輸入車[2018.10.26 UP]

【試乗レポート・メルセデス・ベンツ Cクラス】乗って納得! 想像以上に進化の度合いは大きい

C 200 アバンギャルド・セダン

文●工藤貴宏 写真●澤田和久

 意外に変わっていないな。
 それがマイナーチェンジを迎えた新しいCクラスの第一印象だ。なぜなら、クルマの印象を大きく左右する外観の変更が少なめだったから。前後ともにバンパーやライトユニット内部の意匠が変わっているものの、パッと見ただけでは変化を感じられないほど控えめ。先代や先々代ではモデルライフ中盤の大規模マイナーチェンジで見た目の印象が大きく変わったから、それと比べれば今回の大幅改良におけるエクステリアのチェンジは「微々たるもの」というのが率直な感覚だ。
 しかし、説明を聞いて驚いた。クルマとしては見えない部分も含めて(それらを中心に?)なんと6500箇所も改良されているというのである。「見た目はほどほどに、中身は深く改良」というのが、今回のCクラスのマイナーチェンジなのだ。

関連情報

ボディタイプ:オープンカー ボディタイプ:クーペ ボディタイプ:ステーションワゴン ボディタイプ:セダン 自動運転・衝突防止ブレーキ 新車 ハイブリッドカー 輸入車 ラグジュアリー

片側84個のLEDを制御し、より広い範囲を照射するマルチビームLEDヘッドライト

セダンのテールライトは「C」の文字を象ったデザインに変更された

フル液晶メーターやワイドディスプレイで一挙に未来的に進化した室内

 エクステリアと対照的だったのが、インテリアの大変化だ。センターのディスプレイが横長になって大型化されると同時に、(「C180」を除き)メーターもフル液晶化。ステアリングホイールも新設計となり、指先スライド操作式のスイッチを新たに採用している。それとともにCクラスとしてははじめてクルーズコントロールのボタンがステアリング内に組み込まれたので操作性がよくなった。
 鋭い人はお気づきのことだろう。上記のアイテムはすべて「Sクラス」や「Eクラス」に採用されているもの。上位車種の世界が、Cクラスまで展開されたというわけだ。
 余談だが、追従式のクルーズコントロールはボタンを押すだけで作動がはじまるからとても使いやすい。

フル液晶を採用したメーターは「スポーティ」など3つの表示モードを備える

ステアリングはSクラスやEクラスと同じデザインに。操作性も向上した

 上位モデルからの展開といえば、先進安全運転支援デバイスもそう。高速道路で自動的に車線変更をおこなう「アクティブレーンチェンジアシスト」や、ドライバーの運転操作が行われない場合はドライバーに異常が起きたと判断して路肩に自動停止し、さらには緊急通報センターへ自動でトラブルを発報する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」も搭載。歩行者の飛び出し検知機能を加えた自動ブレーキや、渋滞時に完全停止から自動でスタートする時間が30秒まで拡大された渋滞追従機能付きのクルーズコントロールを含めて、「Sクラスと同等のシステム」がCクラスでもすべてのモデルに用意されているのだから進化は大きいといえる。

1.5Lターボにマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「C 200」

 今回の変更でパワートレインにも特筆すべきポイントがいくつもあるが、もっとも大きな話題は小さなエンジンの搭載かもしれない。なんと、新しいCクラスには小排気量エンジンを搭載した仕様が用意されたのだ。わずか1500ccである。
 いまは排気量を下げて燃費性能を上げつつターボで動力性能を補う「ダウンサイジング」が当たり前になったとはいえ、メルセデス・ベンツがCクラスで踏み込むとは驚いた。プレミアムブランドのDセグメントセダンなのに。ベンツなのに……。
 とはいえ、じつのところライバルに相当するBMWの3シリーズでも1500ccのターボエンジンは搭載済み。プレミアムでも小排気量化は当然の流れなのだ。
 ただし、3シリーズと異なるのは、エンジンが3気筒ではなく4気筒であること(3シリーズの3気筒もそれはそれでスゴい)。そして、モーターを組み合わせたハイブリッドカーであり、ベーシックグレードではなく中間グレードの「C 200」として設定しているあたりも注目すべき部分だろう。

 メルセデス・ベンツは「EQ」という電動車両のブランドを立ち上げたが、そこには電気だけで動くピュアEVだけでなくハイブリッドカーも含まれる。「C 200」はモーターを組み込んだモデルとしてそんなEQの仲間入りを果たしているのだ。
 システムとしては完全新設計の1.5LターボエンジンにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を組み合わせて48Vの電気システムで作動させるもの。BSGとは言うなればエンジンとはベルトでつながって駆動もするスターター兼発電機で、駆動力としては160Nmを発生。一般的な言い方をすればモーターアシストのマイルドハイブリッドである。
 モーターの役割はエンジンの苦手な領域、つまり低回転域をアシストすること。低回転域でエンジンを補助することで効率を高めて燃費をよくし、また反応がいいというモーターの特徴によりアクセル操作に対する駆動力の立ち上がりを鋭くし、ドライバビリティを高める「補完役」なのだ。M264というエンジンはこのシステムのために新開発されたもので、低回転域をモーターがサポートすることを前提にしているのでエンジン特性は低中回転の伸びを重視しているという。

誰もが安心して快適に走れるメルセデスらしい走り味

 実際に運転してみると、そのねらいはしっかりと体感できた。モーターの力を利用したおかげで低回転域でも力不足はなく、排気量が1.5Lしかないエンジンだということはまるで感じられない。アクセル操作に対する反応も良く、山道などに行くと速さこそないものの、「これで十分」と思える動力性能と心地よさを味わうことができた。また、アイドリングストップからの復帰時にエンジン始動がスムーズで快適なのも魅力だ。過剰な速ささえ求めないのであれば、かなりオススメである。

 ところで心地よさといえば、峠道に差し掛かったときのクルマの挙動も新しい発見だった。鋭いハンドリングやシャープな挙動など自動車メディア的に好まれる派手な操縦性ではないものの、粘るというか、穏やかな挙動でフラットなロール感をキープする安定した乗り味はさすがメルセデスと思わせるもの。フラットライド感を見事に作り上げ、過剰に機敏なハンドリングにならず、かといって運動性能が低いわけでもなく、どんなドライバーにも安心を与えてくれる操縦性と快適な乗り味がじつに素晴らしかったのだ。
 この感覚はどこかで味わったような……と記憶をたどってみたら、かつて筆者が乗っていた「190」の乗り味がこれに近かったことを思い出した。190はCクラスの先輩。血統は、しっかり流れているのである。

ディーゼルは燃費だけでなく動力性能的にも魅力アリ

C 220 d ステーションワゴン アバンギャルド

 ディーゼルエンジンを搭載した「C220d」にも乗ると、こちらはアイドリング付近でのディーゼルらしい音がやや耳障りに感じた(しかし走り出すとほぼ感じないし、ディーゼルながら振動が少ないのはさすが)。すべての領域において太いトルクを出すディーゼルエンジンは力強くて、直距離移動が多くて燃料コストを軽減した人だけでなく、動力性能重視の人にもオススメできる。 

 いっぽうで390馬力を発生する3.0Lの6気筒ターボエンジンを積む「AMG C43」に乗ると、こちらはセダンやワゴンの革を被ったスポーツカー。クルマの特性は普通のCクラスとまったく別物で、エンジンはパワフル(AMGとしては控えめな「43」でも十分すぎる)なだけでなく、レスポンスのよさやその滑らかさ、そして高回転になればより元気が増す元気の良さがさすがだ。ハンドリングはシャープで、水上のミズスマシのように峠道を気分よく駆け抜けることも朝飯前だ。

クーペやカブリオレなど多彩なラインアップを用意

メルセデス・AMG C 43 4MATIC カブリオレ

 今回の試乗は、ボディタイプとしてはセダンやワゴンだけだったが、Cクラスにはクーペやカブリオレも用意されている。バリエーションを改めて数えてみたら合計23もあり、パワートレインだけでなくボディが豊富に選べるのもCクラスの特徴なのだと改めて実感した。

 見た目はあまり変わらないけれど、中身は大幅に進化した新しいCクラス。これは自信をもってオススメできる1台である。「後期モデルになって完成度が高まってからが買うべきタイミング」という輸入車によく言われる言葉は、今回のCクラスにも当てはまるようだ。今回の改良によるクルマとしての進化はかなり大きい、ときっぱり断言できる。


メルセデス・ベンツ C 200 アバンギャルド・セダン(9速AT)


全長×全幅×全高 4690×1810×1425mm
ホイールベース 2840mm
エンジン 直4DOHCターボ+モーター
総排気量 1497cc
最高出力 184ps/5800-6100rpm
最大トルク 28.6kgm/3000-4000rpm
ブレーキ前・後 Vディスク・ディスク
タイヤ前・後 225/45R18・245/40R18

販売価格 449万円〜1483万円(全グレード)





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