ドライブ
更新日:2020.04.10 / 掲載日:2020.04.10
先進装備で快適ドライブ
トヨタ カローラ ツーリング(コネクテッド機能搭載)/三菱 アウトランダー PHEV(プラグインハイブリッドシステム搭載)/日産 スカイライン(プロパイロット2.0搭載)
長いクルマの歴史の中で、さまざまな先進装備が誕生し、年々アップデートされながら、ドライブの快適性は高められてきた。乗員の安全を守り、無駄な労力を省き、コストを削減する、そんな先進装備の現在地を、安全/情報/環境といった観点からあらためて見ていこう。
(掲載されている内容はグー本誌2020年5月号の内容です)
ドライブを快適なものへ昇華させる各種先進装備
クルマの楽しさは千差万別だ。所有することに意義があり、毎日眺めるだけでも幸せという人がいる一方、趣味や仕事の相棒として徹底的に使い倒すことに充実感を見出す人もいるだろう。
しかしなんといっても、クルマの醍醐味は、走ること。好きなときに、好きな場所へ、好きな速さで移動できることである。そしてそれは運転すること、つまりドライブだ。しかし、基本的にはどんなクルマでもドライブは楽しいものだが、それをさらに充実させるには、ある程度の快適性も必要になってくる。
今回は、ドライブを楽しく快適にしてくれる最新アイテムとして、クルマの未来を担う、安全、情報、環境という各分野の先進装備を紹介していく。それぞれ、どの程度、高度化しているのかを理解し、実際にこれらがドライブにどれほどの快適性を生み出すのか、先進装備搭載車からひも解いてみようではないか。
高度化する自動車の先進装備たち
「情報」
クラウドサービス、緊急SOS連絡、最新コンテンツ受信、新アプリ追加…
通信をはじめとしたクルマの「情報」分野は、日進月歩の世界だ。過去を振り返ってみれば、カーナビやETCなどは便利なものとわかれば一気に普及したし、今も進化を続けている。そして現在、クルマが通信機能を用いて車外の情報ともつながろうとしている。できることがスマホのように増えていく未来は、そう遠くないだろう。
「環境」
電気モーター、プラグインハイブリッド、燃料電池、クリーンディーゼル…
現代において、化石燃料を使い、CO2を排出して走るガソリン車は「地球環境の敵」だと見る人もいる。どう解決すべきか、まだ人類は答えを見出せていないが、ドライバーに心理的な負担を与えず、逆に心を躍らせるのが、EV(電気自動車)をはじめとした次世代エコカーの登場だ。さらにお財布にも優しいというなら、なおさら魅力的だろう。
「安全」
衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止、ACC、リアビークルモニタリング…
快適なドライブを実現するうえで、最も大切なのが「安全」性能である。運転中に事故を起こさないこと、もし起こってしまっても乗員を守ること、そして、日常の安全運転をサポートすること。これらを実現するための装備がついていることで、乗員も安心し、心の底から運転に集中して、ドライブを楽しめるというものだ。
先進装備PART 01……安全
自動運転技術はドライブの楽しさを阻害するのか?
自動運転化へ向けて、クルマの先進技術は進化を続けている。そして、自動運転技術の発展は、安全性能の向上とイコールと言っても過言ではない。
自動運転を実現するためには、車体が障害物にぶつからないよう、各種センサーや自動でコントロールする機能が必要となる。結果的には、そのどちらも、「ぶつからない」ための安全技術となっている。
現在、同技術の頂点と言えるものは、「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」だろう。従来のクルーズコントロールの機能に加え、先行車をセンサーやカメラで感知し、自動で一定距離を保ちながら走行できる。さらに、昨年スカイラインに搭載された「プロパイロット2.0」では、高度な車線逸脱防止機能を加えることで、高速走行中にハンズオフ(手放し)運転も可能としている。
では、これら安全機能の進化は、ドライブの楽しさを阻害するものなのだろうか。自動運転は運転の楽しさをスポイルするものだという意見もある。たしかに乗員が何も手を出さずに移動するのでは、バスや電車と同じである。だが、いつくるかわからない未来に頭を悩ませる必要はない。現状、全自動ではなく、限定した部分のみ、自分で望んで操作したときにのみ発揮される機能であれば、それはドライバーの苦手な部分をカバーし、疲労を軽減してくれる。つまりドライブの楽しい部分をより深く味わえる機能と言えるだろう。
こんなことができる!
車線逸脱防止
カメラやセンサーで車線を検知し、はみ出しそうになったら警告したり、車線内を維持するよう自動操作する。
前方車両追従走行
設定速度内で、前方車両の速度に合わせて、一定距離を保ちながら走行。停車までサポートするものもある。
衝突被害軽減ブレーキ
前方車両や障害物、歩行者などに衝突する危険性がある場合に、自動ブレーキをかけて停車をサポートする。
障害物アラート
車線変更時の左右後方や右左折時、車庫入れなどで死角に車体や障害物があった際に、アラームなどで警告。
[実践]スカイラインのプロパイロット2.0を試す!
他のACCと最も違う部分といえば、ステアリングから手を離した状態で走ることができる「ハンズオフ運転」が可能になったこと。
カーナビで目的地を設定したうえで高速道路を走っているとき、前方に設定速度より遅いクルマがいると、追い抜き可の表示が。
ステアリング上にある「追い抜きスイッチ」を押すだけで、周囲の状況を確認しながら、自動で追い抜き車線へ車線変更をしてくれる。
インパネ中央にはドライバーの目線を感知するカメラが搭載されている。よそ見や居眠りなどをしていると注意喚起してくれる。
ACCで選ぶ中古車
[ホンダ]N-BOX(現行型)
近年の軽自動車のベストセラーモデルで、広い室内スペースを備えたスーパーハイトワゴン。現行型は2代目で、安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全グレードに搭載されている。中古車中心価格帯 100万から170万円スバルが誇るシンメトリカルAWDと水平対向エンジンを備えたクロスオーバーSUV。衝突被害軽減ブレーキシステム「アイサイト」は、一部グレードをのぞいて標準搭載されている。中古車中心価格帯 90万から250万円
先進装備PART 02……情報
ドライブ中の情報量、絶賛増加中!
「ぶつからないクルマ」と呼ばれる安全技術が進化してきた一方、ここ数年は「つながるクルマ」こと、コネクテッドカーも進化している。
通信(インターネットへの常時接続)機能をクルマに備えると、クルマにできることは加速度的に増える。たとえば、カーナビの地図情報の更新や、従来はVICS頼みだったリアルタイムの渋滞情報も、外付け通信システムなしで取得できるようになる。これにより、目的地までの案内はよりスムーズになり、時間の短縮や疲労の削減にもつながる。
緊急通報システムの搭載もありがたい機能だ。事故やトラブルなどの際、簡単な操作だけでオペレーターへ接続できれば安心である。さらに、コネクテッドカーなら愛車の現在地情報も管理できるので、車両盗難への対応など、安全性も向上する。
また、従来のカーナビやインフォメーションシステムは、購入した時点での機能をずっと使い続けることになるが、コネクテッドカーなら、後からアプリとして新たな機能を増やすことも可能となる。通信機能を活かせば、ドライブスルーの飲食店との連携や、走行場所ごとのBGM自動選択なども実現することになる。
言うなれば、愛車が第二のスマホになるということ。通信料金や個人情報の管理など、課題もまだ存在するが、ドライブを快適にする最も身近な機能であることはたしかだ。
こんなことができる!
緊急通報
事故が発生した時など緊急事態が起きた際に、緊急通報センターへ接続、すぐに助けを呼ぶことができる。
口述設定・操作
人の声を理解するAIアシスタント機能で、乗員が話すだけで、各種設定や検索などを実行してくれる。
リアルタイム情報分析
走行中のリアルタイムな渋滞や天気、目的地情報を読み込んだり、地図の更新などを通信機能で実行できる。
アプリ追加
ソフトとしてのアプリを通信によって追加することで、クルマ購入後でも新たな機能を追加することができる。
[実践]カローラツーリングのコネクテッド機能を試す!
緊急通報システム「ヘルプネット」を搭載しており、もしもの際はボタンを押すだけでサービスセンターへ接続できる。
乗員が話しかけると、AIナビ「エージェント」がそれに音声で答えてくれて、目的地検索や設定までしてくれる。
スマホにアプリを追加して、カーナビと接続することで、LINEをはじめとした各種機能を車内外で共有することが可能。
「Apps(アップス)」と呼ばれるアプリ追加機能では、さまざまなカーナビ専用のアプリを自分好みにカスタマイズできる。
コネクテッド機能で選ぶ中古車
[マツダ]CX-3(現行型)
流麗なデザインのクロスオーバーSUVで、2015年の登場時はクリーンディーゼル搭載車のみ。後に2.0Lガソリン車が追加された。「マツダコネクト」はソフトの追加や高精度地図情報表示などが可能。中古車中心価格帯 110万から240万円[ホンダ]ヴェゼル(現行型)
フィットベースのコンパクトSUV。1.5Lガソリンとハイブリッドがラインナップされる。通信機能を備えた「インターナビ」搭載車は、リアルタイム渋滞情報や災害情報なども得られる。中古車中心価格帯 120万から250万円
先進装備PART 03……環境
これからの時代を勝ち残る環境型パワーユニットとは!?
初代プリウスでハイブリッドカーが実用化されて以降、EVはもちろん、プラグインハイブリッドカーやクリーンディーゼル車など、さまざまなエコカーが注目を浴びてきた。しかし、ここ数年の世界の動きを見るかぎり、もはやEVが本命と言っても差し支えないかもしれない。欧州や北米のメーカーはこぞって電動化へ向けて開発を進めているし、化石燃料を使用する内燃機関を締め出すような法律も整備されかけている。
では、日本ではどうか。少なくとも現在は「EVが本命」と言えるような状況にはなっていない。EV化への段階としてのハイブリッドカーは主流になったが、依然としてガソリンエンジン車が主流で、クリーンディーゼル車のラインナップも多い。やはりエンジン(内燃機関)には独自の魅力があり、それが運転やドライブの楽しさにつながっている部分もある。
もちろんEVにもEVならではの魅力が存在する。力強くシャープに加速する感覚は特徴的で、一度乗った人からは、もうエンジン搭載車には戻れないという声も聞かれる。
10年後、20年後、市場がどうなるかは、まだわからない。だからこそ、今、自分が快適で楽しいと思えるパワーユニットを選びたいものだ。
こんな種類がある!
クリーンディーゼル
2003年の規制以後、環境性能を向上。トルクや燃費といった部分でガソリンエンジンより優れている。
FCV
「燃料電池自動車」は、水素を燃料にしてモーターで駆動する。バスなどではすでに実用化されている。
PHEV
基本的にはモーターでEVとして走行し、電気が切れたらガソリンを使ってハイブリッドカーとして走行。
EV
次世代環境型パワーユニットの本命。大型バッテリーを搭載し、電気を消費しながらモーターで走行する。
[実践[アウトランダーPHEVのプラグインハイブリッドを試す!
じっくり満充電するか、とりあえず走行距離に足りるだけ充電するか、普通充電と急速充電を使い分けることができる。
100V AC電源コンセントを複数搭載。アウトドアなどでバッテリーの電気を最大1500Wも使うことができる。
短距離走行でモーターのみの使用であれば、ガソリン消費量はゼロになる。自宅に充電器を設置して、毎晩充電するだけ。
マルチインフォメーションディスプレイには、バッテリーやエンジン間のエネルギーの動きを表示できる。
先進パワーユニットで選ぶ中古車
[日産]リーフ(先代型)
実用性を備えた量産型電気自動車として2010年に発売された5ドアハッチバック。初代モデルなら150万円以下で程度の良い物件を見つけることができる。ピュアEVならではの鋭い加速感は魅力的。中古車中心価格帯 30万から160万円[トヨタ]アクア(現行型)
ハイブリッド専用モデルとして2011年に登場したコンパクトカー。低燃費性能はもちろん、安定感のある低重心な走りも魅力的。ロングセラーモデルにつき初期型はすでに底値となっている。中古車中心価格帯 30万から160万円
「ドライブを楽しくするクルマたち」 それぞれの○と× ジャンル別考察
クルマにはそのボディタイプごとにさまざまなジャンル(種類)が存在する。では、これらジャンルには、楽しく、快適なドライブを実現するために、それぞれどんな特徴があるのだろうか。
ドライブの目的地をどんな場所にして、どんな風に楽しむか。各人のドライブの仕方によって、どのジャンルのクルマがそのドライブにふさわしいのかが変わってくる。 たとえば、荷物をたくさん積んでキャンプなどに出かけるならワゴンがいいし、林道や河原などを走るならSUVが向いている。高速道路をメインにロングドライブするならセダン、人をたくさん乗せるのであればミニバンがいいだろう。 日頃のライフスタイルだけでなく、週末のドライブのことを考えて愛車のジャンルを選ぶのも、また楽しいことである。
ワゴン
広大な荷室は最大の魅力
○…ほかのジャンルより大きな荷室は、ドライブの目的地で使うさまざまな道具や荷物を大量に積める。
×…車高が低いため、高速走行中の安定性が高い反面、荒れた路面を走行することはあまり得意ではない。
セダン
巡航時の快適性は高レベル
○…クルマの基本形であり、あらゆる面で平均点以上の性能を持つ。後席の快適性が高いモデルが多い。
×…トランクのサイズ次第で荷物の容量が限られる。ボンネット部分の長さが運転しにくいという人も。
SUV
悪路走破性能と視点の高さ
○…最低地上高が高く多少の悪路なら走行することができる。目線が高いので渋滞時も閉塞感が少ない。
×…車体が大きく、取り回しのよくないモデルが多い。重量が重いため、どうしても燃費が悪くなりがち。
スポーツカー
走りの楽しさを再確認できる
○…キビキビと思いのままに操ることができ、とにかく走ることが楽しい。周囲から注目されやすい。
×…ドライバーの着座位置が低いため、周囲の見通しが悪く、疲れやすい。燃費性能が高くないモデルが多い。
ミニバン
家族や仲間と出かけられる
○…大人数で7から8人乗って出かけることができる。窓面積が大きいため、開放感があって気持ちいい。
×…フル乗車で3列目シートまで使用している場合、ラゲッジ容量が少なくなってしまうことが多い。
コンパクトカー
取り回しがよく低燃費
○…取り回しが優れていて、低燃費性能も優秀。車種数が多く、好みのデザインを選びやすい。
×…室内スペース、ラゲッジスペースの広さが限られている。高級モデルと比べると快適装備が劣りがち。
軽自動車
低コストで使い勝手がよい
○…とにかく低燃費。ハイトワゴンタイプなら室内スペースに余裕がある。スライドドア搭載車も選べる。
×…ノンターボエンジン搭載車では、高速道路などで動力性能に不満が出ることも。ラゲッジが狭い。
「日本全国をクルマで巡る男」マリオ高野のSA[サービスエリア]の楽しみ方
TEXT/マリオ高野
「日本全国をクルマで巡る男」マリオ高野のSA[サービスエリア]の楽しみ方
スバルとプロ野球と長渕剛をこよなく愛する40代の自動車ライター。スバル好きをこじらせ過ぎて、インプレッサを2台所有するほど。
旅行の目的地としてもいいくらいの充実さ!
私は、沖縄を除くすべての地域へ、“なるべく”自走で移動することをモットーにしている。その理由は、途中に立ち寄る日本全国のSA(PA含む)が超絶に魅力的だから。電車や飛行機で旅行をすると、駅や空港周辺は全国チェーンの飲食店が目立ち、意外と変わりばえしないのだが、最近のSAはご当地の魅力を猛烈に推しまくっているので、すこし休憩するだけでも地元の雰囲気や情緒が味わえる。戦国時代好きにはたまらない演出がなされる新東名の長篠設楽原PAや、新潟のウマイ米が満喫できる関越道の越後川口SA 、インスタ映えしまくる関門海峡と下関のフグ、さらに宿泊施設まである壇ノ浦PAなどは、もはや旅行の目的地として楽しめるほどだ!
九州道 基山PA(上り)
徒歩でエミュー牧場にアクセスすることができ、肉製品なども買える。北陸道 賤ヶ岳SA(上り)
ここで買うことができる「さんとく三太郎」の鯖寿司は超絶品で病みつきに。中央道 諏訪SA(上り)
なんとSAなのに天然温泉施設が楽しめる。熱めのお湯で覚醒効果も高い!
[50代からのクルマの楽しみ方]レッツ! 高齢化ドライブ
オレたちはこうやって楽しんでいる!
クルマのプロたちは、ドライブをどのように楽しんでいるのか。ここでは、50代の熟年自動車評論家2名に、ドライブの楽しみ方や、気になる先進装備について語ってもらった。
自動車評論家
清水草一 57歳
これまでフェラーリのセカンドカーはほぼ毎年のように乗り換えてきたが、2017年に購入したACC付きのBMW320dはかなり気に入っていて、いまだに乗り換えられない。モータージャーナリスト
岡本幸一郎 52歳
年間試乗台数300台以上、新車誌からチューニング誌まで幅広いフィールドで活躍する。幼い二児を抱える父として、育児も頑張る日々。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
「機械に任せると、実は楽しいし気持ちいいんだよね!」──清水草一
50歳を過ぎてからのドライブの楽しみ方
清水「おたがい50代。光陰矢の如しだね。さすがにクルマへの接し方は変わってきたでしょ?」
岡本「変わりました。昔は、クルマは速くてナンボと思ってましたが、今は家族第一です!」
清水「そう言えばキミ、50代の今、子育て真っ盛りなんだよね?」
岡本「4歳の男の子と2歳の女の子がいて、もう毎日大変です!」
清水「うちはもうふたりとも成人したよ。子育てご苦労様! でも世の中晩婚化で、そういう家庭はそれほど珍しくないのかも。子どもたちはドライブ好きなの?」
岡本「ふたりとも大好きで、ドライブに連れていくたびに大喜びなんですよから!」
清水「そりゃあいい。それじゃ自分の楽しみなんかどうでもよくなるね。クルマ選びも子ども中心でしょ?」
岡本「ただうちの場合、何に乗せても喜ぶんです(笑)」
清水「そうか。仕事柄、いろんなクルマに乗せてやれるわけだもんね」
岡本「そうなんです。最近では三菱eKクロスが一番受けました」
清水「えっ、eKクロスの何が受けたの?」
岡本「あのすごい顔です。怪獣に見えたんでしょうか(笑)。特に室内が広いほうがいいというわけでもないので、クルマの選択肢はそれほど狭められてないですね」
清水「子どもが生まれたら即ミニバン、っていう家庭も少なくないけど、そこにこだわる必要はないんじゃないかな。うちはほとんどミニバンは買ったことないよ。ファミリーカーが4人乗りのオープンカーだったこともある。それで一家4人でオープンでドライブして、すっごく気持ちよかったなぁ」
岡本「車種は何でしたか?」
清水「中古のプジョー306カブリオレ。意外と後席も広いんだよ」
岡本「オシャレな一家ですねから。そういう思い出の作り方もアリですよね」
清水「今はもう、家族でドライブっていう機会はほとんどなくて、もっぱらひとりドライブだよ」
岡本「それはそれで楽しいですよね! 僕は夜中、家族が寝静まってから、昔ドライブしたところにもう一度行ってみるのが好きなんです。横浜の大黒PAにはよく行きます」
清水「クルマ好きの聖地だね」
岡本「大黒PAは、横浜ベイブリッジの開通と同時に開業したんですけど、その日にわざわざ順番待ちして入ったんですよ! あそこに行くと、今でもあの頃の気分に浸れます。30年分の思い出が詰まってます」
清水「開通は89年。バブル真っ盛りの頃だね」
岡本「男の価値イコールクルマ、みたいな時代でした」
清水「俺も首都高はよくドライブするよ。1周して帰ってくるだけでリフレッシュできる。なにしろ首都高で青春を燃焼させてたから。あとは趣味の史跡巡りとか、自衛隊の百里基地にファントム戦闘機を見に行ったりとか」
岡本「シブい中年ですねから」
清水「50代のひとりドライブには、車種のしばりはない。どんなクルマを選んだっていいはずだ。奥さんさえ納得させられれば」
岡本「そこが一番難しいんですけど」
清水「だよね……」
今最も気になっている先進機能や装備は?
岡本「50代っていうと、そろそろ先進安全装備が気になる年頃じゃないですか?」
清水「もちろんだよ! どうせクルマを買うなら、安全装備は必須だと思ってる。なにせ自分の目や腕が信じられなくなってきてるから(笑)」
岡本「同感です!」
清水「俺は衝突被害軽減ブレーキとACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は絶対欲しい。今の愛車は中古の3シリーズだけど、なによりもそこにこだわって選んだんだ。それでいてなるべくお安いのを、ってね。今でいうと、5年落ちまでが目安じゃないかな」
岡本「新しければ新しいほど性能が向上してますから」
清水「エンジンやなんかの性能はそんなに変わらないけど、先進安全装備は本当に日進月歩だから、そこが一番悩ましいよ」
岡本「僕はBSM(ブラインド・スポット・モニター)、つまり斜め後方の死角にクルマがいるのを知らせてくれる装置にこだわってます。安全確認をクルマと分担できれば、それだけ安全性が高まりますし快適ですから」
清水「若い頃は怖いもの知らずだから、安全装備なんか何もいらないぜ! って思ってたんだけどねぇ」
岡本「年とともに、任せられるところは機械に任せたくなりました。ACCは本当に便利ですよね」
清水「高速道路で、クルマにアクセルとブレーキの操作をほぼ任せられる。あれって実はすごく楽しいし、気持ちいいんだよね!」
岡本「そう! クルマがある程度自動で走ってくれたほうが、そのぶん家族との会話もできますし」
清水「ひとりドライブでもACCはいいよ。なんだか鉄道の先頭車両に乗ってるみたいで気持ちいい」
岡本「若い頃は、運転なんて自分でやってナンボでしたけど、変わってきますよね」
清水「それが成熟ってヤツかもね」
首都高をドライブした際は、辰巳PAに立ち寄ることが多い清水氏。ここは夜景が美しく、夜な夜なカーマニアが集まる。
日頃、さまざまなクルマを借りて試乗している岡本氏。最近、特に子どもたちの反応が良かったのはekクロスだそう。
50代になると、ひとりでドライブを楽しむことも多くなる。目的地は、やはり若かりし頃の思い出の場所を目指したくなる!
「年とともに、任せられるところは機械に任せたくなりました」──岡本幸一郎
熟年世代にオススメしたい走りと先進装備両立モデル
清水「じゃあ、我々熟年世代向けのオススメ中古車を1台選んでよ?」
岡本「僕だったら、アクセラの2・2Lディーゼルモデルをオススメします。走りがとてもいいし、先進安全装備の性能も十分ですから」
清水「中年らしい、いい選択だね」
岡本「新車のマツダ3より断然安くて、いい買い物だと思います」
清水「俺はホンダのグレイスかな」
岡本「なんともシブイですねから!」
清水「グレイス、すごくいいクルマなんだよ。ベースはフィットだけど、乗り味はフィットよりかなり上質になってるし」
岡本「カッコも悪くないですよね」
清水「そう。一瞬、BMW3シリーズと見間違える(笑)。ハイブリッドは燃費がいいし、7速DCTだから古典的な運転の楽しさも味わえる。ああいう端正な小型セダンってすごくレアだしね。17年のマイナーチェンジ以降のホンダセンシング付きを選べば、先進安全装備もオッケーだ」
岡本「50代としては、そこにはこだわりたいですね」
清水「グーネットの絞り込み検索機能で、『衝突被害軽減システム』と『ACC』のところにチェックを入れると、簡単に出てくるよ。実はグレイス、ACCが付いてる物件は少ないんだけど」
岡本「今後も安全装備は日に日に進歩しますから、そこには常に注目していたいですね」
清水「近いうち、『ほぼぶつからないクルマ』が必ず出るはずだ。俺ら熟年世代にとっては頼もしい時代だよ。だから我々は、最後の最後まで免許を返納しなくて済むんじゃないかと思ってる」
岡本「現在50代の我々には、時代の追い風が吹いてますね!」
清水氏のオススメはホンダのグレイス。扱いやすいコンパクトサイズで、端正なデザインも高評価。
清水氏がACC搭載を前提で探したBMW3シリーズ。「高速道路でACC任せで走るのって実は楽しい!」と言う意見には岡本氏も賛同。
岡本氏が50代にオススメするのは、マツダのアクセラ(最終型)。トルクフルなディーゼルで気持ちよく走れて、相場も低め。
総括
先進装備はあくまでもドライブの利便性を高めてくれるもの。先進装備が付いてなくてもドライブは、基本、楽しいのだ!
自分なりの“快適ドライブ”を実現してほしい
これからだんだん暖かくなってきて、まさにドライブシーズン到来である。今こそ、愛車で快適なドライブを満喫したいところだ。もちろん、今回紹介したような先進装備の数々は、最新モデルでこそ、その真髄を味わえるものだが、決して過去のクルマに同様の装備がなかったわけではない。中古車で自分なりの“快適ドライブ”を実現できる装備を搭載したクルマを探し出すのも、また楽しい作業である。
すでに愛車を持っているという人は、買い替えに頭を悩ませ、まだ手に入れていないという人は、なにを買うかでおおいに悩むことになるかもしれない。だが、ゴールデンウィークが間に合わなければ夏休みだってある。晴れて愛車を手に入れたら、自分で運転して、好きな時に、好きな場所へ行くという“喜び”をぜひ味わってほしい。
※中古車価格はグーネット 2020年3月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。