新車試乗レポート
更新日:2019.04.26 / 掲載日:2019.04.26

【試乗レポート 日産デイズ】先進技術満載! クルマとしての魅力も大幅にアップして登場

文と写真●ユニット・コンパス

 日本人の生活を支える大切な足となっている軽自動車。定められた規格のなかで各メーカーが切磋琢磨を続けたことで、コンパクトと高機能を両立する世界的にもユニークなカテゴリーとなっているが、新型日産 デイズの登場によって、その基準は今後さらに高まることになりそうだ。

パワートレインと基本骨格を刷新して登場

デイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロット エディション

 新型デイズの見どころは多い。洗練されたスタイリング、選択肢豊富なボディカラー、大幅に高められた走行性能、使い勝手のよくなったインテリア、そしてクラスの常識を超える先進安全技術の採用である。

あおり運転などにも対応する「SOSコール」を軽自動車初採用

 まず注目の先進安全技術について説明しよう。ポイントはふたつ。「プロパイロット」と「SOSコール」の採用だ。 「プロパイロット」とは、高速道路での運転をサポートする装備で、車間距離を一定に保ちながら先行するクルマに追従するというもの。アクセルやブレーキ操作が肩代わりされることに加えて、白線を認識して車線をキープする機能が備わっているため、ステアリングを操作する力も大幅に軽減される。同種の機能はライバル車種にも採用されているが、「プロパイロット」の強みは渋滞時に停止からの再発進を自動で行うところにある。
 そしてもうひとつの注目機能である「SOSコール」。ボタンを押すことで、緊急時や事故の際にオペレーターに通報できるほか、エアバッグが開くような事故が発生した場合には自動的に通報が行われ、事故の度合いに応じた対応が自動的に行われる仕組みだ。事故以外にも、車内で急病が発生したり、あおり運転で危険を感じたりといった場合にも「SOSコール」が役に立つ。この機能は軽自動車では初めての搭載となる。

選べる3つのスタイル

デイズ X

 新型デイズには3つのスタイリングが用意されている。標準モデル、スポーティな「ハイウェイスター」、そして数多くの専用パーツをお買い得なプライスで装着できるカスタマイズ仕様の「ボレロ」だ。
 いずれも日産車らしさを感じさせるVモーショングリルを採用しており、凝ったデザインのライト類、張りのある面で構成されたボディパネルも品質感がある。ナンバープレートの取り付け位置にもこだわった。軽自動車では機能性とコストの関係から、ナンバープレートの位置が運転席側にずれて取り付けされているクルマが多いが、デイズはバンパーの中心にある。「軽自動車ではなく、理想の小型車を作りたい」という想いにより、デザイナーとエンジニアの間でやりとりを重ね実現したという。
 ボディカラーのバリエーションはなんと17色。ハイウェイスターには、ルーフカラーとドアミラーがボディとは別色でコーディネートされる2トーンタイプも用意されている。

  • デイズ ボレロ

後席のひざ前空間は高級セダンに匹敵する

デイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロット エディション

 ボディを真横から見るとわかるとおり、新型は前輪の位置がグッと前になった。これはクルマの基礎となるプラットフォームを新規開発したことによるもので、その恩恵はもちろん室内の広さに割り当てられている。先代モデルに比べてメカニズムが収納される空間をギュッと圧縮、前席を前にずらしたことによって、後席の膝前空間は旧モデルに対して70mmアップの700mm以上。この数字はクラストップで、高級車であるフーガと同等レベルというから驚く。

「見せる収納」と「隠す収納」を作り分けたインテリア

 荷室スペースも先代から135mm拡大されて、奥行きはクラストップレベルに。さらに後席背もたれにスライドレバーを取り付けたことで、使い方に応じて後席を簡単にスライドできるようになった。
 運転席まわりの使い勝手もアップしている。まず収納スペースが大幅に増えた。ユニークなのは、スペースを機能ごとに「見せる収納」と「隠す収納」とわけたこと。たとえばスマホなどが置けるセンタートレイは「見せる収納」で、財布やカード類などをしまうのに便利なセンタースライドトレイは「隠す収納」といった具合だ。

「S-HYBRID」はリチウムイオン電池採用でアシスト時間アップ

 まさに、軽自動車として求められるニーズを丁寧に改良してきたという印象を受けた新型デイズ。では、実際に乗るとどうなのか。新型はパワートレインも一新されていて、さらに「ハイウェイスター」には、NA、ターボともにマイルドハイブリッドシステム「S-HYBRID」が備わるのも特徴。リチウムイオン電池を採用することで、従来に比べてアシスト時間は10倍以上になった。すべてのグレードに前輪駆動のほか4WD仕様も用意されている。

刷新されたパワートレインで走りやすさは格段に上がった

 まず試したのは、ターボ仕様の「ハイウェイスター」。大げさではなく、乗ってすぐに先代モデルとはモノが違うと驚いた。運転しやすく、静かで、乗り心地がいい。もちろん、モデルチェンジしているのだから良くなっているのは当たり前だが、進化の度合いが大きく、また他社と比較しても一気にトップレベルに躍り出たと言える。とくに感心したのが静粛性の高さで、運転席は普通車に迫るレベル。さらにステアリングの手応えも適切で、正確性も高い。各部の操作は軽く仕上げられているが、クルマ全体の動きにはちゃんと芯が感じられ、速度を上げていってもフラフラと揺れるようなことも少ない。これなら長距離を運転しても疲れにくいだろう。

「S-HYBRID」の効果はNAで大きい

デイズ X

 つぎにのった「S-HYBRID」付きのNA仕様も印象がよかった。走り出しがスムーズで、アクセルを強く踏み込まなくてもスルスルと加速。モーターによるアシストは言われなければ気がつかないほど自然で、それでいて走りやすさがグッとアップしている。新開発だというCVTとのマッチングも良好。上手にエンジンの力を引き出しているため、流れの速い郊外路のようなところでの走りやすさが大幅に高まっている。街乗りを中心とした使い方をするなら、「S-HYBRID」付きNAは十分に満足できる仕上がりだと言える。

デイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロット エディション

 高速道路では「プロパイロット」をチェック。車線の中央をキープし、先行するクルマへの追従も唐突感が少ないことを確認した。プロパイロットの開発については、車種をまたいで部署が一丸となって開発、改良を加えているという話をエンジニアから聞いたことがあるが、確かに新しく出たクルマほど制御が自然でコーナーへの追従性も上がってきている。今回のデイズは軽自動車ということでコスト的に厳しい部分があるのではと心配だったが、蓋を開けてみれば杞憂であった。もちろん、クルマの能力を超えるような動きはできないものの、ペダル操作から解放され、ステアリング操作にも力がほとんど必要ないというのはほんとうにラクだ。

これ1台ですべてを賄える実力の持ち主。軽自動車の進化を感じた

 新型デイズは、「生まれ変わった」という言葉がふさわしいほどの出来映えだ。内外装のデザインは軽自動車というくくりを超えて魅力的だし、クオリティの面でも「ハイウェイスター」となれば並みの小型車より上に感じられた。クラスを超えたという部分では、「プロパイロット」や「SOSコール」の存在も見逃せない。自動ブレーキの次を感じさせる魅力的な提案だ。もちろん、あれもこれもと装備を増やせば価格は高くなる。同じ日産ならノートeパワーがあと少しで買えてしまうのだから非常に悩ましい。だが、「軽自動車のなかで、なるべくいいクルマがほしい!」という今時のユーザーニーズに、新型デイズは真正面から応えた力作だと言えるだろう。


日産 デイズ ハイウェイスターG ターボ プロパイロット エディション(CVT)

全長×全幅×全高 3395×1475×1640mm
ホイールベース 2495mm
トレッド前/後 1300/1290mm
車両重量 880kg
エンジン 直3DOHCターボ
総排気量 659cc
最高出力 64ps/5600rpm
最大トルク 10.2kgm/2400-4000rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ドラム
タイヤ前後 165/55R15

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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