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更新日:2021.02.08 / 掲載日:2021.02.05
【メルセデス・ベンツ Sクラス】ラグジュアリーカーの頂点がフルモデルチェンジを受けて登場
メルセデス・ベンツ Sクラス
文●大音安弘 写真●メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツのフラッグシップサルーン「Sクラス」が、2021年1月28日、オンライン発表会により日本デビューを果たした。8世代目となる新型Sクラスは、2020年9月にドイツにて発表されたばかり。ただ日本でもニーズの高いモデルだけに、コロナ禍の厳しい状況にありながらも、早々の上陸が実現されたようだ。
オンライン形式で実施された発表会では、メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎代表取締役社長が自ら、ダイムラー社の開発者にインタビューと試乗を行うことで、新型Sクラスの魅力をPRした。
エクステリアはシンプルな美を追求
メルセデス・ベンツ Sクラス エクステリア
8代目となる新型は、8年ぶりのモデルチェンジであり、全面的な刷新が図られた。そのデザインは、最新のメルセデスのデザイン哲学に基づくものだが、CLSより始まったアグレッシブなスタイルをやや控えめとし、よりシンプルにまとめ上げることで、大型モデルが醸し出す美しさをより際立たせている。その象徴的なアクセントが、「キャットウォークライン」と名付けたボディサイドのキャラクターラインだ。丸みを帯びた新型のスタイリングに凛としたキャラクターラインを与えることで、優雅さとスポーティさを演出している。またドアハンドルは自動格納式となっており、よりボディサイドのサーフェイスの美しさを強調するだけでなく、最小0.22というCd値にも貢献し、燃費効率の向上や風切り音低減にも効果的な役割を果たしている。
メルセデス・ベンツ Sクラス エクステリア
ドラスティックに変化したインテリア
メルセデス・ベンツ Sクラス インテリア
ただ、ドラスティックな変化という意味では、インテリアの方が上かもしれない。次世代のラグジュアリーを追求し、劇的な進化を遂げているからだ。先代Sクラスのダッシュボードデザインも、フラットでワイドメーターパネルを採用するなどの特徴に溢れたものであったが、新型では、再び、メーターとインフォテイメントディスプレイが分離。メーターパネルには、3次元的な表示を可能とした「3Dコクピットディスプレイ」を採用。さらにインフォテインメントシステムの操作パネルも、ダッシュボードからセンターコンソールにかけてフローティング構造となる12.8インチの縦長有機ELメディアディスプレイへと置き換えられた。この大型ディスプレイの存在が未来感を演出するだけでなく、メカニカルなスイッチの削減にも貢献。またダッシュボードデザインもボートのコクピットを彷彿させる直線基調とすることで、開放的となり、より室内の広さが感じられるようになっている。
より発展した安全機能と運転支援技術
Sクラス ARナビゲーション
Sクラスが支持される理由のひとつ、やはり、その高い安全性だ。新型では、後席の安全をより高めるべく、世界初となる後席左右のエアバッグシステムを採用したことも大きなトピック。衝突の際、後席乗員の頭部と首の負荷を最大30%も減らす効果があるという。さらに先進の運転支援機能「インテリジェントドライブ」も、アップデートを加えた新システムを搭載。作動速度領域の拡大や使いやすさにより全面的に性能の向上が図られている。
その進化の中で特徴的なのが、ドライバーへのインフォメーションだ。それが新たに取り入れられたメーターパネルの3D表示機能「3Dコクピットディスプレイ」だ。液晶メーターパネルの表示に奥行きを与えることで、情報の優先順位を直感的に掴むことができるようになっている。また表示の進化は、ナビでも実現されている。それが世界初となるフロントウィンドウに投影可能な「AR(拡張現実)ナビゲーション」である。既にモニター内へのAR表示機能は、Eクラスに実装されているが、こちらはヘッドアップディスプレイに表示することで、視線の移動を最小にしつつ、進むべき方向を瞬時に理解できるようにしたものだ。
LED化により劇的に夜間における視界の良さが高まる新型車だが、Sクラスはさらに一歩進み、より高精細なヘッドライトユニット「デジタルライト」を採用。これは片側130万画素の解像度を持つLEDライトユニットによる細やかな配光調整を行うことで、対向車や歩行者などを幻惑することなく、最大限の視界を得ることが出来るものだ。このようにメルセデスの最上級車に相応しい最新技術が惜しみなく投入されているのだ。
Sクラス ヘッドライト
Sクラス インフォテインメント
全車4WDとなり後輪操舵も導入
Sクラス メカニズム
新型Sクラスの第1弾モデルは、直列6気筒ターボエンジンに限定。3Lターボのガソリンとクリーンディーゼルが設定される。モデルエントリーとなる「S 400 d 4MATIC」には、2ステージターボを採用することで、低回転から高回転域までの全域でトルクフルな加速を実現。最高出力330馬力、最大トルク700Nmを発揮。エントリーだが、マルチな性能を備える。ガソリン車となる「S 500 4MATIC」は、48Vマイルドハイブリッド仕様のエンジンで、最高出力435馬力、最大トルク520Nmを発揮。これにモーターアシストを行うISGの性能が加わる。モーター単体の性能は、最高出力22馬力だが、最大トルクはなんと250Nmとエンジン並み。この巨大なトルクが加速をアシストする。
トランスミッションには、全車9速ATが組み合わされる。全仕様が4WD化されるが、同時に小まわりが利きにくくなるデメリットを解消するため、後輪操舵機能「リヤアクスルステアリング」も搭載し、街中での扱いやすさにも配慮されている。
Sクラス メカニズム
4グレードからスタート
メルセデス・ベンツ Sクラス
導入時のグレード構成はシンプルだ。エントリーも担うクリーンディーゼル車「S 400 d 4MATIC」と48Vマイルドハイブリッド仕様のガソリン車「S 500 4MATIC」の2タイプ。それぞれに標準ボディとロングボディが用意される。今後、メルセデスAMGやメルセデスマイバッハなどに代表されるより上位に位置するモデルも追加されることだろう。価格は、1293万円~1724万円となる。
導入記念限定車は、「S500 4MATIC ロング」がベース
S 500 4MATICロング
新型Sクラスには、導入記念限定車「ファーストエディション」が設定される。ベースとなるのは、「S 500 4MATICロング」。リアエンターテイメントシステムや助手席側後席のフットレスト付きエグゼクティブシート、後席エアバッグを含むリアコンフォートパッケージなどを標準としたショーファードリブンにも最適な仕様となっている。エクステリアは、標準仕様とAMGラインの選択が可能だ。限定数は540台で、価格は1938万円~2040万円となる。
上野社長も太鼓判を押す快適性
メルセデス・ベンツ日本 上野金太郎代表取締役社長
発表会の後半では、上野社長自らがステアリングを握り、新型Sクラスの魅力をレポート。後輪操舵による取りまわしのよさやモノコックボディへの発泡充填剤などの新たな対策により強化された静粛性の高さなどを実感。「随所に最新のテクノロジーを取り入れつつ、Sクラスの伝統的なクラシカルさと未来的なデザインが融合された素晴らしい1台になっている」と締めくくった。
世界のラグジュアリーカーの中でも、ビジネスからプライベートまで幅広い活躍シーンで支持されるSクラス。日本でもトップカテゴリーの中でベストセラーといえる1台だけに、上陸を待ち望んでいるユーザーも多い。それだけに、メルセデスとしての気合も十分に感じられる先進的な内容が盛り込まれている。
メルセデス・ベンツ S 500 4MATIC ロング
■全長×全幅×全高:5290×1920×1505mm
■ホイールベース:3215mm
■トレッド前/後:1645/1670mm
■車両重量:2170kg
■エンジン:直6DOHCターボ+モーター
■排気量:2996cc
■エンジン最高出力:435ps/6100rpm
■エンジン最大トルク:53.0kgm/1800-5800rpm
■モーター最高出力:10ps
■モーター最大トルク:25.5kgm
■サスペンション前/後:4リンク/マルチリンク
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前後:255/50R18