新車試乗レポート
更新日:2020.03.16 / 掲載日:2018.07.27

【試乗レポート・VW新型ポロGTI】GTIシリーズの次男坊はやんちゃなホットハッチ

フォルクスワーゲン ポロ GTI

文と写真●ユニット・コンパス

 山椒は小粒でもぴりりと辛い。新型ポロGTIは、いまどき珍しいスパイシーなホットハッチだった。

 最近のクルマはおしなべて総合性能が高く、バランスのとれたクルマが数多い。それ自体は技術水準が上がったことを実感できて素晴らしいのだが、人間というのは贅沢なもので、ちょっと辛口なもの、トンがった魅力を探してしまう。そんなムードにぴったりとハマるのが、VWの新型ポロGTIだ。

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エクステリアのメニューはいつものGTI流

 欧州の巨人VWは、自動車ビジネスにおいて最先端を走るメーカーだ。グループのスケールメリット活かし、コストのかかる新技術を高級車だけでなく普及価格帯の乗用車にまで幅広く展開。従来では高級車にしか採用できなかった技術を一般大衆化することに成功している。
 その代表例がゴルフで、従来であればアウディやパサートがカバーしていた領域までどんどん実力を伸ばしている。そして2018年にフルモデルチェンジしたポロも、同じ路線でクラスを超えたスーパー小型車へと進化した。プラットフォームは定評ある「MQB」を採用、上級モデルと同等の先進装備を備え、安全性能についても上級モデルと同等レベルに進化した。ルックスも背が低くシャープな印象になり、ボディ側面のシャープなプレスラインはビルドクオリティの高さを強く印象付ける。見てよし、乗ってよし、走ってよし。まさに全方位二重丸の優等生なのだ。
 だが、そんなポロをベースに開発された新型ポロGTIは、ベースモデルの優等生ぶりからは信じられないくらいトンでいる。

 見た目こそいつもどおり、日常性を失わない程度にスポーティなルックスで登場したポロGTI。GTI伝統の赤いラインは新型でも健在で、グリルにも「GTI」のバッジが誇らしげに掲げられている。ほんの少し落とされた車高、エアロダイナミクスを高めたバンパー形状も「いつものGTI」で、大人っぽい。

ベルベットレッドをテーマカラーにした室内はインパクト十分

 ところが、ドアを開けて驚いた。ベルベットレッドと名付けられたつや消し赤のインパネが「自分、普通のポロと違うんで」と強烈アピール。優等生だと思っていたのに、夏休みが開けたら髪の毛がキンパツになっていたかのような変身ぶりである。シートがタータンチェック柄になるのは予想していたが、このインパネは想定外だった。

 一方で、試乗車には「テクノロジーパッケージ」というオプションが装着されていて、メーターはフルデジタルの「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」だし、純正ナビで走行モードの選択も可能。ルックスがやんちゃになっても、成績(先進装備)はあいかわらず抜群だ。

乗り心地は少々ハード系、ワインディングで本領を発揮

 さっそく走り出すと、乗り心地もやんちゃだった。市街地では明らかに足が硬く、段差で跳ねる。前席でもゆすられ感があるが、後席ではさらに正直に衝撃が伝わる。優等生だったベースモデルのポロとはまるで違うクルマのようだ。
 ポロGTIが履くのは専用デザインの17インチアルミで、タイヤサイズは前後ともに215/45R17と取り立てて驚くような大口径でもファットなサイズでもない。となればこれはVWの演出ということだろう。
 驚きながらも、ポロGTを試すのに、よりふさわしいステージを探す。必要なのはアクセルが踏めるようなアップダウンがあり、ステアリング操作が忙しい曲がりくねった道。つまりワインディングロードだ。ドライビングモードはもちろん「スポーツ」にセット。すると、アクセルに対してのレスポンスがタイトになり、サスペンションの減衰力はよりハードになる。
 速度が増すに従ってクルマの動きはどっしりと安定し、まるでカメラのピントが合うように、走りが心地よくなってきた! 市街地では少々ワザとらしく感じられた野太いエキゾーストがここでは心地よく鼓膜を震わせる。

歴代モデル最強のエンジンを搭載

 歴代モデル最強となるハイチューン版2L TSIエンジンは、最高出力200馬力、最大トルク32.6kgmという申し分ないスペック。車重こそ1.3トンと軽くはないものの、全長4m少々に1.8mを切る全幅だから、振りまわし甲斐は十分にある。トランスミッションは6速DSGと、流行の超多段ミッションに比べると地味だが、ターボによる分厚いトルクを楽しむにはむしろ絶妙とも言える。
 ちなみに新型ポロGTIのMAXスピードは235km/h。日本の路上では試すべくもないが、速度無制限区間のあるドイツのアウトバーンであれば、きっと実力を十分に発揮できるのだろう。しかしこの高性能は決して日本でも無駄ではない。性能にゆとりがあればこそ、ドライバーはリラックスしてスポーティな走りを楽しめるからだ。

毎日を刺激的にしてくれる「小さなスポーツカー」

 兄貴分のゴルフGTIが、快適性はそのままに走りのポテンシャルを大きく引き上げるスポーツマンタイプだとすれば、新型ポロGTIはXゲームに興じるストリート系。600台限定で導入されたup! GTIが感じさせてくれた若々しいスポーティさとはまた違う、独自の個性を持っている。
 充実した装備から、ポロシリーズのフラッグシップと思う向きもあるかと思うが、じつはポロGTIは、4ドア小型車の皮をかぶった2シータースポーツカーのようなクルマだ。可愛い顔してじつは本格派。新型ポロGTIは、なかなかツウなクルマに仕上がっている。


フォルクスワーゲン ポロ GTI(6速DSG)

全長×全幅×全高 4075×1750×1440mm
ホイールベース 2550mm
車両重量 1290kg
エンジン 直列4気筒DOHCターボ
総排気量 1984cc
最高出力 200ps/4400-6000rpm
最大トルク 32.6kgm/1500-4350rpm
サスペンション前/後 ストラット/トレーリングアーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/45R17

販売価格 344万8000円(GTIのみ)




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グーネットマガジン編集部

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