車種別・最新情報[2018.08.27 UP]

最新トヨタの実力は如何に?新型クラウン公道試乗&詳報

TNGA技術が注がれた次世代モデルを矢継ぎ早に導入しているトヨタ。この夏も最新技術で生まれ変わったクラウンとカローラ、センチュリーの新型が投入される。この3台の進化ぶり、じっくりと確認してみたい。
●文:川島 茂夫、山本シンヤ ●写真:奥隅 圭之、澤田和久

関連情報

ボディタイプ:セダン 国産車 新車
TOYOTA 新型クラウン

●発売日:2018年6月26日
●価格帯:460万6200円〜718万7400円
●販売店:トヨタ店、東京トヨペット店

2.5L HYBRID
2.5ハイブリッドはカムリと同じ2.5L直4DOHC+モーターを搭載。184PS/22.5kg・m(エンジン)+105kW/300Nm(モーター)と余力十分のパワースペックを発揮する。

ハイブリッドを意識させない、メリハリの利いた走り
エンジンの変更もあってエンジン稼働時の回転制御やエンジンフィールが内燃機車的になっていたり、踏み込みの加速反応の向上で走りのキレが向上。ただし、純電動走行の上限速度など基本制御はこれまでのTHS IIと大きくは変わらない。先代からの乗り換えや新型の魅力も含めて、クラウンの標準車らしい走行感覚だ。(川島)

乗り心地も操縦性も従来のクラウンとは完全に別物

プレミアムを意識した穏やかな味付けに好印象
川島茂夫

クルマに求められるプレミアムという価値感の中には「スポーティ」や「高性能」も含まれる。そう思えば新型はゼロ・クラウン的でもある。「ゼロ」以後は古典的高級車観との間の迷いも感じられた。シャシー開発の停滞もあったのだが、表面的なファントゥドライブと快適のバランス取りでまとめた印象も強い。
だが、新型にはそういった迷いは感じられなかった。進化過程の感はあるが進化の方向性は明快だ。良質な乗り味と安心感である。
うねりやロール戻りでバネが弾むようなストローク感はあるものの、4輪の接地バランスに変動を抑えたサス制御は乗り心地も操縦性にも落ち着きをもたらす。
ゆったり走らせている時も、気合いを入れたスポーティドライビングでも操縦性に大きな変化はなく、どこでも速度制御を主体としたセオリーどおりの運転で済んでしまう。高速やワインディング路での据わりのよさと穏やかさは、クラウンの、というよりトヨタ車のシャシー開発の新時代を予感させるものだ。
切れ味や軽快といった操る手応えを高めるための演出がないので、趣味的なファントゥドライブを求めるドライバーには物足りないかもしれない。ただ、それは特別な嗜好と考えるべきで、新型クラウンのフットワークは、良質な高性能を求めた結果と言える。
一方、3タイプあるパワートレーンは、いずれもエンジンフィールや制御に古典的な雰囲気を加味していることが特徴。弾けるような排気音や回転上昇を伴う伸びやかな加速感をペダルで操る手応えだ。以前、タイトコーナーと登降坂が連続したコースで試乗した際は、高性能の演出が煩わしくも思えたが、浅く穏やかなアクセルコントロールが主体となる公道試乗では、穏やかな力強さが前面に出てきて、高性能感は控え目に感じる。スポーツSモードを選択しても、無駄に高回転を使用することもなく、プラス500?1000回転くらいの伸びやかさ。山岳路など加減速が激しい状況でのスムーズさを高める制御とも言える。
パワートレーンの中で最も高性能感が強いのは、3.5(V6)ハイブリッド。全開加速のキレは国産スポーツモデルでもトップレベル。車種構成ではマジェスタの後継となるが、公道で乗ってもアスリート後継の感が強い。走りを求めるならばピカイチだ。
2.5(直4)ハイブリッドは先代よりもエンジンフィールが元気になったが、回転数制御にメリハリが出て、常用回転域が下がっているため、ゆったり走らせていると余力感があり、省燃費と車格感が上手く両立されている。クラウンの基準モデルにして、トヨタの看板モデルらしい味付けだ。
掘り出し物と言っては言葉が悪いが、新型のキャラによく似合っているのが2Lターボ車。ハイブリッド2車に比べると余力や燃費で劣るが、程よく存在感のあるエンジンフィールや、リズミカルな変速感が品のよいスポーティセダン感覚を生み出している。

2L 直噴TURBO
先代後期に導入された2L直噴ターボを引き続き採用。改良により245PS/35.7kg・mと最高馬力が10PSほど向上したほか、ターボラグの影響がさらに少なくなり、中速域からの加速感も高まった印象。

スポーティさ最優先ならばターボ車は最適解
ハイブリッド車の様な先進感はないが、ダウンサイジング型ターボと8速ATの組み合わせがもたらすリズミカルなドライブフィールは魅力的。巡航ギヤの維持能力も高く、ハイブリッド車に比べるとエンジン回転数が落ち着いているので余力感もある。マニュアル変速も心地よく、スポーティな走りを求めるには狙い目だ。(川島)

走りの進化ぶりは少し走れば誰でも分かるはず

ハイブリッドの走りは劇的な向上を遂げた
山本シンヤ

先代から大幅に変わったメカニズムは、新型クラウンのハイライトのひとつ。まさに全面刷新という言葉がぴったりなほど変貌を遂げている。その刷新の中核を担う基本骨格には、レクサスLS/LCに採用されたGA‐Lプラットフォームを、全幅1800mmに収めるため再設計した、通称「GA-Lナロー」が採用された。走りのセッティングも、コンベンショナルなダンパーの標準車と、AVSを用いるRS車の2種類を設定し、キャラを分けている。パワートレーンは先代と同様に3タイプ設定。縦置き2.5+モーター、2直噴ターボ、V6の3.5マルチステージハイブリッドを用意している。
新型は「クラウンを一つにする」をテーマに、標準車であっても乗り心地と走りで先代のアスリートを超えるレベルに引き上げられている。その違いは走り始めて一つ目のコーナーを曲がる程度でも、明らかに分かるレベルだ。余分な振動は抑えながらダイレクトさがある心地よいダルさを残したステアリングフィールや、操作に対するクルマの応答性の高さや正確性、リヤの接地性の高さなど、トヨタが新型クラウンのライバルとみなす、欧州勢と同じ匂いを感じることができる。
標準車は軽めのパワステやロールを活かした穏やかな動きで、しなやかな足さばきとストローク感の高いやさしい乗り味だが、ゆったりと動く横方向に対して縦方向は硬さが残るなど、走りに関してやや迷いがあるように感じた。対して、RS車はよりダイレクト感が高く精緻なステアリングとロールと余分な動きを抑えたセットで、操作に対するクルマの動きがより正確になっており、ボディが一回り小さくなったようなキビキビとした走り。快適性は標準車より硬めだが、より迷いがなくスッキリしている。実際にディーラーなどで試乗してみると、こちらの方が好みというユーザーも多いことだろう。
パワートレーンは2.5ハイブリッドは、先代と同排気量ながら力強さが全然違う。THS II車に特有のラバーバンドフィールも巧みに抑えられ、日常走行でハイブリッドを意識することもない。
2直噴ターボは、制御と排気レイアウト変更によりターボラグを抑えたピックアップの良さと、高回転までストレスなく回るような特性が与えられた。
そしてV6の3.5ハイブリッドは、レクサスLSよりも300kgほど軽量なボディも相まって、圧巻の動力性能はもちろん、モーター走行の粘り強さやエンジン始動時のマナーの良さなどは、LSよりも明らかに優れる。
このように新型クラウンは欧州車とガチンコで比べることができるポテンシャルを持つが、それだけではなく日本のユーザーを第一に考えた、一つ一つの造り込みや仕立ての良さといった「おもてなし」が随所に感じられた。つまり、ハードが大きく変わってもソフトの部分には、歴代クラウンに受け継がれた、伝統の「味」がシッカリと残されていると感じた。

3.5L HYBRID
レクサスLSにも採用されている3.5L V6マルチステージハイブリッドは、299PS/36.3kg・m(エンジン)+132kW/300Nm(モーター)を発揮。ダイレクト感溢れる加速フィールはお見事だ。

まさに威風堂々。圧巻の走りのゆとり感
動力分割機構を用いたハイブリッドだが、機械式変速機構も備えるため、高性能なパラレル式ハイブリッドのようなパワーフィールを楽しめる。加速の伸びもあり、スポーツドライビングにも適していることが特徴。穏やか走行を望むとエンジンの存在感が強すぎるが、高性能プレミアムセダンらしさを満喫できる。(川島)

主要諸元(2.5ハイブリッド G)

ホイールベースは2920mmと、先代に比べて70mmほど拡大。サイドからリヤにかけての6ライトデザインやロングノーズ&ショートデッキパッケージの採用により、スポーティな雰囲気が大きく高まっている。またロングホイールベース化は、操安面でも有利という副産物もある。
●全長×全幅×全高(mm):4910×1800×1455 ●車両重量(kg):1750 ●エンジン:2.5直4DOHC(184PS/22.5kg・m) ●モーター:交流同期電動機(105kW/300N・m) ●WLTCモード総合燃費:20.0km/ ●燃料タンク容量(L):66[レギュラー] ●最小回転半径(m):5.3

エクステリア

カジュアルとプレミアムを融合させ 伝統スタイリングからの脱却を狙う
 歴代クラウンからの脱却を狙って、若々しいデザインを採用。前傾を深くし下端をリヤエンド近くまで伸ばしたリヤピラーや6ライトデザインの採用など、これまでのクラウンのイメージとは違ったアプローチが際立っている。6ライトの恩恵は見た目のイメージチェンジのみに留まらず、キャビン空間の快適性も高まっている。またショートオーバーハングデザインの採用により、スポーティさを上手に表現していることも見逃せない特徴だ。

中級グレード以上には3連タイプのLEDヘッドライトが標準装備。ライトユニット上部にはデイライト機能を兼ねるLEDクリアランスライトが配置される。

ロー&ワイドを表現するフロントマスクは、先代までのアスリート系とロイヤル系のデザインテーマを巧みに融合しデザインされたもの。グリル中央には伝統のエンブレムが健在。

アルミホイールはグレード別に4タイプが設定される。撮影車両の2.5ハイブリッドGには、切削光輝+ダークメタリック塗装の17インチがインストールされる。

リヤピラー下にクォーターウインドウを配置する6ライトスタイルの採用により、未来感溢れる若々しいスタイリングを手に入れた。細いリヤピラーも新型の特徴の一つ。

サイドから繋がるプレスラインをリヤコンビライトからバンパー中央部に流し落とす、一体感のあるシルエットが印象的。凹凸を巧みに主張する洗練されたデザインだ。

インテリア

先進感と上質感を巧みに注ぎ、イメージ一新
 ツインモニターは先代でも採用されていたが、新型はタッチパネルとなる下方モニターを大型化。操作画面呼び出し式の多重操作系の採用は、新車載IT「コネクティッドカー」とともに新世代感を演出している。インパネは圧迫感を減らし、素材感を高めたトリムや表面処理を施している。外観と同様にカジュアルとプレミアムを合わせた雰囲気作りが印象的だ。リッド類の可動部はダンパー式となり、動きや操作感からも上質が演出されている。

フロントシートの座面の高さは先代とほぼ同等。クッションは硬めで、身体をしっかりと支えてくれる。

リヤガラスの傾斜は相応にあるが、頭がぶつかることはない。

大きいウインドウエリアや張り出しが無いダッシュボード、スイッチ類の優れた操作性など、運転しやすさも考慮。また、手を触れる部分の素材感やつくり込みの良さも特徴の一つ。

ハイブリッド車のシフトレバーもストレートタイプを採用。Dギヤで右にレバーを傾ければ、マニュアル操作も可能だ。

メーター中央部には大型TFT液晶が配置。燃費情報やナビ指示、エネルギーモニターなどの情報をグラフィカルに表示する。

トランク開口部は若干狭くなったが、平均的なゴルフバッグなら4個を積めるなど、広さも奥行きも十分に確保されている。

リヤシートの中央席のシートバックにはセンターアームレストが配置。G系グレードはシートリクライニング操作パネルも備わっている。

上下にモニターを配するツインモニターが標準装備。下モニターはタッチパネル式で操作インターフェイスの役割も併せ持つ。

オススメグレードは?

新型クラウン主要諸元&装備

注目装備&メカニズム

トヨタセーフティセンス

最新の先進安全機能が全グレードに標準装備
 トヨタが進める安全&運転支援機能、トヨタセーフティセンスは、新型クラウンには第二世代と呼ばれる最新仕様が標準搭載される。機能的な進化も大きく進んでおり、性能は先代から大きく向上。プリクラッシュセーフティやレーンキープアシストの性能向上に加えて、道路標識認識機能やレーントレーシングアシストなど、ドライバーの疲労を軽減する、強力な運転支援機能も加わり、より実践的な機能に進化を遂げている。

先行車を追従するレーダークルーズコントロールは、全車速追従型に進化し、渋滞時には完全停止まで対応可能になった。自動車専用道路では、強力な運転支援機能のレーントレーシングアシストも使用可能だ。

前方の障害物検知は、ミリ波レーダー+単眼カメラを用いるが、最新仕様は夜間歩行者検知機能や自転車検知機能も備わり、衝突回避性能が向上している。

パワートレーン
3.5ハイブリッドに搭載されるマルチステージTHS IIは、動力分割機構の下流に4速変速機構を設置することで、動力性能の向上を狙う最新システム。

ハイブリッドモデルには最新ユニットを搭載
 2Lターボのパワートレーンは、先代アスリート系に採用されていたユニットの改良型を採用するが、2タイプ用意されるハイブリッドはいずれもクラウンでは新導入となる。3.5ハイブリッドはマルチステージTHS IIと呼ばれ、基本的にはレクサスLS/LCと共通。2.5ハイブリッドは、カムリに搭載されているパワートレーンの縦置FR仕様が搭載されている。

シャシー&足回り
先代のシャシーはゼロクラウンベースだが、新型は最新GA-Lプラットフォームをクラウン用に最適化したシャシーを採用。低重心化や大幅な捻れ剛性の向上により、基本性能が大幅に高まっている。

TNGA技術が投入された次世代プラットフォームを採用
 プラットフォームは、設計や部品の共用化によるコスパ向上を図るTNGA技術を用いて開発。アルミダイキャスト製フロントサスタワーなど、車体の高剛性軽量化を図るとともに、サスも新開発マルチリンク式を採用した。ダンパーはピストンの摺動抵抗を微小ストローク域の減衰力に用いる標準型と、RS系にはリニアソレノイドにより幅広い減衰力制御により操安性と乗り心地の両立を図ったAVSを用意。AVS車は制御特性の異なる3モード選択が可能だ。

RS系のダンパーは、シリンダー3層構造の専用品を採用。圧を巧みにコントロールする構造により、伸/圧両方向に優れた減衰力を発揮する。

前後のマルチリンクサスは、フロントはレクサスLS用。

リヤはレクサスGS用をベースに最適化が図られた専用設計品。

コネクティッド機能
MyTOYOTA for T-Connectアプリを用いれば、スマホなどから愛車の状況をリアルタイムで確認でき、セキュリティロックも行うことができる。

T-Connectサービスが3年無料で提供される
 新型クラウンには、T-Connectナビと車載通信機DCMが標準装備となるほか、T-Connectサービスも3年間無料で提供される。精度の高いルート案内を実現するハイブリッドナビ機能や、有人オペレーターサービス、セキュリティ機能など、トヨタが進めるコネクティッドサービスをフル活用することができる。車車間/路車間通信機能も備えるなど、近未来のITSサービスが先取りされていることも見所だ。

LINEを利用することで、自車を「友だち」として登録することが可能。ナビ設定や状況確認ができる機能はなかなかユニークだ。

提供元:月刊自家用車

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