新型車情報[2019.10.09 UP]

ミニバン最前線 NISSAN新型セレナ

速攻試乗&ライバル対決

この8月にマイナーチェンジを実施した日産・セレナ。“マイナー”とはいえフェイスデザインを一新し、安全装備の追加やプロパイロットの制御を改良するなど、新たな魅力を加えている。そこで新型セレナの実力をあらためて測るべく、トヨタ・ノアとの比較試乗を敢行。ミニバンの本分たるファミリー視点から、ライバル2車の立ち位置を再確認した。


NISSA 新型セレナ
●価格:252万9360〜365万7960円
●発表日(最新改良日): 16年8月24日(19年8月1日)
16年デビューの現行型は、初代以来キープコンセプトのファミリーaミニバンとして不動の人気を誇る。e-POWER車の追加やプロパイロットの搭載で商品力を高めてきたが、今回のマイナーチェンジでは装備/機能の向上に加え、フェイスデザインを一新。特にハイウェイスターは存在感のあるグリルデザインが大きな特徴となっている。


TOYOTA ノア
●価格:250万9920〜338万400円
●発表日(最新改良日): 14年1月20日(19年1月7日)
兄弟車にスポーティなヴォクシー、エレガントなエスクァイアがあり、3兄弟合計でミニバントップセラーの座を長く守り続けている(車名ごとの販売台数ではセレナもトップを取っている)。走行性能や居住性、使い勝手など、まさに優等生のまとまりを見せるが、デビューから5年が過ぎ、安全&運転支援装備が弱点になりつつある。

TOYOTA エスクァイア
●価格:266万4360〜337万6080円
グレード体系および価格が同一のヴォクシー&ノアに対し、異なるラインナップで展開。3兄弟の中でよりプレミアムな路線を担う。

家族重視を貫きながら プレミアム感がアップ

ミニバンはファミリーカーの代名詞と言ってもいい。その中でも特にファミリー志向が強いのは2L級1BOX型である。そしてファミリーユースを全面に出して市場を牽引してきたのがセレナだ。 ウインドウエリアが広く見晴らしのいいキャビン、路面感覚が薄い柔らかな乗り心地、日常やレジャーでちょっと便利なユーティリティなどを代々継承してきた。大物積みでアウトドアレジャーだ、ミニバンでもファントゥドライブだ、等々の流行りにも影響されずにファミリーに一途だったわけだ。 2L級1BOX型、といってもセレナ以外ではノア系とステップワゴンしかないのだが、現行モデルはいずれも見晴らしや快適性を重視、つまりファミリー路線にシフトしている。もちろん、実用性やイメージはそれぞれ継承されているが、結果的にセレナに歩み寄る形になったわけだ。 一方、セレナ自身は基本コンセプトは変わらないものの、ここ2代は内外装にプレミアム&スポーティ色を濃くし、見た目のキャラクターではノア系やステップワゴンに近づいた印象だ。今回のマイナーチェンジでもフロントマスクをより押し出し感のあるものとし、プラスαの魅力を強化している。

セレナ

同乗者にも優しい走りは変わらず 操舵支援は一層なめらかに

ノア

高速走行が比較的得意なのに 運転支援機能が乏しい…

走行性能

e-POWER vs THS-2
セレナ e-POWER

試乗車はエンジンで発電してモーターで走行するe-POWER車。電気自動車的な走行フィールを体験できるというわけだ。

ノア THS-2

こちらはトヨタのお家芸・THS-2を搭載。エンジンとモーターを統合制御する、完成度も信頼性も高いハイブリッドシステムだ。

 試乗車は両車ともにハイブリッド車だが、システムはまったく異なる。セレナはエンジンを発電機として用い電動モーターのみで駆動するシリーズ式、ノアは動力分割機構によるスプリット式を採用。セレナのほうがエンジンの稼働頻度が高く、加減速とエンジン回転数の一致感が希薄だが、加速時にはノアのほうがエンジン回転が高め。また、セレナは踏み込みに対する加速の立ち上がりが鋭く、運転感覚でも余裕がある。高速での急加速や高負荷の連続走行ではノアが勝るのだが、エンジンパワー以上の力を感じさせるのは特性をいかようにも設定できるシリーズ式を最大限活用した結果だ。

 フットワークは、うねり路や高速コーナリング時の安定性やしなやかさではノアが上回るが、セレナに比べるとパッチ路のような荒れた路面では細かな突き上げ感が目立つ。車軸まわりが良く言えばしっかり、悪く言えば硬い。セレナは路面との当たり感から大きなストロークまで全体的にソフトな印象。高速走行はノアに比べると頼りない印象があるが、同乗者には好まれる乗り心地である。同じファミリー志向でも同乗者視点のセレナに対してドライバー視点のノアと言ってもいいだろう。

安全&運転支援

改良型 プロパイロット vs トヨタ セーフティセンス
セレナ プロパイロット

ACC(追従クルコン)とLKA(車線維持支援)による“高速道路同一車線自動運転技術”。マイチェンで制御がさらに洗練された。

トヨタ セーフィティセンス

呼称こそ同じだがクラウン等の最新フル機能版とは異なる。プリクラッシュブレーキなど安全性は確保するが、操舵支援機能はない。

 プロパイロットvsトヨタセーフティセンスの図式だが、名前だけで単純比較はできない。プロパイロットは全車速ACCと走行ライン制御LKAを中心にした機能群の名だが、セーフティセンスは車種によって内容が異なる。ノアのセーフティセンスにはACCもなく、車線維持支援も逸脱警報に限定される。セレナと比べると一世代古い印象は否めず、長く使うユーザーには致命傷にもなりかねない。

 セレナのMCの売りのひとつに「全方位運転支援システム」の全車標準化がある。これは自動ハイビームや左右の後側方車検知等をまとめての呼称であり、プロパイロットは含まない。

 プロパイロットは速度維持性能、追従走行や復帰時の加減速制御の改善を加えている。ACCの制御は従来車と比較すると車間距離や速度維持の精度よりも穏やかな加減速を優先していた。人間の感性に優しい適度な曖昧さを持った制御と言い換えてもいい。LKAの自動補正操舵も同様で、ソーイングステアのようなカクカクした操舵感は減少。まだ多少の違和感はあるが、登場当時に比べるとかなり滑らかになっている。高速走行はACCもLKAもないノアよりも圧倒的に気楽だった。

家族のための 居住性対決

セレナ 家族に向けた十分な空間

デザインも色調も穏やかな印象で、ファミリーカーらしい室内。サードシートを最後尾にセットしてライバル車と同等レベルだが、ファミリーユースに不満はない。また、ガソリン車の8人乗りベンチシート仕様の使い勝手も特筆できる。

ノア よりドライバーを意識

座り心地やインテリアは機能感を感じさせるかっちりとしたタイプ。インパネデザインが象徴的だが、オーソドックスなレイアウトやコックピット感漂うデザインはフットワークと同様のドライバー志向を感じさせる。

現行ノアは低床型にプラットフォームを一新しているが、室内高はセレナと同じである。これはヴォクシー系が低床化に合わせて低全高化したため。床面地上高の高さは乗降性のハンデとなるが、セレナがサードシートスライド機構を採用しているため、居住スペースに大きな隔たりはない。

 開放感や見晴らしはセレナの居心地の長所のひとつだったが、別項でも述べたとおりライバル車もウインドウエリアを拡大。アイポイントが高いせいか、まだセレナのほうが多少開放的な印象だったが、大差ないレベルである。

お出かけ支援! ユーティリティ対決
セレナ 楽々リヤハッチ

リヤゲートのガラス部分だけを開閉可能。狭いスペースも苦にならず、気軽に積める。

ノア ワンタッチ格納シート

3列目の格納はレバーを引くだけ。シートが跳ね上がるとともに脚も畳まれる。

 細かな収納スペースも見所だが、ハンズフリースライドドアやガラスハッチを備えたデュアルバックドアなどライバル車のちょっと上行く機能も注目。とくに買い物等での荷物の積み降ろしに便利なガラスハッチはセレナだけが採用する便利機能である。また、サードシートスライドによる客室/荷室のアレンジも可能だ。

 一方、ノアの長所はサードシート格納時の積載性。クオーターウインドウ部にはまるように格納されるため、上方まで幅広い荷室幅を確保。また、軽い操作で簡単に格納できるのも長所である。

気になるポイント 顔面偏差値No.1?
●セレナ  ハイウェイスター

ともにグリルを強調するが、面積といい造形といいエスクァイアの方が振り切れている。

●エスクァイア

強面キングはエスクァイア

 ラジエターグリルの上下開口を大きくしてヘッドランプと連続させて存在感を強めた顔付きが新型セレナのアピールポイント。ただし、なだらかに傾斜したボンネットなど基本造形が穏やかな面構成のためノアやステップワゴンほど厳めしい印象はない。厳めしさあるいは押し出し感で言えばメッキの太い縦桟の大きなグリルを採用したエスクァイアが一番だろう。

気になるポイント ステップワゴンのHVは?
●ステップワゴン スパーダ ハイブリッド

2モーター式ハイブリッドシステム「i-MMD」を搭載。価格は330万480〜360万2880円。

HV狙いなら有力候補

 セレナと同様にシリーズ式をベースにするが、高速巡航用にエンジン直動機構を備えるのが特徴。実用走行域でのドライバビリティも高速巡航中の余力感も2L級1BOX型ではトップクラスであり、燃費や動力性能、運転感覚の先進感と、三拍子揃っている。また、ACCは全車速型となり、ハイブリッド車を狙うユーザーには最有力候補である。

まとめ 安全&運転支援が決定打

ファミリーカーは家族構成や生活パターンとの相性が重要。例えばセレナのガラスハッチやステップワゴンのわくわくゲートも手放せなくなるユーザーもいればまったく使わないユーザーもいるだろう。しかも、2L級1BOX型を構成する3車は以前に比べて独自性が減少傾向。他車にない得意技ひとつが選択を決定してもおかしくないのが現状である。 ただし、安全&運転支援機能は個々の事情とは別の必須条件とすべきだろう。ファミリーユースでは長距離走行の機会も多く、ACCやLKAの有無は使い勝手に大きく影響する。今回の試乗でも居心地や走り、ユーティリティでは部分部分でどちらをよしとするか悩んだものの、ACCとLKAはそれらの優劣を一蹴してしまうほど大きく影響する。操安でノアが優れていてもプロパイロットのセレナのほうが運転が楽なのだ。なお、全車速型ACCはハイブリッド車限定だが、ステップワゴンもACCとLKAを採用。しかも全車標準だ。ミニバンとしての基本機能では優等生のノアも、運転支援機能に関しては遅れを否めない。

買うならコレだ! ベストグレード 新型セレナのおすすめ!
XV ●価格:268万7040円(FF/8人)

 実用動力性能や燃費ではハイブリッド車が魅力的だが、50万円に迫る価格差は厳しい。またプロパイロット装着のオプション価格も考慮すると、2Lガソリン車から選ぶのが現実的。XVはプロパイロットを選べる最廉価仕様だが、利便装備も充実している。

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