中古車購入チェックポイント
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2018.12.02

プジョー 308/気になる中古車【試乗判定】

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2019年1月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2018-2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

高い実用性が魅力のフランス流ハッチバック

実用車としての基礎がしっかりしている308

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、フランスの小粋なコンパクトカー「プジョー308」が登場です。お借りした車両は2014年モデルで、グレードは「スポーティアム」、走行距離は4.5万kmです。
九島●最近ちょっと高価なクルマが続いていたし、フランス車っていうところも新鮮でいいね。
竹岡●これは初代の308だよね。
編集部●はい、そうです。308は、2008年に登場したCセグメントのコンパクトカーで、日本にはハッチバックのほかに、ステーションワゴンの「SW」、電動メタルルーフの4人乗りオープンカー「CC」も存在しました。
九島●この世代のプジョーはいろいろと模索していた時期だったね。一時期急にドイツ車風味が強くなってしまったりして、フランス車らしい個性が薄らいでしまった。
竹岡●そうなのよ。あまりにキャラが違ったから、「ドッグフード食べたのかお前は!」って原稿を書いた記憶がある(笑)。今日試乗させて頂く308は、その頃から比べたら、だいぶ乗り味にもフランス車らしさが戻ってきたはず。
編集部●どうしてそういうことになったんでしょうか。
九島●作り手はいいクルマにしたいし、マーケティング的にもシェアを広げたいと。そこで万人に受けるクルマ、つまりドイツ車的な方向性がいいと判断したんだろうね。だけど、やっぱりブランドには個性が必要だってことに気がついたのかな。
竹岡●プライベートでCCに乗っていたことがあるんだけど、オープンカーなのに実用性は高いし、疲れているときに乗ると、フッと気持ちが落ち着くいいクルマだったな。海外に行くときに大型スーツケースが入ったり、車椅子も積めたんだよ。そうした生活に根づいた機能性の高いデザインもプジョーのいいところ。
九島●だからこそ惜しいのがパッと見の印象が地味なところ。フロントマスクにアイデンティティがないクルマは、どうしても印象が薄くなってしまうからね。最近のプジョーだと3008はいいと思ったな。あれはカッコいい。
竹岡●そうだね。走らせた印象もよかった。そういう意味ではプジョーのライオンマークっていいアイコン。女性でもプジョーだって認識してる。
編集部●今日試乗するプジョー308について、もう少し説明します。308は全年式を通じて1.6Lエンジンを搭載しており、基本はターボで前期型が140馬力(MTは150馬力)、後期型が156馬力。「スタイル」のみ自然吸気エンジンとなり120馬力になります。また、「GTi」は175馬力です。トランスミッションは初期モデルが4速ATで、2010年の一部改良以降は6速になりました。また、6速MTも存在します。外観は2011年のマイナーチェンジで508風のマスクとなったことが識別点です。
九島●エンジンはMINIと共同開発したやつだね。中古車はどうなの。
編集部●元の価格もあり、高くても100万円前半、メインはフタケタで十分程度のいいクルマがねらえます。では、試乗をお願いします。


竹岡「運転してホッとするクルマ 毎日乗る相棒としてオススメ」

九島「道具として使い込んでみると味わいが出てくるタイプ」

DETAIL CHECK

気取らないで付き合える等身大の「いいクルマ」

編集部●お二人が試乗から戻られました。いかがでしたか?
九島●楽しかったよ。足まわりのフワッと優しい感じなんかとくにプジョーらしさがあるし、パワーも十分。むしろ速く走らせてる気持ちがしておもしろいクルマだったね。
竹岡●よかったよね。走りやすいし、視界もいい。6速ATなんだけど、まるでMTみたいなシフトフィーリングで、そこも走らせたときの楽しさに繋がってる。さっきプジョーは中古車価格が安いって話だったけど、これが100万円しないで買えるならオススメできるよ。
九島●インフォテインメント系は正直古いし、自動ブレーキみたいな先進安全装備もないけど、それもフタケタ万円だと思えばまったく気にならない。
竹岡●ナビの位置がいまのクルマと比べると低いのよね。
編集部●たとえば、はじめての輸入車としてはどうですか?
竹岡●プジョーは付き合いやすいクルマだよ。乗り心地がいいし、出足がいいからストップ&ゴーの多い街中でも疲れにくい。女子にはとくにオススメよ。ドライビングポジションもちゃんとしてるから、九島さんみたいな背の高い男性でも大丈夫。プジョーのよさをもっとたくさんのひとに知ってもらいたいな。
九島●僕が薦めるのはSWかな。肩の力を抜いた感じで乗るとおしゃれだと思う。道具としてバリバリ使い込んでさ。もともとフランス人ってそうでしょ。乗せてもらったひとがステアリングのマークを見て、「あれ、これプジョーなんだ!」って気がつくくらいがカッコいいよ。
編集部●ありがとうございます。

開放感のあるコックピットはシンプルでいながら質感も十分

 インテリアの質感は現代のレベルから見ても十分。オプションではあったが、ダッシュボード全体をレザー仕上げにすることもできた。メーターを飾るメッキリングなど、デザイン性の高さも嬉しくなるところ。カーナビは2DINタイプのものが装着されていた。

大きめなシートクッションはフランス車の伝統

 体格を選ばず正しいドライビングポジションがとれ、視界も広く運転しやすいのが美点。シートはフロントだけでなく、リヤでも十分なクッション性を感じられた。また、デュアル式オートエアコンも装備されており、実用車ではあるが、快適性も高レベル。

最大で1201Lの容量を誇る機能的なラゲッジスペース

 リヤシートは6対4の分割可倒式で、標準状態で348L、リヤシートを倒した状態では1201Lまで拡大される。また、後席のセンターアームレストには長尺物を載せるときに便利なトランクスルー機能付き。荷室全体の形状もスクエアで使いやすく、荷物の積み下ろしもしやすい。

2010年の改良以降は6速ATを装備しさらに洗練した

 BMWグループのMINIと共同開発した1.6L直列4気筒ターボエンジン。前期の4速ATが140馬力で6速MTが150馬力。後期はAT・MTともに156馬力となる。これらが基本になるが、「スタイル」のみ自然吸気エンジンで120馬力になることは覚えておきたい。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。

竹岡 圭

  • 【9点】フランス車としては大人しいかもしれません。でも、VWゴルフを代表選手として、いわゆるいちばんポピュラーなCセグメントと呼ばれる、競合ひしめき合うクラスに位置しているので、万人受けも必要なわけです。そう考えるとデザイン的にも、巧いところを突いてるのかなと思います。外から見るより室内は広々、実際使いやすい1台なのです。

  • 【8点】ゾーン式のオートエアコンの採用等々、決して安っぽい装備内容ではないのです。ただフランス車は、最近は当たり前になってきた衝突被害軽減ブレーキに代表されるような、先進安全装備の導入は遅かったんですよね。基本的な考え方が、自由の国フランスらしく、自分で運転してくださいというスタンスなので……。そこが理解できれば問題ナシ!

  • 【9点】フランス車のいちばんよいところは、オーナーの気分や体調に合わせて走ってくれること。疲れてるときは包容力で、飛ばしたいときは猫足力で、いかようにも対応。つまり懐が深いんですよね。MINIとPSAが共同開発したパワートレインが搭載されていますが、わざと変速しているフィーリングを残すなどフランス車のこだわりが感じられるのもユニーク。

九島辰也

  • 【8点】昔からフランスの自動車ブランドは実用的なクルマを作るのが上手。それは乗り込んでみればだれでも感じられることで、視界が広く開放感があり、荷室スペースも十分に用意されている。上級モデルと関連性を持たせたねらいはいいのだが、スタイリングが少々没個性に感じられてしまうところが惜しい。なので、デイリーカーとして気取らないで使いたい。

  • 【8点】個人主義が強い国民性が影響しているのか、クルマがあれもこれもとユーザーをサポートするような快適装備はあまり重視されていないように思える。とくにインフォテインメントや先進安全装備については、ライバル勢に一歩先を許している。だが、考えようによっては、そういった機能を必要としないならば、十分以上の快適性と利便性は備えている。

  • 【9点】超高速走行でのスタビリティを重視しなければいけないドイツ勢に対して、よりタウンスピードでの快適性に振れるプジョー。それはつまり乗り心地のよさとして実感できる。とくに段差のいなしかたは流石だ。プジョーは長く4速ATを使い続けてきたが、308ではモデルライフ中盤から念願の6速ATを手に入れ、一気にドライバビリティや燃費性能が進化した。

グーワールド 編集部

  • 【9点】いわゆるゴルフクラスの実用車として、輸入車の定番モデルになっているプジョーのコンパクトハッチバック。新車で販売されている308は2代目で、今回紹介しているモデルとは違うので注意してください。中古車としては価格の安さが魅力。元々300万円台というのもありますが、それでも走行距離の少ない中古車が諸費用込み100万円で購入できます。

  • 【8点】上で二人が指摘しているように、自動ブレーキのような先進的な装備は用意されていません。しかし、クルーズコントロールや盗難防止アラーム、前席ランバーサポートなど実用車には十分な装備が用意されているので、あまり心配する必要はありません。ただ、ベーシックモデルの「スタイル」については、上記装備は省略されているので注意してください。

  • 【9点】今回試乗のためにお借りしたのは、156馬力・6速ATというオーソドックスなパワートレインの組み合わせ。必要十分どころか、少しアクセルを踏み込むと元気にクルマが加速し、流れをリードする実力の持ち主でした。個人的に気に入ったのは、視界のよさとシートが身体を優しく支えてくれるところ。フットワークのよさと相まって気持ちのいい時間でした。

プジョー 308のモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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