新型車比較・ライバル車対決
更新日:2020.09.24 / 掲載日:2020.09.24

タフトもロッキーも絶好調!! ダイハツSUVのすすめ

ロッキーはヤリスに一旦はトップを譲ったものの、登録車トップが 定位置。タフトは月販目標4000台をクリアしてなお上り調子だ。

最近の販売データにおいて、特に目を引くのが新作SUVを連続投入したダイハツだ。ロッキーは兄弟車のトヨタ・ライズとともに登録車販売トップを快走、タフトも月販目標台数を軽々と上回る。そんなダイハツの“すべらないSUV”の魅力とは?

売れて当然!! 手頃なサイズ、値頃な価格、 趣味も実用も高速長距離もこなす

タフトG(FF)
●価格:148万5000円 ●ボディカラー:レイクブルーメタリック
■主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1630 ●ホイールベース(mm):2460 ●車両重量(kg):830 ●エンジン:658cc直3DOHC(52PS/6.1kg・m) ●トランスミッション:CVT ●使用燃料・タンク容量(L):レギュラーガソリン・30 ●WLTCモード総合燃費:25.7km/L

ハイト2BOXの長所を損なわず、趣味性を付加

初代ハスラー登場時、同車の長所のひとつとしてハイト系並みのキャビンスペースを挙げた。つまりデザイン嗜好の異なるワゴンRでもあったわけだ。ダイハツから登場したロッキーとタフトにも同様の図式が当てはまり、キャビンスペースは両車の欠かせないセールスポイントのひとつである。

ただし、一般論としてはそうであっても、ダイハツのラインナップを背景にすると様子も異なる。広さを求めればムーヴもタントもあるし、登録車にもトールがあり、キャビンスペースは決定的なアドバンテージにはならない。

そこで「SUV」である。軽乗用やスモールクラスでユーティリティを求めるとファミリー色が濃くなってしまうが、SUVと融合させればアウトドア趣味の実用車となる。文字通りにポストファミリーが生活と趣味を楽しむためのクルマとなるわけだ。

売れセンのキュート路線にもプレミアム路線にも媚びないデザインも、そんなターゲットユーザー層にほどよい。実質本位というほどでないにしても、SUVらしい機能感やタフさはクルマに求める目的意識の表れでもある。

実利とイメージのバランスはユーザーによって異なるだろうが、クルマで色々と遊びに出掛けたいユーザーにとって、ロッキーもタフトもバランスがいい。しかも、SUVでは最小クラスなので、日常用途が多いユーザーにも都合がいい。一方で先進運転支援機能も用意して、以前の同クラスが苦手だった高速長距離適性も向上。売れていても何ら不思議ではない。

キーワード>>>「DNGA」Daihatsu New Global Architecture

従来手法をゼロから見直し新世代基準に刷新!!

DNGAのボディは着力点(作用点)を見直し、アンダーボディの主材をスムーズに結合。安全/強度/快適性能の向上をもたらす。

軽量小型化を進めるとともにしっかりした骨格で1.3Lクラスまでカバーできるプラットフォーム。大量クールドEGRと急速燃焼で熱効率を向上したエンジン。遊星ギヤを用いた動力分割機構により変速比幅を拡大したCVT。そういった個別技術を指してDNGAと言うわけではない。トヨタのTNGAと同様に、次世代を目指した基本性能向上と設計や部品の共用化を進める設計理念の総称であり、車格によってTNGAと棲み分けている。

  • ■3気筒NA(自然吸気)エンジン/実用域の性能と燃費の向上を狙い、大量EGR(排気再循環)可能な燃焼技術を開発。

  • ■3気筒ターボエンジン/パワーと燃費を両立。タフト(FF)はWLTC燃費20.2km/LとNA(20.5km/L)に迫る。

  • ■D-CVT/タフトではターボ車に採用。遊星ギヤで変速比幅を拡大し、燃費と動力性能の向上に寄与。

DNGA3兄弟

  • icon 【第1弾】タント

    ●価格:124万3000~197万4500円 ●発売日:’19年7月9日

  • icon 【第1弾】タント

    軽規格で最大級の空間を誇るスーパーハイトワゴン。トップセールスを争う人気車だ。

  • icon 【第2弾】ロッキー

    ●価格:170万5000~236万7200円 ●発売日:’19年11月5日

  • icon 【第2弾】ロッキー

    1Lターボ搭載のコンパクトSUV。トヨタ版のライズとともに、発売直後から大人気に。

  • icon 【第3弾】タフト

  • icon 【第3弾】タフト

DAIHATSU タフト

●価格:135万3000~173万2500円 ●発売日:6月10日

ダイハツ久々のSUV軽乗用車

標準採用の大型ガラスルーフを特徴とするクロスオーバーSUV。軽自動車の限られたスペースを再構築した「バックパックスタイル」を掲げ、前席を乗員スペース、後席+荷室をフレキシブルスペースに。少人数でのレジャーに適したパッケージングを提案している。

タフトインプレッション/ターボ? それともNA?

●G

軽のセオリー通り、遠出なら高速もゆったりのターボ車だ

●Gターボ

 4WD車は試乗できなかったが、駆動システムは軽乗用では標準的なビスカスカップリング式。いわゆる生活四駆型であり、主に最低地上高やアプローチアングルなどの対地寸法設定で悪路対応力を高めている。

パワートレーンはNAとターボの2種。軽乗用では標準的な設定だが、タフトはエンジン本体だけでなく、CVTも別型となる。コストを重視したためだが、意外なことにNA車のCVTにグレードダウンした印象はなかった。

ターボ車に対してNA車の変速比は高速側を詰めているのだが、トルクウェイトレシオに余裕がないせいか加速等の高回転域使用頻度が高い。一方、ターボ車はD-CVTを活かして低い回転域を積極的に使う。高いギヤ比にかかわらず高速巡航ギヤ維持力はNA車よりも優れている。軽乗用の高速長距離用途ではターボが必須だが、タフトも例外ではない。要するにエンジンの地力の問題なのだ。

NA車にも全車速型ACCと走行ライン制御型LKAを設定するのは見識として高く評価できるが、長駆レジャーならターボ車。乗り味も含めて軽乗用ではゆったりしたツーリングが楽しめる。

  • ●NA

  • ●ターボ

タント以降のDNGA車のメカニズムは前ページで説明した通り。タフトの場合、NAは従来型のCVT、4WDのみD-CVTを採用する。

  • 外観と同じく、内装も角型のモチーフで統一し、差し色でSUVらしい遊び心を表現。USBソケットやトレイを使いやすく配置。

シートポジションはハイト系のアップライトな設定。シートの柄でアウトドアテイストを、シートステッチで上級感をプラス。

“バックパックスタイル”

  • 後席+荷室は濡れ物にも対応した積載スペースに。荷物を背負うバックパック感覚だ。

“スマアシ”は最新版

スマートアシストの機能が向上。電動駐車ブレーキをダイハツ初搭載し、停車保持も実現。

  • 認識解像度が向上した新型ステレオカメラをダイハツで初採用。

“スカイフィールトップ”

スーパーUV(紫外線)&IR(赤外線)カットのガラスルーフ。手動開閉シェード付きだ。

DAIHATSU ロッキー

●価格:170万5000~236万7200円 ●発売日:’19年11月5日

ライズとともに大ヒット

登録車最小クラスのクロスオーバーSUVで、トヨタからはデザイン違いがライズの名称で販売されている。トールのターボ車と同じエンジンを搭載するが、軽量でしっかりした車体やD-CVTによる変速制御など、DNGAテクノロジーによる進化度は大きい。

ロッキーインプレッション/バカ売れSUVの人気の理由

ロッキーX(FF)
●価格:184万8000円 ●ボディカラー:コンパーノレッド
■主要諸元 ●全長×全幅×全高(mm):3995×1695×1620 ●ホイールベース(mm):2525 ●車両重量(kg):970 ●エンジン:996cc直3DOHCターボ(98PS/14.3kg・m) ●トランスミッション:CVT ●使用燃料・タンク容量(L):レギュラーガソリン・36 ●WLTCモード総合燃費:18.6km/L

エントリーユーザーに優しく、ダウンサイザーにも魅力的

タントに続くDNGA第2弾として開発されたのがロッキーである。車格面では登録車最小クラスになるが、スペース効率の優れたプラットフォームやセミハイト系のプロポーションにより男性4名が長時間過ごすにも不足ないキャビンスペースを実現。奥行きの余裕が少ないものの後席使用時の荷室容量は同サイズの2BOX車よりも一回り大きく、ファミリー&レジャーのエントリーに十分なキャビン実用性を備えている。

搭載エンジンは3気筒の1Lだが、全車ターボを採用。ダウンサイジングターボらしい実用域の力強さと小気味よい加速感が特徴。踏み込み時の蹴り出し感を誇張した特性のため、コントロール感覚が少々忙しい。フットワークも動き出しは滑らかだが、ストロークするほどに締まるような硬さ。負担重量に影響されやすい軽量車ゆえの多人数乗車や重い荷物積載の高速走行まで配慮した結果とも言えるが、空荷で乗っている時はスポーティな味わい。操縦感覚も軽快である。高速長距離のレジャードライブとターボのスポーティなイメージを上手く融合させた特性であり、とくにダウンサイザーには魅力的だろう。

  • ●1Lターボエンジン

    低速トルク重視のエンジンをD-CVTが活発に走らせる。4WDは駆動力配分(前後100:0~50:50)とブレーキ制御で安定走行を実現。

  • ●ダイナミックトルクコントロール4WD

9インチの大型DA(ディスプレイオーディオ)をオプションで用意。カラーアクセントを効果的に用いる手法はタフトにも通じる。

限られた空間の有効活用はダイハツの得意とするところ。前後席間を900mm確保するなど、コンパクトな車体ながら室内には余裕がある。

  • 荷室には上下に位置変更できるデッキボードを備える。さらにアンダーボックスもある。

  • ■スマートアシスト
    BSMやパノラマモニターなど一部の機能以外は全車標準装備。ステレオカメラは従来型だ。

  • icon TOYOTA ライズ

    ●価格:167万9000~228万2200円 ●発売日:’19年11月5日

  • icon TOYOTA ライズ

    トヨタ版はお顔が違う
    ロッキーのトヨタ版となるライズは、RAV4を思わせる“トヨタ顔”が特徴。デザイン以外に大きな違いはなく、生産はダイハツが担当する。

タフト&ロッキー サイズくらべ

全高と最低地上高はタフトの方が大きい。ロッキーの小回り性能は軽自動車に迫る。

室内長×室内幅×室内高■タフト:2050×1305×1270■ロッキー:1955×1450×1250

当然ながらロッキーの方が広々だが、車体寸法と同じく、高さはタフトの方が上回る。

【まとめ】

  • タフト

  • ロッキー

外遊びにまで活動範囲を拡げた「便利に使える小さなクルマ」

小さなクルマでどこまで楽しく便利に使えるかと問われて、すぐに思い浮かぶのは軽乗用だろう。そして走行性能面から楽しむための活動範囲を拡大してくれるのがSUV。ひと昔前なら小さなクルマが苦手としていた高速長距離走行を運転ストレス軽減の面から飛躍的に向上させるのが先進運転支援装備。これらの特徴の交差点にロッキーとタフトが位置する。

しかも、高効率な乗用車設計が基本なので、燃費等のSUVハンデも最小限。悪路走行のための犠牲が少ないため、一般用途の実用的なクルマとして選んでも悪くない。4WDがないと成立しないクルマでもないのだ。実用車としてのコスパは若干悪いが、一般的なユーザーにも現実的な選択であり、2BOXやワゴンに代わる新しい基準として期待されて当然だろう。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之/澤田和久

提供元:月刊自家用車

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