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更新日:2019.08.22 / 掲載日:2018.10.29

試乗レポート・アルピーヌ A110】 注目のライトウェイトスポーツに乗った!

文と写真●ユニット・コンパス

 1955年に設立されたスポーツカーメーカーであるアルピーヌ。70年代には代表モデルのA110がラリー世界選手権で優勝するなど活躍。また、ルノー傘下に入ったあともル・マン24時間レースで優勝するなど輝かしいヒストリーを持っているが、惜しまれつつも1955年にその活動を休止していた。

 そのアルピーヌブランドが2016年に復活! その記念すべき第一号車となったのが新型A110。ネーミングもそうだが、往年のA110を彷彿とさせるそのスタイリングとコンセプトは、世界中に大きな反響をもたらした。インパクトは日本でも同様で、昨年登場した限定車プルミエール・エディション(日本では限定50台)も、790万円という価格にも関わらず、1000人以上が抽選に応募したという。

デザイン、生産、そのすべてがフランス!

 新型A110は、ただひたすらに「ドライビングプレジャー/運転する歓び」を追求するという、明快なコンセプトのうえ成り立っている。このコンセプトを具現化するために、コンパクトで軽量なアルミ製プラットフォーム&ボディ、ミッドシップ・エンジンレイアウト、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションが採用され、さらにボディは軽量なだけでなく、優れたエアロダイナミクスを実現するために、フラットアンダーボディとディフューザーが装着されるというこだわりようだ。ちなみに空気抵抗係数は0.32! また、エンジンは1.7L直4DOHCターボ(252馬力/6000rpm・32.6kgm/2000rpm)、トランスミッションにはゲトラグ製ツインクラッチの7速DCTが組み合わされる。これらすべての設計・開発はフランスのギヤンクールにあるグループ・ルノーのテクノセンターと、レズリスにあるルノー・スポールのエンジニアリングセンターで行われた。

適度な空間と、圧倒的な軽さ!

 今回試乗したのは、カタログモデルである「ピュア」(ほかに装備が充実した「リネージ」がある)。車両重量1110kgを実現した、紛れもない現代のライトウェイトスポーツカーだ。試乗コースは、富士スピードウェイのショートサーキットと一般道。室内に乗り込んでまず感じたのは(身長183センチ)、空間パッケージが絶妙なこと。「窮屈ではなく、無用に広くもない」というこの感覚。筆者がステアリングを握った過去のクルマを引き合いに出すと、空冷911のそれであった。言葉にすると曖昧な表現になってしまうが、この「居心地のいい適度な空間」は、とくにスポーツカーを欲するときには重要だろう。
 そして、走り出してすぐに感じるのが、軽さ。まさか駐車場を出てすぐの状況で、ここまで軽さを感じるとは思わなかった。そして、乗り心地のよさ。装着されていたのはA110専用に開発されたという「ミシュランパイロットスポーツ4」は、あたりがソフトな上、速度を上げると粘りながらグリップするような感触で具合がいい。撮影の関係で時間がタイトだったため、一般道の枠では富士スピードウェイの敷地内をぐるっと数週しただけだったが、低速からトルクの出るエンジンと、それをダイレクトに繋げるツインクラッチ、そして軽量ボディが相まった独自のドライブフィールは、間違いなく日本の法定速度内でもワクワクを感じられるクルマだと実感。

 いよいよ試乗はショートサーキットへ。ここではステアリングを握って2週、アルピーヌのテストドライバーであるデビット・プラッシュ氏の助手席で数週、というメニューで行われた。一般道では法定速度厳守。ここではアクセル全開!といきたいところだが、本当に全開にできるのは腕のあるドライバーのみで、筆者はタイヤがスキール音が出る程度だったが、かなりの速さを体感できた。A110はステアリングにあるボタンで走行モードをノーマル、スポーツ、トラックの3つから選択でき、このモード切り替えに応じてスロットルレスポンス、ステアリングアシスト、ギヤシフトスピード、ESCの設定が変えられる。

 デビット・プラッシュ氏の助手席では、次元の違うパフォーマンスを体感。ショートサーキットのほとんどのコーナーをドリフト状態でクリアしていく。しかし、まったく不安の伴わないドリフト……これにはラジエターの角度まで計算に入れて煮詰めたという前44:後56の前後重量配分。また、タイヤの接地面をフラットに保てるダブルウィッシュボーンサスペンションなどが寄与している。余談だが、あれだけタイヤを鳴らしっぱなしで走行していたにも関わらず、予備タイヤへの交換が必要ないほど、タイヤのダメージは最小限だったそう。これもライトウェイトと重量バランスの賜物だろう。

 紛れもなく中低速でも楽しむことができる新型A110。今回はシチュエーションが限られたが、次回チャンスがあったら、ぜひ山道、高速、市街地などでも試してみたい。

アルピーヌ A110 ピュア(7速AT・7DCT)


全長×全幅×全高 4205×1800×1250mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前・後 1555mm/1550mm車両重量 1110kg
エンジン 直4DOHCターボ
総排気量 1798cc
最高出力 252ps/6000rpm
最大トルク 32.6kgm/2000rpm
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前・後 205/40R18・235/40R18

販売価格 790万円から841万円(全グレード)

テストドライバーのデビット・プラッシュ氏(左)と、メカニック・エンジニアのリオネル・クルトゥーズ氏。

  • センターのマルチメディアシステムにはアルピーヌテレメトリーが備わっていてエンジン出力/トルク、過給圧、クラッチ/トランスミッションオイル温度などの走行データを表示。7速DCTはパドルでも変速が可能。

  • ほぼすべての体型に合うように設計されたというSabelt製軽量モノコックバケットシート(レザー/マイクロファイバー)。「リネージ」はリフター機能付のスポーツシート(ブラウンレザー)となる。

  • 96Lの容量を持つリヤラゲッジルームに加え(写真)、フロントにも100Lの容量を持つラゲッジルームが備わる。

  • タイヤは205/40R18(前)235/40R18(後)、ミシュランと開発したパイロットスポーツ4を装着。ブレーキもブレンボと共同開発したキャリパーで「ピュア」にはFuchs製の鍛造ホイールが備わる。

ブラックのアロイホールやシートヒーター、レザーステアリングなどを装備した、ラグジュアリーな「リネージ」。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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