中古車購入チェックポイント
更新日:2020.03.10 / 掲載日:2020.03.10

マツダ デミオ【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

マツダ デミオ 2014~2019

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年3月掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年2月調べ。


上質で走りもしっかり感もハイレベルな「デミオ」はクラスを凌駕したコンパクトカーといっても過言ではない。その存在はまるで小さな高級車だ。

全長×全幅×全高:4060×1695×1500mm ●ホイールベース:2570mm ●トレッド前/後:1495/1480mm ●車両重量:1130kg ●排気量:1498cc ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●最高出力:105ps/4000rpm ●最大トルク:25.5kgm/1500~2500rpm ●サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム ●ブレーキ前後:Vディスク/ドラム ●タイヤ前後:185/60R16 ●中古車参考価格帯:50万円~200万円(14年~19年 ※全グレード)

上質なインテリアがデミオの大きな見どころ

 「デミオ」はトヨタ「ヴィッツ」やホンダ「フィット」、そして日産「ノート」などをライバルとする全長4m強のコンパクトカー。いわゆるベーシックカーで、手の届きやすい価格と運転しやすい車体サイズが魅力だ。
 そんなデミオは、ライバルにはない特徴や魅力を数多く持っている。そのひとつがディーゼルエンジンの搭載だ。一般的なガソリンエンジンに加えて、軽油を燃料とするディーゼルエンジンも用意するのはこのクラスでは唯一である。そのメリットは、ガソリン車に比べて燃費が抜群にいいことと、エンジンに低回転の粘り強さがあって運転しやすいこと。その違いはだれでも体感できるほど明瞭で、いちどディーゼル車を所有すると次もディーゼル車を選ぶ人が多いというのも頷ける。
 しかし、デミオの特徴はそれだけではない。たとえば室内は、インパネをはじめ目に入ってくる部分のつくり込みのクオリティが高く、ライバルに対して上質だ。まるでふたクラス上のクルマに乗っているかのような気分を味わうことが可能である。
 また、走りのしっかり感もデミオの大きな魅力。このクラスは操縦安定性が上級車に比べて劣る車種もあるが、デミオはそこに一切の手抜きがない。コンパクトカーらしい軽快感を備えたうえで、高速道路では大型車のようにどっしりとした安定感があるのだから驚かされる。まるで走行性能に定評のあるドイツ車のような安心感があるのだ。
 車体は小さいけれど、クルマづくりに妥協と手抜きなし。上質感や走りはふたクラス上の実力。デミオはそんな小型車と断言できる。

[エクステリア]ダイナミックでエレガントなエクステリア

 個性的な5角形のフロントグリルから左右方向へヘッドライトを経由し、躍動的なフロントフェンダーへとつながる造形がダイナミック。駆け抜ける猛獣のような活発な雰囲気を感じさせる。室内空間を広げることよりも、スタイリングの美しさを重視したデザインである。

[モデルヒストリー]改良のたびに着実に進化

2014年7月:フルモデルチェンジ

 躍動感あふれるデザインを身にまとい4代目へモデルチェンジ。エンジンは1.3Lのガソリンに加えて1.5Lのディーゼルエンジンも用意する。駆動方式はFFのほかに4WDも設定。

2015年12月:一部改良

 ディーゼル車にエンジンの音を静かにする「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と呼ぶオプションを設定。同時に制御も改善されて進化。

2016年10月:一部改良

 「Gベクタリングコントロール」と呼ばれる、ハンドル操作に応じてエンジンを制御し曲がりやすくする仕掛けを搭載。安全装備も充実した。

2017年4月:「i-ACTIVSENSE」を標準装備

 従来はオプションもしくはグレードにより標準搭載だった「衝突被害軽減ブレーキ」など、一部の先進安全システムを全車に標準装備とした。

2017年11月:「i-ACTIVSENSE」の機能を強化

 衝突被害軽減ブレーキが進化し、速度上限アップ、歩行者検知対応など機能向上。後退時に障害物があると自動停止する機能も全車に搭載。

2018年8月:一部改良

 1.3Lのガソリンエンジンを廃止し、従来は「15MB」のみの設定だった1.5Lへ排気量アップ。ねらいは実用域の燃費向上だ。

【2019年9月 MAZDA 2を発表】マイナーチェンジで車名変更!

 大規模なマイナーチェンジを施すと同時に車名を「MAZDA 2(マツダ ツー)」へ変更。デザインはメッシュになったグリルや下部に水平基調のアクセントを入れたフロントバンパーが特徴で、ヘッドライトも上下が細くなった新意匠に。スポーティな雰囲気を控えめにする一方、エレガントな仕立てとした。

インテリアの造形は基本的にデミオ時代から変更がないものの、新たにグレー、ネイビー、ブラウンといった深みのあるインテリアカラーコーディネートで大人の空間を演出している。

[インテリア]ひとクラス上の上質さが魅力

 インテリアの特筆すべき特徴は、ライバル勢を凌駕する上質感。ダッシュボードやドアに張ったトリム、樹脂の表面仕上げ、そしてスイッチ類やエアコン吹き出し口の仕立てなど、コストをかけてクオリティアップ。コンパクトカーとは思えない高級な雰囲気を作り出している。またヘッドアップディスプレイの採用など、機能の充実も見逃せない。

 上級仕様として本革張りのインテリアを用意するのもライバルにはない魅力。下部を支点としたアクセルを採用するなど、運転環境へのこだわりも強い。

メーターフード上の透明な板に、速度などの情報を投影するヘッドアップディスプレイも設定。主要グレードにはナビとして使える画面付きオーディオも標準搭載。

トランスミッションは6速AT(オートマチック)が基本だが、より運転する歓びを味わえるmTも用意。ディーゼルと1.5Lガソリン車は6速だ。

[メカニズム]上級モデル並みの新機能を積極採用

骨格同士を結合することで強固な車体を設計。パッケージングは前輪の位置を先代よりも80mm前方へ配置することで、最適な運転環境を実現。

 デミオの理念は「車体サイズは小さいけれど、上級モデル並みの性能水準を持つ」こと。だから新技術や新機能、ライバルにはない仕掛けなども積極搭載されている。その真骨頂といえるのがクラス唯一のディーゼルエンジンで、燃費のよさに加えて高い動力性能も実現。追突被害軽減ブレーキなども積極的に採用され、改良で着実に進化しているのもポイントだ。

SKYACTIV-D

 ライバルにない大きな特徴がディーゼルエンジンの設定。「SKYACTIV-D」と呼ぶマツダのディーゼルエンジンは従来のディーゼルより軽快な特性が自慢だ。

誤発進抑制機能

 センサーで前方の状況を把握し、障害物がある際はエンジン出力を抑制。アクセルを踏み込んでも飛び出さないように制御する。駐車場などでの踏み間違いによる事故を防ぐ。

i-ACTIVSENSE

 車両周囲の状況をクルマが把握。障害物の接近を検知した場合はドライバーに音などで知らせ、前後などはブレーキ介入も行い、減速(能力は仕様や年式により異なる)。

モータースポーツベース車「15MB」という選択

 レースやサーキット走行などモータースポーツへの参加用として設定されている特別なグレードが「15MB」。ハイオクガソリン使用を前提に高出力化した1.5Lエンジンを6速MTと組み合わせて搭載し、快適装備を簡略化することで価格も抑えている。
中古車参考価格帯:120万円~130万円(16年~18年 ※全グレード)

[特別仕様車]個性あふれる特別仕様車も豊富にラインアップ!

BLACK LEATHER LIMITED

ブラックの本革シートをはじめ黒基調の内装を採用。アクセントとしてシルバーのストライプやステッチ、シルバーのファブリックを用いる。
中古車参考価格帯:90万円~170万円(15年~17年 ※ブラックレザーリミテッドのみ)

TAILORED BROWN

インテリアカラーにライトブラウンとブラックをコーディネート。シート表皮はキルティング加工を施した「グランデュクス」と呼ぶ合成レザー。
中古車参考価格帯:100万円~180万円(16年~18年 ※テーラードブラウンのみ)

MID CENTURY

鮮やかな赤シートはセンター部分にエンボス処理を施したクロス。インテリアのトリムなどはあえて透明度の高い塗装で樹脂の素材感を演出。
中古車参考価格帯:80万円~180万円(15年~16年 ※ミッドセンチュリーのみ)

[市場データ]以前と比べてディーゼルが買いやすくなった

 ディーゼルがいちばん人気のデミオだが、デビューからしばらく相場は非常に高値安定傾向だった。しかし、ここ最近は100万円以下の物件も目立ち、買いやすくなっている。全体的に物件も豊富で、そろそろ買い時がやってきた。

  • 年式
    デビュー翌年の2015年式がもっとも豊富で、27%を占める。安全運転支援装備が搭載された2017年式以降の物件は、やや少なめだ。

  • グレード
    物件の大半はディーゼルのXD系。こちらはガソリンよりも相場が高めとなっている。次いで「13S」も充実し、4割近くにものぼる。

  • 走行距離
    デビューから5年以上が経ち、走行距離が伸びたものも目立つ。とは言え、3万km未満が半数以上を占める。良質車の入手は容易。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「マツダ デミオGOODとBAD」

【GOOD】ディーゼルの力強さと爽快な走りが魅力

 上質なインテリア、ディーゼルエンジンという選択肢、爽快で安定感あふれる走り。デミオのクルマ作りはライバルを凌駕していて、魅力もオーナー満足度も高い。そんなデミオの魅力をひとことで言うと「上級車並みのクルマ」だということ。サイズこそ小さいが、それ以外の要素はすべての面においてクラスを超えた出来栄えといえる。それが最大の特徴だ。

【BAD】ナビの使い勝手は進化途中といえる

 こだわり抜いたつくりのデミオだけにウィークポイントはほぼ見当たらない。あえてあげるとすれば、コンパクトカーとして考えた場合、ハイトワゴンに比べると後席が広くないことだろう。とはいえこれはデミオがねらってはいない要素ではあり、あくまで設計段階の考え方の違いである。細かい部分では、とくに初期モデルはナビの性能や操作性がよくない。

編集部イチオシ!

XD ツーリング

 走りが力強く燃費も優れるディーゼルエンジンを積む「XD」が魅力。中間グレード「XDツーリング」は、本革巻きステアリングやアルミホイールなど装備が充実して質感も高い。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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