輸入車[2019.05.28 UP]

ポルシェ911がフルモデルチェンジ。どんな天候でも速く、より快適に走れるスポーツカー

911カレラS

文と写真●ユニット・コンパス

 ポルシェのアイコンとして知られる911のニューモデルが日本国内でも発売開始となった。1963年の初代誕生から数え新型は8世代目にあたる。走行性能をさらに高めつつ、先進的な運転支援システムを採用しているのも特徴。
 新型のキャッチコピーは「Timeless Machine」。長い年月をかけて磨き上げてきた911の価値観を受け継ぎ、高い実用性とスポーツカーを操る喜びを高い次元で両立したことを表現している。従来であればノーマルのカレラと4WD版のカレラ4でデビューし、徐々にモデルを拡充していくのがポルシェ流だったが、新型では発売当初からクーペに加えてカブリオレもラインアップ。すべて右ハンドル、8速PDK仕様となっている。価格は1666万円から1997万円。

好調の販売実績を背景に、電気自動車や体験施設に投資

左からポルシェAGエクステリアデザイナー 山下周一氏、ポルシェジャパン株式会社代表取締役社長 七五三木敏幸氏、ポルシェジャパン株式会社 山崎香織氏

 発表に先立ち行われた、ポルシェジャパン株式会社代表取締役社長 七五三木敏幸氏によるスピーチでは、今後とも魅力的なモデルを導入すると同時に、さまざまなスポーツドライビング体験を提供していくことを改めて約束。具体的には、2019年9月初旬にワールドプレミアされるポルシェ初のBEV(電気自動車)「TAYCAN(タイカン)」を日本でも2019年年内予定で導入すること。それに伴って全国のポルシェセンターおよび公共施設に、150KW超の急速充電器を設置することを発表した。充電設備はABBと共同開発したもので、CHAdeMO方式を採用。30分で80%の充電が可能になるという。
 スポーツドライビング体験の提供については、長年実施しているポルシェカレラカップジャパン等の参加型モータースポーツへの継続的なサポートに加えて、千葉県に2021年開業予定の総合ドライビング施設「ポルシェ エクスペリエンス センター ジャパン」を通じてコミュニケーションを行なっていくという。この施設では、顧客はもちろん、まだポルシェを所有していないユーザーに向けてもイベントが行われるということだ。
 なお、ポルシェは今年の秋に開催される「東京モーターショー2019」については不参加を表明。その代りとして、ミレニアル層をターゲットにしたブランド体験、情報発信イベント「SCOPES DRIVEN BY PORSCHE」を、東京の渋谷で2019年11月からの期間限定で開催するとのこと。

伝統を受け継ぐポルシェを代表するスポーツカー

 それでは新世代モデルへと進化した新型911について紹介しよう。キャッチコピーである「Timeless Machine」とは、まさしく911そのものを表す言葉であり、走行性能と実用性の両立は新型でも変わらないテーマとなる。
 新型の特徴はシャシー性能を引き上げることで、タイヤが路面を捉える力を引き上げたことにある。そのために前後のトレッドを広げ、リヤタイヤを大径化。タイヤサイズは各モデル共通で、フロントが245/35ZR20、リヤが305/30ZR21となった。このために新型911はすべてのモデルがワイドボディ仕様となる。このようにシャシー能力を引き上げつつ、ボディ骨格部品にはアルミなどの軽量素材を多用することで剛性アップと同時に軽量化を達成。ボディ単体での重量は240kgと先代モデルよりも12kg軽く、曲げ剛性とねじり剛性は5%の向上を達成した。さらに、リヤスポイラーを電子制御することによって、必要に応じて最適なダウンフォースを提供。このダウンフォースの最適化によって、燃料消費量も抑えられたという。

カレラSで先代モデルのGTSに匹敵するパワー

 パワートレインも改良されている。エンジンはターボチャージャーの大型化と吸排気系の効率アップによって450馬力/6500rpm、54kgm/2300-5000rpmを達成。これは先代モデルよりも30馬力高出力で、先代GTS級の性能となる。トランスミッションは8速PDKで、6速でトップスピードに到達するセッティング。多段化の恩恵により、高速走行での燃費向上と静粛性アップが期待できる。

先進運転支援システムを採用。世界初のウェットモードも搭載

 そして新型でもっとも変化が大きかったのが運転支援システムの採用だ。衝突被害軽減ブレーキや自動再発進機能付きのACC、レーンキープアシストといった最新の乗用車に搭載される各種デバイスが911にも採用された。さらに世界初のウェットモードも注目すべき存在だろう。これは、車両が道路状況をセンシングし、路面が濡れてすべりやすい状況の場合にはドライバーに知らせると同時に電子制御によって安定性を高めるというもの。デイリーユースに耐えうるリアルスポーツカーという911らしい装備だ。そのほか、ボイスコントロール機能を備えたインフォテインメントシステム、緊急通報機能を備えたコネクティッドシステム「ポルシェ アシスタンス」も搭載している。

エクステリアデザイナーによるデザイン解説も

カレラ4S

 デザインについては、今回の発表会のために来日したポルシェAGのエクステリアデザイナー 山下周一氏から直接解説を聞くことができた。山下氏はメルセデス、GMでキャリアを重ねたのちにポルシェAGのエクステリアデザイナーに就任。911GT3(Type991)、パナメーラスポーツツーリスモ、マカン、911スピードスター(997)などを手がけた人物だ。
 新型911のエクステリアのテーマは、911らしさをシンプルに表現すること。ヘッドライトはライトの角度を起こし、ボンネットにはかつての911に存在したエアスクープをプレスラインとして表現。山下氏によれば、フロントセクションの断面図が911らしさを表現するうえで重要だという。新型ではさらに前後バンパー内部をブラックアウトすることでシンプルかつ存在感のあるスタイルを作り出した。

 インテリアは70年代の911をモチーフに、水平基調でワイド感のあるインパネを造形。ここに最新のインフォテインメントを集約しつつ、ボタン類は極力少なくすることで使いやすさとすっきりとした抜け感を両立させた。911といえば、5つの計器が並ぶ5眼メーターがアイコンとなっているが、新型では中央のタコメーター以外すべてをデジタル化。液晶モニターとすることで、表示の多機能化を達成しながら、ドライバーがスポーツドライビングの指標とするタコメーターを、あえてアナログ式としたところがポイント。
 すべての要素において911に求められる要素、911らしさを突き詰めた新型911。伝統を未来へと受け継いでいく、まさしく「Timeless Machine」の名にふさわしいスポーツカーだ。


ポルシェ 911 カレラS(8速AT)

全長×全幅×全高 4519×1852×1300mm
ホイールベース 2450mm
トレッド前/後 1589/1557mm
車両重量 1590kg
エンジン 水平対向6DOHCツインターボ
総排気量 2981cc
最高出力 450ps/6500rpm
最大トルク 54kgm/2300-5000rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 245/35ZR20・305/30ZR21

  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

グーネット SNS公式アカウント