輸入車[2019.04.04 UP]

【試乗レポートBMW 3シリーズ】デジタルネイティブに生まれ変わったスポーツセダンの代名詞

330i Mスポーツ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 BMW 3シリーズがフルモデルチェンジされた。新型のコードネームはG20。7世代目となる。1975年に初代が誕生したことを鑑みるとその人気の高さが伺える。よく“BMWの屋台骨”と表現されるが、SUVブームが起きてのそのポジションは揺るぎなさそうだ。
 そんなモデルだけに大胆なデザイン変更は起きない。どこから見てもBMWであることはわかるし、サイズから3シリーズであることも目視できる。ただ、大きくなったキドニーグリルは確実に新しさをアピールする。マイナーチェンジした7シリーズ、先日アメリカで国際試乗会が行われたX7にもそれは取り付けられた。よく見るとこのキドニーグリルは縁取られたメッキで左右のセンターがつながっている。要するに一体化されたのだ。これはF30と呼ばれる従来型と見分けるのに都合がいいだろう。

日本市場のために開発された専用エンジンをラインアップ

 箱根で行われた試乗会に用意されたモデルはすべて330i Mスポーツだった。2L直4ツインスクロール・ターボユニットは最高出力258馬力、最大トルク40.8kgmを発生させる。グローバルには3L直6ツインターボのM340iもラインナップされるが、日本はそこまでではない。ただ、日本専用モデルとして320iがカタログに載ることは見逃せない。というのも、BMWジャパンがミュンヘンの本社に掛け合い特別につくってもらったからだ。エンジンは2L直4ツインスクロール・ターボで最高出力は184馬力、最大トルクは30.6kgmとなる。日本の道路事情で扱いやすそうな組み合わせだ。ミュンヘンの本社はこのエンジンのためだけに日本の排ガス規制をクリアする措置を行った。

 余談だが、試乗会のプレゼンテーションでおもしろい話を聞いた。日本はMスポーツの人気が高く、ひとつのモデルにおける構成比は50%を超えるそうだ。その比率は世界第3位。1位は英国、2位はオーストラリアというのもじつにユニーク。偶然なのだろうか、すべて右ハンドルの国である。

基本設計の進化により、走りの資質がさらにアップ

 では、箱根の山坂を走った印象をお届けしよう。
 まず、乗り込んだ時に感じたのはキャビンの広さ。トレッドが広がりホイールベースが伸びたことでルーミィな空間が生まれた。感覚的には“3.5シリーズ”といったところだろう。とはいえ、F30時代にこういった対応はすでに行われていた。4シリーズがそうで、そのシャシーは3シリーズをワイドトレッド化したものだった。そう考えるとこれは必然的な進化といえる。4シリーズで実績を積んだように、ワイドトレッド化は彼らにとってクルマを速く走らす作法のひとつとなるからだ。
 それが功を奏してか、試乗ではクルマの安定感を強く得た。直線はもちろん、コーナリングにおいてもメリットは大きい。タイトコーナーでも鼻先が遅れることなくスッと入り、安定した挙動のままクルリと向きを変えるのはさすがだ。連続するコーナーでもその軽快な身のこなしに思わずニヤケてしまう。

 試乗後にわかったのだが、新型はサスペンションのストラット部分をアルミにするなど軽量化を行なっている。従来型比で-55kgというから大人一人分に近い削減である。やはり開発陣の3シリーズに対するこだわりは相当なものなのだろう。どんなに利便性を高めようと走りのパフォーマンスをスポイルすることを許されない。
 ただ、今回3シリーズと付き合ってきてどうしても気に入らない部分もあった。それがステアリンググリップの太さ。最近のトレンドなのはわかるが、これではせっかくのBMWが得意とするドライブフィールが手のひらに伝わってこない。百歩譲ってSUVのグリップの太さは許容しても、セダン系はMスポーツでももう少し細くした方がBMWらしいと思われるだろう。かつて高級ブランド勢の間でパワー合戦が起こった時に、BMWはあえて参加しないという立場をとった。過去にそういった経験を持つだけに、もっと唯我独尊的にクルマを進化させてもらいたいところだ。

対話形式で各種機能にアクセスできる新インターフェイスを搭載

 一方で大きな進化を感じたのが、インターフェイスや運転支援システム。メーターセンターの液晶モニターを活用したり、ダッシュボードセンターのモニターも操作範囲がグッと広がった。ちなみに、ダッシュ上から下にずらしたのはタッチ式にしたから。ちなみに従来からのコントローラーからも併用可能だ。
 そして何と言っても気になるのが、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント。「ハイ、メルセデス」に対抗する「OK、BMW!」だ。より自然な会話風音声認識云々というが、メルセデス同様まだまだ進化の余地はある。もちろん、新技術はスタートしなければ進まないので、商品化したのは立派だ。

全方位的に完成度の高いスポーツセダン。これから登場するであろう追加ラインアップも楽しみ

今回のレポーターである九島辰也氏。国際試乗会にも数多く参加し、メーカー首脳や開発陣とも活発にコミュニケーションを行なっている

 以上が新型3シリーズとのファーストコンタクト。ここには書ききれないほど日常使いの良さが満載される。EV化を急ピッチで行なっているBMWだが、このクルマにもしっかりチカラが注がれた。今後気になるのはパワートレーンの追加だろう。ディーゼル、ハイブリッドも期待大だ。そうそうM3も、お待ちしております。

BMW 330i Mスポーツ(6AT)

全長×全幅×全高 4715×1825×1430mm
ホイールベース 2850mm
トレッド前/後 1585/1570mm
車両重量 1630kg
エンジン 直列4気筒ターボ
総排気量 1998cc
最高出力 258ps/5000rpm
最大トルク 40.8kgm/1550-4400rpm
サスペンション前/後 ストラット/5リンク
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 225/45R18

販売価格 452万円-632万円(全グレード)



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