徹底分析中古車相場
更新日:2021.01.12 / 掲載日:2021.01.12
【グー連載コラム】徹底解明相場分析(2021年1月)
[今月のテーマ]中古車人気検索ランキングで上位にランクインするアルファードは買いか?
グーネットにおける「人気ランキング」で、常に上位に顔を出しているのが、高級ミニバンのアルファード。登場後5年が経過した現行型アルファードは、はたして現在、買いか否か。兄弟車&ライバルとともに検証していこう。(掲載されている内容はグー本誌2021年2月号の内容です)
[自動車評論家]渡辺陽一郎&[下流自動車ライター]マリオ高野 解説放談!
渡辺陽一郎
ユーザー側の視点に立ってクルマとその周辺情報を分析し、「ユーザーに損をさせない」ことを主題にジャーナリスト活動を続ける古参の自動車評論家。マリオ高野
下流生活を営む自動車ライター。その割に多くの自動車専門誌やウェブサイトに登場し、強烈なルックスと相反する腰の低さで、活動範囲を広げている。
兄弟車である2台が入れ替わった時とは?
2015年の登場時の現行型アルファードは、最新モデルと比べてフロントフェイスが大人しいと評価されている。
マリオ グーネットの「中古車検索ランキング」を見ると、アルファードは常にほぼベスト3に入っていますね。
渡辺 新車の登録台数ランキングでも上位だよ。新車の売れ筋価格帯が400万から550万円と高いことも、中古車を求めるユーザーが多いことにつながっているんだろうね。
マリオ 興味深いのは、アルファードの兄弟車であるヴェルファイアの順位が結構離れていて、10位前後になっていることでしょうか。
渡辺 新車の販売推移を見ると、現行型の前期モデルまではヴェルファイアのほうが多かったんだけど、18年1月の改良で逆転しているんだよ。
マリオ アルファードがフロントマスクを派手に変更したからですか?
渡辺 マイナーチェンジによる外観変更が明暗を分けたみたいだね。20年5月には、トヨタの全店が全車を売る体制に移行して、アルファードはさらに伸びている。逆にヴェルファイアは一層下がり、今はアルファードの10%少々しか売れていない。
マリオ 現在(20年12月第1週)、「中古車検索ランキング」では、アルファードが1位です。
渡辺 中古車のランキングだから先代型も同時に見られているし、先代型や、現行型がマイナーチェンジされるまでは、ヴェルファイアの人気が上まわっていた。つまり、現在の新車販売が中古車人気にも影響を与えたわけだ。
マリオ なるほど。では、ライバルといえるエルグランドも加えて、中古車相場を比べてみましょう。
渡辺 エンジンは、2.5Lのベーシックタイプで統一しようか。アルファードとヴェルファイアにはハイブリッドもあるけど、エルグランドにはないからね。
マリオ 3年落ちの17年式は、アルファードの中古車相場は320万から360万円、ヴェルファイアは320万から350万円です。
渡辺 17年式はフロントマスクがまだ前期型で、当時は新車の登録台数もヴェルファイアが多かったから、相場にもほとんど差がないね。
マリオ しかしヴェルファイアは、エアロパーツなど、ドレスアップされた車両が多いですね。外観に手を加えた物件が好みならヴェルファイア、ノーマルならアルファードという選択も成り立ちます。
渡辺 エルグランドは17年の時点で新車の登録台数が落ち込んでいて(ヴェルファイアの約17%)、中古車の流通量も少ない。若干の希少性が生じて中古車相場を押し上げた印象もあるね。
マリオ 相場は270万から320万円ですから、アルファードとヴェルファイアよりは安いですよ。
渡辺 5年落ちの15年式だと、アルファードが290万から340万円、ヴェルファイアは280万から330万円か。両車とも人気車の特徴で、3年落ちとの差額が少ないな。予算に余裕があるなら3年落ちを買うほうが得だね。
マリオ エルグランドの5年落ちは240万から300万円と安くて、流通量は17年式より少し多いようです。
渡辺 エルグランドの場合、現行型の登場は10年に遡るから、低年式なら、走行距離が5万km程度の現行型を160万円前後で購入できる。安さを重視するならエルグランドは狙い目だよ。
【エントリーNo.1】トヨタ アルファード(現行型)
どんなクルマ?
押しの強いフロントマスクに、ゴージャスな内外装の雰囲気、上質で快適な室内空間を備えたトヨタのフラッグシップミニバン。現行型は3代目で、ハイブリッドモデルもかなり人気が高い。
●中古車中心相場 290万円から790万円 ●販売年月 2015年1月から
バイヤーズガイド
高額車両とは思えないほど新車販売が好調で、中古車でも相場は高値を維持。現行型は登場から5年が経過するが、大きく値下がりするような傾向は見られない。予算が200万円以下なら先代モデルも検討したい。
【エントリーNo.2】トヨタ ヴェルファイア(現行型)
どんなクルマ?
2代目アルファードの兄弟車として2008年に誕生。より力強いイメージのフロントデザインが与えられたことで、高い人気を博した。現行型ではフロントの重厚感が強調されている。
●中古車中心相場 280万円から530万円 ●販売年月 2015年1月から
バイヤーズガイド
アルファードより10万から50万円程度安いものの、やはり相場は高め。流通台数に関しても、アルファードと同様、多めなので、シート形式や装備などが自分好みの物件を探しやすいのはメリットだ。
【エントリーNo.3】日産 エルグランド(現行型)
どんなクルマ?
高級ミニバンの元祖ともいえる存在だが、近年はライバルに主役の座を奪われている。アメリカンな雰囲気で、独自の存在感を備えている。2020年10月にマイナーチェンジされたばかり。
●中古車中心相場 70万円から470万円 ●販売年月 2010年8月から
バイヤーズガイド
現行型が登場してすでに10年が経過したが、次期型の噂はあまり聞こえてこない。となれば、まだ“現行型”として乗り続けられる。相場は、2014年のマイナーチェンジ前後で、大きな差が生じている。
ちなみに……
ワシが買うならヴェルファイア!(マリオ)
あえてドレスアップ車両をねらいたいです。好みさえ合えば問題ないですし、かなり高価なパーツを付けている物件も見つかりますから、しかるべき買取店さえ見つければ、リセールにも期待できます。
ワタシのオススメはエルグランド!(渡辺)
年式が古くても「現行型」がねらえるという部分ではプラス。走行距離があまり多くなくて、価格は安めという優良物件を見つけることもできる。良質な物件を探し出すことも中古車購入の醍醐味だ。