パーツ取付・交換
更新日:2018.07.05 / 掲載日:2018.07.05
スバルサンバーを懐走仕様!ヘッドライトダイレクト
エアコンはとりあえず動いてくれているので、その間にできることはないかと考えたら、レトロなヘッドライトが暗いということに気がついた。丸型2灯を生かすためにリレーのないヘッドライト回路に最新式MOS-FETを使ったバッテリー直システムを作ってみた。とりあえずTVサンバーでテスト開始!
■Photo&Text Masahiro Kan
サンバー復活快走!人気沸騰プチレストアメンテ
あったかい色温度は最新式のヘッドライトにないのが残念
このところの気温上昇は凄まじく、今年も猛暑になりそうだが、エアコンはとりあえす快調で、水もわずかながら出始めた。まだ様子見を続けるということで毎日走っている。
以前、本誌でオートライトを製作してTVサンバーにも取り付けてみたのだが、その時から気になっていたのがヘッドライト回路にリレーが入っていないということだった。ハンドルポストにあるヘッドライトスイッチには12V/5Aという大電流が流れていることになるわけで、ナローさんなら配線酸化で相当電圧降下が起きていると予想されるし、大電流のオンオフで接点もかなり劣化しているはずだ。
サンバークラシックは丸型2灯式のレトロなイメージが売りだが、夜間点灯した時のオレンジ色にちかい発光状態は雰囲気にぴったりだ。このイメージを壊さないように明るくしたいわけだが、HIDやLEDは色温度が高いので雰囲気が損なわれる。頑張ってもハロゲンH4というところだ。
あったかいんだからぁ♪(古)
オモテもウラもぜーんぶガラス
純正で装着されているのはシールドビームといって、ヘッドライトそのものが電球になっている。つまり断線したらライトごと交換になるというもの。今時は知らない人のほうが多いと思われる。
現在はシールドビームが左右銘柄違いで取り付けられているが、もう少し明るくしたいと思った。すでに純正部品でもシールドビームは代替のH4ハロゲンランプ交換式になっているので廃番。ジムニーやNAロードスターなどで使われているので、H4バルブ交換式ならまだいくらでもあるし、ローバーミニにも使われているので、デザインがレトロなものも存在する。
そこでヘッドライト回路にリレーを入れて、バッテリー直の電圧供給を考えたが、部品を探しているうちに、リレーよりも接点抵抗が少なく、機械作動がないので壊れにくいというMOS-FET(電界効果トランジスタ)に行き着いた。機械式リレーは接点抵抗が0.3Ωというような値だが、MOS-FETの場合0.003Ω!もしかすると銅線のほうが抵抗が大きいんじゃないかと思われるくらいだ。これを使って、早速回路を考察してみた。
TVも133Ω!
接点抵抗1/10以下!容量3倍!体積1/10以下!
全体の回路図がこれ。左の上下矢印がアースに落ちるとMOS-FETがオンになる仕組みだ。Gに入っているC1・2はわずかにスイッチをスロースタートさせ突入電流から守るもの。赤字の新設部分がバッテリー直回路になる。
外しやすいサンバーの左側ヘッドライトから電源を取って点灯確認を行った。バッテリー直は配線が面倒なので、レースで使用していたドライバッテリーだ。実験大成功!
電圧正常わずかに明るい。ブレーキを踏んでも暗くならない。
配線だけの抵抗値を測って みたら恐ろしい数値が出た!
回路考察にあたって、実車でどのくらい電圧降下しているか調べてみた。サンバーはマイナスコントロールで、バッテリープラスからヒューズを通ってヘッドライトに直で入り、ヘッドライトHi-Lo出口からコラムにあるライトスイッチを経由してボディアースに落ちている。そこで経路の長いヘッドライトカプラー側からボディを経由してバッテリーマイナスまでの経路の抵抗をテスターで読み取ってみると、23歳のKVが230Ω、11歳のTVが130Ωと出た。単純に電圧降下だけなら0.2V弱だが、電流もかなり制限されてしまうし、ライトスイッチを動かすと抵抗値がコロコロ変化するのだ。
というわけで、マイナスコントロール用にトランジスタを入れて制御し、バッテリー直でできるだけ生きのよい電圧を供給する回路を組み立てた。
ハンダ付け初心者でも比較的作りやすくしたつもりだ。基板サイズもリレーを使うものよりかなり小さくでき、実体配線図通りに作れば確実に作動する。
試しにTVサンバーに片側だけ組み込んで、MOS-FETの状態を確認するために耐久試験をおこなっている。執筆時ですでに500kmほどオンオフを繰り返して点灯させているが異常なし。トラブル発生時でもカプラーを入れ替えるだけでノーマルに戻せるようにしてあるので安心だ。温度上昇も室温プラス12度程度で安定していて、耐熱温度150度には程遠い。このMOS-FETは60Aまで許容するので、仮に100Wバルブを入れてもヒューズ交換だけで済む。
次号では組みこみの方法も紹介しよう。
提供元:オートメカニック