輸入車
更新日:2024.02.26 / 掲載日:2021.01.06
フォルクスワーゲン ゴルフ|語り継がれる名車の系譜 vol.1|
文●ユニット・コンパス 写真●フォルクスワーゲン
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年12月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年2月号の内容です)
ゴルフは、新型が登場すると世界中の自動車メーカーが徹底的に調査するという。まさに世界の基準となっているVW ゴルフの歴史を紐解く。
ゴルフという存在が世界の実用車を変えた
フォルクスワーゲンの前身は、「国民車構想」を実現するべく設立された国有企業で、それを実現させたのが、ビートルことTYPE1であった。
戦後、改組され現在のフォルクスワーゲンとなってからも、同社には、一般的な国民であれば誰でも購入できる価格の実用車を開発する伝統が受け継がれていた。60年代の空冷エンジンをリアに搭載するTYPE1は、商品としての競争力を失いつつあり、後継モデルの研究が始まっていた。そして開発されたのが、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトを採用する初代ゴルフであった。
エンジンを横向きに搭載し、前輪を駆動するゴルフのFFレイアウトは、車体のほとんどを居住スペースにできるため、車体が小さくても室内は広々。しかも水冷化されたエンジンにより、信頼性も一気に高まった。そしてこのパッケージングを、カーデザインの巨匠ジウジアーロによる無駄のない、それでいて愛着の持てるデザインで包み込んだ。
従来の小型車より大きく、それでいて大型セダンよりもコンパクトな理想的なサイズ。シンプルなのに先進的なデザイン、そして高性能モデル「GTI」によるスポーツカー顔負けの走行性能。初代ゴルフの登場は、世界に衝撃を与えた。
人々が求める「ちょっといい暮らし」を体現したのがゴルフなのだ。
メーターやインフォテインメントなどを「デジタル化」した現行世代。自動ブレーキに代表される先進安全装備もクラストップレベルの内容となっている。また、インテリアの質感が高いのも特徴だ。
電気自動車の「ゴルフe」やプラグインハイブリッド車の「ゴルフGTE」など、時代が求める電動化にも積極的に対応している。
伝統的なバリエーションモデルとしてステーションワゴンの「ヴァリアント」をラインアップ。日本の路上でも非常に使い勝手がいい。
本国ドイツでは、2019年10月にゴルフVIIIへとフルモデルチェンジ。48Vハイブリッドである「eTSI」が追加されるなど、電動化が進んだ。
[ゴルフが名車になった理由]つねに時代をリードしてきた実用車の超スタンダード
ホットハッチというジャンルを生み出した先駆者
シチュエーションによっては、生粋のスポーツカーとも互角に渡り合えるホットハッチ。それを生み出したのもゴルフ。1976年にデビューした初代ゴルフGTIは、世界的にも大ヒットとなった。(写真はゴルフII)高い実用性を実現する合理的なパッケージング
ゴルフが属するCセグメント(全長4.5mクラスの小型実用車)は、時に「ゴルフクラス」と呼ばれるほど。時代に合わせて、ゴルフはボディサイズを拡大させてきたが、その基本には合理性があり、無駄のないパッケージングだ。
老若男女に受け入れられる扱いやすさ
ゴルフのすごさは、誰が乗っても「使いやすい、いい車」と感じられるところ。運転が苦手な方やビギナーでも、安心して付き合える懐の深さ、それこそがゴルフが長年に渡ってユーザーから愛されてきた秘密だ。初代から受け継がれる伝統のデザイン
1974年に登場した初代モデルから、基本となるデザインテーマを受け継いでいるのもゴルフの特徴。だからこそ、時代を超えて、ゴルフの存在はユーザーに受け入れられている。もちろん、デザイン自体の完成度も非常に高い。
豊富なバリエーションモデルの存在
「国民車」として企画されたゴルフは、基本的には実用性を重視したデイリーカー。しかし、生活を豊かに彩るべく、バリエーションモデルも歴代で数多く作られている。写真のカブリオレやワゴン版のヴァリアントがそれだ。クラスをリードする装備と安全性
ゴルフは、その時代、その時代のスタンダードカーのベンチマークとして受け止められてきた。人々の暮らしが豊かになってくると、質感や装備といった側面も充実してきて、ときに高級車顔負けの内容に作り込まれている。
いま買いの中古車たち
フォルクスワーゲン ゴルフI
TYPE1(ビートル)の後継モデルとして開発された初代モデル。ジウジアーロが手掛けたそのデザインは、今見ても端正で美しい。
中古車参考価格帯:160万円~170万円(74年~83年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフII
初代モデルを発展させた2代目ゴルフは、現在の路上でも通用する実力の持ち主。今でもファンが多く、専門店が存在するほど。
中古車参考価格帯:80万円~250万円(83年~91年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフIII
初期ゴルフの集大成といえる3世代目。高級車と同等の高速性能を目指した狭角V6搭載のVR6を登場させるなど、実用車を超えた活躍を果たした。
中古車参考価格帯:50万円~80万円(91年~97年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフIV
ゴルフの立ち位置を、プレミアム感漂うスタンダードカーへと引き揚げたのが4代目。スポーツモデルのR32は非常に高値で取り引きされている。
中古車参考価格帯:20万円~200万円(97年~03年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフV
現代のゴルフに繋がるメカニズムを確立させた記念碑的なモデル。小排気量ターボのTSI、ツインクラッチ式MTのDSGは、ここから始まった。
中古車参考価格帯:30万円~160万円(03年~08年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフVI
5世代目で採用された小排気量エンジンとDSGというコンセプトを受け継ぎながら、静粛性を大幅に引き上げるなど、その完成度は非常に高い。
中古車参考価格帯:50万円~210万円(08年~12年 ゴルフ)
フォルクスワーゲン ゴルフVII
電動化など、現代から近未来まで見据えて開発された車体骨格「MQB」に刷新して登場した第7世代。全高が低くなり、ルックスはスポーティに。
中古車参考価格帯:70万円~330万円(12年~20年 ゴルフ)