車種別・最新情報[2018.06.29 UP]

クラウン4世代比較・ゼロクラウンから最新型まで進化の歩みをチェック

●解説:川島茂夫/編集部

長い歴史を持つ伝統のモデルだけに、最新クラウンがどう進化したのか?は気になってしまう。ここではゼロクラウンから新型までの4世代を比べることで、クラウンの進化の歩みを確認したい。

関連情報

ボディタイプ:セダン
15代目

14代目

13代目

12代目

エクステリアチェック

代を重ねるごとに、スポーティなキャラを強化
 12代目となるゼロクラウンのスタイリングは大変興味深い。それまでのイメージを払拭するダイナミックなフロントマスクを採用しているが、同時に3BOX感覚へのこだわりも強い。ベルトラインはフロントからリヤエンドへと歪みない直線基調とし、ボディ/ピラー/ルーフそれぞれの区分を明確にしている。ボディに躍動感を与えてながらも、クラウンらしい端正なイメージを崩していない。
 13代目になるとフェンダーの存在感を強めた面構成もあってベルトラインは希薄になり、部位の存在感よりも面の躍動感を感じるスタイルとなった。この延長に従来型(14代目)がある。
 従来型の張り出したフェンダーは、大径ホイールと共にシャシー性能の象徴であり、応じてベルトラインも緩やかにうねった曲線になっている。また従来型はロイヤル系とアスリート系でフロント周りのボディシェルが異なるが、スポーティキャラのアスリートのほうがフロントフェンダーを強調した造形だ。
 新型は深く前傾したリヤピラーで従来型よりも3BOX感覚が希薄になった。従来型のアスリートにも似たボンネットを突き上げるようなフェンダーデザインのおかげもあり、スポーティなキャラが濃くなった。しかし、フロントピラーからテールランプに抜ける直線的なプレスラインが端正な佇まいを演出している。主副が逆転しているが、躍動と端正の融合ではゼロクラウンにも似た手法と感じる。

15代目 スポーツ路線に完全移行。ボディ意匠も1つに絞られた

新型はロイヤル、アスリート、マジェスタの括りが無くなり、ボディタイプも1つに統合された。そのイメージはアスリート系の流れを汲むもので、標準仕様となるS系やG系でもスポーティなシルエットだ。

従来型までのアスリートに相当するRS系も、最低地上高などが多少低められている可能性があるが、ボディデザインに大きな違いはない。

14代目 アスリート/ロイヤルともに、大型グリルがアイコン

バンパーまで広がった大型フロントグリルの採用により迫力感が高まった14代目だが、サイドビューは端正に面を見せる手法を踏襲。立ち気味のリヤピラーが生み出す肉厚なウインドウラインなど、クラウンらしさは健在だ。

アスリートのフロントグリルは、バンパー高で切り上がる大胆なデザイン。スモーク塗装のヘッドライトや丸型リヤコンビランプなど、アスリートのアイコンも健在。最低地上高も10mm低く取られている。

13代目 ロイヤル系もスポーティなイメージを強化

基本的なイメージは12代目を踏襲するが、フロントまわりは絞りこみ、その一方で前後フェンダーの張り出しを強めることでメリハリ感を強めた。ロイヤルも軽快なシルエットを手に入れた。

アスリートは専用エアロの装着のほか、ハニカムメッシュのグリルや専用リヤコンビランプ、バンパーインテークにフォグランプで差別化。海外のスポーツセダンを意識した造りを随所に感じる。

12代目 クラウンのイメージを一変させた、新生クラウンの代名詞

ゼロからのスタートの言葉どおりに、従来の重厚なイメージから脱却を目指した。低く構えたフロント&リヤマスクや、ツリ目のヘッドライト、流麗なボディラインなど、新デザインへの挑戦が試みられた。

フォーマルなロイヤルに対して、アスリートはスポーティさを強調。車高はロイヤル系と同じだが、フロント&サイド&リヤに専用エアロパーツを備えるほか、グリル形状もメッシュタイプを装着し、差別化される。

代を重ねるほどボディが大きくなっていることが分かる。13代目と14代目のホイールベースが12代目と共通なのは、基本シャシーを踏襲したため。新シャシーが採用される15代目は、ホイールベースが拡大されている。

インテリアチェック

12代目のキャビンが一番クラウンらしい
 加飾パネル、表示や操作盤がすべて前席乗員と対峙するようにデザインされた12代目のインパネは「いつかはクラウン」に象徴された伝統的な国産高級車感そのもの。ラウンジのソファーを思わせるようなシートデザインなど、外観のイメージとはかなりギャップがある。いま見るとアル/ヴェルのインパネやシートに近い。
 13代目のインパネは木目調パネルなど高級の演出は保守的だが、奥行きを活かした造形となった。シートデザインもバケット感覚を織り込んだり、ラウンジ感から機能感に軸足をシフト。内装は13代目が「ゼロクラウン」的な変革を感じる。
 従来型(14代目)は13代目の延長上の印象が濃い。立体感をさらに強め、複雑な面構成となった。ある意味ではレクサス的な造形センスも感じられる。また、リヤピラーの前傾も多少強くなり、居住寸法はあまり変わらないが、ピラーや天井の圧迫感も強まっている。
 新型はリヤピラー前傾がさらに深まったが、クオーターウインドウにより、後席の開放感は向上している。また、ロングホイールベースの採用でレッグスペースも多少ながら増加。マジェスタを除いたクラウン系では居心地は僅差ながらトップクラスである。インパネのツインモニターの下モニターは操作盤でもあり、高機能をシンプルな操作系にするにはいいアイデア。高級の演出を控えて、素材や造り込みで質を高めている点も、従来路線との違いだ。

15代目 新プラットフォームの恩恵はキャビンのゆとりにも現れる

リヤシートの足元のゆとりは過去最大の広さ。手を触れる部分の素材感や造り込みの向上も明らか。クラウンらしい乗員快適性は新型でも健在だ。

上下のツインモニターは新型のトピックスの一つ。タッチパネル対応の下モニターは、従来型で採用されたマルチオペレーションタッチの機能を受け継いでいる。

14代目 細部の意匠で未来感を表現 先進機能の充実ぶりも光る

構成部材を立体的に配置することで、近未来感を演出。先進的なコックピットデザインも特徴。インテリアカラーはロイヤル系もアスリート系も2タイプから選択可能。

センターディスプレイ下に5インチTFTタッチディスプレイを配置。各種インフォメーションを表示できるほか、エアコンや車両設定の操作も直感的に行えるようになった。

13代目 往年のクラウンらしさを色濃く残すキャビン空間

インパネはオーソドックスなT型を踏襲するが、12代目と比べると直線基調が増した印象。シートはロイヤル、アスリート共通のもので、ロイヤルはベージュ、スポーツはダークブラウンを基調色とする。

新たに設定されたクラウンハイブリッドには、走行モードに応じて背景色が変化する、全面TFTカラー液晶のファイングラフィックメーターが採用された。

12代目 エクステリアに比べると保守的な印象は否めない

大胆に変貌したエクステリアに比べると、インテリアの変化は少なめに感じるが、高級車らしい豪華な室内空間の巧みな演出は、伝統を持つクラウンらしいアプローチだ。

木目調パネルで丁寧に加飾されたセンターコンソール。中央に収まる8インチのエレクトロマルチビジョンは、専用DVDナビやバックカメラなど、当時の最高レベルの装備が備わっている。

メカニズム&装備チェック

15代目

トヨタが進める車車間通信と路車間通信を用いた「ITSConect」は、従来型の後期モデルから採用されていたが、今回の新型から標準装備化が図られ、より実践的な機能に進化を遂げることが予想される。

14代目

ミリ波レーダーを用い前走車との衝突を回避するプリクラッシュセーフティシステムを設定。2016年8月の一部改良により、機能が拡張されたトヨタセーフティセンスPが標準装備化された。

13代目

基本的なハードウェアは12代目を踏襲するが、電子制御サスの標準化や、アクセル、ステアリング、ブレーキの統合制御を行うVDIMを設定するなど、クルマをコントロールする制御機能の充実が図られている。

12代目

プラットフォームの一新は12代目のトピックスの一つ。このプラットフォームは13代目、14代目にも採用されている。さらに直6からコンパクト&環境性能を高めたV6にエンジンも変更された。

走りチェック

ゼロクラウンからクラウンの走りは変わった
 12代目、ゼロクラウンの走りは衝撃的だった。それまでのクラウンの走りと言えば静かさと柔らかさによる刺激の少ない快適性を指向していたが、12代目は高速ツアラー型。静粛性はクラウンらしいものの、ロイヤル系にして後年のアスリート並みかそれ以上の引き締まったサスチューンだった。マイナー時に乗り心地向上が図られたが、それでも高速ツアラー型の特性だった。
 その後、13代目、従来型(14代目)と乗り心地の改善が加えられるが、バランシングポイントを変更するような走りの変化でしかない。つまり高速安定性と乗り心地を合わせたシャシーのポテンシャルが拡大された印象はない。パワートレーンはV6ハイブリッドや4気筒ハイブリッド車を加えて新味を出しているが、走り全体ではウェルバランスというより、まとまりを欠いた感も強い。
 走りのポテンシャルアップという面では今回の新型はゼロクラウン以来の革新と位置付けてもいい。しかも高速操安という一つの目標ではなく、クラウンが使われる様々な状況下で同じようにポテンシャルの高さを実感できるようにシャシーもパワートレーンも造り込まれている。
 3.5Lハイブリッドの高性能感の演出などは、多少遣り過ぎの印象も感じるが、快適性でも信頼感でも全トヨタ車の象徴的な存在とするに十分だ。快適派でも高性能派でも様々のタイプのドライバーに受け入れられる良質な走りを持っている。

15代目 フットワークも動力性能も秀逸。走りの実力は歴代ナンバー1

揺れ方や反応の特性にこだわったフットワークが印象的。適度な緩みがあるのに据わりがよく、神経質な操舵を必要としない。揺れ方が自然で収まりがいいから肌触りがいい乗り心地。程よくペダルワークを感じられるエンジンフィールなど全体が統一された思想でまとまっている。運転しやすさでも安心感でも歴代ベストの走りだ。

2.5ハイブリッドのパワーユニットは、カムリに搭載される2.5LダイナミックフォースエンジンをFR用に改良した進化版。詳しいスペックは不明だか、従来型以上の性能を発揮する模様。

14代目 直4車の静粛性はHVもターボも極めて優秀

3LのV6エンジン搭載車と置き換わる形で2.5L4気筒ハイブリッド車も登場。アスリートには4気筒2Lターボ車も加わり、4気筒でもV6車と変わらぬ静粛性を実現していたのが印象的。フットワークはさらなる乗り心地の向上が図られた。操安が犠牲になった印象はないのだが、細かな揺動感など乗り味の洗練感は今ひとつだった。

2015年のマイナーチェンジで設定された2L直4直噴ターボは、235PS/35.7kg.mを発揮。レクサスモデルに搭載が進んでいた高性能ユニットという位置づけで、トヨタ車としてはクラウンが初搭載だった。

13代目 クラウン初となるハイブリッドはゆったりと流して走るのが似合い

クラウンハイブリッドのパワーユニットは、レクサスGSにも展開された3.5Lハイブリッドシステムを搭載。4.5LのNA車相応の動力性能を持ち、全開での加速性能は高級セダンでもトップレベルだった。ただし、攻撃的な走りを得意とするモデルではなく、味付けは保守的なサルーンそのもの。マジェスタと横並びのスーパーロイヤルサルーンという位置付けだ。

13代目に設定されたクラウンハイブリッドには、レクサスGS450hに採用されていた3.5LV6+モーターのTHS2システムを搭載。296PS/37.5kg.m(エンジン)+200PS(モーター)を発揮。

12代目 高速安定志向が強まった最初のクラウン

高減衰のサスチューンは高速になるほどに確かな接地性としなやかなストロークをもたらすが、低中速域では縦揺れや突き上げが目立った。それでいて新V6エンジンは静かで重質な味わいを持ち、アスリート系のみならず、ロイヤル系でもドイツ車的な高速安定志向が高い走りを楽しめた後年のアスリート系よりも高速型のシャシーだった。

プラットフォームの一新に合わせて開発されたV6エンジンは、2.5L(215PS/26.5kg.m)と3L(256PS/32.0kg.m)を用意。共にコンパクトかつ、環境性能に優れるユニットだ。

新型の登場でクラウンはどう変わった?

総合力に富む新型は新世代クラウンの完成形
 歴代クラウンを並べて自由に組み合わせていいと言われたら、多分、新型車にゼロクラウンのボディを被せた仕様を発注するだろう。
 伝統的なセダンプロポーションにこだわるのも今さらなのだが、クーペ的な要素を入れ込むのが新しいとも思えない。それはフォーマルなセダンの佇まいと同じくらい古典的に「カッコイイ」と思っている。要するに「5ドアクーペみたいな外観にする必然性はない」と感じるのだ。
 走りがどうあるべきか?は悩ましい問題だ。ふんわり柔らかくて、高速も山岳路も楽々、悠々と走れるところに持っていくのが高級セダンの本質だろうが、プレミアムにも高性能やスポーティが求められる市場でそんな走りにしたら、そっぽを向かれる。
 そう考えると新型はいいところでまとまっている。嫌な刺激は極力排除して安定性も高めている。肩肘張らない運転で高速走行も街中使いも扱える。時に気合いの入ったスポーティドライビングにも対応できる仕様も用意されており、ヘンテコにFRを強調しないことも好感が持てる。
 「トヨタはこんな走りも造れるんだ」が正直な印象。13代目、14代目の停滞があったせいもあるが、新型にはゼロクラウン以上のインパクトを感じる。

[気になるポイントその1]マジェスタオーナーの次はどうなる?

古き佳き時代のクラウンを求めるユーザーに人気を集めるマジェスタは、現行型が最後になる。スポーツ路線を強めた新型は純粋な後継モデルとは言い難い。現オーナーたちが、レクサスを受け入れるかも正直、不透明。

国産車トップの質感と広さを持っていたマジェスタ。この贅沢さを求めるユーザーに向けて、新型でも最上級ラグジュアリーグレードは、必ず必要だろう。

[気になるポイントその2]クラウンはどこまでスポーティになる?

近年のクラウンは、明らかにアスリート系に力を入れていたが、新型は事実上、アスリート=クラウンになってしまった。開発関係者の話を聞いていると、ライバルは欧州のスポーツセダンを強く意識した発言も多い。

ゼロクラウン以降、足回りに力を注ぐなど、スポーツ路線を意識したセッティングが際立つ。新型はニュルブルクリンクで入念なテストを行うなど、さらに磨きがかけられている。

[気になるポイントその3 ]未来のクラウンはどう変わる?

従来型はピンククラウンや日本の四季を意識したジャパンカラーセレクションを設定するなど、女性や若い世代のユーザー獲得にも意欲的。この流れは新型にも受け継がれており、個性的なカラー設定も踏襲されるようだ。

詳細はまだ明らかではないが、新型にはクルマとクルマを通信で繋ぐITSコネクトが標準化され、未来のクルマの必須機能がいち早く搭載される。




提供元:月刊自家用車



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