輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2018.09.09

ポルシェ マカン/気になる中古車【試乗判定】

2015年モデル ポルシェ マカン

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2018年10月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2018-2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

ポルシェらしさが凝縮されたコンパクトSUV

憧れだったポルシェから登場した身近なSUV

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、スポーツカーメーカーであるポルシェが手がけたミドルサイズSUV、マカンの登場です。お借りした車両は2015年モデルのベースグレード、走行距離は約7万kmとなっています。
九島●いま本当にSUVが乗用車の主役になっていると感じるよ。ブームだと言われて久しいけど、いまだに毎月のようにニューモデルが登場しているし、実際に売れてる。
竹岡●私もSUV(MINIクロスオーバー)に乗っているけど、たまに立体駐車場で断られることがある以外は便利でいいよ。
編集部●そんな人気ジャンルのなかでも注目度の高い人気モデルということで、今月はポルシェ マカンをお借りしました。
竹岡●なるほどね。ポルシェって、なんか賢そうでカッコイイし、だれもが高い車だと知ってる「ジョーカー」みたいなブランドじゃない。そのなかでもマカンはいま流行のSUVで、幅はあるけど使いやすいサイズ。ホント、だれにでもオススメできちゃうクルマ。友達に「このひとマカン乗ってるんだって」と紹介されたらいい印象しかないじゃん(笑)。男の価値をグッと上げてくれるアイテムとしては、いま最強でしょ。
九島●そろそろ結婚を考えてるメンズに、そういう意味でもいい選択肢。これまで、ポルシェというブランドに対してポジティブな印象を持ちつつも、自分が買うことはないだろうなって思っていた多くのひとたちに、「これは自分のクルマかも!」って思わせるのがマカンなんだよ。
編集部●私、早くもマカンがほしくなってきてしまいました(笑)。冗談はさておき、マカンは2013年11月に、東京モーターショーとLAショーでの同時プレミアという形で登場しました。名前はインドネシア語の「虎」に由来しているそうです。兄貴分にあたるカイエンを小型化したデザインで、エンジンは2L直4ターボ(ベースグレード)、3LV6ツインターボ(S、GTS)、そして3.6LV6ツインターボ(ターボ)の3種。全モデルが四輪駆動です。
九島●マカンはこれまでいろいろと乗らせてもらってるけど、エンジンによって走りのキャラクターがけっこう変わってくるんだ。
竹岡●そうなんだよねぇ。そこがなかなか悩ましい……。
編集部●新しいニュースとしては、7月の上海モーターショーでマイナーチェンジが発表されました。
竹岡●何が変わったの?
編集部●本国のリリース内容によると、デザインの細部が見直され、ヘッドライトがLEDを採用した新タイプに。運転支援技術が進化。インテリアも改良が施され、液晶モニターも新しくなっているとのことです。
九島●写真を見たけど、ファンじゃなければあまりわからないような変更だったね。それだけ、元のデザインが世界中で評判がよかったということでしょ。
竹岡●ということは、いま流通しているマカンの価値にはそれほど影響しないかもしれないね。
編集部●それでは、そろそろ試乗の方をよろしくお願いします。

竹岡「ブランド力の高いポルシェのなかでも最強のモテ車(笑)」
九島「隠れスポーツカー。シャシーのポテンシャルはかなり高い」

DETAIL CHECK

走りの魅力が上位グレードほど高まるところもポルシェ流

編集部●お二人が試乗から戻って来ました。感想はいかがですか?
九島●年式からしたらけっこう走っている個体だったんだけど、しっかりしたもんだね。ヤレ感みたいなのはまったくなかった。
竹岡●そうね。今日乗らせてもらったベーシックグレードのエンジンが2L直4ターボで、「S」と「GTS」が3LV6ツインターボなんだけど、乗り味は2Lターボとはけっこう違うのよ。だからポルシェらしい走りを楽しみたいのだとしたら、個人的には「S」以上がオススメ。
九島●それは同意。ベーシックグレードでもいいクルマであることは間違いないんだけど。
竹岡●難しいのが、「S」か「GTS」か問題。「S」にオプションを盛り込んでいくと結局「GTS」と変わらない金額になっちゃう。だから20インチホイールがいいなら「GTS」、そうじゃないなら「S」というのが竹岡圭的オススメです(笑)。
九島●この前、ポルシェジャパンの七五三木社長をインタビューする機会があったんだけど、そのときにマカンターボをさらにパワフルにした「ターボ パフォーマンス」を試乗してほしいって勧められたんだよ。乗ってみたらこれが別物みたいにスポーティで、すごくおもしろかった。マカンに対する印象が変わった。
編集部●そんな辛口モデルが作れるということは、マカンが持つポテンシャルが高いということですね。
竹岡●そういうこと。同ジャンルのライバルと乗り比べれば、マカンのしっかりした感じがよくわかるよ。
九島●婚活中のメンズだけじゃなく、女性やジェントルマンにも、もちろんオススメです(笑)。

SUVテイストとポルシェらしさを融合させた室内空間

 918スパイダーのデザインをベースにしたステアリングホイールがスポーティなイメージを盛り上げる。また、立体感のあるレイアウトが施されたセンターコンソールにはスイッチを機能的に配置。これは、カレラGTからインスパイアされたデザイン。随所にポルシェらしさを滲ませる。

スポーツカーのように走れSUVのようにくつろげる

 SUVならではの高めのアイポイントと広い視界を提供するインテリア。2805mmのホイールベースによって後席足元にもゆとりがあるのが嬉しい。取材車両はブラック内装だが、カラーバリエーションも豊富。上級モデルになるとウッドやカーボン、アルミニウムなど多彩な素材が室内を飾る。

容量がしっかりと確保され使い勝手にも優れたラゲッジ

 スポーツカー的なイメージと裏腹に、ユーティリティがしっかりとしているマカン。ラゲッジルームの容量は標準状態で500Lで、後席をフラットに倒した状態では1500Lにもなる。また、後席は4対2対4と細かく分割されているのでアレンジメントも豊富。

全モデルがパワフルなターボで最強モデルは400馬力を発揮

 取材したベーシックモデルは2L直4ターボ(237馬力、2016年モデル以降は252馬力)。3LV6ツインターボを搭載する「S」(340馬力)、「GTS」(360馬力)、3.6LV6ツインターボの「ターボ」(400馬力)をラインアップ。全車トランスミッションは7速ATで、フルタイム4WDを採用。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。

竹岡 圭

  • 【10点】まずポルシェってどこに出ても堂々としていられる、トランプのジョーカーのようなオールマイティ性の高いブランド力があります。そのなかの4枚ドアのポルシェとして、時代の流れも合わせて抜群の立ち位置。しかも最近、兄貴分のカイエンがより大きくなっちゃったこともあり、さらにその存在価値が増しました。老若男女問わず誰でも似合います。

  • 【9点】ポルシェってね、ほとんどの装備がオプション設定なんですよ。しかもじつに細かい。なので新車を購入する場合は、自分だけの1台を作れるというメリットもありますが、中古車の場合は逆に欲しい装備がついていないこともあるわけで……。インテリアカラーも、ステッチに至るまで細かく選べる設定なので、仕様をよく確認してくださいね。

  • 【10点】ベースグレードとなるマカンは優等生。SとGTSはわかりやすくスポーティ。ターボはスポーツエレガントという感じの位置づけになるので、ポルシェのSUVとしては、ややオーソドックスではありますが、同クラスのライバルと比べれば、一歩抜きんでた正確性があるのは間違いナシ。文句ナシのドイツ車らしい心地よい走りが楽しめます。

  • マカンの魅力について、「友達の彼氏が最近マカンを買ったって聞いたら、そのひといいね!ってなるじゃない(笑)」と非常にわかりやすく解説してくれました。

九島辰也

  • 【10点】あらゆる商品がスポーツカー、それがポルシェというブランドが手がけるクルマだ。というわけで、世界的に流行しているコンパクトSUVに投入されたマカンも、単なる流行商品に終わっていない。室内のデザインには、918スパイダーやカレラGTといった記念碑的モデルからの引用を見つけることもできる。そんな特別感に対してマーケットも好意的だ。

  • 【9点】スポーツカーでありながら、快適性や安全性を犠牲にしないというのは、いまのポルシェにとっては当たり前の話。このマカンにおいても十分な装備が用意されている。ただし、グレードやオプションによって装備内容が大幅に異なるということは、ポルシェを買う際に忘れてはいけないところ。現車をしっかりと確認し、必要な装備があるか確かめたい。

  • 【10点】911がスポーツカーとスーパースポーツの間に、独自のカテゴリーを創出したように、マカンも他のコンパクトSUVとは一線を画す正確でスポーティネスにあふれる走りを披露する。ただ、厳しいことを言うと、ベースグレードについては、そこまでではないのも事実。「ターボ」をさらに磨き上げた「ターボ パフォーマンス」には惚れ惚れした。

  • 911を現在も愛車に持つ九島さんから見ても、マカンにはポルシェらしさがしっかりと感じられるとのコメント。予算が許せば上級モデルがオススメだそうです。

グーワールド 編集部

  • 【10点】だれが見てもポルシェだとわかるスタイル、スイッチが多数並ぶ特徴的なインテリア、スポーツカーのような走りのポテンシャルを備えながら、SUVとしての利便性や悪路走破性を備え、なおかつ日本でも使いやすいボディサイズ。マカンはまさに「ミスター・パーフェクト」。中古車市場でもすぐに売れてしまうため、物件が少ない状況です。

  • 【10点】基本的な快適装備や安全装備は充実。いわゆる自動ブレーキの用意はないものの、ACCの装着車には、前走車との距離を検知しドライバーに警報を送り、ブレーキ圧を高める「PAS」が同時装着されます。また、オプションによる装備差も大きいクルマだけに、中古車を購入する際にはどのような装備が備わっているのかリサーチが必要。

  • 【10点】カタログで主張する悪路走破性が想像できないほど、オンロードでの走行性能が高いクルマです。とくに正確なハンドリングとフットワークのよさは印象的。スポーツ性を強調するクルマだけに乗り心地が心配だというひともいるかもしれませんが、20インチなどの大径ホイールやスポーツサス装着車でなければそれほど心配はいりません。

  • 今回のロケで都内を走らせていただき、改めて手ごろなボディサイズから来る軽快感、後席がしっかり使える使い勝手を実感。ファミリーカーとしても魅力。

ポルシェ マカンのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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