新車値引き情報
更新日:2019.05.25 / 掲載日:2019.05.25

【新車購入】X氏の値引きにチャレンジ大作戦

嫁の反乱で、トヨタ党、危うし! HV対EVを巡って夫婦に危機!? 熱血セールスが「何とかします!」

【プロローグ】 前回の登場は平成21年3月号で、RAV4からヴォクシーへの買い替えをレポートしました。当時は福井県在住でしたが、地元の燃えないセールスマンに大苦戦……そこで、旦那X氏は、私の実家がある愛知県のトヨタに遠距離越境交渉を仕掛けるという、起死回生の作戦に打って出ました。これが見事にはまってヴォクシーから42万円引きを奪い取り、松本さんからお褒めの言葉をいただいています。
 あれから10年……子供たちの成長とともに家族揃ってクルマで移動することも少なくなりました。「だから、もうミニバンじゃなくてもいいよね」って思う、今日この頃……ヴォクシーも走行距離が15万kmを超えたので、そろそろ買い替え時かも……。
 いやいや、消費税の引き上げは10月だし、車検切れは12月だし、子供たちの教育費はかかるし……「買い替えはまだ先よね」なんて思ってたら、旦那から電話が……。
「うほほお! 内緒で月刊自家用車のX氏に応募したら採用の知らせが来た! 新車、買うぞ!」
 なんと急転直下、買い替えることになりました(笑)。
 旦那と相談の結果、本命はプリウス。対抗は私が推しているリーフとなりました。
 商談の主な舞台は旦那が単身赴任中の北海道。ただし、私の実家がある愛知県と、家族が住んでいる石川県でも交渉する予定です。前回は福井と愛知の2県にまたがった商談をしましたが、今回は3次元越境になります。

【1日目】 ここからは旦那のレポートになります。よろしくね。

 はい、北海道の旦那です(笑)。
 今回、購入するクルマは石川県で使用することになりますが、新車は全国統一保証なので、基本的にどこで買ってもアフターサービスに問題はなし。妻に任せるよりも月刊自家用車の愛読者である私が値引き交渉をしたほうが安く買えるはずなので、北海道を中心に商談を展開することにしました。作戦会議の際、松本さんに訊ねたところ「北海道で契約しても、登録手続きと納車は石川県のディーラーに依頼することができます」とのことでした。
 まずは本命のプリウスを扱うトヨタA店へ。応対してくれたセールスさんはいかにもベテランという印象。頼りにできます的なオーラに包まれています。
 最初に「もしも、購入することになったら登録と納車は石川県にしたい」と申し出ると……、
セ「大丈夫です。お任せください。逆パターンで、他県のトヨタで購入されたお客さんが北海道へ転勤となって、ウチの店が登録と納車を担当することもあります。よくあることで問題はありません」
X「プリウスはマイチェンで鳥居みたいな奇抜なデザインのテールランプをやめましたね。あれがそのままだったら候補に挙がらなかったと思います」(笑)
セ「よかったです」(笑)
 提示してきた値引き条件は車両本体と付属品から6万円引き。
X「これは最初の数字ですよね。ここからいくら上乗せが期待できますか?」
セ「私の段階では10万円……いや、もし本日決めていただけるなら15万円は頑張ります」
X「まだクルマ選びを始めたばかりなんです。もう少しじっくりと検討させてください」
セ「ほかにはどんなクルマをお考えですか?」
X「実は、嫁がプリウスの「鳥居」を毛嫌いしていて、去年の夏くらいから『買い替えるんだったら日産のリーフ!』と言い続けています。僕は、RAV4からヴォクシーと二十数年乗り継いできているんでトヨタ車に愛着があるんですよね。歴代のセールスさんにもよくしていただいたし……だから、今回も何とかトヨタにしたいと思っています。幸い新型は「鳥居」がなくなったんで、嫁を説得しやすくなっていますよ」
 ここでセールスさんの目の色が変わった(ように感じた)。なんだかスイッチが入ったみたい。
セ「ぜひ、お願いします! 精一杯頑張らせていただきます」
X「今晩、嫁にセールスさんの熱意を伝えておきます」
 次はスバル店。インプレッサの購入希望を伝えると「今の売れ筋はXVです。私も乗っていますが、家族も喜んでいますよ」と強く勧めてきた。結局、インプレッサの商談にはならず、終了。
 その足でマツダ店へ。相手はベテランのちょっと太め(失礼)のセールスさんです。
セ「いやー、アクセラですか……まだ決まっていませんが、なくなる可能性があります。海外で出しているマツダ3が、今後の国内向けになっていくかどうかなんですけど、現時点では正直、私どもも把握できていません。当店には現在アクセラは置いておりませんが、国内の売れ筋はSUVで、とくに冬の北海道の坂道では抜群に効果を発揮します。CX-5を試乗してみませんか?」
X「今日は時間も遅いので見積もりだけをいただきたいのですが……」
 ところが、セールスさんは「試乗しましょうよ」を繰り返す。結局、ここでも候補のアクセラの見積もりはもらえなかった。
これにて1日目は終了。 

「鳥居」問題解決でも説得できへん! 秘策「三次元」越境がまさかの不発……

【2日目】 日産A店へ。今どきのスタイリッシュな若手セールスさんが応対してくれました。
 提示してきたリーフの総額は付属品(8万4000円)と諸費用を含めて約410万円。
X「えっ、こんなにするのですか……値引きはどれくらいですか?」
セ「頑張って15万円引きです。あと約40万円の補助金が受けられます。ただし、補助金には限りがあるので早目がよろしいかと」
 う~ん……それでも支払い総額は350万円を超えてしまいます。
 経営の違う日産B店へ。こちらはベテランのセールスさん。できるだけ支払い総額を下げるため、メーカーオプションと付属品をほぼほぼ削って見積もりを出してもらった。これで総額は383万円に下がった。補助金40万円を差し引くと343万円です。
X「ここから、値引きはいくらくらい頑張れそうですか?」
セ「付属品をほとんど付けていないのでここから引けるところはありません」
X「それでは完全に予算オーバーですよ」
セ「では、リーフではなく、ノートe-POWERはいかがでしょうか? 後部座席は思ったよりも広々としております。今、大変売れております」
X「家族と相談してみます」
 リーフがダメならノートe-POWERにしろって……そういうことじゃないんだけどなあ……。
 続いてホンダ店へ ここもベテランのセールスさん。
セ「インサイトはいまのところ2WDしかないです。正直、2駆では北海道の冬の坂道は厳しいかもしれませんよ。それでもよければですが……」
 しきりにヴェゼルハイブリッドを勧めてきました。
X「私は単身赴任中なので、もしも、こちらで新車の契約をした場合、自宅のある石川県で登録・納車をすることになりますが、対応は可能ですか?」
セ「その場合、クルマを北海道から送ることになるので、石川のホンダで購入したほうがよいかと……」
 作戦会議の際、松本さんが「他県で納車することを嫌がるディーラーもあるかもしれません。その場合は深追いしないほうがいいでしょう」と言っていたので、早々に引き上げることにしました。
 2日目は終了。嫁さんに報告。
嫁「やっぱり購入するなら、プリウスもリーフもいまのままの値引き条件ではとても買えません。大幅な上乗せを狙ってね」
 はい、頑張ります!

【3日目】 先日、商談したトヨタA店へ出向く。担当セールスさんからは1日目の夜に「ご来店、ありがとうございました。ぜひプリウスに乗っていただきたいと思っています」との丁寧な連絡をいただいています。
セ「日産さんはどうでしたか?」
X「実は、日産からも『ぜひリーフに乗っていただきたい』と勧められています。しかも、私がトヨタに2台続けて乗っていると言うと『なおさら気合が入ります! 今日、明日で決めていただけるなら思い切った値引きをさせていただきます!』と言われまして、これを嫁に伝えたらすっかりその気になっちゃいました」
セ「えっ、そうなんですか……」
X「トヨタさんとは二十数年の長い付き合いだったんですけれど……実は今日、『ごめんなさい』を言うつもりで来ました」
セ「え~、もう決めてしまわれたんですか……」
X「いや、まだ契約はしていません。たぶんこの後、日産さんに行って詰めの商談をして、明日、ハンコみたいな感じでしょうか」
セ「Xさん、私に最後のチャンスはありませんか!」
X「前回のプリウスの見積もりは付属品が40万円分も付いていて、ちょっと支払い総額が高くなりすぎていますよね。このあたりを電話で嫁に説明してもうまく伝わらないのです」
セ「そうでしたか。わかりました。見積もりを書き直しましょう」
 付属品はアンダーコートとフロアマットの合計5万4000円だけに減らしました。
セ「で、値引き条件ですが……ちょっとお待ちくださいね」
 席を立って奥に引っ込みました。しばらくして、
セ「お待たせいたしました。上司を引っ張ってきました」
上司「Xさん、これで何とかトヨタに決めていただけませんか?」
 見積もりには値引き29万9989円と記入されている。支払い総額は298万円。ようやくいい感じになってきました。
セ「Xさん、これは破格の条件です。ぜひ決めてください」 
X「あと5万円くらいいけると、いいんだけど……」
上司「これ以上の上乗せは絶対に無理です。もうぎりぎり限界です。Xさん、この後、日産には行かないでいただきたいんですが……」
X「すいません。それはできません。約束しているので、向こうさん、待っています。嫁はリーフに気持ちが傾いているので、この場で黙って決めちゃったりしたら、遠距離の夫婦喧嘩が始まっちゃいますよ」(笑)
上司「わかりました。でも、日産さんでハンコは押さないでくださいね。今晩、私どもの精一杯の価格を奥さまにお伝えして判断していただきたいと願っています。トヨタとのお付き合い、今後もよろしくお願いします」
X「了解しました。日産へ行って『びっくり! こんなん出るの!』みたいな、トンデモないお化け値引きが出ても、ハンコを押すのは明日にします」
 その足で、経営の違うトヨタB店へ乗り込む。いきなりトヨタA店との争いに持ち込むと引いてしまう恐れがあるので、ここはリーフを武器に攻める。A店と同様に嫁さんの存在を強調して「日産にほとんど決まり」との状況を伝えると、店長さんがすっ飛んできました(笑)。
店長「実は今日、明日の2日間、大商談会をやっていて役員が陣頭指揮に来ております。私どもも大商談会と銘打った以上、大いに盛り上げたく、役員決裁がバンバンと飛び交っております。きっと満足のいく価格でプリウスに乗っていただけるかと……」
セ「では、その役員決裁の数字を聞いてもよろしいでしょうか?」
店長「もちろんです!」
 しばらく考えた結果、車両本体と付属品(10万2000円)から22万円引きを提示してきました。
店長「これが限界です。これ以上は出せません」
 残念ながらトヨタA店には届かなかった。
 夜、松本さんに相談すると、
松本「トヨタA店の出している条件は新型としては文句なしの特上クラスです。ただし、A店はかなりリーフを怖がっていますね。奥さまのプレッシャーが効いているようなので、決める前にもうひと押ししましょう。切り札の遠距離交渉もそろそろ仕掛けるタイミングにきています」

「日産に行かないでください!」「絶対に無理」からのぉ~5万円!

【4日目】 さあ、いよいよ最終決戦! ここまで封印してきた十八番の遠距離越境攻撃の出番です。
 約10年前にヴォクシーを購入した愛知県のトヨタへ電話しました。ここは嫁さんの実家から一番近いお店です。担当セールスさんにこれまでの経緯を話して北海道のプリウスの条件を伝えました。
X「もしも、北海道を上回る条件を出してもらえるなら、そちらで購入してもいいと思っています」
セ「わかりました。上司と相談してご返事します」
 待つこと十数分、愛知から電話がかかってきました。
セ「北海道とはかなり商談がすすんでいらっしゃる段階かと思います。正直、ウチでその価格を上回る数字が出せるとは言えません。北海道のトヨタとそのまま進めていただければ、と思います」
 あれ!? まさかの白旗。
 次は石川県の自宅から最も近いトヨタに電話。この店でヴォクシーのサービスを受けていて、セールスさんとも顔見知りです。愛知と同様に経緯を話して北海道を上回る数字を要求すると、これまた待つこと十数分。
セ「いやー正直、私どもではとてもそこまで出せません。旧型だったらわかりますが、新型ですよね。もう北海道さんに脱帽です。勉強になりました」
 残念! 遠距離越境作戦は不発に終わりました。それだけトヨタA店の条件が破格ということでしょう……と、感心ばかりもしていられない。こちらも最後まであきらめるわけにはいきません。
 タイミングよく、トヨタA店さんから電話が入りました。
セ「昨日、日産さんはどうでしたか? 奥さまとのお話もうまくいきそうですか?」
X「昨晩、嫁とも話をしましたが、まだリーフに未練があるみたいです。とりあえず、もういちど日産に行ってきますわ」
セ「行かないでください! Xさん、行ったら決めちゃいますよね」
X「おそらく僕の性格上、そうなるでしょうね」
セ「そこを何とか! もう一度、もう一度、奥さまと話をしていただけませんか?」
X「わかりました。話はしてみますが、保証はできませんよ」
 嫁さんに電話。今朝からの経過を報告しました。
嫁「どうするの? 私はプリウスでもいいけど……」
X「わかった。でも、向こうには嫁とモメたことにする」
嫁「どういうこと?」
X「そういうこと!」
嫁「はははっ、わかった。すっごくモメてるね」(笑)
 電話を切ると、しばらくしてトヨタA店から電話がありました。
セ「奥さま、どうでしたか?」
X「もうモメちゃって大変ですわ(笑)。でも、もう少しトヨタさんの条件がアップしたら説得できるところまできました」
セ「わかりました。旦那さまの本音はおいくらですか? この間、ちらっとですが『あと5万円くらい安くなったらなあ』みたいなことおっしゃってましたよね」
X「はい。でも『上乗せは絶対に無理』という話でしたよね」
セ「はい、たしかに厳しいんですが……わかりました! あと5万円の上乗せは私が何とかします! ですから奥さまを説得してください! 日産さんへは『やっぱり行けなくなった』と連絡を入れてください!」
X「わかりました! そこまで言っていただけるなら、こちらも責任をもって説得します。午後、そちらに行きます」
セ「ありがとうございます! お待ちしております! お気を付けていらっしゃってください」
 午後からトヨタA店へ。
 最終的な条件は車両本体/メーカーオプション4万3200円から29万7457円引き、付属品(5万4000円)から5万4000円引きで、値引き合計35万1457円、支払い総額は292万円で契約の運びとなりました。
 嫁さん、決まったよ

 はい、石川の嫁です。旦那さん、お疲れさま。思ったより安く買えて大満足です なお、プリウスは「納期が3~4か月かかる」とのこと。ヴォクシーは納車の直前になったら買い取り専門店を集めて一番高いところに売却します。


購入データ
From石川県
TOYOTA プリウス
A(4WD)
トータル値引き 35.1万円

値引き採点 5
年末のビッグマイナー後、好調な売れ行きをみせており、半年が経過した現在でも納期は2~3か月待ち。値引きのガードは固く、35万円引き/値引き率11.1%は文句なしのウルトラC!

提供元:月刊自家用車

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