新車試乗レポート
更新日:2021.02.06 / 掲載日:2021.01.15

【試乗レポート BMW 5シリーズ】違いの分かる大人のためのフォーマルセダン

BMW 5シリーズ

BMW 5シリーズ

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 BMWミッドサイズサルーン5シリーズといえば、世界でも名だたるビジネスサルーンのひとつとして知られる。日本のBMWセダンといえば、圧倒的に3シリーズが多いが、個人からプロドライバーまで幅広く愛用される点では世界同様。そのため、オールラウンドプレイヤーとしての素質も問われる。それだけにBMWの本質を映す鏡といっても良い存在だ。

 現行型5シリーズは、2017年2月に第7世代へとフルモデルチェンジ。発売より約3年半を経て、初のマイナーチェンジが実施された。新型の主な改良点は、先進安全運転支援機能やインフォテイメントシステムのアップデートにある。これにより5シリーズでも高速道路渋滞時のハンズオフ機能の利用が可能となった。

最新のBMWデザインを取り入れたエクステリア

フロントマスクがリファインされ、7シリーズに繋がる最新デザインとなった

フロントマスクがリファインされ、7シリーズに繋がる最新デザインとなった

 エクステリアデザインは、イメージこそ従来型に近いが、よりキドニーグリルが立体的となり、ヘッドライト内部にL字型LEDライトを採用することで、よりシャープで力強いフロントマスクへと進化している。リヤスタイルも手が加えられ、テールランプレンズがより立体的なデザインとなり、中央のL字ラインを強調。さらにエキゾーストパイプが台形デザインのワイドタイプに換装されたことで、よりスポーティさも高まったようだ。

高速道路における渋滞時のハンズオフ機能を備えた

5シリーズ インテリア

5シリーズ インテリア

 基本的にデザインを踏襲するインテリアは、デジタル機能のアップデートにより、左右逆回転式アナログメーター表示となる新デジタルメーターやインフォメーションディスプレイのワイド化。またドライビングアシスト機能の追加によりステアリングデザインも変更されている。また現行型はレザーシートの標準化がより進められ、より豪華になっている。

  • 5シリーズ メーターパネル

    5シリーズ メーターパネル

  • 5シリーズ フロントシート

    5シリーズ フロントシート

  • 5シリーズ リアシート

    5シリーズ リアシート

エンジン屋の意地を感じさせる質感の高い4気筒ユニット

日常的なシーンからスポーティな走りにまで、一貫して洗練された姿を保ち続ける5シリーズ

 試乗車となる530iラグジュアリーは、ハイチューン仕様の2Lの4気筒DOHCターボエンジンを搭載。最高出力252馬力、最大トルク350Nmを発揮する。今やミッドサイズモデルでも主力エンジンが2Lの4気筒が当たり前。6気筒を望むなら、もう一クラスアップとなる540iまで手を伸ばさなくてはならない。ただスペック的には4気筒の530iで十分だ。しかし、ユーザーが求めるものは、何もパワーだけではない。その車格に相応しい質感を備えているか、否かである。もちろん、世界のエグゼクティブを相手とする5シリーズサルーンだけに、その点も抜かりはない。パワートレインの伝達振動が少なく、サウンドにも重厚さがあり、良い意味で4気筒感は薄い。それでいて加速時には、4気筒ターボらしい軽快な回転フィールも持ち合わせる。まさに絶妙な塩梅である。セッティングだけでなく、マウントなどにもしっかりと手を加えているのだろう。このようにエンジンらしさを消さずに、味付けで質感を高めるのは、エンジン屋を原点とするBMWのプライドかもしれない。

 その走りは、実に優雅。日常の快適性が高いのはもちろんだが、加速時にも荒々しい表情を見せない。そこは3シリーズとの格の違いが見せつけられるところだ。もちろん、ステアリングフィールや乗り味にもしっとりした深い味わいがある。BMWは、2シリーズ以下は、2ドアクーペを除き、FF系にシフト。3シリーズ以上をFRとしている。3シリーズのサイズアップも相まって、3シリーズで十分という見方がある一方で、5シリーズを知ってしまうと、3シリーズでは味わえない世界があることも実感させられる。さすが世界のベストセラーサルーンである。

  • 530iラグジュアリーは、高出力仕様の2L直4ターボを搭載。最高出力は252馬力を発揮する

    530iラグジュアリーは、高出力仕様の2L直4ターボを搭載。最高出力は252馬力を発揮する

  • リアシートでの快適さも特筆すべきポイントで、ドライバーズカーの最高峰であることを実感する

    リアシートでの快適さも特筆すべきポイントで、ドライバーズカーの最高峰であることを実感する

スポーティなだけではない、BMWの奥深さが体験できる530i ラグジュアリー

フォーマルでありながらも、ドライバーの心をつかんで離さない魅力を持つ

フォーマルでありながらも、ドライバーの心をつかんで離さない魅力を持つ

 個人的に面白いと思うのは、最大のライバルEクラスとの対比だ。どちらもエレガントさを意識した作りであるが、Eクラスが女性的であるのに対して、5シリーズは、実に男性的。一言でいえば、トレンチコートが似合うクルマだ。お堅いといえば、それまでだが、そのストイックさにほれ込む人も多いのではないか。ただ個人ユーザーが主力となる日本のBMWの中では、若々しい3シリーズが支持され、フォーマルさの強い5シリーズはやや目立たぬ存在である。その上で、5シリーズを選ぶ人は、まさに違いの分かる大人と評するべきだと思う。だからこそ、5シリーズには、グレードにも「ラグジュアリー」が存在する。何もMスポーツだけが、全てではない。その点を心に刻んで置くべきだろう。

BMW 530i ラグジュアリー

■全長×全幅×全高:4975×1870×1480mm
■ホイールベース:2975mm
■トレッド前/後:1600/1625mm
■車両重量:1690kg
■総排気量:1998cc
■最高出力:252ps/5200rpm
■最大トルク:35.7kgm/1450-4800rpm
■サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前/後:245/45R18

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グーネットマガジン編集部

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