目はクローズドのテストコースでのアイサイトX体験、2回目はサーキットでの走行テスト、3回目は軽井沢を起点とした一般道での走りだ。結果、その仕上がりのよさがわかり、日本カー・オブ・ザ・イヤーでは高い配点を入れた。スバル・グローバル・プラットフォームと呼ばれる堅牢なボディ構造や新開発されたサスペンション、とくにSTIスポーツに搭載されたZF社との共同開発から生まれたスバル初の電子制御ダンパーシステムは秀逸であった。「コンフォート」モードの乗り味は、いままでの日本車にはない。

 さて、そんな良い印象のまま迎えた第4回目は、東京と岐阜を往復するロングドライブ。高速道路での走りと白川郷付近での雪道走行を試そうというものだ。グレードは「GT-H EX」、タイヤは18インチのスタッドレスを履いている。

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ロングドライブで静粛性の高さと乗り心地のよさを実感

静粛性が高く、声を大きくせずとも同乗者と会話が楽しめる

静粛性が高く、声を大きくせずとも同乗者と会話が楽しめる

 ロングドライブで感じたことはいろいろある。例えば、キャビンの高い静粛性。前回の軽井沢はひとり乗車だったのでそこまで感じなかったが、編集者と会話しながら走っていると、あらためて室内が静かなのに気がついた。マスクをした状態でも話のボリュームは小さくてすむし、沈黙の時間は静かさが目立ったからだ。エンジン音はほとんど聞こえなく、風切り音やロードノイズもうまく消されている。

 乗り心地も悪くない。今回はSTIスポーツではないのであの絶妙なコンフォートモードは体験できなかったが、日本の高速道路は路面状態が良いので問題なし。スタッドレスタイヤであることを鑑みれば、上出来だ。多少トレッドのゴツゴツしたフィールは残るが、段差でスッと押さえ込む感覚は上出来である。

  • 試乗車はヨコハマタイヤの「iceGUARD 6」18インチを装着していた

    試乗車はヨコハマタイヤの「iceGUARD 6」18インチを装着していた

  • 自動車ジャーナリストの九島辰也氏

    自動車ジャーナリストの九島辰也氏

アイサイトXの実用性はかなり高い

宿泊した下呂温泉の水明館は、施設、温泉、食事のどれもが素晴らしく、リピーターが多いという

宿泊した下呂温泉の水明館は、施設、温泉、食事のどれもが素晴らしく、リピーターが多いという

 ではアイサイトXはというと、実用性はかなり高い。加減速はスムーズだし、クルマの安定感は抜群。クルマを車線のセンターにキープしながらドライバーに不安を持たせない安定走行を続ける。再加速についても車両設定で4段階にできるので、ドライバーの好みに合わせればOK。あのヨーロッパ車のような機敏な再加速も可能だ。

 旅は一泊二日で、下呂温泉の水明館に泊まった。ここは下呂温泉を代表する宿で、平成天皇がお泊まりになったこともあるそうだ。館内には能舞台があり、アート作品が多く展示されている。それに飛騨牛をメインにする夕食コースも特筆ポイント。リピーターが多いのがよくわかる。それと忘れてならないのが温泉。お湯が柔らかく、肌に馴染むのが気持ちいい。館内には3つの大浴場があるがすべてが個性にあふれている。一泊二日じゃ堪能しきれないのが正直なところである。

白川郷への道でアクティブトルクスプリットAWDの進化を感じた

ワインディングを軽快に走る新型レヴォーグ

ワインディングを軽快に走る新型レヴォーグ

 高速ドライブを堪能した翌日は、下呂温泉から北上し白川郷へ向かう。ワインディングでのレヴォーグの気持ちよさを知っている分、少しばかりアクセルの踏み角が深くなる。この軽快なフットワークは実に楽しい。リアにカーゴスペースがあることを感じない身のこなしだ。しかもスタッドレスタイヤでもリアが不安なく追従する。このボディ剛性とサスペンション設定のバランスに感服である。

 この走りにはアクティブトルクスプリットAWDも関係する。新型では制御ロジックを変更し、フロントからリアへ素早くトルクを配分する。なので、高速コーナーでの安定性は高まる。で、これが雪道でもよく働く。スタートや再加速で、リアタイヤがグイッと蹴ってクルマを前へ進める。ここは頼もしいところ。必要な時に必要な分トルクが分け与えられることで、ミューの低い路面での安定した走りができるのだ。

豪雪地帯でも先進安全装備が役に立った

新型レヴォーグが搭載する新世代アイサイトには、見通しの悪い交差点での出会い頭の衝突回避をサポートする「前側方プリクラッシュブレーキ」が備わっている

新型レヴォーグが搭載する新世代アイサイトには、見通しの悪い交差点での出会い頭の衝突回避をサポートする「前側方プリクラッシュブレーキ」が備わっている

 そんな雪道エリアでは除雪車が活躍するのだが、除雪した雪が道の左右に壁になってそびえている場合が多い。実は今回そんな雪の壁で左右を見渡せない小道から国道に出なくてはならないシーンがあった。その時“前側方プリクラッシュブレーキ”が良い働きを見せてくれた。近づいてくるクルマを警告音とモニターで注意してくれるのだ。こいつの守備範囲は都会の路地や駐車場の出口をイメージするが、豪雪地方でも効力を発揮する。

レヴォーグは「プレミアムツーリングワゴン」だ

東京から岐阜までを往復し、雪上走行などを堪能した今回のテストドライブで燃費は14km/L(レギュラーガソリン)であった

東京から岐阜までを往復し、雪上走行などを堪能した今回のテストドライブで燃費は14km/L(レギュラーガソリン)であった

 というように、全方位的にレヴォーグの実用性の高さを知るロングドライブとなった今回のテスト走行。レギュラーガソリンで実用燃費14km/Lというのも個人的には気に入っている。

 ただ、ここまで完成度が高くなるとそろそろレヴォーグ自体のブランディングをしっかり行った方がいいと思う。というのも、技術的内容が高レベルだからだ。つまり、このクルマは走りも装備もプレミアムツーリングワゴンであることをスバル自身がもっと認識する必要がある。まぁ、その辺を語ると長くなるので話はこれまで。言いたいのは、レヴォーグが日本を代表するレベルにまで達しているということである。さて、次回5度目のテストドライブはいずこへ?

スバル レヴォーグ GT-H EX

■全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
■ホイールベース:2670mm
■トレッド前/後:1550/1545mm
■車両重量:1570kg
■エンジン:水平対向4DOHCターボ
■総排気量:1795cc
■最高出力:177ps/5200-5600rpm
■最大トルク:30.6kgm/1600-3600rpm
■サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前後:225/45R18

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グーネットマガジン編集部

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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