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更新日:2020.07.27 / 掲載日:2020.07.27

開発者に聞く TOYOTA 新型ハリアーの魅力

現行RAV4が登場した昨年春に次期ハリアーの開発を公表したトヨタ。それから約1年の期間を経てデビューした新型ハリアーは、どんなモデルに仕上がっているのだろうか? ポイントやコダワリなどを開発のキーマンたちに詳しく聞いてみた。

エクステリア

キャビンは絞り込み、フェンダー周りは張り出すことで、メリハリの効いたシルエットを構築。タイヤハウス周りは幅広に表現し逞しさもプラスしている。

L字型のLEDヘッドランプや薄さとシャープさにこだわったリヤライト類など、キャッチポイントは独自の造形で他車との差をアピール。個性の演出も抜かりない。

新色のプレシャスブラックパールにはプレシャス技術(薄膜技術)を組み合わせることで、陰影の美しい変化を楽しめる新タイプのボディカラーを採用。

流麗さに力強さをプラス シンプルに美しさを追求

 デザインのコンセプトは、エレガンスさとおおらかな逞しさの融合。歴代モデルから受け継がれた色気のあるクーペキャビンのイメージは残しつつも、力感を強めた前後フェンダーまわりや巧みなプレスラインで陰影を強調するサイドパネル造形などで、新鮮味溢れるスタイリングを実現。ハリアーの深化ぶりが上手に体現されている。

キャビン & ラゲッジ

馬の鞍をモチーフにした幅広&骨太なコンソールは新型のキャビン空間の大きな特徴。ソフトパッドを巧みに用いることで、手触りの良さも追求する。

上級グレードの多彩な室内加飾も踏襲されるが、新型では硬さや艶、配色のバランスを意識して歴代ほどの派手な印象はない。程よく上品な雰囲気を楽しめる。

キャビンを照らすイルミネーションライトは、センターオープントレイやコンソール、カップホルダーなどに配置。室内の雰囲気を高める演出も抜かりない。

力強い表現と加飾の組み合わせで プレミアム感を引き出している

 シフトやスイッチ類など操作系のレイアウトはRAV4に良く似てzいるが、重厚な雰囲気に仕立てられたキャビンは完全に別物。海外プレミアムSUVのように贅沢な素材を多用するわけではないのだが、ソフトパッドやパネル/パイピング意匠、イルミネーションの魅せ方に工夫することで、1ランク上の凛とした心地よい居住空間を追求している。

シャシー & パワートレイン

  • フロント: マクファーレンスラット

  • リヤ: ダブルウィッシュボーン

RAV4と同じ最新プラットフォームを採用するが、サスペンション周りにはハリアー独自のチューニングが注がれる。前後コイルばねやアブソーバー減衰力の最適化により、重厚感としなやかさを併せ持つ走りを実現している。

  • ガソリン車/ハイブリッド車ともに、熱効率に優れる新世代ダイナミックフォースエンジンを搭載。ガソリン車は2Lユニット+ダイレクトCVTの採用で動力性能も大きく高まっている。

  • ハイブリッド車は2.5Lダイナミックフォースエンジンとの組み合わせになる最新のTHS 2を採用。FF車に加え、リヤにモーターを組み込むE-Four車も選べる。

トヨタ最新技術をフル投入 走行性能の大幅アップデートも 新型のアドバンテージ

 新型はTNGA由来の最新技術が惜しみなく注がれたことによる、性能面の進化も大きな見所。最新パワートレーン&GA-Kシャシーを筆頭に兄弟関係にあたるRAV4と共通するメカニズムは多いが、吸音遮音、制振材の適正配置や足回りにハリアー専用の独自のチューニングが施されることで、走りの味付けや静粛性などは完全に別物に仕上がっている。

装備 & 機能

  • 車両後方カメラの映像をインナーミラー内に表示するデジタルインナーミラーは、夜間走行時に重宝する機能装備。ハリアーには前後方録画機能も追加された最新仕様が用意される。

  • 表面のフィルムに電圧をかけることで、ガラス自体に段階的に光の加減を調整できる調光・透過機能を持たせる調光パノラマルーフは、トヨタ車初となる装備。

  • 車載インフォテインメントは、8インチモニター+DA(上)と、12.3インチワイドモニター+T-Connect SDナビ(下)を用意。共にApple CarPlay/Android AutoTMにも標準で対応している。

歴代同様に充実しているが 最新機能の投入ぶりも見逃せない

 歴代同様に装備&機能は充実しているが、最新トヨタセーフティセンスの採用や、DA(ディスプレイオーディオ)の標準化に伴うコネクティッド機能の強化など、質の面でも見所は十分。録画機能付きのデジタルインナーミラーや調光ガラスを用いた電動シェード付パノラマルーフなど、トヨタ初の装備が投入されていることもトピックスだ。

RAV4との棲み分けで新型は”ハリヤーらしさ”をより強く追求した

――RAV4に続いてハリアーが登場しました。この2台は、いわば基本コンポーネントを共用する兄弟車とも言えますが、各々のコンセプトは、どう違うのでしょうか?佐伯 RAV4はクロスオーバーが当たり前になった現在、SUVのワクドキを再定義した「原点回帰」を目指したモデルです。対するハリアーはRAV4の真逆で、「SUVの世界からいかに離せるか?」に挑戦したモデルです。――もう少し具体的に言うと?佐伯 SUVの持つ力強さ/悪路走破性をアピールするのではなく、純粋に「クルマの美しさ」や「心に訴える部分」を重要視しました。つまり、数値にこだわらないクルマづくりですね。――ハリアーは初代/2代目はレクサスRXの日本仕様と言う位置づけでしたが、3代目は国内専用モデルとなりました。新型は日本に加えて北米(ヴェンザ)でも発売されますが、3代目を受け継いだ部分と、逆に新型で大きく変えた部分はどこでしょうか?佐伯 継承したのは「高級だけど豪華じゃない」、「ちょっと頑張れば手が届く高級車」と言う日本人ならではの価値を詰め込んだモデルであること。変えた所は「いい意味で欲張らなかった」ことですね。――いい意味で欲張らなかったとのことですが、それはどういう意味ですか?佐伯 先代ハリアーは国内のミドルクラスSUVを一台で背負っていました。おかげさまでユーザーからは高い評価を受けましたが、開発サイドとしては居住性や使い勝手、価格などを全て盛り込んだことで、中途半端なモデルになってしまった反省がありました。今回はこのクラスのSUVをRAV4との2トップ体制にすることで、上記のようにシッカリと棲み分けができたと思っています。――似たような兄弟車がたくさんあった昔のトヨタでは考えられないことですよね(笑)。

小島 佐伯からは「カドがないクルマにはしないで欲しい」、「割り切っていい」と言われてビックリしました。その一つがターゲットユーザーで、40代の家族持ちのユーザーにはRAV4があるので、新型ハリアーは30代と50代のユーザーに絞りました。もう一つは「クーペボディだから後席と荷室はそこそこでいい」でした。ただ、それは「好き勝手にやっていい」ではなく「お客様の気持ちになって考えなさい」と言う意味でした。ただ、これらの割り切りから様々なアイデアが生まれました。――でも後席と荷室はそう聞くほど割り切っている感じはしませんでした。逆に「思ったより広いじゃない!」と感じたほどですけど。小島 まさにそこです。デザイナーに「後席は狭くていいですから」と言うと、デザイナーは「ホントに大丈夫?」と、様々なアイデアを出してくれました。また、人間工学のメンバーにも「ユーザーが納得できるエリアと容量」を出してもらいました。

  • ハイブリッド車もガソリン車も、先代に比べ走りの質感は大幅に高まっている。メカニズムの進化の影響もあるが、都会派SUVを狙った開発体制の徹底ぶりも大きいはずだ。

開発の早い段階から 各セクションと“密”に連携 理想を限りなく実現へ

――最近のトヨタデザインは好みが分かれがちでしたが、ハリアーは多くの人に好まれそうです。特に実車を見てビックリしたのはリヤ周りの「クビレ」。これまでのトヨタのモデルではできなかった事だと感じましたが……。小島 今回は設計業務に関わる人以外にも早い段階でデザインを見てもらいましたが、設計/デザイン/実験/生産技術/製造が「ワンチーム」で進めるために大きな力になったと思っています。――インテリアもレクサスも驚きの仕立てと品質ですよね?小島 そこは徹底してこだわった部分ですね。価格も大事ですので車格に見合った素材を使用していますが、志は「本物を目指す」でした。実はドアの開閉音もRAV4とは異なります。細かい部分ですが「ハリアーとは?」を常に考えながら開発を進めました。――全体的に見ると、新型ハリアーは仕立てのいいスーツを着ているような印象を受けます。そういう意味では、現代版マーク2と言った印象も感じてしまいます。 一方、メカニズムに関しては、パワートレーン&シャシー共にRAV4と同じです。その中で各々の「乗り味」はどのような作り分けをしているのでしょうか?佐伯 私はRAV4とハリアー、そして北米専売の3列SUV・ハイランダーを担当していますので、共通する部分と差をつける所をハッキリさせようと。

RAV4とハリアーは 走りの味付けも 明らかに異なる

――実際に乗り比べると、各々のテイストが出ている気がしました。どちらも基本に忠実な部分、攻め込んでみたくなるワクワク感が備わっていますが、RAV4は「軽快でキビキビした動き」なのに対して、ハリアーは「重厚でシットリ感のある動き」と言う印象を受けました。小島 もちろん、ハリアーのほうが登場が後なので、時代進化分も盛り込まれていますが、「良く曲がるね」と言う味付けに対して、ハリアーは「より人間感覚に近い」と言う味付けになっています。加えて乗り心地も絶対ですので、ハリアーには新開発のダンパーを奢っています。――ハリアーに乗ると豊田章男社長が常日頃語っている「味づくり」がより明確になったような気がしています。単純に走りだけでなく内外装を含めた部分も含めてです。小島 その辺りは開発ドライバーの「匠」たちと共に注力してきた部分です。同じ素材を用いながら、RAV4とハリアーでどのような世界観を目指すのか? ただ、全体で言えばトヨタ車としての共通項を損なわずに……です。この辺りは数値ではなく感性の部分なので、毎回議論でしたね。――6月17日に正式発売されたばかりですが、先行予約の時点でグレードによってはすでに多くのバックオーダーを抱えていると聞いています。小島 非常にありがたいことですが、最上級グレードZのレザーパッケージと電動シェード付パノラマルーフ仕様の組み合わせは我々の予想を超えるオーダーでご迷惑をおかけしている状況です。また、先行予約ではハリアーからハリアーのお乗換えが多いと聞いていますが、正式発売後の反響も気になりますね。

  • トヨタ自動車Mid-size Vehicle CompanyMS 製品企画 主査小島 利章 氏

  • トヨタ自動車Mid-size Vehicle CompanyMSZ デザイン領域 統括部長佐伯 禎一 氏

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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