車のエンタメ
更新日:2020.11.11 / 掲載日:2020.11.11
「はたらくくるま」図鑑 空港編 トーイング・トラクター
トーバーを使って旅客機を動かす
KOMATSU WT-250E
車両を後ろから見たところ。後退時の視界確保のため後ろの窓が大きい。車体後端にあるのが電気供給用エンジンのGPUだ。
運転席は、前進用と後退用の2種が用意されている。後退用の運転席が存在しない車種もある。
別の車種となるが、トーイング・トラクターがトーバーを用いて旅客機を押して、駐機場から離れているところ。
白い2本のトーバーと左奥にトーバーが3本。接続時はタイヤを上にあげる。旅客機ごとに専用のトーバーを使う。
2つ支点のあるトーバーを使い、いかにスムーズに動かすのか
旅客機を移動するのに“トーバー”を使うのが、トーイング・トラクターだ。JGSでは羽田空港に小松製作所の車種を中心に約20台を運用しているという。
トーイング・トラクターが旅客機を移動させる仕組みはシンプルだ。トーイング・トラクターの後ろにトーバーを6~7cmのピンで接続。トーバーのもう一方を旅客機の前輪に接続する。1本の棒で繋げて旅客機を押し引きする。運転操作は、ハンドル&2ペダルであって、普通のクルマの運転とほぼ同じとなる。
ただ、問題になるのがトーバーの両側はピンでしか固定されていないこと。旅客機の前輪は左右に自在に動くし、トーバーの車両側もブラブラと自在に動く。つまり、旅客機を移動させたい方向に単純に押せばいいわけではない。トーバー前後の支点と旅客機の前輪のタイヤの向きを考慮しながら、微妙な操作が必要となる。これが難しい。
さらにトーバーと旅客機前輪との接続部に隙間があるのも厄介な問題だ。そのためじんわり上手に押さないと、旅客機に振動が伝わる。上手な人は、動き出す瞬間が乗客に分からないように、スムーズに押すという。
旅客機がPBBから離れる時は、必ずトーイング・トラクターが押している。もしも、乗客として旅客機に乗っていれば、その動き出しの瞬間に注意してみよう。ガツンと衝撃がくるのか? それとも、スーッと静かに動き出すのか? ここにトーイング・トラクターの運転手の腕前が表れるのだ。
KOMATSU WT-250E SPEC
寸法:全長7670(GPU含む)×全幅2900×全高2800mm、ホイールベース:3300mm、エンジン:水冷ディーゼル(コマツSA6D108)、総排気量:7150cc、最高出力:220PS/2400rpm、トランスミッション:4速AT、最大牽引力:20000kg、最高速度:33km/h
※諸元値はKOMATSU社の標準モデルのもの