400万円の予算でAMGらしさが味わえるのは？【輸入車コンシェルジュ】

　クルマ選びに安全性や使いやすさといった実利的な側面だけでなく、自分自身の憧れやポリシーを重ねることは、クルマ好きとくに輸入車を愛好するひとには多いのかもしれません。愛車は相棒であり、自分自身の分身でもある。クルマには、そういった側面もあるように思えます。
　今回の相談者であるM・Oさんにとって、メルセデスの魅力は高速道路を余裕で駆け抜けるパワー、そして力強いスタイルにあるそうです。しかし、だからこそ気になって仕方がないのが、AMGという存在。なるほど、パワーと迫力に魅力を感じるのであれば、確かにAMGこそ求めていたものかもしれません。
　相談のやりとりのなかでわかったのは、今回購入するクルマは仕事の足ではなく、あくまでプライベートカーとして使うこと。だからこそ、運転が楽しめるモデルがいいという要望でした。一方で、セカンドカーとして購入するからこそ、予算には縛りがあり、400万円を大きく超える買い物は難しいというお話。
　メルセデスを普段から愛用している相談者が納得できるだけのパワーと存在感をリーズナブルな予算で実現しなければいけません。なかなかハードルは高いですが、だからこそ、コンシェルジュとしての腕が鳴るというもの。では、オススメモデルをご紹介いたしましょう。

　元々メルセデスの元でエンジニアとして働いていたアウフレヒトとメルヒャーが、モータースポーツへの情熱から独立して設立した会社がAMGの原点。その後、市販車のカスタマイズで名を馳せたAMGは古巣であるダイムラー社と提携、そして現在はグループ会社の一部となり、より高品質で高性能なクルマ作りを行っているのはご存じのとおり。
　そんなAMGにとって記念碑的な作品となったのが、初の独自開発となるM156型6.2LV8エンジン。このエンジンは1基ごとに1人の技術者が組み立てを担当するという、普通の量産車ではありえないほど手の込んだ生産方法を採用しています。
　C 63 AMGは、そんな大排気量の自然吸気エンジンをCクラスに搭載しているのですから、速くないわけがありません。457馬力という最高出力は、多くのエンジンがターボ化した現在でも一級品のスペック。
　M156型は数多くのモデルに採用されましたが、刺激で言えばこのC 63 AMGが随一。なおかつリーズナブルなのですから堪りません。

2011年 メルセデス・ベンツ C 63 AMG（７速AT） ●全長×全幅×全高：4720×1795×1440mm ●車両重量：1800kg ●エンジン：V8DOHC●最高出力：457ps ／6800rpm ●最大トルク：61.2kgm／5000rpm ●排気量：6208cc ●中古車参考価格：230万円～500万円（08年～14年 セダンのみ）

　Ｅクラスの63モデルは、エンジンの魅力はそのままに、より長距離ランナーとして洗練を増したキャラクターが魅力。全方位隙のない高性能モデルです。注意したいのは、2013年以降のモデルは同じV8でも5.5Lツインターボとなり、エンジンのニュアンスが変わってしまうこと。自然吸気は前期のみです。

2010年 メルセデス・ベンツ E 63 AMG（７速AT） ●全長×全幅×全高：4895×1870×1440mm ●車両重量：1920kg ●エンジン：V8DOHC　●最高出力：524ps ／6800rpm ●最大トルク：64.2kgm／5200rpm ●排気量：6208cc ●中古車参考価格：280万円～600万円（09年～16年 セダンのみ）

　メルセデスの頂点であるＳクラスにもM156型エンジンを搭載したモデルが存在していました。ＣクラスやＥクラスと異なるのはその世界観で、どこまでもラグジュアリー。新車当時の価格は2000万円オーバーにも関わらず、中古車相場はほかの２台とほぼ同等。思わず夢を見たくなる選択肢です。

2010年 メルセデス・ベンツ S 63 AMGロング（７速AT） ●全長×全幅×全高：5260×1870×1485mm ●車両重量：2190kg ●エンジン：V8DOHC　●最高出力：525ps ／6800rpm ●最大トルク：64.2kgm／5200rpm ●排気量：6208cc ●中古車参考価格：270万円～550万円（06年～12年 全グレード）