輸入車
更新日:2021.03.04 / 掲載日:2018.08.02

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント/気になる中古車【試乗判定】

2014年モデル フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント TSIコンフォートラインブルーモーションテクノロジー

文●竹岡圭、九島辰也、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2018年9月号の内容です)
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。


一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?

Member Profile

  • 自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
    人気TV番組「おぎやはぎの愛車遍歴」の進行役としてもお馴染みの、人気自動車ジャーナリスト。2018-2019 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  • 自動車ジャーナリスト【九島辰也】
    長年にわたり男性ファッション誌や一般誌などでも活躍し続ける自動車ジャーナリスト。その知見は広く、プライベートでも各国のクルマを乗り継ぐ。

誰が乗っても満足できる輸入車界の鉄板商品

ゴルフの積載性を高めたバリエーションモデル

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は、輸入ワゴンの定番銘柄、フォルクスワーゲンのゴルフ ヴァリアントが登場です。お借りした車両は2014年モデルで、グレードは「TSIコンフォートラインブルーモーションテクノロジー」、走行距離は約5万7000kmとなっています。
九島●ゴルフってほんとにいいクルマだよ。フォルクスワーゲンにとって絶対に手の抜けないクルマだし。だから、「これでもうちょっと荷物が積めたら最高なのに」っていうニーズが生まれたのは当然で、ゴルフのワゴン版も古くから人気がある。
竹岡●そう。だから逆に私はゴルフを買ったら「アガり」な気がして避けてたのね。だけど、ゴルフGTIカップっていうレースに参戦するのに、普段から乗っていたら練習になるかもってゴルフVのGTIを買ってみたのよ。そうしたら走りがよくて、人も荷物も載るし、引越しのときなんて箪笥が積めたの。「こんないいクルマないぞ!」って。それでゴルフ大好きになりました(笑)。
九島●王道でみんなが褒めるものを避けるっていうのは僕と似てる(笑)。でもたしかに、ゴルフは一度乗ってしまったら、抜けられなくなるかもしれないね。
編集部●昔からゴルフは小型乗用車の規範と言われていますが、非常にレベルの高いクルマですよね。
九島●そうだよ。我々ジャーナリストが時に国産車に厳しい意見を言うのはそういうことなんだよね。最近はトヨタ車なんか頑張ってるけどね。
竹岡●逆に国産車が得意にしてきた品質とか信頼性を、輸入車が身につけてきた。私が乗っているシロッコRは走行距離9万km超だけど、一度DSGの変速が怪しくなったときにプログラムを書き換えたくらいでノートラブル。乾式クラッチを採用した初期の7速DSGには一部問題があったみたいだけど。
編集部●そんなゴルフですが、ワゴンボディが追加されたのは3代目からで、かつて日本ではゴルフ ワゴンの名称で販売されていましたが、5代目からは本国と同様にヴァリアントと呼ばれるようになりました。
竹岡●今回試乗させていただけるのは現行モデルだから「VII」だよね。
編集部●そうです。ゴルフVIIのハッチバックが日本で登場したのが2013年4月で、ヴァリアントは少し遅れて同年12月に導入されました。グレードは、時代によって名称が異なるものの、1.2Lターボの「コンフォートライン」(105馬力)、上級仕様で1.4Lターボの「ハイライン」(140馬力)、そしてスポーティな装いを与えられた1.4Lターボ「Rライン」(140馬力)という3モデルで構成されています。
九島●ハッチバックにはさらにベーシックな「トレンドライン」があるけど、ヴァリアントはちょっと上級的な扱いなんだね。つまり、今日試乗するのは、現行モデル初期型のベーシックグレードだ。
竹岡●なるほど。マイナーチェンジで顔が変わったのは2017年の夏だよね。
編集部●はい。デジタルメーターの採用も話題になりました。それでは、試乗の方をよろしくお願いします。

竹岡「輸入車らしい個性がある一方爽やかな印象で嫌味がない」
九島「世界が規範にするだけあって完成度の高さは文句なし」

DETAIL CHECK

すべての性能が高次元でバランス、中古車も豊富で買いやすい

編集部●お二人が試乗から戻って来ました。感想はいかがですか?
九島●あいかわらずゴルフはいいクルマだよ。昔はワゴンだとボディが重く感じたり、テールゲートのところが弱く感じたりしたものだけど、いまのクルマはそんなこともないし。
竹岡●なんかブルブルっていう微振動が気にならなかった? 新車に試乗したときは感じなかったから、おそらくタイヤのせいで、交換すれば直ると思う。それくらい。
編集部●ダウンサイジングされた1.2Lターボということで、パワー不足を気にする方も多いと思います。
九島●今日の試乗では3人乗車に撮影機材も積んでいたけど、まったく力不足を感じることはなかったよ。キャンプとか、アウトドアにもベストチョイスでしょ。
竹岡●燃費も性能も使い勝手もいい。まさに文句なしのクルマ。世間体的にもイメージもいいしね(笑)。個人的にはスタイルがちょっと地味だから、個性を出したいならオールトラックなんてオススメなんだけど、中古車だと物件数が少ないのかな。
編集部●そうですね。ちなみに、第7世代のゴルフ ヴァリアントは、中古車市場では人気があるため価格は140万円から300万円と、高値安定傾向にあります。物件数はヴァリアント全体の半数近くとかなり多く、年式も新しいので、選べる自由度は高く買いやすいクルマです。
九島●上級仕様のハイラインよりもベーシックなコンフォートラインの方が中古車物件が多いっていうのが堅実派が多いVWらしい話だよね。
竹岡●VWってお米みたいな存在だから。毎日食べて飽きない、しかも美味しいブランド米(笑)。

第7世代ゴルフの特徴は事故を未然に防ぐ技術の導入

 オーソドックスで使いやすいインテリア。全車に全車速での追突を回避・軽減する「フロント・アシスト・プラス」を装備。ハイラインにはさらに、ACCやレーンキープアシストも備わる。2017年の改良で「フロント・アシスト・プラス」が歩行者対応になるなど、さらに安全性も強化されている。

普段は目に見えないものの高い安全性で家族を守る

 フォルクスワーゲンらしく、硬めだがしっかりと身体をホールドしてくれるシート。事故の危険を車両が検知すると、自動でシートベルトを巻き上げ、ウインドウを閉じる「プロアクティブ・オキュパント・プロテクション」や9つものエアバッグを全車に標準で装備する。

最大で1620Lの容量を誇る、使いやすいラゲッジルーム

 後席にひとが乗れる通常時で605L、後席を倒した最大時で1620Lという大容量のラゲッジルーム。容積だけでなく、荷室の形状もスクエアで、空間効率に優れている。また、後席のセンターアームレストを倒すことで、スキー板のような長尺物も室内に収納可能。まさに使えるワゴンだ。

パワートレーンもMQB世代の高効率なものに進化した

 エンジンは1.2L直4ターボと1.4L直4ターボの2種類で、ともにトランスミッションは7速DSG。駆動方式は前輪駆動のみ。エンジンはMQB世代に進化しており、アイドリングストップ機能やブレーキエネルギー回生システムが付いたブルーモーションテクノロジーを全車で標準装備する。

試乗判定レビュー

※各項目に対して10点満点評価。

竹岡 圭

  • 【9点】 日本ではゴルフって圧倒的にハッチバックのイメージが強いせいか、ヴァリアントはちょっと地味目な存在なんですよね。そんななか、ベーシックなものからオールトラック、果てはRまで作っているというのは、さすがワゴンタイプのステイタスが高い欧州メーカーならではでしょう。日本ではこのサイズとっても使いやすいのに、車種が少ないんですよね。

  • 【8点】 2017年のマイナーチェンジで、先進安全装備などがガツンと盛り込まれたので、そこにこだわりがある方は装備をよく確かめることが必要。とはいえ、決して華美ではないですが、いわゆる日常的に必要なものはすべて揃っているので、ベーシックなラインでも文句ナシでしょう。ほしい装備はナビ系統と、LEDヘッドランプくらいでしょうか。

  • 【9点】 この個体はタイヤのせいなのか、ブルブルって微振動がちょっと目立ちましたが、基本的にそんなことはないハズ。素直なハンドリングと抜群の安定感で、誰もがパッと乗って乗りやすいと感じるレベルの高い安定性が備わっているのが好ポイントです。パワー的にも日常使いなら不足ナシと言ったところ。荷物も積めるしオールマイティ性の高さはピカイチ!

  • 元ゴルフVのオーナーであり、いまもシロッコRを所有するVW通の竹岡さん。ゴルフを、その完成度ゆえに「アガり」のクルマになってしまうと評価。

九島辰也

  • 【9点】  言わずもがなのベストセラーカーであるVWゴルフのワゴン版がヴァリアント。ベースとなるゴルフがクラスを牽引する実力の持ち主だけに、ヴァリアントのポテンシャルも高い。ひとや荷物がしっかりと載り、なおかつ燃費や動力性能も優れている。毎週のようにキャンプに出かけるようなアクティブなライフスタイルにまさにぴったりだ。

  • 【9点】  現代のクルマは実用車であっても装備が充実しているが、その流れを作ったのもゴルフだ。バックボーンに兄貴分であるパサートやアウディなどのVWグループを持つため、スケールメリットを活かしてより上級車に近い装備が整えられるというのがその仕組み。ゴルフVIIになってからは、安全装備の充実が目につく。まさにゴルフは世界をリードするクルマだ。

  • 【9点】  フォルクスワーゲンにとってゴルフは屋台骨を支える基幹車種であり、力の入れようは走りからも伝わってくる。バランスの取れた過不足のないキャラクターで、ベテランからビギナーまで、どのようなドライバーにとっても乗りやすい仕立てだ。さらなるパワーや刺激を求めるなら、価格は高くなってしまうが「R」という選択肢も用意されている。

  • 自動車評論の指標として、VWのゴルフを意識しているという九島さん。さらに、ゴルフ ヴァリアントについて、「嫌味がなくて、好感度が高いのもいい」と評価。

グーワールド 編集部

  • 【9点】  SUVブームに押されて存在感が薄くなっていますが、実用性の高さとファッション性を両立させた輸入ワゴンはライフスタイルアイテムとしてやっぱり魅力的。とくにゴルフはモデルとしての歴史があるだけに各所の造り込みのレベルが高く、コストパフォーマンス抜群。中古車は高値安定ですが、それはリセールバリューが高いことの裏返しでもあります。

  • 【9点】  まさに過不足を感じさせないベーシックカーのお手本のような装備類。使いやすいナビが見やすい位置に装着されているのも嬉しいところ。輸入車のなかには、インフォテインメント系を苦手とするモデルもあるなかで、日本向けにしっかりローカライズされています。安全装備が充実しているのも、ファミリーや友人と出かけるクルマとして好印象!

  • 【10点】  ゴルフVから導入されたTSIエンジンはいよいよ円熟の域に到達しているのを実感。街中のストップ&ゴーから郊外路、そして都市高速といった様々なシチュエーションを試すことができましたが、1.2Lという排気量を意識することはありませんでした。乗り心地もよく、ワゴン車にありがちなリヤの硬さも気になりません。まさに「ベストバランス」!

  • 知人や友人からクルマ購入の相談を受ける際に、まず提案するのがVWゴルフ。ニュートラルなポジショニングでありながら、間違いない選択でもあるからです。

フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントのモデル主要変遷やスペック情報はこちら

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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