輸入車[2020.05.22 UP]

【試乗レポート アルファ ロメオ 4Cスパイダー】乗り手を選ぶ骨太なミッドシップスポーツ

アルファ ロメオ 4Cスパイダー イタリア(限定車、販売終了)

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 アルファ ロメオ 4Cというクルマをご存知だろうか。小粒ではあるが、見るからにスーパーカーの装いをしている2シーターミッドシップカーである。誕生は2013年。その年のジュネーブモーターショーでお披露目された。その“いかにも”なスタイリングから世界中のエンスージアストの間で話題となったのはいうまでもあるまい。8Cコンペティツィオーネに続く第二弾として期待は膨らんだ。とはいえ、けしてメジャーなモデルではないのも確か。周りにいる自称クルマ好きの中でも4Cを知らない人がいたくらいだ。

この記事の目次

2020年末に「ファイナル・エディション」を限定発売
カーボン剥き出しのレーシーな室内は特別なクルマであることを実感させる
240馬力のV6ターボエンジンをミッドシップ
驚異的にコンパクトにまとめられたパッケージング
スピード感や地面との近さ、そしてアクセル操作でクルマの姿勢が決まるレーシングカー的ドライブフィール
乗り手を選ぶ、本物のスポーツカー

関連情報

ボディタイプ:オープンカー 新車 スポーツカー

2020年末に「ファイナル・エディション」を限定発売

4C Final Edition(仮称)、4Cスパイダー Final Edition(仮称)写真:アルファ ロメオ

 そんな4Cとそのオープントップモデル4Cスパイダーが今年で生産を中止する。カタログモデルはすでに4月30日に販売を終了し、デリバリーを待つのみとなった。また、年末には“ファイナル・エディション”が限定発売されることもアナウンスされている。それが新車で購入できるラストチャンスとなるが、限定50台なので入手は困難となるであろう。そう考えると、ますます欲しくなるのが人の性というものだ。

カーボン剥き出しのレーシーな室内は特別なクルマであることを実感させる

ステアリングは下辺がストレート形状のレーシーなスタイル。シートなどのステッチはイエローで鮮やか

 それはさておき、その乗り味を心に止めるためいま一度ステアリングを握った。試乗したのは4Cスパイダー。ルーフ部分だけ手軽に取り外せるオープントップモデルである。  久しぶりの4Cスパイダーはやはり個性的であった。ドアを開けて目に飛び込んでくるのは幅の広いサイドシル。しかも、カーボン剥き出しの硬派なものだ。これがこのクルマのコアとなるのは言わずもがな。カーボン製のバスタブのようなパッセンジャーセルがあてがわれる。これだけでも4C/4Cスパイダーにはお金がかかっているのがお分かりいただけるであろう。同時に他の部分ではアルミニウムも多用。エンジンブロックやマウントのフレーム、前後のサブフレームにそれを採用している。  と言ったハードウェアつくりなので、4C/4Cスパイダーの生産ラインは通常とは違う。モデナにあるマセラティのファクトリーが使われた。同じグループとはいえ、特別感はハンパではない。

走行性能を追求した2シーター。ソフトトップは軽いため取り外しは簡単

ペダル類も市販車というよりレーシングカー。トランスミッションはDCTのため2ペダル

240馬力のV6ターボエンジンをミッドシップ

オールアルミ製1.74L直4ターボエンジンを車体中央に搭載。その後方にラゲッジを用意

 エンジンは1750ccの2リッター直4ターボが搭載される。最高出力は240ps、最大トルクは350Nmとなる。これはそもそもジュリエッタと同じユニット。ボアもストロークも圧縮比も変わらない。ただ、最大トルクが少しアップするのと最高出力を発揮する回転数が若干異なるだけだ。組み合わされるギアボックスもそう。ジュリエッタと同じ6速乾式デュアルクラッチを搭載する。

驚異的にコンパクトにまとめられたパッケージング

全長3990mm、全高1190mmという短く、低いボディ。それでいて全幅は1870mmと広い。コーナリング性能の高さを伺わせるスタンス

 この他の特徴はスタイリング。ミッドシップレイアウトであることを伺わせるパッケージングは世界中のカーガイの目を止める。ロングノーズが特徴のFRスポーツとはまた違ったワクワク感がある。そして、サイズからもレーシーな走りはうかがえる。ワイド&ローのプロポーションはまんまレーシングカーのようだ。コクピットにおさまって走っていると、後ろの軽自動車のワンボックスがハイエースくらいのサイズに思える。

アルファ ロメオにとって伝説的な存在であるTipo33/2ストラダーレとの関連性を持たせたデザイン

ボディの骨格はカーボンで前後にアルミ製サブフレームを組み合わせるシャシー。ボディパネルにはガラス繊維強化樹脂を使っている

スピード感や地面との近さ、そしてアクセル操作でクルマの姿勢が決まるレーシングカー的ドライブフィール

軽量素材とミッドシップ、そしてホイールベース/トレッド比の小ささにより、4Cは優れた運動性能の資質を持つ

 では、実際に走らせるとどうか。クリープのないデュアルクラッチはまさにレーシングカーのような動きだしを見せる。アクセルを踏むというドライバーの意思で全てが始まるのだ。その後感じるのはこのクルマがミッドシップであること。ステアリング操作に対するクルマの挙動はつねにドライバーを中心に旋回する感覚を与える。普段からリアにエンジンをマウントするポルシェ911に乗っているが、それとは異なるリアミッドシップエンジン独特の挙動だ。低中速域ではそれほど違和感はないが、高速時になると一気にその違いが出るので慣れるまで注意が必要。ギアボックスはMTモードもいいがATモードでも街中では十分に楽しめる。それほど省燃費に振っていないのか、回転数を引っ張るのがいい。
 と、ここまでは“DNA”と名付けられたドライブモードの“N(ナチュラル)”で走った印象だが、これを“D(ダイナミック)”にすると、実はキャラがグッと濃くなる。一気にエキゾーストノートは響き渡り、操作系のレスポンスがクイックになる過激仕様だ。こうなると楽しいのがMTモード。1つ1つのギアをしっかり上まで回すと、それに応えるようにパワーが発揮され加速する。高速道路において低い目線の迫力は想像以上。トンネル内では横の壁が勢いよく後ろに流れる。パドルシフトでの操作はシフトアップはもちろん、シフトダウンの減速も頼りになる。車速をコントロールするのに武器になるし、この時のブリッピングもグッドタイミング。かなり緻密にセッティングしてある。欲を言えば、この時のブリッピング音はもっと派手でよかったかも知れない……。

乗り手を選ぶ、本物のスポーツカー

 というのが、久しぶりの試乗インプレッション。“D(ダイナミック)”モードで速度域を上げていくと、かなり個性的な性格が現れるので多少ドライビングスキルが必要だと感じた。つまり、それだけ乗り手を選ぶ味付け。イマドキこんなクルマ珍しい。その意味では自動車史にしっかり爪痕を残した一台と言えそうだ。
 
 
  アルファ ロメオ 4Cスパイダー(6速AT・DCT)


全長×全幅×全高 3990×1870×1190mm
ホイールベース 2380mm
トレッド前/後 1640/1605mm
車両重量 1060kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1742cc
最高出力 240ps/6000rpm
最大トルク 35.7kgm/2100-4000rpm
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン/ストラット
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前/後 205/45R17・235/40R18




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