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更新日:2019.06.04 / 掲載日:2019.06.04
新型MAZDA3開発者インタビュー
2017年の東京モーターショーで来場者から高く評価されていた「魁コンセプト」。新型マツダ3は、その力強い、美しいスタイリングをキープしたまま市販化される格好だ。
「最新イコール最良」をキーワードに、魅力的なモデルを続々と登場させているマツダ。満を持して投入されるマツダ3も、当然のようにいいクルマであるのは間違いないだろう。ここでは開発者に注目のポイントなどを尋ねてみよう。
●聞き手:山本シンヤ
「スタイルも走りもオーナーに一目惚れしてもらえる自信の一台です」
MAZDA3開発主査 別府 耕太氏
―― マツダ3は2003年に登場して以来、世界130か国で累計600万台の販売台数を誇るマツダのエースです。一般的にはエースは保守的なモデルになりがちですが、新型はデザインも、メカニズムも、かなり攻めています。
別府 ライバル車をベンチマーク……と言った従来の方法論ではなく、「人間はこうあるべき」、「機械はこうあるべき」と愚直に行なった上で「一目惚れ」してもらえるクルマを目指しました。
―― ハッチバックとセダンのデザインが大きく異なります。効率論からすると共通化の流れですが。
別府 アンダーコンポーネントやメカニズムは共通ですが、エクステリアはフロントガラス、Aピラー、フロントシグネチャー以外は共通部分がありません。ハッチバックとセダンのユーザーは価値観も、ライフスタイルも異なります。メーカーの都合で共用するのではなく、まずは二通りのお客様を頷かせるデザインを目指しました。
―― つまり、新型はどちらも「本命」であると。ただ、ハッチバックは後方視界が気になります。
別府 リヤドアはかなりキックアップしていますが、直接視界は我々の要件を満たした上でデザインを行なっている上に、支援デバイスでサポートも行なっていますので問題ありません。
―― インテリアはマツダ最良と言っても過言ではないデザインとクオリティを備えていますね。
別府 インテリアは「心動く」がテーマです。そのため、日本の様式美、引き算の美学をフルに盛り込んでいます。「フロントは豪華だけどリヤは……」と言うケースもありますが、新型はリヤキャビンも手を抜かずに仕上げています。
―― パワートレーンはガソリンとディーゼルターボ、そして新たにスカイアクティブXと豊富なラインナップです。ちなみにスカイアクティブXはどのようなエンジンに仕上がっていますか?
別府 ディーゼル車のような実用域トルクと、ガソリン車のようなレスポンス&伸びの良さを両立していますが、燃焼自体がいいのでファイナルギヤをハイ側に振っており、「楽しい運転をしていても燃費がいい」と言うユニットです。
―― シャシーも全面刷新されていますが、走りの考え方は?
別府 単純に「ハンドリングがいい」、「乗り心地がいい」ではなく、クルマに乗っている状態が「自然で違和感がない」を目指しました。具体的に言うと究極まで動きを滑らかにしています。従来は曲がる部分が中心でしたが、新型では「走る/曲がる/止まる」の全領域で人間感覚にあった車両挙動を実現しています。これは全てのマツダ車に共通する考え方ですが、重心の低いマツダ3はより体現できていると思っています。
―― AWDモデルもかなり力を入れたと聞いています。
別府 販売上はもちろんFFがメインですが、安定した挙動により乗り味の「質」も大きく引き上げた走りに仕上がっていますので、我々としてはオススメしたいです。
歴代アクセラの走りは高く評価されているが、新型マツダ3の走りもその期待を裏切らないことは、すでに海外仕様車の試乗時に確認済み。運転が好きというドライバーほど、その上質の走り味に納得してもらえるだろう。