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更新日:2018.07.05 / 掲載日:2018.07.05

スバルサンバーを懐走仕様!ヘッドライトダイレクト

SUBARU Sambar  V-KV3[1995]SUBARU Sambar V-KV3[1995]

エアコンはとりあえず動いてくれているので、その間にできることはないかと考えたら、レトロなヘッドライトが暗いということに気がついた。丸型2灯を生かすためにリレーのないヘッドライト回路に最新式MOS-FETを使ったバッテリー直システムを作ってみた。とりあえずTVサンバーでテスト開始!
■Photo&Text Masahiro Kan

今回はKV/KS/TT/TV/TW共通だよっ!

サンバー復活快走!人気沸騰プチレストアメンテ

あったかい色温度は最新式のヘッドライトにないのが残念
 このところの気温上昇は凄まじく、今年も猛暑になりそうだが、エアコンはとりあえす快調で、水もわずかながら出始めた。まだ様子見を続けるということで毎日走っている。
 以前、本誌でオートライトを製作してTVサンバーにも取り付けてみたのだが、その時から気になっていたのがヘッドライト回路にリレーが入っていないということだった。ハンドルポストにあるヘッドライトスイッチには12V/5Aという大電流が流れていることになるわけで、ナローさんなら配線酸化で相当電圧降下が起きていると予想されるし、大電流のオンオフで接点もかなり劣化しているはずだ。
 サンバークラシックは丸型2灯式のレトロなイメージが売りだが、夜間点灯した時のオレンジ色にちかい発光状態は雰囲気にぴったりだ。このイメージを壊さないように明るくしたいわけだが、HIDやLEDは色温度が高いので雰囲気が損なわれる。頑張ってもハロゲンH4というところだ。

第11回 ヘッドライトダイレクト
暖色系のいかにも電球という色がレトロフィーリングにはバッチリ。点灯しているだけで気持ちが和むのはLEDやHIDには出せないよね。

あったかいんだからぁ♪(古)

照射面の丸いふくらみはシールドビームならではのもの。これ全体が電球であり、断線とかしちゃうと、まるごと交換になる。

裏を見ると全面ミラー処理しているのが分かる。ガラスから直接端子が飛び出しているのも分かる。真ん中には真空吸引封止の跡も。

オモテもウラもぜーんぶガラス

バッテリー端子電圧は停止状態で12.49Vだった。48から49あたりを行き来している。できるだけこの電圧をヘッドライトに送り込みたい。

バッテリーマイナス端子とヘッドライトカプラー間の電圧を測ると12.48Vだった。プラス側もわずかに電圧降下をしているようだ。

 純正で装着されているのはシールドビームといって、ヘッドライトそのものが電球になっている。つまり断線したらライトごと交換になるというもの。今時は知らない人のほうが多いと思われる。
 現在はシールドビームが左右銘柄違いで取り付けられているが、もう少し明るくしたいと思った。すでに純正部品でもシールドビームは代替のH4ハロゲンランプ交換式になっているので廃番。ジムニーやNAロードスターなどで使われているので、H4バルブ交換式ならまだいくらでもあるし、ローバーミニにも使われているので、デザインがレトロなものも存在する。
 そこでヘッドライト回路にリレーを入れて、バッテリー直の電圧供給を考えたが、部品を探しているうちに、リレーよりも接点抵抗が少なく、機械作動がないので壊れにくいというMOS-FET(電界効果トランジスタ)に行き着いた。機械式リレーは接点抵抗が0.3Ωというような値だが、MOS-FETの場合0.003Ω!もしかすると銅線のほうが抵抗が大きいんじゃないかと思われるくらいだ。これを使って、早速回路を考察してみた。

TVサンバーも計測。こちらもアース回路は133Ωあった。抵抗値は電圧降下にも電流制限にもなってしまう。できればヒトケタに。

TVも133Ω!

オートライトなどに使った12V10Aのリレーとサイズの比較。MOS-FETの小ささが分かるだろう。これで30V60Aまで使用できる。

接点抵抗1/10以下!容量3倍!体積1/10以下!

基板オモテ面の部品配置図。ネジ止め端子は実験用に取り付けたもの。FETは足を曲げて直角に差し込む。

抵抗は基板にべったり。真ん中にマイナス配置としたため、右側はちょうど裏返しに。FETとTrの向きに注意

基板裏面の配線図。部品点数が少ないので、配線はラク。配線はうまく折り曲げた素子の足を利用するとラク。

基板のパターンカットは大電流部なので幅を持たせカッターなどで銅を傷つけて部分的に剥がしておく。

全体の回路図がこれ。左の上下矢印がアースに落ちるとMOS-FETがオンになる仕組みだ。Gに入っているC1・2はわずかにスイッチをスロースタートさせ突入電流から守るもの。赤字の新設部分がバッテリー直回路になる。

ダイレクトヘッドライトパーツリスト
必要なパーツリスト。容量さえ合えば他のNチャンネルMOS-FETでも使用できるが、フライバックダイオード内蔵型を選ぶこと。

MOS-FET側には2スケアの配線材。手前のコントロール系は数mAしか流れないので0.3から0.5スケアの配線材で十分。

電球を接続して、完成基板をチェック。明るさが違うのはワット数が違うから。電圧降下はこの至近距離だと確認できなかった。

車上点灯成功!

外しやすいサンバーの左側ヘッドライトから電源を取って点灯確認を行った。バッテリー直は配線が面倒なので、レースで使用していたドライバッテリーだ。実験大成功!

ヘッドライトカプラーは他の線材とひとまとめになっている。決戦時にはテーピングを剥がすことになりそうだ。狭くてここだけはイヤ。

カプラーは正面から見て右が12Vで上がLo、反対側がHiとなる。

これを間違えたら半導体が破壊する。ちなみにH4カプラーは共通。

バイクパーツのデイトナからH4カプラーのオスメスセットがあったので、これを2個使用。2sq電線も十分にはまる。品番は35047。

接続点灯してみるとわずかに明るい。ブレーキやヒーター、エアコンなどを使っても暗くならないのが嬉しい。夜間ははっきり体感。

電圧正常わずかに明るい。ブレーキを踏んでも暗くならない。

配線だけの抵抗値を測って みたら恐ろしい数値が出た!

 回路考察にあたって、実車でどのくらい電圧降下しているか調べてみた。サンバーはマイナスコントロールで、バッテリープラスからヒューズを通ってヘッドライトに直で入り、ヘッドライトHi-Lo出口からコラムにあるライトスイッチを経由してボディアースに落ちている。そこで経路の長いヘッドライトカプラー側からボディを経由してバッテリーマイナスまでの経路の抵抗をテスターで読み取ってみると、23歳のKVが230Ω、11歳のTVが130Ωと出た。単純に電圧降下だけなら0.2V弱だが、電流もかなり制限されてしまうし、ライトスイッチを動かすと抵抗値がコロコロ変化するのだ。
 というわけで、マイナスコントロール用にトランジスタを入れて制御し、バッテリー直でできるだけ生きのよい電圧を供給する回路を組み立てた。
 ハンダ付け初心者でも比較的作りやすくしたつもりだ。基板サイズもリレーを使うものよりかなり小さくでき、実体配線図通りに作れば確実に作動する。
 試しにTVサンバーに片側だけ組み込んで、MOS-FETの状態を確認するために耐久試験をおこなっている。執筆時ですでに500kmほどオンオフを繰り返して点灯させているが異常なし。トラブル発生時でもカプラーを入れ替えるだけでノーマルに戻せるようにしてあるので安心だ。温度上昇も室温プラス12度程度で安定していて、耐熱温度150度には程遠い。このMOS-FETは60Aまで許容するので、仮に100Wバルブを入れてもヒューズ交換だけで済む。
 次号では組みこみの方法も紹介しよう。

実験で一番気になったのがMOS-FETが作動した時にどのくらいの温度上昇になるかということ。場合によっては放熱を考えなければ。

作動させてみると、徐々に温度が上がり、30度付近で停止。走行中もいろいろ計測したが、室温プラス15度あたりまでしか上がらない。

放熱板が不要と判断したので、実験用にユニットを作製。黒いカプラーが既存ヘッドライト端子に繋がる。ギボシがライトへ。

熱収縮チューブで大電流側をまとめ、さらに全体をラップした。問題なければホットボンドを流し込んで素子を固める予定だ。

助手席側はユニットを両面テープでボディに貼り付けた。軽いので固定はこれで十分である。上に引き込んだ黒いカプラーが見える。

難儀する運転席側もアクセルペダルのカバー脇に両面テープで固定できた。余裕を持たせた配線材がこちらはギリギリだった。

提供元:オートメカニック

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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