新車試乗レポート[2020.02.07 UP]

【試乗レポート 新型スズキ ハスラー】室内は広く上質に進化。走りは劇的にレベルアップ!

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 ずいぶん四角くなったなあ。顔つきこそ先代同様に丸いヘッドランプで愛嬌があるけど、何かが違う。
 そんな第一印象の理由は、四角いキャビンだ。
 正直言って、スタイリングの表情は個性が薄まったと思う。初代、というか先代ハスラーはしっかりとウエストラインがあって、真後ろから見るとウエストから上のキャビンが明確に絞り込まれているからスタイルに表情があった。
 いっぽうで新型のサイドパネルはほぼ垂直な壁。付け加えれば車体最後部もルーフがより後方へ伸び、テールゲートがより垂直に近づいている。Cピラーに窓が追加されたことがもっともわかりやすい新型識別点(そしてその窓は斜め後方視界の拡大に大きく貢献している)だけど、新型は先代とは明らかに違うプロポーションなのだ。
 そんなパッケージングのメリットはわかりやすく、室内が広ったことである。新型は従来モデルに比べて前後席間距離が35mm伸びて後席の前後方向の空間が広がっているが、車体を箱にしたことで横方向のゆとりも増大。前席部分の室内の幅はショルダー部分で32mm広がり、左右席感覚も30mm拡大しているので先代と比べるとゆったり感の違いは明らかだ。

この記事の目次

先代よりも広くなった室内空間。その秘密は角ばったデザインにあり
自然吸気エンジンの実力は予想外に高かった!

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先代よりも広くなった室内空間。その秘密は角ばったデザインにあり

 軽自動車は車体の大きさが全長3.4m×全幅1.48m以下と決まっているから、その定められた寸法の中で室は内を広くしたことは開発陣の血のにじむような努力の賜物である。だから新型ハスラーの室内が広がったことは大きな進化で素晴らしいことなのは間違いない。しかし、先代の愛くるしいイメージとは少し変わってしまったことを残念がる人もいるかもしれない。人気車のフルモデルチェンジとはつくづく難しいものだと思う。
 ただ、そんなスタイルもよく見るとジムニーっぽさ(あの箱のようなカクカクした感じ)が増したともいえなくない。そう考えると、これはこれで悪くないかも……という気分になってくる。

 そんな新型ハスラー。開発責任者によると「ジムニーのようなタフギヤな雰囲気は先代よりも増すように開発した。しかし、悪路走破性などはやや控えめにし、そのぶん日常的な快適性や使い勝手を高めた」という。その理由は、「先代の実際のユーザーを見るとハードに使うのではなくあくまでハイトワゴンと同じように日常で使うニーズが多かったから」なのだそうだ。もちろん、ハイトワゴンをベースに高い使い勝手を備えたSUVクロスオーバーというコンセプトや車体つくりは新型も不変で、車体のベースは従来同様にワゴンRである。

 室内に乗り込むと、軽ハイトワゴンの常識との大きな違いであり、先代とも違うことに気が付く。一般的なベンチシート(左右席が繋がったシート)ではなく、運転席と助手席が独立したセパレートシートとしているのだ。

 インパネのデザインも先代から大きく変わった部分で、レトロテイストからタフギヤ感へと気分を刷新。メーター、センター(ナビ画面周辺)、そして助手席前と見るからに無骨な3つのフレームが特徴で、中央は9インチという大きなナビ画面(メーカーオプション)をスッキリと収めているのが印象的だ。もちろん、助手席前がテーブルになる仕掛けは継承され、収納力がアップしている。
 またメーターの上級化も驚いた。メーターパネル内には4.2インチのカラー液晶が組み込まれ、精細なグラフィックで車両情報を表示。カメラで読み込んだ一時停止標識もここへの表示(と音)で教えてくれる便利ものだ。先代のモノクロ画面と比べると、ずいぶんとアップグレードされたものだと実感するし、オーナーになったら「いいものを買った感」をしみじみと味わえることだろう。

 ところで、街を走り始めて気が付いたのは信号が見やすくなっていることだ。実は先代は、信号待ちで最前列に並ぶと信号が天井に隠れて見えにくいことがあった。しかし新型は、シートリフターの上下調整範囲を広げたうえで基準となる着座位置を少し下げることでそんなシーンでの視認性を高めている。これはうれしい変化だ。

自然吸気エンジンの実力は予想外に高かった!

 うれしいといえば、予想外だったことは、自然吸気エンジン搭載車の実力の高さである。
自然吸気エンジンを組み合わせた軽自動車の多くは、加速が物足りない。街中でそれを感じることは少ないが、バイパスや高速道路での合流加速では絶対的なトルクが不足しがちなのだ。しかしハスラーは、郊外を走ってもその印象が少ないのだ。
 秘密はエンジンにあった。搭載されているのは「R06D」と呼ぶ新開発エンジン。スズキは「燃費性能を高めた」ことを大きくピールしているが、それよりも加速感が向上してドライバビリティが高まったことに注目したい。
組み合わせるCVTも新規開発で、ダイレクト感が増している。さらに、モーターアシスト領域が増したマイルドハイブリッドもスムーズな加速に効いているのだろう。

 そのうえで強調しておきたいのは、FF車は載り心地がいいこと。それも予想のはるか上を行くレベルで、びっくりした。路面の凹凸をしっかりと吸収して衝撃を緩和し、フラットライド感を作っているのだ。そのうえハンドリングもドライバーの操作に対する素直さが増してスッキリとしている。
 新型ハスラーの資料にはスズキ初となる構造用接着剤の採用がうたわれ、ボディ剛性のアップが説明されているが、それが乗り心地やハンドリングに効いているようだ。

 いっぽうターボに乗り換えると、こちらの加速は安定した力強さだ。ぐんぐん加速する。
 また、ステアリングにパワーモードスイッチがあり、必要な時にはエンジンの力強さ(とモーターのアシスト力も)をアップできるのも心強い。峠道などで活用するといいだろう。
 また運転支援システムもレベルアップし、ターボ車はスズキ軽自動車初となる0kmまで対応のクルコン(停止保持はしない)も装備と進化している。

 ただし試乗したターボ車は4WDモデルだったこともあり、乗り心地はFF車の雲に乗ったような好感覚とは印象が異なった。
 車体への衝撃や、車体が上下に揺さぶられる感覚があったのだ(とはいえ先代に比べるとずいぶんとよくなってはいるのだが)。
 残念ながら試乗車には「FFのターボモデル」がなかったので、この乗り心地がターボエンジン搭載に起因するのか、それとも駆動方式の違いによるものかを乗り比べて確認できなかったが、試乗後にエンジニアに聞いたところ4WD化が大きな理由だという。FFとはリヤサスペンションが異なり、バネ下重量増加による影響が強いようだ。
 降雪地域のユーザーなどが安全を考えると4WDを選ばざるを得ないケースもあるが、乗り心地を求めるならFFがおおススメだ。

 室内が広くなり、上質化し、加速も乗り心地もよくなった新型ハスラー。ハードウェア的な伸び代は極めて大きく、このモデルも初代同様に大ヒットが期待できる。
 最後にバイヤーズガイド的なトピックを足すと、ハスラーは多くの軽自動車と違ってベーシックグレードでもターボエンジンを選べるのが嬉しい。価格はわずか10万円程度しか違わないのだから、おススメはもちろんターボ車だ(そして乗り心地を考えるとFFがベター)。
 じつは先代ハスラーのターボ車比率は3割ほどで、これは他の軽自動車(通常は1割程度)に比べると高いのだという。
 ちなみにMTは現段階ではラインナップにないが、開発者の口ぶりからは追っての登場を感じさせた。


スズキ ハスラー HYBRID Gターボ(CVT・4WD)

全長×全幅×全高 3395×1475×1680mm
ホイールベース 2460mm
車両重量 870kg
エンジン 直3DOHCターボ+モーター
総排気量 658cc
エンジン最高出力 64ps/6000rpm
エンジン最大トルク 10.0kgm/3000rpm
サスペンション前/後 ストラット/I.T.L.式
タイヤ前後 165/60R15




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